ギロホール酸

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ギロホール酸英語、Gyrophoric acid)とは、地衣デプシドに分類される有機化合物の1種で、4-[[4-[(2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾイル)オキシ]-2-ヒドロキシ-6-メチルベンゾイル]オキシ]-2-ヒドロキシ-6-メチル安息香酸のことである。なお、片仮名表記では、ギロホル酸ギロホリン酸などと書かれる場合もある。なお、これをテーマにした問題が2012年、東京工業大学の化学第2問で出題された。

構造と性質[編集]

ギロホール酸の極限構造式。

ギロホール酸の分子式はC24H20O10であり [1] [2] [3] 、モル質量は468.4096 (g/mol)である [1] 。 ギロホール酸は、3つの芳香環を持ったデプシドの1種に分類できる構造をしている [4] 。 したがって、分子中にフェノール性水酸基を持っており、塩化鉄(III)と反応させると赤紫色を呈する [2] 。 また、さらし粉と反応させると赤色を呈するものの、こちらは時間が経つと褪色する [2] 。 ギロホール酸は、常温常圧では無色の固体であり、融点は約220 ℃ [2]エタノールクロロホルムには溶解しにくいものの、加熱するとアセトンにはよく溶ける [2] 。 このアセトン溶液から再結晶した場合、ギロホール酸は無色の針状晶を形成する [2]

所在[編集]

ギロホール酸は、様々な地衣類から検出されている。例えば、en:Cryptothecia rubrocinctaen:Xanthoparmelia pokomyi [5]en:Acarospora thamnina [6]en:Buellia consinnaに含有されている [7]

出典[編集]

  1. ^ a b Gyriphoric acid
  2. ^ a b c d e f 化学大辞典編集委員会 『化学大辞典 (縮刷版) 2』 p.898 (左中央) 共立出版 1963年8月25日発行 ISBN 4-320-04016-3
  3. ^ ギロホール酸
  4. ^ LICHEN COMPOUNDS AND DYES
  5. ^ Antimicrobial activity of extracts of the lichen Xanthoparmelia pokomyi and its gyrophoric and stenosporic acid constituents. Candan Mehmet, Yilmaz Meral, Tay Thrgay, Kivanc Merih and Türk Hayrettin, Zeitschrift für Naturforschung. C. A journal of biosciences, 2006, vol. 61, no5-6, pp. 319-323, INIST:17912298
  6. ^ Acarospora thamnina
  7. ^ Buellia consinna