アウトレイジ 最終章
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アウトレイジ 最終章 | |
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OUTRAGE CODA | |
監督 | 北野武 |
脚本 | 北野武 |
製作 |
森昌行 吉田多喜男 |
出演者 |
ビートたけし 西田敏行 大森南朋 ピエール瀧 大杉漣 松重豊 白竜 名高達男 光石研 原田泰造 中村育二 津田寛治 金田時男 池内博之 塩見三省 岸部一徳 |
音楽 | 鈴木慶一 |
撮影 | 柳島克己 |
編集 |
北野武 太田義則 |
製作会社 | 「アウトレイジ 最終章」製作委員会 |
配給 |
ワーナー・ブラザース映画 / オフィス北野[1] Blue Swan Entertainment[2] Cinema Without Frontiers[3] フィルム・ムーブメント[2][4] Mediatres Estudio[2] |
公開 |
2017年9月9日(VIFF)[5] 2017年9月16日(OIFF)[5] 2017年9月30日(CPH PIX)[5] 2017年10月7日[5] 2017年10月13日(WFF)[5] 2017年10月14日(ADLFF)[5] 2017年11月22日(Mar del Plata IFF)[5] 2018年1月30日(IFFR)[5] 2018年5月10日[5] 2018年5月17日[5] 2018年8月7日(MIFF)[5] 2018年8月23日[6][3] 2018年[2][4] 2019年5月30日(字幕)(Barcelona)(Madrid)[5] 2019年6月14日(Huelva)(Madrid)(Málaga)[5] |
上映時間 | 104分[7] |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 15.9億円[8] |
前作 | アウトレイジ ビヨンド |
『アウトレイジ 最終章』(アウトレイジ さいしゅうしょう、英語: OUTRAGE CODA、邦題: Outrage Coda)は、2017年10月7日に公開された日本の映画作品。
アウトレイジシリーズ3作目。北野武脚本・監督・製作総指揮。オフィス北野(現:TAP)製作。キャッチコピーは「全員暴走」。
第74回ヴェネツィア国際映画祭クロージング作品[9]。R15+指定。
概要
ヤクザ抗争を描いた2012年公開の『アウトレイジ ビヨンド』の続編映画。
監督および主演は北野武(ビートたけし)。前作主要キャストである西田敏行、塩見三省、松重豊らに加え、新たな主要キャストとして大杉漣、ピエール瀧、大森南朋、岸部一徳、原田泰造、池内博之などを起用している。
あらすじ
関西最大の暴力団・花菱会は代替わりし、先代会長・布施(神山繁/本作出演なし)の娘婿である元証券マン・野村和夫(大杉漣)[注釈 1]が会長に就任した。しかし堅気出身で高慢な野村は組織内での人望がなく、特に古参の若頭・西野一雄(西田敏行)との反りが合わなかった。薬物売買を禁止していた先代会長と異なり、野村は金さえ儲かれば何でもありというスタンスであった。この野村体制のもとで台頭したのが新興勢力の花田組で、その組長の花田和弘(ピエール瀧)は闇金・薬物売買で多額の利益を出しており、さらに野村に直接献金して歓心を買うことで直参になる等、花菱会内部で地位を固めていた。
一方、大友(ビートたけし)は前作で悪徳刑事・片岡(小日向文世/本作出演なし)を射殺後、日韓フィクサーの張大成(チャン・テソン)会長(金田時男)の計らいにより日本を出国し、張の故郷である韓国・済州島の歓楽街で、張が運営する組織の用心棒を務めていた。用心棒仲間には同じく日本人の市川(大森南朋)と、韓国人数名がいた。
花田は、野村が開く定例会議をすっぽかして、懇意にしている筆頭若頭補佐で兄貴分の中田勝久(塩見三省)に「韓国にうまい話がある[注釈 2]」と言い残し、済州島に女遊びに出かけていた[注釈 3]。テハン・リゾートホテルに宿泊した花田は、出張風俗の韓国人女性二人がSMプレイに対応できないとわかると激怒、手下を使って女性たちを暴行・脅迫した。このことを知った大友と市川ら用心棒数人はホテルに急行し、花田を一喝する。大友たちの銃器による武装と剣幕に対し、平静を装いながらも恐れをなした花田は「詫び料として200万円払う」と言ったが、金に汚い花田は本気で払うつもりは毛頭なく、後日、金を受け取りに来た張グループのドライバー、高成進(コ・ソンジン)に花田組の手下を使ってアイスピックで拷問を加えて殺害した[注釈 4]。仲間の高が殺されたことに、大友と市川は激怒する。
花田は日本に帰国後、焼肉店で中田に、済州島での出来事を自慢気に語った。しかし、これを心配した中田が、焼肉店の従業員で済州島出身の在日韓国人[注釈 5]・ゴン(仁科貴)に、済州島のホテルや歓楽街を仕切っている人物が誰かを確認したところ、日本在住の張会長と、兄弟分の尹(ユン)会長[注釈 6]であることが判明する。中田は花田が済州島で起こしたことの重大性に気づき、野村や西野には内密に、高殺害の慰謝料として現金3000万円を花田に用意させ、張会長のもとに向かう。
しかし、張の腹心の李(白竜)と幹部の崔(津田寛治)は3000万円を『ハシタ金』とし、謝罪の場に野村や西野を連れて来ないばかりか、日本のヤクザでありながら指の一本すら詰めない態度に不快感を露わにし、頑として受け取ろうとしなかった。後からやってきた張も同じく不快感を示していたが、中田の発言[注釈 7]に対し激怒する張は李に金庫から現金3000万円を持ってこさせて、合計6000万円の金を中田と花田に突き返した。窮地に追い込まれた中田は、仕方なく野村と西野に相談する。西野は花田を連れて張のもとを訪れ、慰謝料を渡そうとする[注釈 8]が、李からは「気持ちだけで結構です」と自分達が用意した3000万円だけを受け取られ、張には全く相手にされなかった。日頃から西野と折り合いが悪かった野村はこのことに目を付け、中田に花菱会の次期会長ポストをちらつかせながら、張と西野の対立・抗争を煽ろうと画策する。
しかし野村の甘言を信用していない中田は、昔から信頼関係のあった西野に、野村の謀略を全て密告していた。そこで、西野は一計を案じ、自分の車の運転手を中田の部下に殺させ、更に車ごと湖に転落させ自らが張に殺されたかのように偽装した。西野の脅迫により、花田は西野が死んだと野村に報告する。目の上のたんこぶだった西野が死んだと思い込み、野村は上機嫌であった。
一方、関東のヤクザ・山王会は花菱会の傘下に入った後、著しく弱体化していた。東京の木村組のシノギは全て花菱会が独占。生え抜きの山王会幹部である会長・白山広(名高達男)と若頭・五味英二郎(光石研)は、花菱会本部から送り込まれた若手幹部の木村組組長・吉岡(池内博之)の尊大な態度に不満を募らせていた。
野村は西野の仇討ちという名目で張の殺害を計画し、吉岡の監視のもと、花田組の舎弟である丸山(原田泰造)やチンピラ5人を、張が通う喫茶店に襲撃させた。同行していた崔をはじめ張グループ数人が射殺され、チンピラ側も丸山以外みな死亡する。丸山は張に銃口を向けるが、顔色一つ変えない張の雰囲気に圧倒されている間に、背後から近づいてきた李によって射殺される。
度重なる花菱会の凶行に、済州島にいる大友は激怒し、ゴンが手配した偽造パスポートを使って日本に入国した。大友は李の運転するシルバーのW221系ベンツSクラスで張のもとに向かおうとするが、空港から尾行していた警視庁のマル暴刑事の平山(中村育二)と繁田(松重豊)に車を停められ、任意同行で警視庁に連行されてしまう。繁田は、前作での山王会前会長・加藤稔(三浦友和/本作出演なし)と片岡刑事の殺害について厳しい尋問を行うが、張が李を介して警視庁の上層部に圧力をかけたため、取り調べは中止となった。海外逃亡していた大友の追跡に執念を燃やしていた繁田は激怒する。その後も繁田は諦めず、前作で大友の弟分の木村(中野英雄/本作出演なし)を殺害した元山王会組員のスクラップ工場長(四方堂亘)に対し聞き込みをするなど捜査を続けていたが、日韓間の国際問題への発展を恐れ、張の意向を酌んだ警視庁上層部により、暴力団対策課(四課)から二課への転属を命じられてしまう。このことに嫌気が差した繁田は、平山と居酒屋で飲んだ後に辞表を出した。
解放された大友は、同じくゴンが手配した偽造パスポートで入国した市川や他二人と合流し、花菱会への襲撃を開始する。ゴンが用意した拳銃で武装し、手始めにバーにいた吉岡を射殺する。吉岡の居場所を大友に教えたのは、吉岡に不満を持っていた山王会の白山と五味であった。
花菱会に対して一向に報復に動かない張に対して、側近のオレンジ髪の若衆(石塚康介)は義憤に駆られ単独で花菱会本部に向かい、そこへ車で戻ってきた野村を襲撃する。車の後部窓ガラスは粉々に割れたものの、野村は奇跡的に生き残り、若衆は射殺される。野村は車が防弾車でなかったことが判り、八つ当たり同然に激昂する。
大友と市川は引き続き花菱会襲撃を計画していたところへ、「張会長の兄弟分の尹会長の手下」と称する韓国人[注釈 9]数名が合流してきた。しかし、このメンバーらが尹会長の妻の死を知らなかったことから、大友は花菱会が送った偽者と断定。車内での撃ち合いの末に全員を射殺するが、その流れ弾で市川とともに入国した二人を死なせてしまう。その結果、大友と市川だけで花菱会を襲撃せざるを得なくなったが、大友たちに合流しようとしていた韓国人はアサルトライフル・M4カービンなどの強力な殺傷力を持つ武器を持参していたことに気づく。
表向き死亡したことになっている西野が、影で動き始める。ビル屋上駐車場に大友と市川を呼び出し、今回の抗争の発端について花田に詫びさせる。さらに、花菱会による張襲撃の黒幕が野村であることを明かし、花菱会中堅幹部・河野直樹(桐生コウジ)の出所祝いのパーティーに出席する野村を襲撃するよう、大友をそそのかす。ところが、ケチな野村は河野の出所祝いの金を出したくないためパーティーを欠席。西野は野村の欠席を知り、大友らの襲撃をやめさせようと河野のパーティーに唐突に現れる。数日前に自分が野村に殺されそうになった事を暴露し、野村と親子の縁を切る事を宣言した上で自分と野村のどちらに付くか腹を括るよう組員達に檄を飛ばすが、大友は花菱会に対する報復の意志が固く、傘に隠して持ち込んだM4カービン[注釈 10]を市川と共に乱射し、河野を始めとしてその場の花菱会組員ほとんどを射殺した。
西野は中田と共に野村がいる花菱会本部に急行。中田は大友によって多くの組員が殺された事を野村に報告する。野村は中田に破門を言い渡すが、返す刀で西野本人が現れそれまで隠していた本心をぶちまけられる。野村は腹心であった幹部の森島(岸部一徳)を焚き付けるが、西野の生存を確認した森島は寝返る。野村は西野や森島たちによって、車の往来が多い夜の峠道に連行される。そこで待っていた大友は、キャンプと称し、野村を頭だけ出した状態で生き埋めにし、そこへ通りかかった車に轢かせて殺害した[注釈 11][注釈 12]。山王会の五味は、どさくさに紛れて折り合いが悪化していた白山を射殺し、花菱会には大友の仕業と報告する。
野村の死により、西野は花菱会の新会長に、中田は若頭に就任する。花田は若頭補佐の一人として昇格するが、内心花田を嫌っていた西野は、変態嗜好の花田[注釈 13]を「幹部昇進祝い」だと称しSM嬢2名に接待させると言ってホテルへ誘き出し、大友と市川にこれを教えて襲撃させ、花田を殺害した。
さらに、西野は最終的に大友の抹殺を目論み、李を焚き付ける。これを知らない大友は、市川を済州島に帰した後、木村殺害の報復のため、スクラップ工場へ向かい工場長と工員の二人を射殺する。西野の意向を受けた李が現れ「これ以上会長に迷惑かけないでください」と大友に銃を向けるが、大友は「ケジメは自分でつけるから」と答え、自ら顎に銃を当て頭頂部を撃ち抜いて死んだ。
その後、李は張のオフィスに戻り、張に大友の死と「会長によろしく」という遺言を伝えると、張は韓国語で「그래(そうか)」と力なく答えて話は終わる。
主要人物
主人公
- 大友(おおとも)
- 演 - ビートたけし
- かつては山王会池元組傘下の大友組組長。前作での山王会と花菱会による抗争の後、山王会二代目会長の加藤(三浦友和)と悪徳刑事の片岡(小日向文世)を自らの手で葬り、韓国・済州島に渡る。本作では張グループに所属し、用心棒として済州島の歓楽街を裏で仕切る。今作ではサングラスを常に着用する様になり、マフィアとしてのイメージが強くなっている。
- 序盤で花田が騒ぎを起こした際は市川や他の若衆と共に花田の部屋に乗り込んで場を収めたが、後日花田から詫び金を受け取るはずだった若衆の高が花田組の若衆に殺害されてしまう。その後、東京で張大成会長が花田の手下の丸山らに襲撃されるに至り、度重なる暴挙に怒りを募らせ、遂に花菱への報復を決意。ゴンを通じて偽造パスポートを入手し、日本へと渡る。
- 帰国早々加藤・木村・片岡殺害の容疑で繁田に拘束されるものの、張会長の根回しによって釈放される。遅れて日本にやって来た市川ら若衆と合流すると、手始めに山王会の白山たちの手引きで木村組の吉岡以下数人を射殺する。しかし、野村が差し向けた刺客の韓国人ヒットマンたちと撃ち合いになり、二人の若衆を失い、市川と二人だけになってしまう。ヒットマンたちが持ち込んでいたライフルで武装し、ビルの屋上駐車場にて西野・中田らと対面し、河野の出所祝いパーティーで出てくる野村を狙う様依頼される。しかし予定と異なり、野村が出席しないとなり、西野自身は襲撃を止めさせようとするが、会場に市川と共に乗り込んでその場にいた花菱会構成員の殆どを射殺する。その後も西野の陰謀に協力する形で約束通り連れて来られた野村を生き埋めにして轢殺させ、同じく西野の手引きでSMプレイ中の花田の元に乗り込み、彼の口に爆弾を詰めて爆殺する。
- しかしこれらの行動が原因で、張会長に対し警察・花菱の両方から圧力がかかり、この事態を重く見た李は、前作で弟分の木村を殺害した工場長ら二人を手に掛けた後、大友を殺害するという決断を下す。最後は李から銃を向けられるが、それに対し「ケジメは自分で付けるから」と答え、「会長によろしく」と言い残し自害した。物語の最後は自害した大友の遺体を映して締めくくられた。
- 市川(いちかわ)
- 演 - 大森南朋
- 韓国・済州島側の張グループに所属する用心棒で、今作における大友の舎弟的存在。大友と異なり、韓国語に堪能。釣りを趣味としており、特に太刀魚への造詣が深く、物語序盤では太刀魚のキムチ鍋は絶品だとして、大友のために昼から釣ろうとしていた[注釈 14]。大友同様武闘派で、沸点もやや低い。高の死に怒りを沸かせ、日本へ向かおうとする大友に当初より同行を希望していた。大友本人からは「俺はお前の親分でも兄貴でもねぇんだよ」「俺に言われたってしょうがねぇんだよ」と言われるが、それでも決意は揺るがず、後々大友に呼ばれ花菱会との抗争にケリをつけるために、ゴンが手配した偽造パスポートで来日し、河野のパーティー会場への襲撃等、共に活動する。花菱会との一連の抗争の終結後に、大友の勧めによって済州島に帰ることになる。別れの際、大友にいつかキムチ鍋を馳走する約束を交わすが、結果的にこれが大友との永遠の別れになってしまう。
- エンドロールでは大友と昼間に釣りに行った際には釣れなかった太刀魚を釣り上げ「兄貴!釣れましたよ!」と嬉しそうに叫んでいた。
張グループ
- 張大成(チャン・テソン)
- 演 - 金田時男
- 済州島出身の在日韓国人。張グループの会長で、日本と韓国を股にかける[注釈 15]大物フィクサー。大友を気にかけている。
- 基本的に無駄な抗争や揉め事を好まない穏健派で、若衆が花田組に殺された際は側近の李に対し「上手く収めておけ」と指示し、花菱へ報復しようとする強硬派の大友に対しても「余計な事はするな」と李を通じて伝えていた。一方で自身や身内に対し舐めた態度をとる事を許さず、花田の件に対する花菱会からの謝罪を中田の失言もあって厳しい態度で退けた。
- 上述の騒動は西野の再度の謝罪を受け入れて手打ちになったものの、この騒動に乗じて西野を亡き者にしようとする野村の陰謀により、西野殺害の首謀者という濡れ衣を着せられる。その後、西野殺害に対する報復という名目で花田組のヒットマン達に襲撃され[注釈 16]、それに対する報復として大友達が独断で花菱会に報復に動いた為、自身の意向に反して花菱会との抗争が激化していく事になる。
- 李(リー)
- 演 - 白竜
- 張の側近であり、信頼も厚い。下の名前は不明。高殺害の件に関しての中田、花田の謝罪を張同様厳しい態度で退け、張襲撃の際は丸山をすんでの所で射殺。また張の意向を誰よりも汲んでおり、花菱会への怒りから強行に走ろうとする大友を度々諫めるが、彼を止める事は叶わず西野の謀略により中田より「花田を大友に殺されて困っている」と張へ間接的に圧力をかけられたことで、終盤で大友に銃を向ける。
- 崔(チェ)
- 演 - 津田寛治
- 張の側近の一人。下の名前は不明。張のボディーガードとして同行していた折、中田と花田が丸山達を使い、張を狙っている事を事前に知ったゴンが、注意を促す連絡を取ろうとするも、崔に連絡が繋がらなかった事で、離れていた李が連絡を受けて到着するまでに時間が空いてしまう。結果的に丸山達の喫茶店襲撃を許す事となり、その身に銃弾を受けながらもヒットマン達を射殺するが、丸山一人だけは殺せずに力尽きる。
- 高成進(コ・ソンジン)
- 一連の抗争の切っ掛けとなった張グループの若衆の一人。テハン・リゾートホテルで揉め事を起こした花田から後日、詫び金として200万円を受け取る筈だったが、花田の部下にアイスピックで暴行の挙げ句、殺される。その後、張は彼の遺族の面倒を見るよう李に指示している。
- 張グループ若衆
- 演 - 山口祥行、本宮泰風
- 本名不明。いずれも韓国・済州島側の張グループに所属。大友を慕っている。大友の花菱会への報復に協力するべく市川と共に来日するが、花菱会から差し向けられた刺客と銃撃戦になった際に2人とも死亡した(内1名は勢い余った大友の誤射によるもの)。
- ゴン
- 演 - 仁科貴
- 済州島出身の在日韓国人で、花菱会が出入りする焼肉店とバーの従業員。その一方で張グループともつながっており、大友達を手助けする便利屋として偽造パスポートや武器の手配も行う。幹部である崔も当初知らなかった張の兄弟分である尹会長の妻の訃報を知っていた事から、尹会長と近しい立場である模様。
- 部下
- 演 - ヒロホンダ
- 本名不明。日本側で張の国際的ビジネスを任され、英語が堪能である。
- オレンジ髪の若衆
- 演 - 石塚康介
- 本名不明。日本側の張グループの若衆。個人的義憤に駆られて一人で花菱会の野村を襲撃するが、花菱会に返り討ちに遭い、射殺された。
- 前作では長い黒髪であったが、今作では韓流スター風のオレンジ色の短髪になっており、李から「韓流スターか」とツッコまれている。
花菱会
関西を拠点とする、日本最大規模を誇る巨大暴力団。
- 野村 和夫(のむら かずお、花菱会会長)
- 演 - 大杉漣
- 花菱会会長。叩き上げのヤクザではなく、元証券会社の会社員で定年退職後に現職に就いた堅気の出身。当然入れ墨もなければ部屋住みをした事もない。先代会長・布施(神山繁)の娘婿にあたる。関西出身ではなく、標準語で話し、関西弁を非常に嫌っている[注釈 17]。花菱会の古参の構成員たちに対して、上からの物言いで接する一方で定例会を頻繁に開催したり、シノギのノルマを課したりする。金になるビジネスなら何でも許しており、先代の布施が禁止していた違法薬物の取引も容認している。しかし、西野曰くその割に自らは組の財政に穴を開けることなどから評判は悪く、特に西野からは激しく嫌われている。
- 事あるごとに自分に対し反抗的な態度を取る西野を目障りに思っており、中田を使って始末しようと企む。しかし西野と中田の信頼関係を崩す事が出来ず、中田によって計画が西野へと伝わったことで、逆に西野から謀略を仕掛けられることになる。後に西野の死が偽装である事が明らかになった時、それまで従順だと思われていた森島など他の幹部から一斉に見捨てられる。最期は西野や森島たちの手下によって大友の下まで連行され、この期に及んでも「俺は花菱の会長だぞ!」と見苦しく喚くと、大友から「てめぇなんか会長の器じゃねぇよ」と吐き捨てられ、道路上に頭だけ出した状態で生き埋めにされ、走行してきた車に轢かれて死亡した。
- 西野 一雄(にしの かずお、花菱会若頭)
- 演 - 西田敏行
- 花菱会若頭。布施の後任に極道の下地が無い堅気出身の野村が就いたことを快く思っておらず、彼に対する反感を隠そうとしないために野村の方からもその存在を疎んじられている。前作同様、本作でも卓越した知謀家として暗躍するシーンが多いが、その一方で大友によるアサルトライフル乱射のシーンでは、予想を超えた大友の暴走に取り乱す場面も見られた[注釈 18]。
- 物語の途中で野村の指示を受けた中田に襲撃され、死亡したと思われていたが実際には中田のリークによって事前に野村の計画を察知しており、野村の目を眩ませるため自らの死を偽装していた。その後は様々な謀略を駆使して大友を自身の尖兵として利用し、会長の野村と邪魔者の花田を殺害させる。野村死亡後に中田を若頭に据え、花菱会3代目会長に就任。更に義理に拘るその大友についてもこれまでの恨みから「とことん追い込んだるわ」と言い放ち、李を焚き付けて殺害しようとし、最後まで自身の手は汚さなかった。
- 中田 勝久(なかた かつひさ)
- 演 - 塩見三省
- 花菱会若頭補佐。前作と異なり、常にサングラスをかけ、杖を持ち歩いている[注釈 19]。西野の良き弟分であり信頼も厚い。その関係を逆手にとった会長の野村から、跡目の座をちらつかせられ、西野潰しに利用されようとするが、西野との長年の信頼関係により、野村の謀略を西野に暴露。最終的に野村を失脚に追い込み、野村死亡後に若頭に就任した。
- 前作では大友や木村を激しく恫喝する武闘派の側面が目立っていたが、今回は崔や山王会から馬鹿にされ後手に回る、花田が犯した失態の処理に奔走した挙句失敗し西野からは叱責され、野村からは西野殺害を持ちかけられるなど中間管理職として板挟みになる場面が多く描かれている。
- 森島(もりしま)
- 演 - 岸部一徳
- 花菱会若頭補佐。野村の側近で厚い信頼を寄せられているが、本心の見えない不気味な存在である。物語序盤からずっと野村に従順な様子を見せており野村に反抗的な西野を悪し様に言うなどしていたが、物語後半で死んだはずの西野が出現すると突如態度を翻す。その際の言動や、西野の会長就任後に中田を含めた3人で談話していた時の様子から、元々西野達とは裏で通じており兄弟分としての関係を築いていた可能性が高い。
- 野村の下には森島の他にあと2人の会長付幹部(演 - 大鷹明良、谷本一)がいたが、彼らも森島に同調し野村を裏切った。
- 花田 和弘(はなだ かずひろ)
- 演 - ピエール瀧
- 花菱会直参幹部、花田組組長。一連の抗争の元凶となった下劣な男。花菱会の定例会をサボって韓国・済州島に女遊びに出かけた挙句、張グループと起こした揉め事が今回の抗争の始まりであった。揉め事を聞いて大友らが駆けつけても刺青をちらつかせて女遊びの料金を踏み倒そうとし、大友らが銃を見せて威圧すると「200万払う」と下手に出るが、それもウォンで払おうとする悪足掻き[注釈 20]を見せ、最終的に大友に恫喝されて円で払うことを約束させられる。しかし最初から支払う気はなく、徴収に来た大友の部下である高成進を手下に殺害させ、自分は一足先に日本へ帰国する。花田組は闇金経営や先代の布施が禁止していた覚醒剤取引で多額の利益を出しており、その上がりを会長の野村に直接献金して[注釈 21]、花菱会内部での地位を高めて直参に成り上がった。
- その一方、済州島で殺害した高成進の慰謝料を出し渋ったり、李や中田から要求された指詰めを嫌がるなど、ケチで小心者である。SMプレイを好み、マゾヒストの趣向があり、森島からは「変態」と言われている。野村の死後、若頭補佐の一人として昇進するが、実際は西野からも嫌われており、西野が手配したSM嬢と手足拘束をしてプレイしている最中に、これまた西野の差し金でやってきた大友と市川により、口に咥えていたギャグボールを同じサイズの球体状の爆薬に取り替えられ、ベッドの真横で導火線の火花が飛び散る恐怖を味わい、喚きながら爆死した。この時の大友の決め台詞は「口ん中で花火上げてやるよ」。
- 吉岡(よしおか)
- 演 - 池内博之
- 木村組組長。木村組は前作で、大友の兄弟分である木村(中野英雄)が花菱会から盃を得て創設した組織である。本作における木村組は花菱会の東京支部及び山王会の目付役を担っており、吉岡は木村が片岡の差し金によって山王会のヒットマンに殺害された後に花菱会本部から送り込まれた若手幹部。そのため、花菱会本部の者が東京に来た際の足として使われたり、丸山一味が張を襲撃する際の手引きなどを行っている。吉岡自身も花菱会の人間であるものの、本家の者に東京での足に使われることには不満を抱いており、花菱会本部と張が揉めている件にも我関せずの態度を取っていた。花菱会の傘下に入った山王会の白山や五味を「貧乏ヤクザ」と蔑んでいたが、白山たちの策略により高級クラブで白山と五味と一緒に飲んでいるところを韓国から日本に戻ってきた大友によって襲撃され、あっけなく射殺された。
その他
- 丸山(まるやま)
- 演 - 原田泰造
- 花田の手下。花田は他の組による実行人物の特定を避けるため、顔が知られていない暴走族上がりのチンピラである丸山たちを使って様々な悪事を働いている。張襲撃の際にも利用された。襲撃で護衛を務める崔らは殺す事に成功するがその際に仲間は撃たれ、自身も本命である張の雰囲気に圧倒されている間に李に射殺された。
- 河野 直樹(こうの なおき)
- 演 - 桐生コウジ
- 刑務所から出所した花菱会の中堅幹部。森島曰わく、自分の組の部下が一人殺人を犯した事でその責任を負って逮捕されたとの事で、5年の懲役から釈放され、それを祝う出所パーティーが催されるが、割って入って来た西野の演説の最中に大友と市川に襲撃され、乱射されたアサルトライフルの流れ弾が当たって死亡した。
山王会
以前は関東最大規模を誇っていた巨大暴力団。現在は花菱会の勢力下にある。かつての本部屋敷は、花菱会の東京支部として乗っ取られており、賃貸ビルの一角にある小さな事務所を拠点とするなど、前作から著しく凋落した様子がうかがえる。
- 白山 広(しろやま ひろし)
- 演 - 名高達男
- 山王会三代目会長。先代の加藤稔(三浦友和)が失脚した後に会長に就任する。若頭の五味英二郎や花菱会若頭補佐の中田には高圧的な態度で接する。花菱会若頭の西野に対して不満を溜めているが、実際に目の前にすると頭が上がらない小心者である。本作終盤で次第に反りが合わなくなっていた五味に射殺された。
- 五味 英二郎(ごみ えいじろう)
- 演 - 光石研
- 山王会三代目若頭。会長の白山とは元々は兄弟分だったために忠誠心は皆無であり、時に会長と若頭という立場の差を無視した口調で白山と接する。何かと花菱会の顔色を窺う等、白山以上に小心者でヤクザらしくない性格。自分に高圧的に接するようになった白山を疎んでおり、大友と市川が起こした騒動のどさくさに紛れて白山を射殺し、大友が犯人であると嘘をつく。
- スクラップ工場長
- 演 - 四方堂亘
- 本名不明。前会長・加藤の側近だった元山王会組員。前作で片岡の教唆により、木村を襲撃して殺害した。本作では山王会から足を洗って堅気となり、同じく木村を襲撃した元組員とスクラップ工場を経営している。本作終盤で大友に兄弟分の木村殺害に対する報復として工員共々射殺される。
- なお、繁田の訪問時に机の隅に隠したのは、前作で加藤が大友に刺殺されたときに着用していた帽子と時計である[10]。
警視庁組織犯罪対策部
- 平山(ひらやま)
- 演 - 中村育二
- 捜査四課(暴力団対策課・マル暴)の刑事。繁田の上司。上層部の権力などに逆らえないなど立場が悪い部分もあるが、部下である繁田に罵倒された際、その場で怒る場面は見せながらも咎めるようなことをしないなど、善良な性格をしている。その後も繁田との関係は悪くなっておらず、一緒に食事をした際には奢るなど気前の良さも見せている。
- 繁田(しげた)
- 演 - 松重豊
- 捜査四課の刑事。激情家ながら実直な性格で、張グループと裏で繋がっている警視庁の上層部に不信感を抱いている。
- 張会長が花田組のヒットマンに襲撃された事件を切っ掛けに、花菱会と張グループの抗争を追い始める。大友が帰国した際に彼を警察へ連行し、前作の加藤、木村、片岡殺しについて問い詰める。しかし張会長からの圧力によって大友が釈放されてしまったことで、権力者の言い成りになる警察に対し怒りを爆発させ、八つ当たりの様に上司と部下という立場を忘れて平山と激しく言い争う。その後も大友を執念深く追い続けようとするものの、張の意向を忖度した警視庁の上層部によって捜査二課への転属を命じられてしまい、手が出せなくなる。これらの出来事の末に権力者に従順である警察に失望し、居酒屋で平山と飲んだ後に辞表を出した。
- 警察上層部の男
- 本名不明。平山達の上司に当たる警察上層部の男。李を介した張の圧力に屈服して大友を釈放する等、刑事としての正義感よりも政治による利権を優先しており、大友釈放後も捜査を止めない繁田を四課から「人が足りない」との理由で二課へと外し、平山に対して「今度から先方に連絡する時には、私を通してもらえるかな」と指示を出した。
スタッフ
- 監督・脚本・編集 - 北野武
- 音楽 - 鈴木慶一
- 撮影 - 柳島克己
- 照明 - 高屋齋
- 美術 - 磯田典宏
- 録音 - 久連石由文
- 編集 - 太田義則
- キャスティング - 吉川威史
- 助監督 - 稲葉博文
- 衣装 - 黒澤和子
- 装飾 - 尾関龍生
- メイク - 本田真理子
- 記録 - 吉田久美子
- 音響効果 - 柴崎憲治
- 製作担当 - 齋藤悠二
- プロデューサー - 森昌行、吉田多喜男
- ライン・プロデューサー - 小宮慎二
- アソシエイト・プロデューサー - 川城和実、太田哲夫、高橋雅美、二宮清隆
- 配給 - ワーナー・ブラザース映画、オフィス北野
- 製作 - 「アウトレイジ 最終章」製作委員会(バンダイビジュアル、テレビ東京、東北新社、ワーナー・ブラザース映画、オフィス北野)
受賞とノミネート
日本国内
- 第42回 報知映画賞[11](2017年11月28日)
- 特別賞(「アウトレイジ」3部作として受賞)[注釈 22]
- 第30回 日刊スポーツ主催 石原裕次郎賞[12](2017年12月28日、「アウトレイジ最終章」として受賞)[注釈 23]
- 第41回日本アカデミー賞[13](2018年1月15日)
- 第27回 東京スポーツ映画大賞[注釈 26](2018年1月23日)
- 第39回 ヨコハマ映画祭[14](2018年1月28日)
- 特別大賞 - 西田敏行
- 助演男優賞 - 塩見三省
映画作り
- プロデューサーである吉田多喜男の提案により、本作は北野映画初のシネマスコープ(横縦比12:5)(シネスコ)サイズとなった。撮影担当の柳島克己によると、北野映画は現在もフィルムで撮影されている。また、柳島はいつかはシネスコを使用したいと考えていたが、シネスコレンズは高価なため、撮影スタッフの権限では決定できないところに、吉田からの提案があったため、「渡りに船」として本作で採用された[15]。
- 大友と市川が花菱会・河野直樹の出所祝いパーティー会場でM4カービンを乱射するシーンでは、ハイスピードカメラが使用されている[15]。
- 吉田と柳島は、本作がソナチネと同様のタッチにならないように苦心した[15]。
- 音楽担当の鈴木慶一によると、本作の内容からフィルム・ノワールを想起したため、鈴木が情緒的であるとして通常使用しないサックスを一瞬だけ使用している。ただし、シンセサイザーの乾いた音色に近くなるような「クールな感じ」でサックス奏者に演奏してもらった[16]。
- 音響効果担当の柴崎憲治によると、本作では銃の音の作り方を前二作と変えており、「パン!」という発射音や「ウヮーン」という残響音などを何重にも重ねて音作りを行った[16]。
その他
- 「済州島」について、本作品では日本で近年一般的になった原語読みの「チェジュとう」ではなく、全ての登場人物が一貫して日本語読みの「さいしゅうとう」と読んでいる。英語字幕は「Jeju Island」になっている。
- 張会長のオフィスの後ろにかけてある書は、韓国語で「인으로 의를 이룬다/의로서 인을 다한다」(仁で義を為す、義で仁を尽くす)と書かれている。
- 花菱会若頭補佐・中田勝久役の塩見三省は2014年3月に脳出血で倒れて左半身に麻痺が残り、リハビリ中であった。さらに、花菱会若頭・西野一雄役の西田敏行も2016年2月に自宅ベッドから誤って転落し、頸椎を亜脱臼して首が動かなくなるとともに歩行困難になったため、同じくリハビリ中であった。西田は同年5月に胆のう摘出手術も行っていた。本作は花菱会幹部の主要キャスト2名の体調が思わしくないという、きわめてシビアなコンディションのもとで撮影された[17]。
- リハビリ中の塩見は自力で立つのが難しく、ジャパンプレミアでも挨拶の際に両隣に座る共演者の岸部一徳と大杉漣に支えられながら立ち上がる状態であった。そのため、本作において塩見が演じる中田はほぼ全てのシーンで椅子か車の座席に座っており、立っているシーンでも杖を使っている[18]。
- 監督の北野武は、首が動かせず歩行も困難な西田に対して「大丈夫だよ、大丈夫だよ。本(台本)変えちゃおうか」と声をかけたという[19]。また、上述の通り塩見と西田は歩行がうまくいかない状態であったが、たけしは「上手に歩けないんだったら、歩かない仕組みを考えよう」と提案した[20]。西田はその時にたけしの優しさを感じたという[21]。
- 松重豊は、共演者の西田と塩見の2名が、体調の状態が厳しい中で迫真の演技をしているのを見て「今回の作品で西田敏行さんと塩見三省さん(ともに当時69歳)がパワーアップしているのを見て、50代半ば(当時54歳)の自分はもっと追い込まないとダメだな、とケツを叩かれました」とコメントしている[22]。
- 2017年10月2日から6日までの7:30 - 8:00の時間帯に、『アウトレイジ 最終章』の番宣を兼ねた生トーク番組『おはよう、たけしで すみません。』がテレビ東京で放送された[23][24]。出演はビートたけし(4日はドタキャン[25])、太田光、水道橋博士(3日以外)、岡田圭右(3日のみ)、松村邦洋(4日に電話出演)。
- 2019年4月10日に国立劇場で開催された天皇陛下御即位三十年奉祝感謝の集いに、ゲストとして招かれたたけしは祝辞で「両陛下がご覧になった映画が、不届き者を2人も出した『アウトレイジ3』でないということを祈るばかりです」と発言。本シリーズの出演者から2名の逮捕者[26]が出たことに触れた「ボケ」として話題を呼んだ[27]。
Blu-ray / DVD
2018年4月24日発売。発売・販売元はバンダイナムコアーツ[注釈 27]。
- アウトレイジ 最終章 通常版(1枚組)
- 映像特典
- 特報
- 劇場予告編
- TVスポット
- 映像特典
- アウトレイジ 最終章 スペシャルエディション(2枚組、初回限定生産)
- ディスク1:本編ディスク(通常版と同様)
- ディスク2:特典DVD
- メイキング
- 3分でわかる「アウトレイジ」シリーズダイジェスト
- シリーズ一挙に総ざらい1分ダイジェスト
- イベント&舞台挨拶集
- 大ヒット御礼特別映像(怒号39連発)
- 封入特典
- 解説書「アウトレイジ解説書」(24P)
- 特製ブックケース付きスペシャルパッケージ
脚注
注釈
- ^ 大杉は2018年2月21日に急性心不全のため急逝、本作が最後の北野映画出演となった。
- ^ 「アウトレイジ最終章」公式パンフレット P.9の記載では、花田は韓国で「取引」を行っていたという公式設定になっている。ただし、本作で花田は済州島のホテルのシーンから登場しており、映画の中では取引のシーンは出てこない。花田の定例会欠席を説明した若頭補佐の中田に対して、西野が「ここに来るのが仕事ちゃうんかい!」と激怒していたことからも、花田の韓国渡航はヤクザビジネスよりも済州島での女遊びの方が主目的だったのではないかと思わせる描写になっている。
- ^ 本作冒頭シーンに、日本ナンバー「98-52」で黒色のW220系ベンツSクラスの後ろ姿が1カットだけ写り込んでいる。その次のカットに大友の横顔、W220系ベンツSクラスという構成のあるため、この2台を同一の車と思った観客が多数だったのではないかと思われる(車種自体が完全に同一・同形式である)。しかし、大友が乗っていた車は日本ナンバーではなく、韓国ナンバー「23부 4752」となっている。つまり、冒頭の日本ナンバー「98-52」のベンツは、花菱会の定例会をサボって済州島に女遊びに来ていた花田の車と考えられる。日韓両国の取り決めで、観光ビザの場合は所定の手続きを取れば、それぞれの国のナンバープレートで走行できるようになっている。ちなみに日本もしくは韓国から他の国に行く場合は、アルファベット表記のカルネナンバーに付け替える必要がある。
- ^ 高成進の遺体のシーンに、大友が乗っていた韓国ナンバー「23부 4752」のW220系ベンツSクラスが映っている。
- ^ 張とゴンはいずれもチェジュ島出身なので、在日一世ということになる。また、第二次世界大戦終結直後に来日した設定になっている張とは異なり、比較的年齢の若いゴンは特別永住資格を持たないニューカマーということになる。
- ^ 「張会長の兄弟分」という設定があるだけで、映画には直接出演していない。
- ^ 中田は張が日本語が分からないものと思いこんでおり、高について「(慰謝料は)500万で十分やろ。(ドライバーの高は)ドサンピンやないかい」と言った。「ドサンピン」は漢字で書くと「ど三一」で、身分の低い者や、取るに足らない者を卑下する言葉。三一は江戸時代に、給与が年間三両一人扶持だったことから、身分の低い侍を見下すときに使われた言葉が由来である。
- ^ 西野役の西田敏行が、野村と同席しているシーンと張の方向を向くシーンで体全体を動かす不自然な動きをしているが、これは西田が本作収録前の事故の影響で首を動かすことができなくなっていたためである。また野村とのシーンではその影響からか顔をしかめながら体を向けている。
- ^ 冒頭の済州島のホテルのシーンで、花菱会の花田が大友たちに対して「ええか、ソウルにかて兄弟分ぐらいおるんやで」と言っていることから、大友たちに合流しようとした韓国人はソウルの花菱会の兄弟組織から送り込まれたものと考えられる。
- ^ 大友と市川が使用したM4カービンはカスタムモデルで、リアサイトを撤去しホロサイトを装着している。さらに、大友が使用したM4カービンは銃身を切り詰めて極端なショートバレル化がなされた上に、M4/M16系の最大の特徴である三角形のフロントサイトが可倒式のフリップアップサイトに交換されるなどのカスタマイズが施されているため、一見しただけでは形式の判別が困難となっている。
- ^ 地面から首だけが出ている野村の叫び声とともにヘッドライトが近づき「グチャッ」という擬音がした後に大友・市川が車に乗っているシーンに繋がるため、一見すると大友と市川が乗っている車が野村を轢き殺したように見える。しかし、野村を轢いた車は車体色がシルバーで、ナンバープレートが「大阪300お90-24」であり、大友と市川が日本国内で乗車した2台の車(いずれも黒色の100系ハイエースともW222系ベンツSクラス)とも異なる車である。よってこの場面は「大友と市川が別の車に乗り換えて轢き殺した」か「無関係の一般通行車が轢き殺した」という二通りの解釈が可能である。
- ^ 当初は生き埋めになった野村を轢くシーンを入れる案もあり、撮影テストまで行われたが、監督の北野が「インパクトはあるけど品がないかも」と判断したため採用されなかった。
- ^ 花菱会における西野の会長就任会合の後、花田からSMプレイに誘われた森島は「そないな変態みたいな事、出来るかい」と吐き捨てるように言っている。
- ^ 大友からも指摘されているが、太刀魚は夜に釣れる魚である。市川曰く「たまに大きいのが岸に寄ってくる」。
- ^ 詳細は不明だが、香港や台湾にも影響力がある模様(劇中では「ワン会長」という人物と香港に関する商談を行っている)。
- ^ しかし襲撃されても顔色一つ変えず、鋭い眼光で自分に銃口を向ける丸山を見つめていた。
- ^ 張グループの若衆に襲撃された直後、部下に「早よせんかい!」と指示を飛ばす組員を「俺はな、関西弁が大っ嫌いなんだよ!」と八つ当たり同然に罵倒している。ちなみに野村を演じた大杉は関西弁の影響を四国のなかで最も多く受けた阿波弁を方言とする徳島県の出身である。
- ^ 大友は済州島での一件から花菱会を憎んでおり、これを機に花菱の組員たちをまとめて抹殺しようとしていた可能性もある。
- ^ 後述の通り、中田役の塩見の体調が優れずリハビリ中であったため。また劇中で車から降りて花菱会本部の階段を登るシーンでは、麻痺の残る左足をかばうように歩いており、直後に室内で西野と会話するシーンでも同様に麻痺が残る左手をほぐす仕草がみられる。
- ^ 200万ウォンは日本円で約20万円。
- ^ 中田曰く「前年に覚醒剤取引と闇金だけでも20億から30億円は稼いだ」。
- ^ たけしは報知映画賞の受賞に際して「特別賞という訳の分からない賞。ありがとうございます」というたけしならではの毒舌で答えている。https://hochi.news/articles/20171220-OHT1T50081.html
- ^ こちらでも、石原裕次郎夫人である石原まき子からの受賞に際して、たけし流の毒舌で答えている。https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201712290000028.html
- ^ 録音技師。読みは「くれいし・よしふみ」。『アウトレイジ ビヨンド』から北野映画の録音担当として参加。(【出典】「アウトレイジ最終章」公式パンフレットP.24)
- ^ 編集担当。北野映画への参加は本作で16作目となる(【出典】「アウトレイジ最終章」公式パンフレットP.24)。
- ^ 【出典】https://web.archive.org/web/20180125015222/https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/entertainment/892975/
「東スポ映画大賞」はたけしが審査委員長を務める異色の賞で、自身の映画に毎回賞を与えまくるのがお約束となっている。 - ^ 『アウトレイジ』シリーズで、2018年4月1日以降のバンダイナムコアーツの映像レーベル「バンダイビジュアル」が関わるのは本作のみとなる。
出典
- ^ “アウトレイジ 最終章”. 映画.com. 株式会社エイガ・ドット・コム. 2020年6月30日閲覧。
- ^ a b c d “Outrage Coda (2017)”. IMDb(Company Credits). Amazon.com. 2020年6月28日閲覧。
- ^ a b “Outrage Coda”. LUMIERE(リュミエール・データベース). 欧州オーディオビジュアル・オブザーバトリー. 2020年6月29日閲覧。
- ^ a b Elsa Keslassy (2018年5月9日). “Film Movement Acquires North American Rights to ‘Outrage Coda’ (EXCLUSIVE)”. バラエティ. Variety Media, LLC.(ペンスキー・メディア). 2020年6月28日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m “Outrage Coda (2017)”. IMDb(Release Info). Amazon.com. 2020年6月28日閲覧。
- ^ “Outrage Coda”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2020年6月29日閲覧。
- ^ アウトレイジ 最終章 || TOHOシネマズ上映スケジュール - TOHOシネマズ
- ^ 2017年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟
- ^ “北野武『アウトレイジ 最終章』がヴェネチア映画祭のクロージング作品に”. CINRA.NET (株式会社 CINRA). (2017年7月28日) 2017年7月28日閲覧。
- ^ 「アウトレイジ最終章」公式パンフレット P.29
- ^ https://web.archive.org/web/20171129032312/http://www.hochi.co.jp/entertainment/20171129-OHT1T50063.html
- ^ https://www.nikkansports.com/entertainment/award/ns-cinema/
- ^ 日本アカデミー賞公式サイト
- ^ 第39回ヨコハマ映画祭 2017年日本映画個人賞
- ^ a b c 「アウトレイジ最終章」公式パンフレット P.26
- ^ a b 「アウトレイジ最終章」公式パンフレット P.27
- ^ 「シネマトゥデイ」2017年9月25日付記事
https://www.cinematoday.jp/news/N0094671 - ^ AbemaTIMES 2017年9月25日付
https://times.abema.tv/articles/-/2999164 - ^ 「スポーツ報知」2017年10月7日付
https://web.archive.org/web/20171007150513/http://www.hochi.co.jp/entertainment/20171007-OHT1T50066.html - ^ 「アウトレイジ最終章」公式パンフレット P.18
- ^ 「スポーツ報知」2017年10月7日付、「アウトレイジ最終章」公式パンフレット P.18
- ^ 「スポーツ報知」2017年10月13日付
https://web.archive.org/web/20171015183438/http://www.hochi.co.jp/entertainment/20171013-OHT1T50065.html - ^ ビートたけし、テレ東の朝7時台に生放送特別番組 10・2から5日連続 oricon(2017年9月1日), 2017年10月9日閲覧。
- ^ 「おはよう、たけしで…」やりたい放題の1週間 Archived 2017年10月9日, at the Wayback Machine.oricon(2017年10月7日), 2017年10月9日閲覧。
- ^ たけしテレ東生放送ドタキャン 苦肉の松村邦洋“出演”に太田プロ苦笑い47NEWS 2017年10月3日
- ^ 実際は一作目の森永健司を入れると3名。
- ^ たけし 陛下即位30年祭典祝辞でボケ連発「不届き者を2人も出したアウトレイジ…」デイリースポーツ 2019年4月10日
関連項目
外部リンク
- オフィシャルサイト
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