黄金仮面
『黄金仮面』(おうごんかめん)は、日本の探偵作家・江戸川乱歩の著わした長編推理小説。初出は、昭和5年(1930年)から昭和6年(1931年)にかけて雑誌『キング』に連載された。現在までに3度テレビドラマ化されている。江戸川乱歩の代表作の一つ。
概要[編集]
マルセル・シュウォッブの小説『黄金仮面の王』にヒントを得て作られた。モーリス・ルブランのアルセーヌ・ルパンシリーズから一部のキャラクターを借用しており[1]、乱歩はその作品のような大衆受けする作品を目指したと述べている[2]。
ストーリー[編集]
ある年の春、黄金色の仮面を被った怪人物の噂が世間を賑わせていた。噂が新聞の社会面にまで取り上げられるようになった頃、上野での博覧会にその黄金仮面が現れ、展示品の大真珠を盗んで逃げるという事件が起きた。それから数日後、日光市の鷲尾侯爵邸に黄金仮面から予告状が舞い込んだ。鷲尾氏所蔵の古美術品を盗み出すというのだ。鷲尾侯爵から連絡を受けた東京警視庁の波越警部ら刑事たちが厳重警備する中、侯爵の娘美子が何者かによって入浴中に殺害されてしまう。と、そこへ名探偵明智小五郎が現れる。
映像化リスト[編集]
テレビドラマ[編集]
詳しくは、リンク先を参照。
- 『江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎』
- 第3話「黄金仮面」・第11話「復讐鬼・黄金仮面」・第19話「呪いの黄金仮面」(1970年)の3作品が放送。
- 明智小五郎:滝俊介
- レギュラー(主人公)。
- 波越亜沙子:橘ますみ
- レギュラー。
- 黄金仮面:団次郎
- 団は、日本テレビ系『少年探偵団 (BD7)』(1975年 - 1976年)で、怪人二十面相も演じている。
- 『江戸川乱歩の美女シリーズ』
- 第6話「江戸川乱歩の黄金仮面・妖精の美女」(1978年)と第11話「江戸川乱歩の黄金仮面II・桜の国の美女」(1980年)が放送。「黄金仮面II 桜の国の美女」は、「黄金仮面 妖精の美女」からの続きで黄金仮面との再戦を描いたドラマオリジナル作品。
舞台作品[編集]
LUEUR DORÈE MASQUE D'OR -黄金仮面-[3][編集]
2021/1/17[日]第3回 江戸まちたいとう芸楽祭参加作品
2021/1/19[火]>1/24[日]ウッディシアター中目黒
LUEUR DORÈE ARSÈNE LUPIN 4e la BLONDE -金髪婦人- & MASQUE D'OR -黄金仮面-として上演。
『黄金仮面』を題材とした作品[編集]
明智小五郎シリーズでも、異色の作品(コラボ作品)のため、本作品を踏まえた作品も多く存在する。
- 『名探偵が多すぎる』(西村京太郎)
- 小説作品。ルパンが、怪人二十面相と組んで明智小五郎と再対決している。エルキュール・ポワロ、エラリー・クイーン、ジュール・メグレも登場。
- 『少年は怪人を夢見る』(芦辺拓)
- ある少年が怪人二十面相になるまでの過程が描かれ、芦屋暁斎や左右田五郎などと出会い、名前も顔も失っていく中で部下になった人物として黄金仮面が登場している。
- 『アルセーヌ・ルパン対明智小五郎 黄金仮面の真実』(松岡圭祐)
- 小説作品。タイトル通り本作品に至る真相が描かれている。
- 『小林少年と不逞の怪人』(上条明峰)
- 漫画作品。ジャンと呼ばれるルパンの息子が登場。本作品に至る伏線がはられているが、設定などは、本来の明智小五郎シリーズなどからはかなりアレンジされている。
- 『ルパン三世 PART6』
- アニメ作品。第5話「帝都は泥棒の夢を見る(前編)」・第6話「帝都は泥棒の夢を見る(後編)」にて、本作品の時代を舞台にした話が展開される。本郷義昭・黒蜥蜴・波越警部も登場。
関連項目[編集]
注釈[編集]
- ^ アルセーヌ・ルパン、ジュスタン・ガニマール(ガニマール警部)。
- ^ 桃源社『江戸川乱歩全集』あとがきより(1962年)。
- ^ “イルカ団!「LUEUR DORÈE MASQUE D’OR -黄金仮面-」”. 第3回 江戸まち たいとう芸楽祭. 2021年5月8日閲覧。
外部リンク[編集]
- 『黄金仮面』:新字新仮名 - 青空文庫
- 『黄金仮面』 - コトバンク