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実相寺 (西尾市)

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実相寺

釈迦堂
所在地 愛知県西尾市上町下屋敷15
位置 北緯34度52分35.1秒 東経137度02分10.8秒 / 北緯34.876417度 東経137.036333度 / 34.876417; 137.036333座標: 北緯34度52分35.1秒 東経137度02分10.8秒 / 北緯34.876417度 東経137.036333度 / 34.876417; 137.036333
山号 瑞境山
宗派 臨済宗妙心寺派
本尊 如意輪観音坐像
創建年 文永8年(1271年)
開基 吉良満氏
法人番号 2180305006854 ウィキデータを編集
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実相寺(じっそうじ、實相寺)は、愛知県西尾市上町下屋敷15にある臨済宗妙心寺派寺院。方丈本尊は如意輪観音坐像。吉良氏の菩提寺である。

歴史[編集]

文永8年(1271年)、吉良満氏が吉良氏の菩提寺として東福寺から円爾(聖一国師)を迎えて創建した[1]。古くは実相安国禅寺と呼ばれていた[1]天文10年(1541年)、妙心寺派に改めた[1]永禄3年(1560年)、織田信長の兵火によって多くの堂宇が焼失するが、鳥居元忠が再建に尽力し[2]南北朝時代の文化財も数多く残っている[1]

2014年(平成26年)10月には愛知登文会によって、愛知県内の37件の登録有形文化財の特別公開(後のあいたて博)が初めて行われたが、この際には実相寺も公開の対象となった[3]

2022年(令和4年)8月21日、西尾市文化会館で西尾市文化協会が主催する歴史講演会「実相寺の梵鐘」が開催された[4]

境内[編集]

方丈
  • 方丈(本堂)
  • 釈迦堂
  • 庫裏
  • 勅使門
  • 鐘楼 - 八葉宝鐸型梵鐘を吊るす堂舎。
  • 古井戸

文化財[編集]

愛知県指定文化財[編集]

八葉宝鐸型梵鐘
  • 実相寺釈迦堂(建造物) - 室町時代後期。宝形造杮葺。天正年間(1573年~1592年)に遠江国浜名郡宇布見村(現・浜松市中央区雄踏地区)から移築された[5]。1976年(昭和51年)3月に解体修理された[6]。内部には釈迦三尊像や四天王像を祀る。
  • 木造釈迦三尊像 付像内納入文書24通(彫刻) - 貞治元年(1362年)。吉良満貞の発願によって造立された[1]
  • 青銅製八葉宝鐸型梵鐘(工芸) - 南北朝時代。高さ143.0cm、口径88.0cm、唇厚9.0cm[7]。日中混交様式の梵鐘であり、寺伝では貞和2年(1346年)に寄進されたと伝わる[7]。日本では作例の少ない形状であり、愛知県では類を見ない珍品とされる[7]
  • 銅水瓶(工芸) - 鎌倉時代末期。高さ27.0cm、口径8.4cm、胴径14.6cm。西尾市岩瀬文庫に寄託。

西尾市指定文化財[編集]

三河クロマツ群落
  • 実相寺方丈(建造物) - 江戸時代初期の慶長8年(1603年)に再建。江戸時代初期の雰囲気を残す臨済宗の大型方丈とされる。方丈と庫裡は2003年(平成15年)7月1日に国の登録有形文化財に登録されたが[8][9]、当該登録は2020年(令和2年)に抹消された[10]。1874年(明治7年)には入母屋屋根だった建屋の両翼が削られ、切妻屋根、桟瓦葺に変更されていたが、2021年(令和3年)10月には復元修理が完成して入母屋屋根、銅板葺に戻された。
  • 実相寺庫裡(建造物) - 江戸時代中期の元禄年間(1688年~1704年)に再建。入母屋造、平屋建、桟瓦葺。桁行6間、梁間7間。玄関を介して方丈の東側に接続している。原型を残す臨済宗の大型庫裏とされる。
  • 千手観音(絵画) - 南北朝時代[11]。絹本金泥彩色[12]。縦55.0cm、横32.5cm[12]
  • 聖一国師画像(絵画) - 室町時代[11]。紙本彩色[12]。縦66.3cm、横28.7cm[12]円爾(聖一国師)自身による肖像画であり、建長5年(1253年)以前の製作とされる[12]
  • 四天王像(彫刻) - 南北朝時代から江戸時代[11]。木彫彩色[5]。像高180.0cmの持国天王像、像高180.0cmの多聞天王像、像高178.0cmの広目天王像、像高185.0cmの増長天王像[5]。1959年(昭和34年)9月の伊勢湾台風では実相寺の堂宇も被害を受け、四天王像の一部も破損した[5]
  • 如意輪観音坐像(彫刻) - 鎌倉時代後期から南北朝時代。像高54.5cm。方丈の本尊である。慶派仏師である性慶またはその一門の作と推定されている。
  • 唐櫃(工芸) - 室町時代の応永25年(1418年)[11]
  • 九条道教御教書(歴史資料) - 鎌倉時代の元徳元年(1329年)[11]
  • 実相寺の三河クロマツ群落(天然記念物[11]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 現地案内板より
  2. ^ 不退院へようこそ
  3. ^ 「国文化財建造物公開へ 名古屋、尾張、三河の37件」『中日新聞』2014年10月23日
  4. ^ 「名刹・実相寺の歴史や梵鐘伝承に迫る 8月、西尾で講演会」『中日新聞』2022年7月6日
  5. ^ a b c d 『西尾市の文化財』西尾市教育委員会、1968年、p.14
  6. ^ 西尾市史編纂委員会『西尾市史 5 現代』西尾市、1980年、pp.987-988
  7. ^ a b c 『西尾市の文化財』西尾市教育委員会、1968年、p.16
  8. ^ 実相寺方丈 文化遺産オンライン
  9. ^ 実相寺庫裏 文化遺産オンライン
  10. ^ 平成15年7月17日文部科学省告示第129号、令和2年4月3日文部科学省告示第50号
  11. ^ a b c d e f 市指定の文化財一覧 西尾市
  12. ^ a b c d e 『西尾市の文化財』西尾市教育委員会、1968年、p.10

関連項目[編集]

外部リンク[編集]