ごんざ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ごんざとは、日本郷土料理

奈良県[編集]

ごんざ奈良県郷土料理で、大根にんじん里芋などの根菜類と、厚揚げこんにゃく昆布などを醤油味の出汁で煮込んだ行事食である[1]

大和国中(くんなか)の農村では、秋祭りの宵宮に季節の収穫物を炊いた醤油味の煮物を大量に作り、お神酒と共に氏神に供えて氏子中で食べる習慣がある。また、浄土宗の寺院で10月 - 11月に行われる十夜法要の際にも、小豆粥と共に食べられていた[2][3]

名前の由来[編集]

「ごんざ」という名前の由来には次の2説がある[2]

  • 「ごった煮」の「ごった」がなまって「ごんざ」と呼ばれるというもの。
  • 秋祭りに氏神に供えて共にいただく意味からこの料理を「権座(ごんざ)」と呼ぶというもの。

類する料理[編集]

  • 奈良市内で春日若宮おん祭の際に食べられる行事食「のっぺ(奈良のっぺ)」もほぼ同様の料理であるが、奈良のっぺは昆布と椎茸出汁の精進料理となっている。
  • 里芋・大根・ごぼう・こんにゃく・クジラコロを煮干しの出汁で煮る「ごちゃ炊き」という料理があり、ごんざから派生した料理とも言われる[2]

ごんざが登場する作品[編集]

映画『GONZA』(千村利光監督、2023年):「ごんざ」が映画タイトルの由来であると共に、作品テーマと関わる重要な食べ物として扱われている[4]

福井県[編集]

ごんざは、福井県の郷土料理で、打豆ダイコンの煮物である[5]ごんじなますごんべとも呼ばれる[5]鯖江市越前市ではこじわりと呼ばれる[6]ばばころしと呼ぶ地域もある[6]

報恩講の際に食される精進料理としても出されるため、馴染み深い料理である[6]

名前の由来[編集]

  • 「ごんざぶろう」という名前の人物が作ったことから「ごんざ」[5]
  • 太く切った千切りが、すりこぎを思わせることから、すりこぎを意味する「ごんべ」と呼ばれるようになった[5][6]
  • 美味しいので食べ過ぎて死んでしまうことから「ばば殺し」[6]

「こじわり」の由来は不明[6]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ 奈良市「学校給食 令和2年11月の給食紹介」2023年6月27日閲覧。
  2. ^ a b c 全国学校栄養士協議会「郷⼟⾷・伝えたい⾏事⾷ 奈良県 権座」2023年6月27日閲覧。
  3. ^ 奈良県庁「ごんざ(権座)」2023年6月27日閲覧。
  4. ^ 今井邦彦 (2023年6月3日). “奈良舞台の映画「GONZA」公開へイベント”. 朝日新聞DIGITAL. 2023年9月15日閲覧。
  5. ^ a b c d ごんざ/ごんじなます 福井県”. うちの郷土料理. 農林水産省. 2024年3月12日閲覧。
  6. ^ a b c d e f 日本調理科学会「〈福井県〉 こじわり」『いも・豆・海藻のおかず』農山漁村文化協会〈伝え継ぐ日本の家庭料理〉、2021年、49頁。ISBN 978-4540191916 

参考文献[編集]

  • 冨岡典子『大和の食文化』奈良新聞社、2005年9月。ISBN 4-88856-054-4 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]