0分00秒
0分00秒(れいふんれいびょう、0'00")は、ジョン・ケージが[1]1962年に発表した作品で[2]、初演は東京の草月ホールでケージ自身により行われた。
内容
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0分00秒 - チューバ演奏(YouTube)。 |
標題の下には「独奏として誰が何をしてもよい」という旨の記載がある。しかしこの点については誤解が生じやすいので注意を要する。演奏者は「ある習熟した行為」を行うが、それは例えば字を書く、歯を磨く、タバコを吸う、というような0秒でできるような日常的な行為を指している[3]。またこの作品を次に演奏する際は、すでに行ったことのある行為を採用してはならない。音楽的あるいは演劇的身振りを避け、聴衆を電子的な状況に注目させるような小細工もしてはならない。
楽譜の末尾にはこの作品が4分33秒(第二番)でありAtlas Eclipticalisを第一部とする作品群の第三部にあたると記されている[3]。
演奏
[編集]ケージは初演の際に、自身の眼鏡や万年筆、また灰皿などにコンタクトピックアップを装着し、タバコを吸ったり水を飲んだりしながら、この0分00秒の楽譜を書いた。そのなにげない行為に伴う微かな音は、電気的に増幅され大音響となって会場を満たした。
1990年代のドイツのデッテンハウゼンの演奏では、題名に忠実に指揮者つきの室内オーケストラで何も演奏しないで本当に0分00秒で終わった例があり、その後聴衆の要求によってアンコールとしてその後「なんらか」の演奏を数分間行った記録がある。もしこれが事実だとすれば、その解釈は誠意を欠いた完全な誤りといえるが、題名の意味を強調するには効果的なやりかたである。
出版等
[編集]「0'00" No.2 [4'33" No.3]」(1968) は、楽譜出版社C.F.Petersのカタログに記載されていないことから未出版と誤解されるがSong Booksに含まれるかたちで出版されている。少なくとも2人以上のゲーム・プレーヤー(チェス、ドミノ、スクラブル、ブリッジ等)とコンタクトマイク、アンプ、スピーカーのための作品で、ゲーム中のカードや駒が立てる音を会場内に増幅させ響かせるというものである。
ケージとマルセル・デュシャンによるチェスの試合を中心とした約5時間に渡るインターメディア・イベントReunionと混同されることが多いようだが、別の作品である。
脚注
[編集]- ^ 岩宮眞一郎 2011, p. 192.
- ^ James Pritchett 1996, p. 139.
- ^ a b James Pritchett 1996, p. 147.
参考文献
[編集]- James Pritchett (1996). The Music of John Cage. ケンブリッジ大学出版局. p. 139. ISBN 9780521565448
- 岩宮眞一郎 (2011). 図解入門よくわかる最新音響の基本と応用. 秀和システム. p. 192. ISBN 9784798029214