カーズ (映画)

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カーズ』(Cars)は、ピクサーによる2006年7月に公開された長編アニメーション映画作品。第64回ゴールデングローブ賞最優秀アニメーション賞受賞。

概要

2001年より制作開始され、当初は『Route 66』というタイトルで制作されていたが、1960年代に同名のテレビドラマルート66』(Route 66)があったことから、作品名を『カーズ』に変える。

当初、2005年の冬に公開予定であったが日付がずれ込み2006年7月が公開予定日となった。日本では公開がスタジオジブリ製作の『ゲド戦記』と重なったこともあり、興行収入は前作『Mr.インクレディブル』の半分程度の22億円と厳しい結果となった。

配給はディズニーディズニー・ピクサー間の契約とその契約更新の破綻に伴い、ディズニー配給としては最後のピクサー制作作品になる予定であったが、ディズニーによるピクサーの買収により上記の事態は回避された。なお、この作品コンテンツの商用利用権に関しては、全てディズニー関連会社が有している。

本作品は、車を中心とした乗り物を擬人化したキャラクターによって物語が構成されており、人間は登場しない。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


あらすじ

ピストン・カップを争うシーズンの最終レース「ダイナコ400」で、初の新人チャンピオンを狙うライトニング・マックィーン。しかし自分を含む3台が同着となり、1週間後にカリフォルニアで決着をつけることになる。カリフォルニアへの移動中、トラブルによりマックィーンはルート66沿いの田舎町「ラジエーター・スプリングス」に迷い込む。一刻も早く町を出ようとあせっていたマックィーンだが、心優しい住人達と触れ合い本当に大切なものに気付いていく。

登場人物と声の出演

主人公

ライトニング・マックィーン - オーウェン・ウィルソン/土田大
この物語の主人公。「ピストンカップ」史上初の新人チャンピオンを狙うレーサー。技術はありファンも多いのだが、自信過剰で身勝手な行動が周囲から反感を買っているため友人や仲間がいない。しかし、ラジエーター・スプリングスの仲間との出会いをきっかけに、彼の中で何かが変わり始めた。また、赤い車体についているゼッケンは「95」。スポンサーはサビ取りバンパークリーム製造業のラスティーズ社。
モデルとなった実車に関し、監督であるジョン・ラセターロサンゼルス・タイムズの取材に対して、「NASCARレーシングカー空力のため平べったく全然面白みがなかった。そこでストックカーと、ローラフォード・GT40といった曲線美あふれるルマンレーシングカーハイブリッドして創作した。」と語っている。[1]

ラジエーター・スプリングスの住民たち

メーター - ラリー・ザ・ケーブル・ガイ/山口智充
天然で、陽気な性格。元々は水色だったが全身傷とさびだらけ、ライト、ボンネットフードといった一部のパーツも欠けてしまった中型レッカー。モデルはInternational Harvester L-170。得意技はバックで高速走行すること。トラクター転がしが趣味。夢はヘリコプターに乗ること。
サリー・カレラ - ボニー・ハント/戸田恵子
車体は2002年型ポルシェ911カレラ。バックにはタトゥーを入れている。小さな町の敏腕弁護士兼「コージー・コーン・モーテル(民宿)」のオーナー。都会での生活に疲れた彼女は、偶然辿りついたこの地の雄大な渓谷に恋をし、ラジエーター・スプリングスへと移住する。
ドック・ハドソン - ポール・ニューマン/浦山迅
車体は1951年型ハドソン・ホーネット。診療所の医者(修理工場の整備士)兼、町の裁判官。町一番の信用を得ている彼の正体は、ピストンカップで3連続の優勝を誇る伝説のレーサーであった。しかし彼は過去のある出来事がきっかけとなりレーシングカー(特に新人の)を毛嫌いしている。また、町の住人に自分の正体を明かしていない。
ルイジ - トニー・シャルーブ/パンツェッタ・ジローラモ
車体は1959年型フィアット 500。親友のフォークリフト・グイドと靴屋(タイヤ販売店)を営む。イタリア魂旺盛で、フェラーリボディを持った客が来てくれると信じている。英語とイタリア語の両方を話すことができる。
グイド - グロード・カローニ/デニーロ・デ・ジローラモ
靴屋(タイヤ販売店)の腕利きピットクルー(店員)。小柄のフォークリフトだが、手先が器用で迅速な作業が自慢である。彼も大のフェラーリ・ファン。「Pit Stop!!」以外は、イタリア語しか話せない。
シェリフ - マイケル・ウォリス/池田勝
車体は1949年型マーキュリー・ポリス・クルーザー。ラジエーター・スプリングスの秩序を守る老保安官。町の道路を壊したマックィーンが脱走しないか、常に眼を光らせている。
ラモーン - チーチ・マリン/樋浦勉
車体は1959年型シボレー・インパラ。カスタムペイントを施す「ラモーンズ・ボディペイント」の経営者。車高の調節及びホッピングが可能なハイドロリクス仕様。彼の塗装技術はピカ一で、"メタルペイントのカリスマ"的存在である。ラジエーター・スプリングス全盛の頃は、店に来た客を満足させていたが、客が来なくなってからは自分自身の車体のペイントが日課になってしまっている。
フロー - ジェニファー・ルイス/片岡富枝
ラジエーター・スプリングスの住民の憩いの場である喫茶店(ガソリンスタンド)「フローズV8カフェ」のママ。ラモーンの妻でもある。この町では一番面倒見がよく、信頼度も高い。車体は1950年代のショー・カーで、かつては全米キャラバンのイベントガールとして活躍していた。
フィルモア - ジョージ・カーリン/八奈見乗児
車体は1960年型フォルクスワーゲン・バスヒッピー。オーガニック燃料を作り、販売している。ロック好きで、朝聞く音楽(ジミヘン)のことで元軍曹・サージとの言い合いは日常的に。
サージ - ポール・ドゥーリィ/麦人
車体は1942年型ウィリスMB。退役軍人で、払い下げ軍用品販売店を経営。毎朝、起床ラッパと星条旗の掲揚を欠かさない。それと同時にフィルモアが流すBGMに憤りを感じており、そのことで大抵彼と言い合いになる。
リジー - キャサリン・ヘルモンド/森ひろ子
車体は1923年型のT型フォード。この町で生まれ育ち、土産物の店を経営。今は亡きスタンレーと付き合っていたらしい。老人だがかなり気が若い。
レッド - ジョー・ランフト/ルイス・ダニエル・ウォレス
大柄な消防車だが繊細でほとんど話さない。なにかあるとすぐ消防署に隠れてしまう。お花が大好きで、マックイーンが暴走したときお花を潰されたことに怒っていた。
ハイファー
ラジエーター・スプリングスで大量に飼われるトラクター。人間の世界でいう牛にあたる。大きな音がすると、ひっくり返る。
フランク
トラクターの見張り役である大きくて、怖いコンバイン。
ベッシー
道路舗装用ミキサー車だが全く話さない。マックィーンと一緒に働くことになる。
スタンレー
ラジエーター・スプリングスの名士。既に故人でタウンスクエアの銅像になっている。

ピクサー制作作品ではおなじみのジョン・ラッツェンバーガーがマック役で出ている他にも、ピクサーのストーリー部門を統括していて2005年に亡くなった脚本家ジョー・ランフトなどが出演している。

ピストンカップに登場するキャスト

ストリップ・ウェザース - リチャード・ペティ/岩崎ひろし
1970年型プリマス・スーパーバード。通称キング。「ピストン・カップ」で最多優勝を誇る伝説的なレーサー。チームワークを第一に考え、技術はあるが自分勝手でチームワークを考えないマックイーンを心配している。今シーズンでの引退を表明している。車体についているゼッケンは「43」、スポンサーは大石油会社ダイナコ。既婚者。ハドソンを尊敬している。なお、声優を務めるリチャード・ペティは60~70年代にプリマスやダッジを駆ってNASCARに君臨した名ドライバーで、その時のゼッケンは「43」。ついた綽名も「King」だった。
クイーン
キングの妻。レースに出場する夫を気遣っている。
テックス
大石油会社ダイナコ社長。キングを信頼している。フロントグリルに牛の角が付いている。
チック・ヒックス - マイケル・キートン/内田直哉
キングに勝てぬ、万年2位のベテラン。野心を内に秘め、レースでは車体をぶつける等、姑息な手を使う。車体についているゼッケンは「86」、スポンサーは銀行。ヒゲ型のフロントグリルが特徴で、彼をサポートするピットクルーもチックに倣い「ヒゲ」を付けている。モデルは公表されていないが、ヒゲで万年2位のレーサーといえばデイトナ500の優勝にいつもあと一歩届かなかった故デール・アーンハートを彷彿とさせる。
マック - ジョン・ラッツェンバーガー/立木文彦
マックィーンの移動トレーラーを牽引するトラック。マックィーンが本音を打ち明ける数少ない相手である。車体は1985年式マック・スーパーライナー。トレーラーと合体した巨体で、しつこく付きまとう報道陣を追い払う。マックィーンと同じ塗装で、ゼッケン「95」を付けている。
マックィーンのピットクルー
タイヤ交換や燃料補給を担当するフォークリフト達。マックィーンの傲慢な態度に腹を立て、冒頭のレースの後、そろって辞めていく。
ラスティーズ社の社長
錆取りバンパークリームを製造するラスティーズ社を経営する兄弟。マックィーンのスポンサーで、マックィーンのおかげで会社の業績はいいらしい。
フレッド
ラスティーズ社製品の愛用者でマックィーンのファン。全身錆だらけ。
ハーブ - ジェレミー・ピーヴン/檀臣幸
マックィーンのレースのためにいろいろ手配をして、その見返りとして10パーセントをマックィーンの報酬から受け取っているエージェント。業界人ぽい口調でマックィーンをしきりに“ヨイショ”するが、彼の意見はほとんど聞かず、話す内容は一方的。電話で会話するのみで表には出てこない。
ボブ・カトラス - ボブ・コスタス/赤坂泰彦
「ピストンカップ」を全米に生中継する実況アナウンサー、英語版で実況しているボブ・コスタスをもじっている。コスタスは実際にも有名なスポーツコメンテイターである。
ダレル・カートリップ - ダレル・ウォルトリップ/福澤朗
「ピストンカップ」の解説者、モデルは英語版で声優を務めるダレル・ウォルトリップで、NASCARシリーズを3回制覇し、現在はTV中継のNASCAR on FOXで解説の座についている名レーサーである。
ミア - リンジー・コリンズ/吉田仁美
ティア - エリサ・ナイト/吉田仁美
マックィーンの熱狂的ファンである双子の小型スポーツカー。車体は1990年式マツダ MX-5ミアータ。立入禁止エリアぎりぎりまでマックィーンを追っかける。かなりのミーハーで一時期チックのファンに乗り換えた。
モーターホーム型のファン
レースの観客。マックィーンを応援するものが大半。

その他のキャラクター

暴走族(ブースト、ウィンゴ、DJ、スノットロッド)/高木渉
高速道路を走る暴走族。居眠り運転をしたマックをからかう。エンディングではシェリフに捕まり、ベッシーを引っ張って道路舗装をさせられている。マックィーン同様液体のアスファルトをぶっかけられる。
ピーター・ベルト
ゴミ収集車。マックィーンにマックと勘違いされる。
ミニバン夫婦
ラジエーター・スプリングスに迷い込んだ夫婦。住民のおもてなしを断り、素通りする。カーナビを持ってはいるが夫はかなりの方向音痴である。
ミハエル・シューマッハ
ラスト近くで「ライトニングに良い店があると聞いた」として、ルイジの店へ突然やってきたフェラーリ。声の主は同名の有名F1レーサー。来訪した彼に、イタリア語で話しかけられたルイジ達は感激のあまり気絶した。

スタッフ

トリビア

  • 「ライトニング・マックィーン」の名前は2002年に亡くなったアニメーターのグレン・マックィーンの名前を使っている。スタッフみんながグレンの死の直前、彼に「『カーズ』の主役にあなたの名前を使うから」と約束を交わしたという。なお、マックイーンの名で一般的に思い浮かべられるスティーブ・マックイーン主演の映画『大脱走』(1963年)のパロディシーンもある。
  • 英語版では新旧の名レーサーが吹き替えを担当しており、ミハエル・シューマッハフェラーリ・F430役で出演している。その他にもマリオ・アンドレッティデイル・アーンハートJr.も出演している。なおドイツ語版では、シューマッハに加えニキ・ラウダミカ・ハッキネンが出演している。
  • エンディングでは、NG集はないが、その後のラジエーター・スプリングスで、メーターが曲に合わせて踊るものや、錆だらけのフレッドが脇に貼り付けたステッカーが曲内のルート66の地名とリンクしていたり、過去のディズニーピクサーの映画のパロディ版が流れているのが見られる。映画が変わるごとに、ハイファーが増えていき、最後にフランクも出てくる。
  • 過去のピクサー映画のパロディの中には「トイ・ストーリー」「バグズ・ライフ」「モンスターズ・インク」が登場。本作のマックがそれぞれの作品に登場するハム、P・T・フリー、イエティを、「あのキャラクターの声優、良いね」と絶賛するシーンが出てくる。これはハム、P・T・フリー、イエティ、マック全てを同じジョン・ラッツェンバーガーが演じているというギャグである。
    • 日本語版でもこれに合わせ、マック役の立木文彦がパロディで4役を担当しているが、オリジナルの映画ではハム、P・T・フリーは違う声優が担当している。
  • マックがハイウェイを移動していく最中、電線に短編『フォー・ザ・バーズ』の小鳥達が止まっているのが一瞬見える。
  • ピストンカップの優勝決定戦、休業中の看板を出している場所の中に「EMERYVILLE」があったが、ここはピクサースタジオの現住所。
  • 劇場公開前の予告編で走るマックィーンの車体のゼッケンは「57」だが、これはジョン・ラセター監督の誕生年。
  • DVDのメイン・メニューに時々出てくる「ダイナコ400」のロゴをクリックすると、車バージョンの短編『バウンディン』が見られる。
  • 映画の興行収益はそこそこだったが、MATTEL社から発売されていたミニカーが全世界で爆発的に売れている。
  • カリフォルニアで最終レースが行われるシーンで、観衆の中に『トイ・ストーリー』に登場するピザ・プラネットの車がいる。
  • 本作のプロットが、1991年の映画『ドク・ハリウッド』と似ていることが指摘されている。
  • 2012年には続編公開が予定されている。
  • 2008年ディズニーチャンネルの特別放送であるプラチナウィークでカーズがディズニーチャンネル初放送された。また、2008年のプラチナウィークで放送中のいろんな番組の下にライトニングマックイーンが現れてレースをしてライトニングマックイーンはそのレースで何位だったかを視聴者がプラチナウィークの公式ホームページで送るプレゼントクイズがあった。そのプレゼントクイズの景品にジグソーパズルなどの4種類の景品があった。
  • 各キャラクター達の瞳の色は、英語版の声優達の瞳の色と同じ色になっている。
  • 途中で登場する大陸横断鉄道の車体にはピクサートリビアではおなじみのA113が描かれている。
  • マックイーンがいなくなった事を報じる番組の中ではNBCの人気トーク番組『ザ・トゥナイト・ショー・ウィズ・ジェイ・レノ』のJay Lenoが登場する。無類のカーマニアとして全米では知らない人がいないほど有名なキャスターである。ちなみに、英語版でも日本で報じられている場面が存在する(しかも、日本語で表記かつ音声も日本語である)。
  • レースのシーンで白地にアップルのマークが描かれたゼッケン84のレースカーが走行している。

短編アニメ

アメリカでは2008年にメーターが主人公のスピンオフの短編が作られた。なお、マックィーンの声はオーウェン・ウィルソンではなく、別の人物による。
タイトルは「Cars Toons : Meter's Tall Tales」で計4作。メーターとマックイーンの会話から成り立っていて、メーターの妄想がその内容となっている。
 第1話:"Rescue Squad Mater" メーターが消防車となって、火災現場からマックイーンを救出するという話
 第2話:"Mater The Greater" メーターがスタジアムでカースタントショーを行なう
 第3話:"El Materdor" メーターがスペインで闘牛士となる話
 第4話:"Tokyo Mater" メーターが東京に行って、東京タワーをゴールとするドリフトレースを行なう
どの話でも途中からマックイーンが無理やり登場させられる。
アメリカでは2008年のクリスマスに全4話が放映され、その後もディズニーチャンネルやABCで何度か放映されている。

ゲーム

日本国内ではWiiプレイステーション2PSPニンテンドーDSゲームキューブゲームボーイアドバンス、パソコンゲーム版が発売されている(パソコンゲーム版はインターチャネル・ホロン、それ以外はTHQジャパンより)。

また、日本国内での販売ではないが、XBOX360でもTHQより販売されている。

実際のレース参戦

2008年度より国内最高峰レースであるSUPER GTのGT300クラスに、自動車チューニングパーツメーカーaprが母体となっている「カーズ・レーシング」より、「ライトニング マックィーン apr MR-S」の名前で参戦。ドライバーは平手晃平国本京佑。ベース車両は、前年同チーム(前年はトイストーリー・レーシング)がGT300クラス年間総合優勝を飾ったトヨタMR-Sである。レースに勝つ為にGTウイングの装備などオリジナルに似せられない部分も多いが、ライトの形状を似たものに変更し、劇中で重要アイテムである「稲妻ステッカー」と赤をベースにしたカーラーリングとし、カーナンバーも「95」を取得するなど似せられるところは徹底している。劇中のメインスポンサー「Rust-Eze」のロゴはカーズのエンブレムマークに変更されているが、これはピクサーよりこのマシンのために特別にデザインされたマークである。第3戦の富士スピードウェイで優勝するなどしてチームの年間ランク8位を獲得した。2009年はピクサーがスポンサーを降りたため、カーズレーシングとして参戦していない。 SUPER-GTの唯一の海外レースであるマレーシアでのレースはディズニーの商圏の関係でカーズのロゴを外す措置をとっている。これは前身のトイストーリーの時にも行われていた。

出典・脚注

  1. ^ "A grease geek will guide you: 'Cars' decoded" by Dan Neil, Los Angeles Times, June 4, 2006 "A hybrid between a stock car and a more curvaceous Le Mans endurance racer with some Lola and some Ford GT40"

関連項目

外部リンク

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