太宰治賞
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太宰治賞(だざいおさむしょう)は、三鷹市と筑摩書房が共同で主催する公募新人文学賞である[1]。 第1回から第14回までは筑摩書房のみで行っていたが業績悪化に伴い休止、太宰治没50年の1999年より現在の形となり、年1回発表されている。受賞は選考委員の合議によって決定され、受賞者には正賞として記念品、副賞として100万円(2008年実績)が授与される。 選考委員は津村記久子・荒川洋治・奥泉光・中島京子の4名。締め切りは12月10日。
第9回までの受賞作は筑摩書房の総合雑誌『展望』に掲載されていたが、現在は毎年刊行される同社のムック本に掲載される。また、最終候補作も選考と共に全文掲載される。
純文学系の公募している新人賞には他に、文學界新人賞、群像新人文学賞、新潮新人賞、すばる文学賞、文藝賞などがある。
受賞作一覧
[編集]年は受賞作の発表の年。特記がなければ、初刊は筑摩書房、文庫はちくま文庫刊。
第1回から第14回まで(筑摩書房主催)
[編集]回(年) | 応募総数 | 賞 | 受賞・候補作 | 著者 | 初刊 | 文庫化 |
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第1回(1965年) | 638編 | 受賞作なし | ||||
候補 | 「寒い夏 一九六二年の想い出に」 | 熊田真記 | ||||
候補 | 「神話」 | 野淵敏 | ||||
第2回(1966年) | 496編 | 受賞 | 「星への旅」 | 吉村昭 | 1966年8月 | 1974年2月[注 1] |
候補 | 「フランドルの冬」 | 加賀乙彦 | 1967年8月 | 1972年1月[注 2] | ||
第3回(1967年) | 371編 | 受賞 | 「青幻記」 | 一色次郎 | 1967年8月 | 1974年3月[注 3] |
候補 | 「愛の生活」 | 金井美恵子 | 1968年8月 | 1973年11月[注 4] | ||
第4回(1968年) | 422編 | 受賞 | 「月の道化者」 | 三浦浩樹 | ||
第5回(1969年) | 374編 | 受賞 | 「清経入水」 | 秦恒平 | 1970年5月 | 1976年12月[注 5] |
第6回(1970年) | 348編 | 受賞 | 「背後の時間」 | 海堂昌之 | 1971年6月 | |
第7回(1971年) | 348編 | 受賞 | 「流刑地にて」 | 三神真彦 | 1972年4月 | |
第8回(1972年) | 305編 | 受賞作なし | ||||
第9回(1973年) | 170編 | 受賞 | 「櫂」 | 宮尾登美子 | 1973年12月・1974年3月 | 1978年4月・5月[注 6] |
第10回(1974年) | 237編 | 受賞 | 「谷間の生霊たち」 | 朝海さち子 | 1975年10月 | |
佳作 | 「ついの栖」 | 今村実 | 1982年8月[注 7] | |||
第11回(1975年) | 285編 | 受賞 | 「花捨て」 | 不二今日子 | 1977年6月 | |
第12回(1976年) | 293編 | 受賞 | 「越後瞽女唄冬の旅」 | 村山富士子 | 1977年6月 | |
優秀作 | 「私的調書」 | 田中水四門 | ||||
第13回(1977年) | 272編 | 受賞 | 「泥の河」 | 宮本輝 | 1978年2月 | 1980年2月[注 8] |
優秀作 | 「夜よ 天使を受胎せよ」 | 山口泉 | ||||
第14回(1978年) | 401編 | 受賞 | 「電車ごっこ停戦」 | 福本武久 | 1978年12月 | |
優秀作 | 「あしたのジョーは死んだのか」 | 朝稲日出夫 | 1978年12月 | 1988年1月 |
第15回から(筑摩書房・三鷹市共同主催)
[編集]回(年) | 応募総数 | 賞 | 受賞・候補作 | 著者 | 初刊 | 文庫化 |
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第15回(1999年) | 1623編 | 受賞 | 「最後の歌を越えて」[注 9] | 冴桐由 | 2000年5月 | |
第16回(2000年) | 545編 | 受賞 | 「多輝子ちゃん 一個の流れ星の夜のために」 | 辻内智貴 | 2001年5月 | 2004年1月 |
第17回(2001年) | 934編 | 受賞 | 「一滴の嵐」 | 小島小陸 | 2002年5月 | |
第18回(2002年) | 809編 | 受賞 | 「緊縛」 | 小川内初枝 | 2002年10月 | 2007年6月 |
第19回(2003年) | 863編 | 受賞 | 「たゆたふ蝋燭」[注 10] | 小林ゆり | 2004年2月 | |
第20回(2004年) | 962編 | 受賞 | 「指の音楽」 | 志賀泉 | 2004年10月 | |
第21回(2005年) | 927編 | 受賞 | 「マンイーター」[注 11] | 津村記久子[注 12] | 2005年11月 | 2009年5月 |
「刺繍」 | 川本晶子 | 2005年11月 | ||||
第22回(2006年) | 1030編 | 受賞 | 「峠の春は」[注 13] | 栗林佐知 | 2007年1月 | |
第23回(2007年) | 774編 | 受賞 | 「mit Tuba(ミット・チューバ)」[注 14] | 瀬川深 | 2008年3月 | |
第24回(2008年) | 1090編 | 受賞 | 「ロミオとインディアナ」 | 永瀬直矢 | 2009年3月 | |
第25回(2009年) | 1249編 | 受賞 | 「だむかん」 | 柄澤昌幸 | 2009年12月 | |
第26回(2010年) | 1412編 | 受賞 | 「あたらしい娘」[注 15] | 今村夏子 | 2011年1月 | 2014年6月 |
第27回(2011年) | 1271編 | 受賞 | 「会えなかった人」 | 由井鮎彦 | 2011年12月 | |
第28回(2012年) | 1212編 | 受賞 | 「うつぶし」 | 隼見果奈 | 2012年12月 | |
第29回(2013年) | 1378編 | 受賞 | 「さようなら、オレンジ」 | 岩城けい[注 16] | 2013年8月 | 2015年9月 |
第30回(2014年) | 1149編 | 受賞 | 「コンとアンジ」 | 井鯉こま | 2014年11月 | |
第31回(2015年) | 1251編 | 受賞 | 「変わらざる喜び」[注 17] | 伊藤朱里 | 2015年11月 | 2022年9月 |
第32回(2016年) | 1473編 | 受賞 | 「楽園」[2] | 夜釣十六 | 2017年4月 | |
第33回(2017年) | 1326編 | 受賞 | 「タンゴ・イン・ザ・ダーク」[3] | サクラ・ヒロ | 2017年11月 | |
第34回(2018年) | 1312編 | 受賞 | 「リトルガールズ」 | 錦見映理子 | 2018年11月 | |
第35回(2019年) | 1201編 | 受賞 | 「色彩」 | 阿佐元明 | 2019年9月 | |
第36回(2020年) | 1440編 | 受賞 | 「空芯手帳」 | 八木詠美 | 2020年11月 | 2023年3月 |
第37回(2021年) | 1548編 | 受賞 | 「birth」 | 山家望 | 2021年11月 | |
第38回(2022年) | 1478編 | 受賞 | 「棕櫚を燃やす」 | 野々井透 | 2023年3月 | |
第39回(2023年) | 1246編 | 受賞 | 「自分以外全員他人」[4] | 西村亨 | 2023年11月 | |
第40回(2024年) | 1405編 | 受賞 | 「メメントラブドール」 | 市街地ギャオ |
選考委員
[編集]- 第1回 - 石川淳、井伏鱒二、臼井吉見、唐木順三、河上徹太郎
- 第7回 - 臼井、唐木、河上、寺田透、中村光夫、吉行淳之介
- 第10回 - 井上光晴、臼井、柴田翔、中村、埴谷雄高、吉行
- 第13回 - 井上光晴、臼井、柴田、埴谷、吉行
- 第14回 - 井上光晴、臼井、柴田、埴谷、吉行、野間宏
- 第15回から第19回 - 加藤典洋、柴田翔、高井有一、吉村昭
- 第20回から第24回 - 小川洋子、加藤典洋、柴田翔、高井有一
- 第25回から第30回 - 荒川洋治、小川洋子、加藤典洋、三浦しをん
- 第31回 - 荒川洋治、小川洋子、加藤典洋
- 第32回から第34回 - 荒川洋治、奥泉光、加藤典洋、中島京子
- 第35回以降 - 荒川洋治、奥泉光、津村記久子、中島京子
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 第28回太宰治賞に隼見果奈さんの「うつぶし」 : J-CASTトレンド
- ^ 太宰治賞:夜釣十六さんの小説「楽園」に - 毎日新聞
- ^ “第33回「太宰治賞」決まる”. 新文化通信社 (2017年5月9日). 2017年11月6日閲覧。
- ^ “太宰治賞に西村亨さん”. 時事通信 (2023年5月11日). 2023年5月11日閲覧。