ご存じ金さん捕物帳

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ご存知金さん捕物帳
ジャンル 時代劇
原作 陣出達朗
脚本 今村文人
中西隆三
高橋稔
森田新
雪室俊一
荒木芳久
安藤豊弘
迫間健
押川國秋
松浦健郎
池上金男
森田新
監督 松尾正武
林伸憲
荒井岱志
井沢雅彦
齋藤武市
鳥居元宏
河野寿一
出演者 橋幸夫
山田太郎
柳沢真一
紅景子
佐野厚子
中川三穂子
南道郎
大友柳太朗
山村聰
音楽 小川寛興
オープニング 橋幸夫「噂の金四郎」
製作
プロデューサー 片岡政義
斉藤侑
宮川幸弘(宮川輝水)
制作 NET
東映
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1974年9月29日 - 1975年3月30日
放送時間日曜20:00 - 20:55
放送枠テレビ朝日日曜夜8時枠時代劇
放送分55分
回数27

特記事項:
遠山の金さんシリーズ第3作目
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ご存じ金さん捕物帳(ごぞんじきんさんとりものちょう)はNET1974年9月29日から1975年3月30日にかけて日曜20時枠で放送された橋幸夫主演による連続テレビ時代劇。全27話。

概要[編集]

原作は陣出達朗。前週まで放映された『ご存知遠山の金さん』の後番組。市川段四郎の後を受け、橋幸夫が江戸北町奉行・遠山金四郎に扮した。テレビ朝日東映京都制作による『遠山の金さん』シリーズの第3作目にあたり、シリーズ中で「遠山の」がタイトルに冠されていない数少ない作品(本作の他は、松方弘樹主演の『金さんVS女ねずみ』のみ)である。
ご存知遠山の金さん』が前作の作風を概ね引き継いでいたのに対し、本作では作風を一新。主題歌をこれまでの親分&子分ズではなく、主演の橋幸夫が歌うほか、CM入りの際に金さんの武器である花札を映したアイキャッチがつくようになった。また第一話では戦闘シーンにスローモーションを挿入するなどの実験的な演出も試みられている。なお、本作では戦闘時に悪人に対して桜吹雪を見せる際は終始、両肌でなく片肌のみ脱ぐようになった。レギュラー構成も見直され、上司に当たる人物が久々に登場(前作には不在)したり、恒常的に登場する奉行所の部下が不在(前作や前々作にはいた)だったり、密偵役を引き受ける人物が金さんの正体を知らないなどの変更があった。
中盤以降は主演の橋幸夫の歌手としての面を活かすためか、主題歌や挿入歌を劇中で歌う場面が毎回のように挿入され、藤圭子三田明内田あかり等、当時活躍中の歌手がゲストに起用された。
本作を以て、『遠山の金さん捕物帳』(1970年7月12日放送開始)から続いた一連のシリーズは一旦終了。同年10月2日開始の『遠山の金さん』(杉良太郎主演)以降は、放送枠を木曜20時枠に移動して放送される事となった(関西地区のネット局は毎日放送から朝日放送に変更[1])。

キャスト[編集]

江戸北町奉行。「遊び人の金さん」として市中を徘徊しながら、事件の捜査・解決を目指す。屋敷住まいだが、滅多にいないことが多いばかりか、第1話で夜中にこっそりとなめくじ長屋に引っ越してきて居着いてしまう。立ち回りの際には、相手の浪人等から刀を奪い、峰打ちで応戦する他、花札(アイキャッチにも登場する)を相手目掛けて投げつけると言う小技も披露する。第1話での石山の台詞から、年齢は26~7歳。自称するように普段は無職の体を装っており、たまに風山の仕事を手伝ったりすることもある。最終回に於けるお白州でのお裁きを最後に惜しまれつつ北町奉行の職を辞するも、遠山自身は相変わらず遊び人の金さんとして、居酒屋の「ふうしゃ」で風山らと語らっていた。なお、演じる橋幸夫は最終回(第27話)で、金さんの他に彼に瓜二つの渡世人・野分けの伊平の二役を演じていた。
昼は大工をやっている盗人で、自称「二代目鼠小僧」。なめくじ長屋に住んでいる。第1話で金さんと知り合って、祭り太鼓の櫓の上で喧嘩の末に仲良くなる。金さんの正体は知らないどころか、同業者(盗人)だと思っている。何かというと金さんと張り合おうとする。最終回に於いて北町奉行所の手の者に捕らえられ、お白州の席で金さんの正体を知る事になるが、その金さん=遠山から関八州所払いの沙汰を受ける形で、大工修業の為に上方へ旅立った[2]。なお、山田太郎は前作「ご存知遠山の金さん」第35話に、全く同じ役名で登場しており、金さん(市川段四郎)との出会いで同じように金さんと大喧嘩をしているが、盗人でなかったり、妻帯者であったり、金さん同様に桜吹雪の彫り物を入れているなど設定等は異なっていた。
なめくじ長屋に住む「風車の先生」と呼ばれる発明家・学者であり、普段は風車作りをするが、日常の暮らしを立てるべく木の細工ものを拵えている。学者であるだけに博識であり、金さんを知識の面から助けることがある。朝、起きぬけに体操のようなことをするのが日課の模様で、暴れるように行うため太吉が迷惑がる描写もある。第15話からは居酒屋「ふうしゃ」を開店し、髭を落とし白髪を染めて太吉たちを驚かせた。なお、髪型は総髪のザンバラである。演じる柳沢真一は、前々作『遠山の金さん捕物帳』で南町配下の岡っ引き・要町の文三を演じていた。
風山の娘。第15話からは父の店を手伝うようになる。
惚れた金さんにまとわりつく娘スリ。金さんを巡っておみちとやり合うことも多い。
なめくじ長屋に住まう娘。気が多い。レギュラー陣の溜り場が、居酒屋「ふうしゃ」となった第15話以降は登場しない。
岡っ引き。第2話で下っ引きを連れていたが、その名は不明。もちろん金さんの正体は知らない。金さんや太吉に目をつけている模様。
  • 石山直之進:大友柳太朗(第1話 - 第2話、第9話、第11話、第14話、第20話、第22話、第27話)
遠山家に仕える家臣(用人)。ちょっと目を離すとすぐ金さんとなり行方をくらます遠山を躍起になって探し、見つからないと部下に当たり散らす。これまでの部下同様に遠山を「殿」と呼ぶが、この人物は奉行所勤務ではなく、あくまでも遠山家の家臣である。
西丸留守居役で、遠山の上司に当たる人物。前の南町奉行で、後に大目付などを歴任。
  • 次回予告ナレーターも存在するがノンクレジット。

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

オープニングでは1番、エンディングでは3番を使用。また劇中では2番が使われる事もあった。
第17話と第26話では、金さんが悪人たちの前に姿を見せる際、2番の歌詞(Aメロからサビの部分の途中まで)を口ずさむシーンがある。
さらに第26話では、遠山奉行がお白州に現れるシーンで、3番(ただし、出だしの部分は1番、Aメロのみ)が使用されている。

放映リスト[編集]

話数 放送日 サブタイトル 脚本 監督 ゲスト出演者
1 1974年
9月29日
桜吹雪八百八町 今村文人 松尾正武 岡田可愛(お染)、遠藤太津朗(武州屋)、武藤英司(長崎屋)、村上冬樹晴乃ピーチク矢野幸生北野拓也矢部義章、宍戸大全(特技)
2 10月6日 恋ごころ出世纏 中西隆三 岡崎二朗(長次)、鮎川いづみ(お千代)、田中明男(紀州屋)、川辺久造(徳山)、三角八郎田島義文汐路章浜伸二蓑和田良太小田真士、宍戸大全(特技)
3 10月13日 あらくれ一代 高橋稔 林伸憲 南城竜也(多吉)、八木孝子(お照)、小野千春(おしの)、幸田宗丸(越後屋)、五藤雅博(宗之助)、千葉敏郎波多野博上田恵子新海なつ日高久丸平峰子中林章井上雄介、宍戸大全(特技)、長門勇(熊五郎)
4 10月20日 ああ!幻の潜水船 今村文人 荒井岱志 倉岡伸太朗(福太郎)、南原宏治(奥州屋)、梅津栄(八兵ヱ)、牧冬吉(仙助)、明石蛍子柳川清田中弘史飯田覚三新屋英子小峰一男、宍戸大全(特技)
5 10月27日 汚れた千両箱 森田新 林伸憲 石田信之(源次)、三戸部スエ(およし)、福田豊土(黒駒)、北原義郎入江慎也奄美良平鈴木康弘唐沢民賢、小田真士、島田秀雄山田良樹平河正雄樋口史和吉岡靖彦、宍戸大全(特技)
6 11月3日 八百八町を逃げる男 雪室俊一 荒井岱志 清水理恵(佳代)、富田仲次郎(紅尾)[3]上野山功一二瓶秀雄小柳圭子加藤匡志長良俊一根本佳代子大北愉佳、宍戸大全(特技)、曾我廼家五郎八(写沢)
7 11月10日 花嫁姿を冥途で見た 荒木芳久 林伸憲 酒井修(清吉)、絹かずみ(お秋)、山本麟一(伝次)、松山照夫(市蔵)、岡部正純(勘太)、市川男女之助近江輝子浜田雄史野口貴史笹木俊志藤沢徹夫富永佳代子、宍戸大全(特技)、有島一郎(治助)
8 11月17日 殺しが結んだ夫婦医者 安藤豊弘 荒井岱志 森次晃嗣(望月昌平)、武原英子(八重)、小林重四郎(近江屋)、園田裕久(玄六)、外山高士(風巻)、永田光男(竹庵)、原聖四郎佐名手ひさ子丘路千藤本秀夫、矢野幸生、松田利夫、宍戸大全(特技)
9 11月24日 胡弓が呼ぶ必殺拳 今村文人 井沢雅彦 亀石征一郎(李小白)、加賀邦男国一太郎大木晤郎川谷拓三和田昌也大城泰大矢正利智村清、宍戸大全(弥源太、特技)、安部律子(李玉麗)、
10 12月1日 阿波おどり見参 迫間健 荒井岱志 松木聖(お妙)、剣持伴紀(久馬)、永野達雄(淡路屋)、草薙幸二郎(日下)、森山周一郎(加納屋)、中井啓輔五味竜太郎山口幸生笹吾朗重久剛伊藤利子町田米子橋本尚友、宍戸大全(特技)
11 12月8日 河童が泣いてる日本橋 今村文人 林伸憲 長谷川待子(お浜)、菅貫太郎(儀兵ヱ)、平井昌一(松吉)、清水一郎(五兵ヱ)、土屋靖雄千代田進一大月正太郎疋田泰盛木谷邦臣池田謙治、宍戸大全(特技)
12 12月15日 罠の中の花嫁 押川國秋 井沢雅彦 長谷川明男(松吉)、有吉ひとみ(おさと)、川合伸旺(伊佐次)、花上晃有馬昌彦石浜裕次郎不破潤武田てい子林三恵桂登志子、宍戸大全(特技)
13 12月22日 一網打尽 松浦健郎 齋藤武市 永井秀和(沖田)、坂上千恵子(花絵)、高城淳一(曽田屋)、江見俊太郎(鉄心斉)、中田博久天王寺虎之助玉生司郎杉山光宏、浜伸二、蓑和田良太、三木昭八郎、大月正太郎、小峰一男、世羅豊家野繁次中本哲夫福田善晴、樋口史和、宍戸大全(特技)
14 12月29日 みかんの里から来た山男 今村文人 大橋壮多(牛松)、城恵美(おこう)、武藤章生(大槌屋)、梶健司(赤松)、北見唯一島米八、北野拓也、大川きよし、丸平峰子、伊久野暎子、矢部義章、藤長照夫、宍戸大全(特技)
15 1975年
1月5日
罪と情けの重ね底 安藤豊弘 荒井岱志 石山律雄(甚六)、嵯峨善兵(久兵ヱ)、北町嘉朗(表屋)、佐藤仁哉福山象三、千葉敏郎、千葉保、宍戸大全(特技)
16 1月12日 芝居のいのち火 林伸憲 武藤英司(水野)、小笠原良知(鳥井)、山本清(赤垣)、小田部通麿井上茂滝譲二柳原久仁夫、波多野博、伝法三千雄森秀人、大月正太郎、大城泰、板東京三郎新城邦彦、桂登志子、宍戸大全(特技)、藤圭子(お景)
17 1月19日 愛憎からくり屋敷 押川國秋 齋藤武市 川島育恵(おさき)、久野四郎(茂七)、伊達三郎池田駿介北原将光松本敏男、宍戸大全(特技)、三田明(巳代吉)
18 1月26日 謎の煙提灯 雪室俊一
池上金男
磯村みどり(お志乃)、本阿弥周子(おふゆ)、田島義文、牧冬吉、灰地順海老江寛出水憲司下元年世、三木昭八郎、宍戸大全(特技)
19 2月2日 辻斬り地獄唄 森田新 林伸憲 嵐まこと(文次)、天津敏(山野井)、宇南山宏(弥之助)、谷口完(佐野屋)、三浦徳子田中直行、飯田覚三、表淳夫岡嶋艶子矢奈木邦二郎田中圭介野上哲也、宍戸大全(特技)
20 2月9日 北町奉行所を砲撃せよ 今村文人 鳥居元宏 久富惟晴(向井残月)、君夕子(まさえ)、浜田寅彦(松岳)、原健策(藤木屋)、野崎善彦(佐平)、佐藤京一(浪人)、古川ロック多賀勝、大木晤郎、田中弘史、宮城幸生宮川珠季、中林章、小田真士、前川良三友金敏雄西山清孝、宍戸大全(特技)
21 2月16日 裁かれた幽霊 森田新 小坂一也(六助)、北村英三(甚兵ヱ)、北原義郎(五左ヱ門)、田畑猛雄吉原正浩山田喜芳伊東亮英柳川清星野美恵子川辺俊行江原政一由井恵三、宍戸大全(特技)
22 2月23日 仇討ち変化若衆 今村文人 齋藤武市 市毛良枝(おきみ)、高野真二(井筒屋)、寄山弘双葉弘子入江慎也山口朱実村田玉郎、矢野幸生、山下義明赤松志乃武黒田香、宍戸大全(特技)、ピーター(市松)
23 3月2日 大火に消えた女盗賊 押川國秋 河野寿一 菊容子(お仙)、三谷昇(辰吉)、柳生博(善助)、有川正治酒井哲西田良、北見唯一、川浪公次郎、山田良樹、村居京之輔、宍戸大全(中野、特技)
24 3月9日 騙された悪女 安藤豊弘 和崎俊哉(平吉)、天野新士(伊之助)、永野達雄、中村錦司、唐沢民賢、有島淳平古閑達則、藤沢徹夫、木谷邦臣、三田雅美、宍戸大全(特技)、嵯峨美智子(お艶)
25 3月16日 帰って来たならず者 押川國秋 林伸憲 袋正(安吉)、剣持伴紀(辰造)、国一太郎、山口幸生、鈴木康弘五十嵐義弘三島猛、岡嶋艶子、野崎善彦、那須伸太朗、宍戸大全(特技)、西尾美恵子(お絹)
26 3月23日 上方から来た男 森田新 河野寿一 渥美国泰(土佐屋)、岡村政治(長吉)、外山高士(越後屋)、野口ふみえ(おとよ)、志乃原良子(おきみ)、志摩靖彦、千葉敏郎、山口幸生、上村亜希、小田真士、京町一代篠原一郎、宍戸大全(特技)、大村崑(松之助)
27 3月30日 桜吹雪が春を呼ぶ 今村文人
安藤豊弘
林伸憲 松木聖(おかよ)、神田隆(六兵ヱ)、高桐真小田草之介北竜介、山口幸生、武田てい子、大月正太郎、西山清孝、岡本崇、木谷邦臣、藤本秀夫、平河正雄、富永佳代子、宍戸大全(特技)、内田あかり(おしな)

その他[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 本作の最終回が放送された翌日に、NET系列だった毎日放送がTBS系列に、TBS系列だった朝日放送がNET系列にそれぞれ変更された。詳しくはこちらも参照の事。
  2. ^ ただし、この事実を知っているのは遠山=金さん他限られている人だけで、風山らには上方見物に行ったと金さん自ら伝えている。
  3. ^ 劇中では「紅屋」。
NET系(関西地区ネットチェンジ前のため除く) 日曜20時台
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サンデースペシャル/日曜ナイター