西郊ロッヂング

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西郊ロッヂング(新館)

西郊ロッヂング(せいこうロッヂング)は、東京都杉並区荻窪にある歴史的建造物。1938年(昭和13年)建築の洋風建築で、2001年(平成13年)の改修後は賃貸住宅となっている。

なお、西郊ロッヂングは当初は本館のみで後に新館が増築されたが、現在では新館のみが西郊ロッヂングと呼ばれ、本館は「西郊」という旅館として営業している。

概要[編集]

1916年(大正5年)3月、東京都文京区本郷下宿屋として創業。1923年(大正12年)に発生した関東大震災を契機に、1931年(昭和6年)に荻窪に本館を新築して移転し「西郊ロッヂング」を開き、1938年(昭和13年)には新館を増築した[1][2]。本館、新館ともに、当時は珍しかった全室洋間の高級下宿であった[3]

1948年(昭和23年)に、本館を旅館「西郊」に転業。新館は従業員の宿舎等としても使用された[2]

2001年(平成13年)には、新館が改築されて賃貸アパートとして生まれ変わった。なお、本館は現在も旅館として営業している。

建物[編集]

本館は1931年(昭和6年)築で木造2階建、スレート一部鉄板及び桟瓦葺、建築面積473m2。1階は玄関・広間・厨房で2階には宿泊室がある。ベージュ色のモルタル仕上げの外観。

新館は1938年(昭和13年)築で敷地の北西角に沿うようにL字形に建つ。木造2階建、建築面積145m2で部屋数13の集合住宅。ベージュの外壁に上部には銅板葺ドーム屋根を載せている。2019年現在の経営者によると、創業者である祖父は宮内省から水道会社に転職した経歴を持ち、給水塔のデザインにならったドーム屋根が取り付けられたという[4]

どちらも歴史的建造物であることから、2009年11月、「旅館西郊本館」及び「西郊ロッヂング」として、国の登録有形文化財に登録された。

所在地[編集]

旅館西郊本館

脚注[編集]

  1. ^ 染谷正弘都心に住む by SUUMO 歴史ある集合住宅に暮らす愉しみ…西郊ロッヂング」 SUUMOジャーナル、2013年11月19日
  2. ^ a b たてもの建材探偵団 西郊ロッヂング (PDF) 」建材試験情報 2011年3月号、財団法人建材試験センター
  3. ^ 杉並「まち」デザイン賞 (PDF) 杉並区都市整備部まちづくり推進課、2010年11月
  4. ^ いちじく舞 (2019年2月19日). “荻窪にある謎の建物「西郊ロッヂング」に入ってみた”. ヒトメボ. 2021年5月9日閲覧。

参考文献[編集]

  • 『東京遺産な建物たち』東京新聞「東京遺産選定委員会」著、新紀元社刊
  • 東京人』集合住宅物語2000年5月号
  • 読売新聞2013年8月22日夕刊2面「タイムトラベル」

外部リンク[編集]

座標: 北緯35度42分10.2秒 東経139度37分31.6秒 / 北緯35.702833度 東経139.625444度 / 35.702833; 139.625444