胃腸穿孔

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胃腸穿孔
別称 腸破裂[1]、消化管破裂
腸の穿孔から横隔膜右下に空気が入った状態。
概要
診療科 消化器学, 救急医学
分類および外部参照情報
ICD-10 K63.1, S36.9
ICD-9-CM 569.83, 863.9
DiseasesDB 34042
MedlinePlus 000235
eMedicine med/2822

胃腸穿孔(いちょうせんこう)または消化管穿孔(しょうかかんせんこう)は、胃壁腸壁に穴が開くことである[2]。胃腸と呼ばれる消化管には食道小腸大腸が含まれる[1][2]

症状[編集]

症状としては、厳しい腹痛と腹部を押されたときに生じる痛みが挙げられる[2]。穴の開いた場所が胃または小腸上部の場合は突然痛みが生じることが一般的であり、大腸の場合は痛みが徐々に増す傾向があり[2]、一定の痛みは通常ある[2]

胃腸穿孔によって敗血症心拍数の増加、呼吸率の増加、発熱錯乱状態が生じることがある[2]

原因[編集]

原因としては、ナイフなどの鋭利な物体を飲み込むことによる損傷大腸内視鏡などの医療検査、腸捻転による腸閉塞症大腸がん大腸憩室症胃潰瘍腸間膜虚血クロストリジウム・ディフィシルを含むいくつかの感染症が挙げられる[2]。胃腸に開いた穴によって腸管内容物が腹腔に入り込み[2]、その際に細菌も入り込んだ結果、腹膜炎または膿瘍になる[2]胃袋に開いた穴から胃酸によって腹膜炎がおこる[2]

通常はCTスキャンによる診断法が薦められるが、穴の開いた箇所によっては内容物が腹腔に張り込んで空気がなくなり、X線撮影でも診断されることが多い[2]

治療[編集]

治療については、穿孔が消化管のどの位置にできても試験開腹緊急手術が必要なのが一般的で[2]静脈点滴抗生物質を併用しておこなわれる[2]ピペラシリン/タゾバクタムまたはシプロフロキサシンメトロニダゾールのコンビネーションなど複数の抗生物質が使われる[3][4]。場合によっては開いた穴を縫って閉鎖することが可能であるが、そうでない場合は腸切除が必要である[2]

治療による死亡リスクは最大でも50%である[2]。胃潰瘍によって穴が発生するケースは年間約1/10,000人であり、憩室炎によって発症するケースは年間0.4/10,000人である[5][1]

出典[編集]

  1. ^ a b c Domino, Frank J.; Baldor, Robert A.(2013).
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o Langell, JT; Mulvihill, SJ(May 2008).
  3. ^ Wong, PF; Gilliam, AD; Kumar, S; Shenfine, J; O'Dair, GN; Leaper, DJ(18 April 2005).
  4. ^ Wilson, William C.; Grande, Christopher M.; Hoyt, David B.(2007).
  5. ^ Yeo, Charles J.; McFadden, David W.; Pemberton, John H.; Peters, Jeffrey H.; Matthews, Jeffrey B.(2012).