モミジイチゴ

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モミジイチゴ
モミジイチゴの花
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : バラ亜科 Rosoideae
: キイチゴ属 Rubus
: ナガバモミジイチゴ
Rubus palmatus
変種 : モミジイチゴ var. coptophyllus
学名
標準: Rubus palmatus Thunb. var. coptophyllus (A.Gray) Kuntze ex Koidz. (1913)[1]

狭義: Rubus palmatus Thunb. var. coptophyllus (A.Gray) Kuntze ex Koidz. f. coptophyllus (A.Gray) Kuntze ex Matsum. (1902)[2]

広義: Rubus palmatus Thunb. (1784)[3]

シノニム
和名
モミジイチゴ

モミジイチゴ(紅葉苺[5]学名: Rubus palmatus var. coptophyllus)とは、バラ科キイチゴ属に分類される植物の一種。東日本に分布。和名は、モミジに似ているためこの名がある[5]。黄色い実をつけるためキイチゴ(黄苺)の別名がある[6]。果実は食用になる。

特徴[編集]

日本の本州東北地方から中部地方まで)に分布し、日当たりのよい山野の林縁、土手、道端、雑木林、山地などにふつうに生える[6][7][5]

落葉広葉樹低木で、高さは1 - 2.5メートル (m) になる[6][7]。茎は直立し緑褐色で、小さいが鋭いトゲが残る[8]、上方の枝は弓なりに伸びて、緑色や紅紫色で無毛、ほぼ垂直に出る多くのトゲがあるのが特徴である[7][8][5]。枝は日の当たるほうが赤くなり、日陰側は緑色になり、やや光沢がある[8]は有柄で茎に互生し、掌形でカエデのように深く3 - 5裂する[7][5][9]

花期は春(3 - 5月)で[8]、短枝の先に白いが1個ずつ下向きにつき、直径20 - 30ミリメートル (mm) ほどの5弁花である[6][5]。果期は初夏(5 - 7月)で、果実集合果で直径10 - 15 mmの球形[5]。橙黄色に熟すと甘く、食べることができる[5][9]ラズベリーの仲間で、実を引っ張ると花托が抜けて帽子のような形になる[5]。代表的なキイチゴで、味は美味[6]

冬芽は長楕円形で光沢がある紅紫色[8]。枝先には仮頂芽をつけ、側芽互生する[8]。側芽は芽鱗5 - 7枚に包まれる[8]。葉痕は半円球や逆三角形で、維管束痕は3個つく[8]

本種は近畿地方以西に分布する葉の長いナガバモミジイチゴRubus palmatusの基本変種 var. palmatus)に対する[6][7]、東日本の型である。葉の長さは3 - 7 cmで、本種モミジイチゴほど深く裂けない[7]

食用[編集]

果実を食用とする[7]。キイチゴ類のなかでも、本種は特に美味しいと評されている[7]。主に生食したり果実酒にするが、多く採取できたときはジャムなどに加工できる[7]

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 金田初代、金田洋一郎(写真)『ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方』PHP研究所、2010年9月24日、148 - 149頁。ISBN 978-4-569-79145-6 
  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、156頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、172頁。ISBN 4-05-401881-5 
  • 西田尚道監修 学習研究社編『日本の樹木』 5巻、学習研究社〈増補改訂 ベストフィールド図鑑〉、2009年8月4日、64頁。ISBN 978-4-05-403844-8 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、211頁。ISBN 4-522-21557-6 

関連項目[編集]