減数手術

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減数手術(げんすうしゅじゅつ)は、多胎妊娠した場合、妊娠初期に一部の胎児を妊娠中絶する手術。減胎手術多胎一部救胎手術とも言う。妊娠12週までに行われる。

減数手術については、対象の選択、母児の身体的、心理的問題に関する検討が十分ではなく、また法的問題のみならず胎児の生命に対する倫理的問題もあり、社会的合意が得られていないため、その是非に一定の方向が示されていない。

多胎とは[編集]

2胎以上の胎児を同時に妊娠している場合を指す。排卵誘発剤体外受精時に多数の受精卵子宮へ戻す、等の影響から増加傾向にある。

手術法[編集]

  • 経膣超音波ガイド下に子宮腔を穿刺する。
  • 中絶する胎児に塩化カリウムを注射する。
  • 胎児の心拍が停止したのを確認する。
  • 中絶された胎児は壊死、融解した後、子宮に自然に吸収される。

問題点[編集]

  1. 適応:4胎以上とする意見もあるが、まだ一致した見解はない。
  2. 安全性:残存胎児への影響は少ないとされるが、結論は出ていない。
  3. 法律:母体保護法堕胎罪に抵触するおそれがある。
  4. 倫理的:「どの児を生かし、どの児の生命を絶つか」を医師など他人が決めてよいのか。

参考文献[編集]

  • 松尾紀子『赤ちゃんがほしい―不妊症治療の最前線で何がおこっているか』(文藝春秋