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*[[長井好弘]]「時代の証言者 浪曲の聖地を守る 根岸京子」[[読売新聞]] 、2014年7月9日ー8月5日。
*[[長井好弘]]「時代の証言者 浪曲の聖地を守る 根岸京子」[[読売新聞]] 、2014年7月9日ー8月5日。
* {{Cite book|和書|author=[[国本武春]] |year=2012|month=|title=待ってました 名調子!|publisher=アールズ出版|serios=|isbn=978-4862042156|ref=国本}}
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*[[稲田和浩]]『浪曲論』[[彩流社]]、2013年、p25。ISBN 9784779119088


== 関連項目 ==
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2021年11月29日 (月) 12:27時点における版

木馬亭(もくばてい)は、東京都台東区浅草2丁目7番5号に存在する浪曲寄席である。毎月1 - 7日まで浪曲の定席公演が行われる。

木馬亭
Mokubatei
行列の木馬亭
情報
正式名称 木馬亭
開館 1970年5月
客席数 131席[1]
用途 浪曲・軽演劇などの興行
運営 根岸興行部
所在地 111-0032
東京都台東区浅草2丁目7番5号
位置 北緯35度42分51.8秒 東経139度47分41.1秒 / 北緯35.714389度 東経139.794750度 / 35.714389; 139.794750 (木馬亭
Mokubatei
)
座標: 北緯35度42分51.8秒 東経139度47分41.1秒 / 北緯35.714389度 東経139.794750度 / 35.714389; 139.794750 (木馬亭
Mokubatei
)
アクセス
外部リンク mokubatei.art.coocan.jp
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概要

関東では無くなって久しかった浪曲の常打ち小屋として、1970年(昭和45年)[2]から約50年、唯一支え続ける存在である。

特に黄金期を知る世代からの交代が進み、若手育成の点で大きな役割を果たし続けている。

打ち出し太鼓の前後、場内に古い音源(2代目虎造等)を流し、期待感を盛り上げる。

開場当初から1日1枚、講談を番組に入れ続け、浪曲の会も度々開催していた講談定席の上野・本牧亭2011年(平成23年)に無くなった現在、若手中心に貴重な出番を提供する[3]

経営は浅草六区の黄金期を支えた根岸興行部(当初の席亭は京子の亡夫・2代目根岸浜吉。吉之助は大旦那)[4]。席数は131席[5]

席亭は根岸京子根岸吉太郎の母親[6]、2019年12月17日死去[7])が長年務めた。入口で迎えてくれる京子の笑顔は、木馬亭の名物であった。

寄席文字流の流れをくんだ名入り看板を書いているのは春亭右乃香

明治期にメリーゴーランドを設置し客を集めた「木馬館」からの歴史を踏襲しており、入口右脇にそのモニュメントが飾られている。安来節の常打ち小屋として長らく続いた。空き小屋であった1階部分を、浪曲師東家楽浦や会長だった三門博率いる若手グループの要請により、1970年(昭和45年)5月上席から「木馬浪曲会」としてスタートする[8]。1年後[9]に「木馬亭」の呼び名を使用するようになる。(それ以前の歴史・現在の2階については木馬館大衆劇場の項を参照のこと)[10]

「アイスもなか」(バニラ・あずきの二種)は中入りに客席後方で販売される。

近年、舞台終わりでのご祝儀を渡す行為が見られ無くなりつつある[11]

現在、「お笑い浅草21世紀」という浅草軽演劇の流れを汲んだ劇団も毎月8日以降の日曜から翌日曜まで、8日間公演をしている[12]

公演を聴いていると、時折ドタンバタンと音が聞こえてくるが、2階の「木馬館大衆劇場」で立ち回りの音が漏れてきているのである。

また、浅草奥山という土地柄を生かし、小劇団の旗揚げ公演や、となりの奥山茶屋(→雷5656茶屋→現在はセブンイレブン浅草奥山おまいりまち店)で物売り芸を見せていた坂野比呂志を席主・浜吉が引っ張り出して公演した大道芸の会「坂野比呂志の総て」[13][14]、よしず張りのヒラキのようにした大道芸の「ほおずき市大道芸フェスティバル」(2005年まで20年連続公演)、活動弁士を招いての「特選名作無声映画会」[15]、大阪から松浦四郎若を共演ゲストに招いての「貝祭文を聞く会」なども開かれた。

木馬亭の沿革

  • 1970年(昭和45年)5月上席 「木馬浪曲会」を日本浪曲協会根岸興行部の共催の形でスタート。当初は1 - 15日までの興行[16]。月後半は貸席。
  • 1975年(昭和50年)に2階との区別のため「木馬亭」の呼称を使い始める[17]
  • 1992年12月 この頃、「平日とはいえ客が私を含め6人」の状況[19]
  • 1-10日までに短縮、さらに1-7日までの興行になるなど、苦しみながら[20]浪曲を寄席の演目として続けている。現在は昼席のみ。
  • 1998年1月12日 芝清之死去[21]
  • 2004年 木馬亭と共に育った玉川福太郎が、弟子の玉川美穂子のプロデュース[22]で連続読み企画「玉川福太郎の徹底天保水滸伝」を月1回ずつ開催。空前の大入りを続け、興行的にも大成功を収める[23]
  • 2014年6月 出演者を増やすために中トリ制を導入。演題の掲示開始(長田衛の提案)
  • 2015年 第36回松尾芸能賞功労賞を木馬亭の功績により席亭の根岸京子が受賞[24]
  • 近年、徐々に入場客が増えている[25]。膝送りをせずに平均7割程度の入り。
  • 2019年12月17日 根岸京子91歳で死去[7]
  • 2020年7月 根岸京子と2015年に急逝した国本武春を2007年11月から2016年まで記録したドキュメンタリー映画「浅草木馬亭 席亭(おかみ)さんと武春さん」(100分、伊勢哲監督)を、渋谷・ユーロライブで上映[26]
  • 2021年12月 根岸京子三回忌として劇団お笑い浅草21世紀と浪曲師・歌手の出演による「節劇・喜劇 根岸京子物語」(脚本・演出 稲田和浩)を、12月26日に根岸京子三回忌・国本武春七回忌特別企画「元気を出すぞ浪花節!」を開催。

主な出身者

など。多くはツイッターのアカウントを持っており情報の発信をしている(末尾に:マーク。)

主な出演者(木馬館時代も含む)

など。

主な曲師

など現在の日本浪曲協会所属の曲師は全て出演している。

など。

料金

  • 一般 2,000円
  • 25歳以下は半額の1,000円
  • 企画公演・貸席公演(独演会、大会等)は別料金。

脚注

注釈

出典

  1. ^ deji
  2. ^ 『東京人』380号p.30
  3. ^ deji
  4. ^ 実録
  5. ^ deji
  6. ^ 『浅草: 戦後篇』堀切直人、右文書院, 2005、p129
  7. ^ a b 共同通信社 (2019年12月18日). “根岸京子さんが死去 「木馬亭」席亭”. 日本経済新聞. https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53498650Y9A211C1000000/ 
  8. ^ 唯1999p.370
  9. ^ 『写真にみる浅草芸能史』芝清之の解説文。p.196
  10. ^ 実録p.370
  11. ^ 社会学的見地から着目。
  12. ^ 21世紀
  13. ^ 昭和57年度文化庁芸術祭大賞受賞 (PDF)文化庁)、2017年5月12日閲覧。
  14. ^ 室町京之介『香具師口上集』に収録
  15. ^ 朝日新聞 1974年(昭和49年)3月19日付 「昔懐かし 活動写真を再現 オールドファン続々 浅草・木馬館」
  16. ^ 実録
  17. ^ 長井好弘「時代の証言者」浪曲の聖地を守る 根岸京子.6 読売新聞2014年7月16日
  18. ^ 長井好弘「時代の証言者」浪曲の聖地を守る 根岸京子. 読売新聞2014年7月
  19. ^ 永田衛『浪曲定席木馬亭よ、永遠なれ。』p.153
  20. ^ 1995年、NHKテレビ『日本の話芸』から浪曲外れる。永遠p.196
  21. ^ 永遠p.239
  22. ^ 浪曲の今とこれから”. 公益文化法人東京都歴史文化財団. 2021年11月16日閲覧。
  23. ^ 長井好弘「時代の証言者」浪曲の聖地を守る 根岸京子.15 読売新聞2014年7月29日
  24. ^ http://matsuo.or.jp/award.html
  25. ^ 日本経済新聞 2017年5月8日夕刊16面
  26. ^ 井上幸一 (2020年7月18日). “浪曲の「冬」支えた2人 浅草木馬亭の9年、ドキュメンタリー映画に 渋谷のユーロライブで27日上映”. 東京新聞. https://www.tokyo-np.co.jp/article/43309 
  27. ^ 小沢昭一『写真集 昭和<芸>』に写真あり。

参考文献

  • 唯二郎『実録 浪曲史』東峰書房、1999年。ISBN 978-4885920486
  • 長田衛『浪曲定席 木馬亭よ、永遠なれ。 芸豪烈伝+浪曲日記』創英社/三省堂書店、2014年2月14日。ISBN 978-4881428337
  • 美濃瓢吾『浅草木馬館日記』筑摩書房、1996年4月20日。ISBN 978-4480813985
  • 長井好弘「時代の証言者 浪曲の聖地を守る 根岸京子」読売新聞 、2014年7月9日ー8月5日。
  • 国本武春『待ってました 名調子!』アールズ出版、2012年。ISBN 978-4862042156 
  • 稲田和浩『浪曲論』彩流社、2013年、p25。ISBN 9784779119088

関連項目

外部リンク