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オオナキリスゲはカヤツリグサ科スゲ属の植物。ナキリスゲに似ているが頂小穂が雄性であること、基部の鞘が長くて葉身がない点などで異なる。
オオナキリスゲはカヤツリグサ科スゲ属の植物。ナキリスゲに似ているが頂小穂が雄性であること、基部の鞘が長くて葉身がない点などで異なる。



2021年9月21日 (火) 00:10時点における版

まず

イヌムギ
イヌムギ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
階級なし : ツユクサ類 commelinids
: イネ目 Poales
: イネ科 Poaceae
亜科 : イチゴツナギ亜科 Pooideae
: スズメノチャヒキ連 Bromeae
: スズメノチャヒキ属 Bromus
: イヌムギ B. catharticus
学名
Bromus catharticus Vahl
和名
イヌムギ

キツネガヤ Bromus pauciflorus (Thunb.) 1784 はイネ科植物の1つ。スズメノチャヒキなどに似て、全体に緑色で小穂は細長い。

特徴

多年生草本<ref.>以下、主として長田(1993),p.376</ref>。草丈は60~100cm。の節の下の部分には下向きの短い毛が生えている。葉身は長さ25~40cm、深緑色で光沢があり、短い毛がやや密生する。茎を包む葉鞘は完全な筒型で下向きに伸びる短い毛が多い。葉舌は高さ1~2mm。

花期は6~8月で、円錐花序は長さ20~30cmで主軸の節ごとに2本の枝を出し、枝はばらばらに広がってそれぞれに小穂をまばらにつける。花序の枝はざらつきがあり、細くしなって花序全体が下向きに垂れる。小穂は濃緑色で細長く、この属のものとしても特に細長い。小穂は6~10個の小花を含み、長さ3~4cm、幅2~4mmで濃緑色をしており、毛はない。第1包頴は長さ5-7mmで細く、脈は1本のみ、第2包頴は長さ8~11mで3本の脈があり、いずれもその先端はとても細くなって突き出して短い芒となっている。また竜骨はない。護頴は長さ10~13mm、7本の脈があり、背面は丸い。先端は細くなって芒に移行し、芒は真っ直ぐに伸びており、その長さは護頴の長さの半分程度から同長程度まで。内頴は護頴の長さの2/3ほど、左右の竜骨には先端に向いた短い毛が並んでいる。

なお、上記のように小穂は細いが、搾葉標本にすると小花が多少開いて小軸が見えるようになり、別の植物のように見える。

和名については牧野原著(2017)では「狐茅」であり「ちょうどその花が長くて尖っているのに基づいて」こう呼ばれているのでは、としている[1]が、今ひとつ意味がわかりづらい気がする。

分布と生育環境

日本では北海道から九州まで、国外では南千島朝鮮半島南部、中国に分布する[2]

タイプ産地は日本であり[3]、学名の種小名もこれによる。

平地から山地にかけての半日陰に生育し、普通種である[4]

なお、本種の種子散布に関する考察として、その長い芒から風散布ではないかとの判断がある[5]。本種の場合、その芒が長くまっすぐに伸びているために草むらでは途中で他の草に引っかかり、風が吹くとまた飛ばされることになるが、これは本種が比較的小柄な草本であるために他の植物の繁茂する場所では生存が難しく、他の植物の少ないところに種子を散布させる仕組みとなっているのだろうと推測している。

分類・類似種など

本種の所属するスズメノチャヒキ属 Bromus には世界の温帯から亜寒帯にかけて150種以上があり、日本には12種ほどが知られ、そのうちで在来種は本種を含めて3種ほどである[6]。そのうちでイヌムギは小穂がはっきり扁平であることで区別される。これ以外のものは本種も含めて小穂は円柱形に近くあまり扁平でない。

長田は判断のポイントとして以下のような特徴を挙げている[7]

  • 半日陰に生える。
  • 葉鞘に下向きの短い毛がある。
  • 3~4cmに達する細長い小穂に真っ直ぐな芒がある。
  • 花序全体が垂れる。
  • 全体に濃緑色をしている。

これに加えて、護頴に太い主脈以外に6本の側脈があって計7脈であることを確認すれば確実、とのこと。

なお、本種は記載の時にはウシノケグサ属 Festuca とされ、F. pauciflora という学名であった[8]。この2属を含む群の区別が長らく混乱していたらしいことがうかがえる。

出典

  1. ^ 牧野原著(2017),p.399
  2. ^ 大橋他編(2016),p.46
  3. ^ 長田(1993),p.376
  4. ^ 長田(1993),p.376
  5. ^ 以下も中西、田尻(2003)
  6. ^ 以下も大橋他編(2016),p.45-46
  7. ^ 長田(1993),p.376
  8. ^ 以下もOhwi1935)

参考文献

  • 中西弘樹、田尻夏紀、「イネ科植物の散布と散布体の観察」、(2003)、長崎県生物学会誌 No.56, p.36-40.
  • Jisaburo Ohwi, 1935. Symbolae ad Floram Asiae Orientalis, 12. Vol. IV

さて

リュウキュウボタンヅル
福島県会津地方 2008年8月
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: キンポウゲ目 Ranunculales
: キンポウゲ科 Ranunculaceae
: センニンソウ属 Clematis
: リュウキュウボタンヅル C. grata
学名
Clematis grata Wall.
和名
リュウキュウボタンヅル(琉球牡丹蔓)

リュウキュウボタンヅル Clematis grata Wall. はキンポウゲ科つる植物ボタンヅルによく似ているが茎が木質化すること、種子についている羽(痩果の残存花柱)が遙かに長いことなどで別種とされる。

特徴

つる性灌木[1]。若枝はよく伸びて径1~1.5mm程度で毛が生えている。は夏緑性[2]で、対生し、三出複葉になっている。葉柄は長さ2~6cmで毛が生えている。小葉は卵形から広卵形で長さ2~6cm、幅1.5~5cmほど、やや膜質で柔らかく、先端は尖っているか短く突き出して尖っており、基部は幅広いくさび形から切り落とした形、あるいは浅く心形にくぼみ、全体として浅く三裂することが多く更にその縁には少数の先端が小さく突き出した鋸歯が並ぶ。表面には少数の伏せた毛があるが、時に中脈のみにそれを持ってそれ以外は無毛となる。下面は長い伏せた毛が密生している。なお、沖縄のものは三出複葉で小葉が3しかないが、国外では3~9の照葉を持つ羽状複葉であるという[3]

花序は葉脇から出て集散状円錐花序をなして長さ3~10cm程になり、多数の花をつける。花柄は長さ1~1.5cmで毛が密生している[4]。花は白で径1.5cmほど、花弁に見えるのは萼片で、4枚あって長楕円状披針形で長さ7mm程度、外面には白い短い毛が生える。雄しべは長さ4mm程度で葯は長さ1mmほど。痩果は長さ2~3mm、卵形で立った粗い毛が多い。その一端に伸び出しているのは花柱で、長さ1.5~3cmほどあり、2.5mmほどの立った毛が一面に並んで羽毛のようになっている。

別名にケボタンヅルがある。和名は琉球産のボタンヅルに似た草、と言うことで、方言名にはブクブクーグーサがある[5]が、これはこの草を水につけてこすると石けんのように泡が立つことに由来する[6]

分布と生育環境

日本では琉球列島の各島に見られる[7]。国外では台湾中国からネパールパキスタンなど広域に分布がある[8]

林縁や道ばたの草むらに生える[9]。日当たりのよい人家周辺や荒れ地の林縁でよく見かけられ、分布域では普通種である[10]

分類、近縁種、類似種など

日本にはセンニンソウ属のものは25種ばかりあり、中で本種のように花は上向きに咲いて花弁が大きく開き、葉の基部が独立していて小葉に鋸歯がある、と言った特徴を持つものはボタンヅル節 Sect. Clematis とされており、日本では本種の他にコバノボタンヅル C. parvilobaボタンヅル C. apiifolia var. apiifolia がある[11]。このうち前種は花序に花を3個ほどしかつけない。後種は本種とよく似ているが国内ではこの種は日本本土のみ、本種は琉球列島のみに分布するので重複はない。形態としては以下のような点で異なる。

  • 種子(痩果)は狭卵形から紡錘形、本種は卵形。
  • 種子の羽(残存花柱)の長さが約1cm、本種では2.5~3cm。
  • 全体に草質、本種では木質化する。

なお初島(1975)は沖縄の本種を var. ryukyuensis Tamura としているが大橋他編(2017)などではこれを認めていない。

利用

上記のように水につけてこすって泡を立てるが、子供の遊びである。ミンバイグサと言うのもあり、これはものもらいに効く草との意で、茎を10cm程に切り、吹き出る樹液を点眼して用いたという[12]

またこの植物を祭祀の際に用いる例も知られている。古宇利島ではウンジャミ祭祀、これは海神祭祀とも言われるが、その際に神人の女性は頭にハーブイ、草で作られた冠を乗せるが、これが本種の蔓で作られる[13]。またうるま市の海中道路で繋がった4島ではシヌグ祭祀にやはりハーブイを用い、そのうちの伊計島では本種が用いられる[14]

出典

  1. ^ 以下、主として初島(1975),p.278
  2. ^ >大橋他編(2016),p.145
  3. ^ 大橋他編(2016),p.145
  4. ^ 大橋他編(2016),p.145
  5. ^ 池原(1979),p.39
  6. ^ 新里他(2019),p.58
  7. ^ 初島(1975),p.278
  8. ^ 大橋他編(2016),p.145
  9. ^ 大橋他編(2016),p.145
  10. ^ 池原(1979),p.39
  11. ^ 大橋他編(2016),p.141-142
  12. ^ 新里他(2019),p.58
  13. ^ 新里他(2019)
  14. ^ 新里、芝(2018)

参考文献

  • 池原直樹、『沖縄植物野外活用図鑑 第5巻 低地の植物』、(1979)、新星図書
  • 新里孝和他、「沖縄、古宇利島と塩屋湾のウンジャミの祭祀植物」、(2019)、琉球大学農学部学術報告 (66):p.51-63.
  • 新里孝和、芝正巳、「沖縄・うるま市4島の祭祀植物」、(2018)、琉球大学農学部学術報告 (65):p.147-158

ちょっと

コジュズスゲ
コジュズスゲ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
階級なし : ツユクサ類 commelinids
: イネ目 Poales
: カヤツリグサ科 Cyperaceae
: スゲ属 Carex
: コジュズスゲ C. macroglossa
学名
Carex macroglossa Franch. et Sav., 1878

オオナキリスゲはカヤツリグサ科スゲ属の植物。ナキリスゲに似ているが頂小穂が雄性であること、基部の鞘が長くて葉身がない点などで異なる。

特徴

常緑の多年生草本[1]。根茎は短く横に這い、まとまって生えるものの多少互いに間を置いて出る。花茎は60~100cmに達し、先端は緩やかに垂れる。葉は濃緑色で硬く、葉幅は2~4mm。基部には濃褐色の鞘があって長く伸びて葉の基部を包み、先端には葉身がない。また糸網を生じることもある。

花期は9~10月。小穂は多数あり、側小穂は節ごとに1~3個出る。頂小穂は雄性、側小穂は雌性か、あるいは先端の雄花がある雄雌性となっている。花序の苞は短い鞘があり、葉身は針状[2]。雄性の頂小穂はとても細長く、糸状で長さ1-2cm[3]、幅は1mmに満たない。雄花鱗片は褐色で先端は鋭く尖る[4]。側小穂は雌性で、時に先端に少数の雄花をつける。長さは1~3cm、幅は約2mm。雌花鱗片は果包の長さの約半分で、褐色で先端は尖っている[5]。果包は卵形[6]で、長さ2.5~3mm、先端は短い嘴となって突き出し、その先端の口部は真ん中がくぼんだ形になっている。また細かな脈があり、全体には無毛だが縁にはざらつきがある。痩果は果包に密着して包まれており、卵形で長さ1.5~2mm[7]。柱頭は2つに分かれる。

分布と生育環境

日本では本州の近畿以西と四国、対馬から知られる[8]。国外では中国から記録があるが、勝山(2015)はこれに疑問符をつけて示している。

森林の林縁に生える[9]

分類と近縁種、類似種など

秋咲きであること、多数の小穂をつけ、特に1つの節から複数の小穂が出ること、苞に鞘があり、果包は多数の脈を持ち、嘴があること、柱頭が2裂することなどの特徴からナキリスゲ節 Sect. Graciles とする[10]。ただしこの節のものの多くは多数ある小穂がすべて先端に雄花部のある雄雌性であり、日本産のこの類では本種のみが頂小穂が雄性となっている。また同時に側小穂も多くは雄花部のない雌性になっており、その点でも他種とは異なる。しかし外見的にはかなりよく似ている。

またナキリスゲ C. lenta ではすべての小穂が雄雌性ではあるが、頂小穂では雄花部がより長い場合が多く、時に完全に雄性になっているものが見られるので、この特徴だけで判断するのはよくない。他に同一地域に出現する可能性がありそうなもので同程度の大きさになるものにはコゴメスゲ C. brunnea 、キシュウナキリスゲ C. nachiana もあり、一見ではいずれも互いによく似ている。本種の特徴は上記の点以外にも基部の鞘が特に長いこと、果包が縁のざらつきを除いて無毛であることなどがあり、そういった点でも本種は他種と区別できる。

保護の状況

環境省のレッドデータブックでは指定がないが、府県別では福井県、三重県、香川県を除く四国三県、それに大分県と長崎県で絶滅危惧I類、奈良県、大阪府、兵庫県で準絶滅危惧に指定されている[11]。大分県については図鑑等の文献には記述がないが一カ所のみに産地があり、個体数も少ないながら確認されている[12]とのこと。

出典

  1. ^ 以下、主として勝山(2015),p.84
  2. ^ 星野他(2011),p.136
  3. ^ 星野他(2011),p.136
  4. ^ 星野他(2011),p.136
  5. ^ 星野他(2011),p.136
  6. ^ 星野他(2011),p.136
  7. ^ 星野他(2011),p.136
  8. ^ 勝山(2015),p.84
  9. ^ 星野他(2011),p.136
  10. ^ 以下も勝山(2015),p.84
  11. ^ 日本のレッドデータ検索システム[1]2021/09/01閲覧
  12. ^ [2]

参考文献

ついでに

さて

コジュズスゲ
コジュズスゲ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
階級なし : ツユクサ類 commelinids
: イネ目 Poales
: カヤツリグサ科 Cyperaceae
: スゲ属 Carex
: コジュズスゲ C. macroglossa
学名
Carex macroglossa Franch. et Sav., 1878

コジュズスゲ Carex macroglossaカヤツリグサ科スゲ属の植物の1つ。全体に緑で柔らかく、やや大きくて尖った果胞をまとまった形につける。

特徴

全体に柔らかい多年生草本[1]。植物体は粉を吹いたような緑色で、根茎は短く横に這い、緩やかにまとまったを作る。花茎は高さ15-30cmほど。葉は粉緑色をしている[2]。葉幅は3-7mm、基部の鞘は着色が薄い、あるいは淡い褐色[3]

花期は春で果実は4-5月に熟す。花茎は平滑で花序の形としては総状花序で、頂小穂が雄性、側小穂は3-4個あって雌性。花序の苞は鞘があり、葉身部は葉状に発達する[4]。頂生の雄小穂は線形で淡緑色、長さ1-1.5cmほど。側生の雌小穂は長楕円形で長さ1-2cm、果胞はやや間を空けて数個付き、短い柄がある[5]。雌花鱗片は卵形で淡緑色をしており、先端は尖っている。果胞は斜めに突き出して長さ4-5mm、長卵形で粉緑色、先端は次第に細まって長い嘴となる。

和名はジュズスゲ C. ischnostachya に似て、より小型、との意味である。ただし外見は似ているとは言いがたい。類縁もさほど近くない。

分布と生育環境

日本では北海道から本州四国九州対馬伊豆諸島三宅島に分布し、国外では朝鮮南部から知られる[6]

平地から山地に掛けて、湿った樹林内、湿地に生える[7]。つまり開けた場にも森林下にも生えており、開けた湿地という方では湿った草原から水田にまで出現し、大橋他編(2015)にはこちらのみが記されている。

類縁種、類似種

頂小穂が雄性で側小穂が雌性、苞に鞘があり、果胞は大柄で嘴が長く、柱頭は3裂、といった特徴を有することからタマツリスゲ節 Sect. Paniceae に含める。日本にはここに含まれる種が12ばかりある。多くは雌小穂に長い柄があって垂れ下がるのが珠釣り、の名の所以である[8]

ただし本種は小穂の柄がごく短くて立ち上がり、少なくとも垂れ下がりはしない。同様の形を取るのがグレーンスゲ C. parciflora とナガボノコジュズスゲ C. vanioti である。これらはいずれもよく似ているが、いずれも葉色は浅緑色で粉を吹いたようになっておらず、また雌小穂がやや長くて果胞がより多く、本種では数個なのに対して10個以上つける[9]。またこれらは前者が本州の山陰から日本海沿岸以北、後者が本州中部以北と本種よりやや北寄りの分布域を持っている[10]

さらに本種に近いものとしては植物体が全体に大きく、また葉が幅広いヒロハノコジュズスゲ C. parciflora var. tsukudensis と、果胞が7-8mmとより長いムギスゲ C. laticeps var. macroglossa form. subsessilis が記載されている[11]。これらについて、勝山(2015)は前者については本種の葉幅には変異が大きく、区別しがたいとし、また後者は本種の品種 form. subsessilis としている[12]

保護の状況

環境省のレッドデータブックには取り上げられていないが、都県別では愛媛県、大分県、宮崎県、鹿児島県で指定があり、また東京都で情報不足となっている[13]。分布南限域での指定、ということだろうか。農地周辺のものについては農薬の影響や開発による環境悪化が懸念される[14]

利害

出典

  1. ^ 以下、主として大橋他編(2015),p.327
  2. ^ 勝山(2015),p.327
  3. ^ 星野他(2011),p.456
  4. ^ 星野他(2011),p.456
  5. ^ 星野他(2011),p.456
  6. ^ 勝山(2015),p.326
  7. ^ 星野他(2011),p.456
  8. ^ 大橋他編(2015),P.326
  9. ^ 以下、勝山(2015),p.316
  10. ^ 星野他(2011),p.456-458
  11. ^ 星野他(2011),p.456
  12. ^ 勝山(2015),p.327
  13. ^ 日本のレッドデータ検索システム[]2020/02/18閲覧
  14. ^ 愛媛レッドデータブック[]2020/02/18閲覧

参考文献

もっと

イワヒトデ Leptochilus ellipticus (Thunb.) Noot. 従来はイワヒトデ属 Colysis に含めたものだが、系統の解析が進んだ結果、本属のものがすべてオキノクリハラン属に含まれることになりそうだとの判断の下、まとめられたものである。学名としては先に発表されたものを使うという原則があるため、このような学名となった。ちなみにこれによってイワヒトデ属が消えたことになり、海老原(2017)は『日本では長らく親しまれた』この属が消えることに名残惜しさを示している[1]。 

もと

ホソイ
ヌカボシソウ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: イネ目 Poales
: イグサ科 Juncaceae
: イグサ属 Juncus
: ホソイ J. setchuensis
学名
Juncus setchuensis Buchenau

ホソイ Juncus setchuensisイグサ科植物の1つ。イグサによく似た植物で、茎が白みを帯びた緑色で細かな縦溝がある。

特徴

針状のだけが林立するような形の多年生草本[2]根茎は横向きに伸び、そこから多数の茎を列をなして密生させる。草丈は30-50cmで、その大部分は茎で、先端部は花序苞葉である。は茎の基部の鞘としてのみあり、下部の鞘状の葉は紫褐色を呈する。葉身はない[3]。茎は円筒形で白みを帯びた緑色となっており、その表面には多数の縦向きに伸びる溝が多数ある。茎の先端からは苞葉が伸びるが、茎の延長のようになっており、その形は茎と同じで、その基部に生じる花序の長さより遙かに長い。

花序は茎の先端から出て、その基部から苞葉が伸びるのだが、苞葉が茎の延長の形になっているので、花序は頂生ではあるが、一見では長い茎の途中の側方に出る(側生)ように見える。花期で盛夏に開花して秋に結実する。集散花序に着き、花序では4-5本の柄がはっきりしていて、それらはほぼ直立する。その先に出て花を付ける小枝は横向きの角度で出る(開出)。花は小さくて淡緑色をしており、枝の上にまばらに着いている。花被片は6で、長さは約2mm、卵状披針形で先端は尖っている。雄しべは3で、長さは花被片より短く、と花糸がほぼ同じ長さとなっている。子房は1個で、花柱は先端の方で3つに分かれている。蒴果は熟すと黄褐色になり、長卵形で花被片より長くなる。また不完全な3室となっている。

和名は牧野原著(2017)は「やせて細いイ」としている[4]。実際に細いのかどうかについては図鑑等ではほぼ触れられておらず、またイグサの方が非常に変異が大きいので、本種の方が細いという判断は出来そうにない。

分布と生育環境

日本では本州から九州に、国外では朝鮮半島中国から知られる[5]

水湿地に生える[6]。ちなみに角野(2014)にはイグサは掲載されているが本種に関しては言及すらない。

分類

本種は狭義には J. setchuensis var. effusoides とされる[7]。ただし佐竹他(1982)や等かつての図鑑ではこの学名を頭に出していたのに対して、牧野原著(2017)や大橋他(2015)などでは頭記の広義の学名を頭に出してあり、この区別がそれほど重要でないとの判断があるのかも知れない。

類似種

イグサ属には世界で300種以上、日本に24種とかなりの種数があり、根出葉の発達するコウガイゼキショウのようなものから本種のような針山のようなものまでがある[8]。本種に似た姿でもっとも普通なのはイグサ J. decipiens である。本種はこれによく似ているが、本種では茎に明瞭な縦溝があること、蒴果が花被片よりやや長いことなどで区別できる(イグサでは茎は滑らかで蒴果は花被片とほぼ同長)[9]。また茎の色が白みを帯びた緑であること、花序の軸が長いことなども区別ポイントになる[10]。花序の形に関しては、イグサでは花序の枝の一部が下向きに伸びることがあるのに対して、本種ではすべて斜め上に伸びる、という点も指摘されている[11]

名前の上でよく似ているのがエゾホソイ J. filiformis である[12]。形態的にもイグサに似ていて茎の表面に縦溝がある点なども似ているが、花序には花を3~6個しか付けず、また雄しべが6本ある(本種では3)等の点で異なる。この種は本州北部から北海道高山などに見られる寒冷地の植物である。

これら以上に本種に似ているのがコゴメイである[13]。これは1990年頃から確認されるようになった外来種で、海岸近くや河川敷などに見られ、やはり茎には縦溝が多数あり、イグサより本種に似た植物である。本種もイグサも茎の随が連続しているのに対し、随がはしご状に断続しているので、判別するには茎を縦に裂くとよい。指で引き裂くだけで簡単に見分けられる。なお、本種の学名は確定しておらず、類似の複数種が含まれているものとの考えもある[14]

保護の状況

環境省レッドデータブックには取り上げられていないが、県別では埼玉県長野県山口県高知県愛媛県宮崎県鹿児島県で指定がある[15]。ただしいずれも指定のレベルは高くない。分布は広いがややむらがあるようである。愛媛県では複数箇所に生育地が発見されたものの、個体数は多くないとし、生育環境の遷移などによって減少する恐れがあるとされている[16]。湿地性の植物に対する標準的な配慮であるが、こんな風に心配してもらえているのを見るのが珍しいくらい、イグサの陰に隠れて取り上げられることが少ないイメージがある。

出典

  1. ^ 引用共に海老原(2017),p.459
  2. ^ 以下、主として牧野原著(2017),p.316
  3. ^ 大橋他編(2015),p.287
  4. ^ が、ここで「やせて」いることがどう関係あるのか、「細いイ」で十分ではないか、という気はする。
  5. ^ 大橋他編(2015),p.289
  6. ^ 牧野原著(2017),p.316
  7. ^ 牧野原著(2017),p.316
  8. ^ 大橋他編(2015),p.287
  9. ^ 大橋他編(2015),p.289
  10. ^ 大橋他編(2015),p.287
  11. ^ 長田、長田(1984),p.33
  12. ^ 以下、主として牧野原著(2017),p.314
  13. ^ 以下、主として清水編(2003),p.241
  14. ^ 角野(2014),p.165
  15. ^ 日本のレッドデータ検索システム[3]2020/10/29閲覧
  16. ^ 愛媛県レッドデータブック[4]2020/11/12閲覧

参考文献

  • 長田武正、長田喜美子、『検索入門 野草図鑑 ③すすきの巻』、(1984)、保育社

もっと

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モヤシ (もやし、糵、萌やし) とは、主に穀類豆類の種子を人為的に発芽させた新芽。

呼称は「萌やす」 (発芽させる意) に由来する。発芽野菜(新芽野菜)を総称してスプラウト(: Sprout)という[1]

スプラウトは生育方法により、アブラナ科のかいわれ大根などのグループとマメ科のモヤシなどのグループとに分けられ、前者が種から根を伸ばすのに対し、後者は頭部に種子を付けた状態で伸びていく違いがある[1]。また、栽培方法も、かいわれ大根などは茎が伸びた後は光を当てて栽培するのに対し、モヤシは光を当てることなく暗室のみで栽培するのが一般的である[2]。豆類のモヤシはビーンズスプラウト(ビーンスプラウト、Bean sprout) ともいう。

種類

もやしの主要な原料は大豆緑豆、ブラックマッペなどである[3]ムラサキウマゴヤシ (アルファルファ) のもやし (糸もやし) やソバのもやし (そばもやし) もあり、サラダなどに使われている。中国ではエンドウをモヤシにした豆苗が栽培されており、欧米ではフェヌグリークやアルファルファなどの豆類ももやしも一般的である。

  1. ^ a b 伊嶋まどか『はじめよう!キッチン野菜』学習研究社、2011年、48頁。 
  2. ^ 福田俊『フクダ流家庭菜園術』誠文堂新光社、2015年、90頁。 
  3. ^ 『新装版 もやしの得』主婦の友社、2016年、16頁。 

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