「米粉」の版間の差分

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m 穀粉は同義語ではない
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{{Otheruses|粉末にしたコメ|米を使った麺類|ビーフン}}
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[[ファイル:米粉100.jpg|thumb|コシヒカリを原料とする米粉]]
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'''米粉'''(米の粉)(べいふん、べいこ、こめここめのこ)は、[[米]]を[[穀粉|製粉]]したもの。'''穀粉'''(こくこ)ともいう。[[団子]]、[[餅]]、[[煎餅]]、[[麺類]]、[[米粉パン]]などの原料となる。[[グルテン#食品表示|グルテンフリー]]食品や、[[セリアック病]]の認知度が高まり、米粉食品が見直されている。「こめこ」の呼称はメディアから発信された読み方であり、其処から一般でも「こめこ」の名称が浸透しているが、本来は「べいふん」または「べいこ」と呼称されるものであり、[[ビーフン]]も「米粉(べいふん)」を由来とする。
'''米粉'''(べいふん、べいこ、こめこ;'''米の粉'''(こめのこ)とも)は、[[米]]を[[穀粉|製粉]]したもの。[[穀粉]]の一種。[[団子]]、[[餅]]、[[煎餅]]、[[麺類]]、[[米粉パン]]などの原料となる。[[グルテン#食品表示|グルテンフリー]]食品や、[[セリアック病]]の認知度が高まり、米粉食品が見直されている。「こめこ」の呼称はメディアから発信された読み方であり、其処から一般でも「こめこ」の名称が浸透しているが、本来は「べいふん」または「べいこ」と呼称されるものであり、[[ビーフン]]も「米粉(べいふん)」を由来とする。


== 米粉の種類 ==
== 米粉の種類 ==

2020年12月7日 (月) 07:38時点における版

コシヒカリを原料とする米粉

米粉(べいふん、べいこ、こめこ;米の粉(こめのこ)とも)は、製粉したもの。穀粉の一種。団子煎餅麺類米粉パンなどの原料となる。グルテンフリー食品や、セリアック病の認知度が高まり、米粉食品が見直されている。「こめこ」の呼称はメディアから発信された読み方であり、其処から一般でも「こめこ」の名称が浸透しているが、本来は「べいふん」または「べいこ」と呼称されるものであり、ビーフンも「米粉(べいふん)」を由来とする。

米粉の種類

米粉はうるち米またはもち米から作られる[1]

もち米のもの

  • 白玉粉寒ざらし粉)
  • 餅粉または求肥粉 もち米を洗った後で乾燥してから臼で粉に挽いたもの。厳密に言えば餅粉と求肥粉には粒子などの差があると言う意見もあるが、製粉業者も多くの和菓子店も同じ扱いをしている。
  • 道明寺粉
  • 寒梅粉(焼いたを砕いた粉)
  • 落雁粉 洗米し浸水して蒸したもち米を乾燥し粉砕した後、焦げないよう白煎りしたもの。
  • 微塵粉(みじん粉)
  • リ・ファリーヌ・レジェール

うるち米のもの

米粉の用途

米粉パン

ほか

製粉技術

  • 胴搗製粉方法(石臼杵搗き)
  • ロール製粉方法
  • 気流粉砕製法(ジェットミル)
  • 水びき
  • 高速粉砕機(ピンミール)

このほか、名称のついていない製法や特許製法、企業秘密など様々ある。用途によって使い分けがされている。

日本における米粉

原料

うるち米は、従来は2mm弱の網目をもったふるいで選別した「網下米」「くず米」などと呼ばれる粒食に適さないものを原料として使用してきたが、近年では、粒食として使用できる(そのまま炊いても食べられるほどの)米を米粉にするケースもでてきた[3]

くず米以外の米粉原料米としては、加工用米、ミニマムアクセス米(MA米)、現物弁済米などがある。加工用米は主にJAが取り扱っており、粒食用の米を加工用とすることで減反に含めることができる。原料米としては価格がやや高いが、粒食用米と同等の品質がある。MA米は、WTOの取り決めにより海外から輸入された米で、年間約80万トン輸入されている。現物弁済米は、米穀機構が取り扱っている米で、用途は限られるが比較的安価である。これらの米は、粒食に転用されないように砕いて(変形加工)から売却されている。また酒米のうち、酒造りに当たって精米で削り落とされた部分も米粉原料米に転用されている。

米粉は原料の違いに加えて、加工法によって上新粉白玉粉などの種類に分かれる[1]

なお、上述のうるち米の「網下米」は、加工用米として「特定米穀」と呼ばれ、品質管理などの仕組みが存在しなかった。粒食用のうるち米は食糧法などで管理されていたことと比べると管理が甘い状況にあり、そのため2008年に露呈した事故米不正転売事件で、事故米の流通先の一つとして米粉に流れたとの指摘がある[3]

歴史

米粉の歴史は古い。基本的に玄米、または精米した上で炊いてにしてから食べることが多かったが、一部地域では、米を挽いて粉にし、焼いて食べるなどしていた。やがて、こういった製法は強い粘り気のある餅米を主に使うようになったが、地域によっては従来のを使い続けた[4]。他、奈良時代頃に、米の粉に水を加えて練り、揚げ煎餅などの菓子が大陸から伝わった。江戸時代に入ると、泰平の世の中で和菓子が発展し、この材料として米粉や白玉粉が広く使われるようになった[5]

日本では米の消費がピーク時の1963年度の年間約1341万トンから2005年は約922万トンと減少しており[6]、一人あたりの消費量は1962年の年間約118.3kgから2005年は約61.4kgと減少している[7]

このような状況のもと、行政や関係団体は消費拡大を目指した取り組みを行ってきた。従来からある、煎餅団子落雁大福餅さくら餅などの和菓子製品だけでは消費拡大を期待することは難しく、小麦粉グルテンを添加してパンや麺などを量産する技術が確立されたことによって米の消費拡大への期待が高まっていたが、10年以上普及しなかった理由は米と小麦の価格差によるものであった。一部には米粉製品を学校給食に取り入れる自治体もあるが、技術的問題により品質にばらつきがあるなど急激に普及するまでには至っていない。

しかし、の国際相場が「中国やインド等での食糧需要の増大」「世界的なバイオ燃料の原料としての穀物等の需要増大」「地球規模の気候変動の影響」、といった構造的な要因に加え、輸出国における輸出規制に伴い大幅に上昇しており、小麦粉代替品としての日本国産の米粉が脚光を浴びることとなった。小麦価格高騰を受け、農林水産省は代替原料として米粉の増産支援に乗り出すこととなり、2009年4月に米穀の新用途への利用の促進に関する法律が成立した。

製粉技術の発達によって粒子を平均数十マイクロメートル以下まで細かく、損傷澱粉を少なくするなどして、従来の米粉(上新粉)より小麦粉の代用として使いやすくした微細粉米粉が注目されている[8]。製粉技術の進歩に日本では、国産米(地元産米)の消費拡大につながる新たな需要が期待されている。

米粉用イネ品種

米粉の利用拡大に取り組む主な自治体

タイにおける米粉

タイには様々な米粉を利用した料理がある。

  • カノムクロック - 米粉とココナッツミルクを混ぜて焼いた、たこ焼きのような菓子[11]
  • カノムブアン - 米粉とココナッツクリームを混ぜて固く焼いた、八ツ橋のような菓子[11]
  • カノムサイサイ - 餡を米粉の生地に包みバナナの葉にくるんで蒸した菓子[11]
  • カノムチャン - 米粉とタピオカ粉でできた層状のゼリー[11]
  • カノムターン - 米粉の生地にサトウヤシの果肉とジュースをかけて蒸したもの[11]

ヨーロッパにおける米粉

ヨーロッパのパン業界ではグルテンなしのパン作りは不可能と考えられていたが、グルテンフリーの食品が注目を浴びるようになり、製パン・製菓材料として利用されるようになった[12]

米粉粘土

幼児教育用の粘土に米粉を主原料にした米粉粘土がある[13]。幼児が誤って口にしたときのために安全性を考慮した製品に小麦粉粘土があるが、小麦粉粘土には小麦アレルギーによるリスクがあるため米粉で代用したもの[13]

脚注

  1. ^ a b 全国穀類工業協同組合公式サイトより
  2. ^ a b c 米粉VS小麦粉 どっちがおいしい? 天ぷら、ホットケーキ… 日本経済新聞 プラスワン 2010年6月11日
  3. ^ a b 池田信太朗 『事故米騒ぎで露呈した「米粉」普及の障害』日経ビジネスオンライン(日経BP)、2008年9月30日付配信
  4. ^ 青森の郷土料理とは しとぎもち”. 青森県農林水産部総合販売戦略課. 2020年10月19日閲覧。
  5. ^ 食について学ぼう たべもの事典 米粉(お米の粉)について”. グリコ栄養食品. 2020年10月19日閲覧。
  6. ^ 農林水産省『食料需給表』「項目別累年統計:国内消費仕向量 米」 (Microsoft Excelの.xls)
  7. ^ 農林水産省『食料需給表』「項目別累年統計:国民1人・1年当たり供給純食料 米」 (Microsoft Excelの.xls)
  8. ^ 『米粉』とは、微細粉の大きさは? なぜ米粉が注目されているの? (PDF) 長野県公式ホームページ
  9. ^ 新潟県:「米粉のお部屋」は新潟県の米粉情報ページです
  10. ^ FOOD ACTION 美作
  11. ^ a b c d e 佐藤正透『暮らしのタイ語単語7000』語研、2005年、75頁
  12. ^ グルメ大国フランスに、グルテンフリーの波 朝日新聞、2014年9月10日。
  13. ^ a b 藤原 逸樹. “粘土遊びの指導法に関する一考察”. 安田女子大学. 2019年11月11日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク