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司法書士
英名 Judicial scrivener [1]
Shiho-shoshi (Solicitor) [2][3]
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家資格
分野 法律
試験形式 筆記試験、口述試験
認定団体 法務省
等級・称号 司法書士
根拠法令 司法書士法
公式サイト

司法書士法

日本司法書士会連合会

司法書士試験
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司法書士(しほうしょし)とは、専門的な法律の知識に基づき、登記供託訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする国家資格である[4]。また、法務大臣から認定を受けた認定司法書士は、簡易裁判所における民事訴訟民事執行民事保全和解調停などにおいて当事者を代理することができる[5]弁護士弁理士税理士行政書士社会保険労務士土地家屋調査士海事代理士と共に職務上請求権が認められている8士業の一つである。

概要

司法書士は、司法書士法の規定に基づき登記[6]及び供託の代理、裁判所検察庁法務局公証役場に提出する書類の作成提出、財産管理業務[7]、経営管理業務、その他の法律事務を業として行う[8]。戦前は、裁判所が登記所を管轄していたことから、登記を含む裁判書類作成提出業務がメインであったが、戦後は法務局が登記所と供託所を管轄していることから、登記の代理及び裁判書類作成提出業務が主な業務となった。

司法制度改革に伴い、平成14年に誕生した「認定司法書士」は、上記の業務に加えて、簡易裁判所にて取り扱うことができる140万円までの民事訴訟訴え提起前の和解支払督促証拠保全民事保全民事調停少額訴訟債権執行裁判外の和解仲裁筆界特定についても代理できる[9]イギリス連邦及び香港のSolicitor Advocateを参考にした制度であり、簡易裁判所の99.0%をカバーしており、大都市偏在の弁護士とは対照的である[10][11]

厚生労働省の職業分類表では、司法書士は「専門的・技術的職業」(B)の「法務の職業」(17)の「司法書士」(175)と分類される[12]総務省の日本標準職業分類では、「専門的・技術的職業従事者」(大分類 B)の「法務従事者」(中分類 17)の「司法書士」(175)と分類される[13]。同じく総務省の日本標準産業分類では、司法書士事務所(7221)は「学術研究,専門・技術サービス業」(大分類 L)の「専門サービス業(他に分類されないもの)」(中分類 72)と分類される[14]

歴史

  • 1872年(明治5年) - 司法職務定制 : 代書人制度の誕生
    • 初代法務大臣江藤新平が推進した司法制度整備により太政官無号達で司法職務定制が定められる。『各区代書人ヲ置キ各人民ノ訴状ヲ調成シテ其詞訟ノ遺漏無カラシム』第10章の「証書人代書人代言人職制」の中に法制度を支える基本的な職能が定められた。証書人は現在の公証人、代書人は現在の司法書士、代言人は現在の弁護士である。明治5年当時はフランスの制度に基づいていたが、司法書士と公証人はその後明治維新を支援した英国型に切り替わることとなる。(後述)
  • 1886年(明治19年8月13日) - 法律第1号「登記法」(明治20年2月1日施行)が憲法・民法よりも早くに制定される[15]。司法書士の中心業務となる不動産登記や商業登記の元となる法律であり、これ以降、司法書士は法務から一般事件に対応する英国型(Solicitor)として発展していくこととなる。当初のフランス型は訴訟のみに関与する専門家(Avoue)だった。
  • 1890年(明治23年) - 大日本帝国憲法施行
  • 1919年(大正8年) - 司法代書人法制定 : 司法職務定制での「代書人」が司法代書人として法定化され、既に行政代書を行っていた一般の代書人との違いを法的に追認した。[16]
  • 1935年(昭和10年) - 旧司法書士法制定 : 「司法代書人」から「司法書士」に名称変更。
  • 1947年(昭和22年) - 日本国憲法施行
  • 1950年(昭和25年) - 新司法書士法制定 : 新憲法下で新たな司法書士法が成立。官の全面的な監督権が廃止された。
  • 1978年(昭和53年) - 司法書士制度の目的および司法書士の職責に関する規定を明確化。国家試験制度導入。
  • 2002年(平成14年) - 司法制度改革において、簡裁訴訟代理等関係業務規定・司法書士法人規定・経営管理業務等が創設される。
  • 2020年(令和2年) - 使命規定創設。司法書士一名による司法書士法人が設立可能となった。また懲戒権者が法務局長から法務大臣に変更された。[17]

資格・登録

司法書士となる資格

  • 司法書士試験に合格した者[18]
  • 裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官若しくは検察事務官としてその職務に従事した期間が通算して十年以上になる者又はこれと同等以上の法律に関する知識及び実務の経験を有する者であって、法務大臣が司法書士の業務を行うのに必要な知識及び能力を有すると認めたもの[19]

欠格事由

次のいずれかに該当する者は、上記にかかわらず、司法書士となる資格を有しない[20]

  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから3年を経過しない者
  • 未成年者
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 公務員であって懲戒免職の処分を受け、その処分の日から3年を経過しない者
  • 第47条の規定により業務の禁止の処分を受け、その処分の日から3年を経過しない者
  • 懲戒処分により、公認会計士の登録を抹消され、又は土地家屋調査士、弁理士、税理士若しくは行政書士の業務を禁止され、これらの処分の日から3年を経過しない者

成年被後見人又は被保佐人欠格条項とする規定については、令和元年6月14日に公布された「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」によって削除され、心身の故障等の状況を個別的、実質的に審査し、必要な能力の有無を判断することとなった。

登録

司法書士となる資格を有する者が、司法書士となるには、日本司法書士会連合会の司法書士名簿に登録を受けなければならない[21]。令和2年4月1日時点の登録者数は22,724名(うち女性4,067名。簡裁訴訟代理等関係業務認定司法書士数17,475名)[22]、令和2年6月1時点の設立司法書士法人数は750法人[23]である。

認定司法書士制度

法務大臣の認定を受けた司法書士が、簡易裁判所管轄の民事事件等一定の事件を弁護士と同様に務めることができる制度である。 なお、法務大臣の認定を受けるためには下記の条件を満たさなければならない。

  • 日本司法書士会連合会が実施する研修であつて法務大臣が指定するものの課程(特別研修)を修了する[24][25][26]
  • この研修を修了した者の申請に基づき法務大臣が簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定する[27]

監督

司法書士に対する懲戒は、法務大臣が行う[28]

司法書士の業務

司法書士の業務内容は、以下の通りである[29]

通常の司法書士業務(本来業務)

  • 登記又は供託に関する手続についての代理[30]
  • 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類の作成[31]
  • 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続の代理[32]
  • 裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類の作成[33]
  • 上記に関する事務に関し相談に応ずること[34]
  • 作成された書類の法務局・裁判所等関係各所への提出代行[35]

これらの業務は資格者以外はすることができない独占業務である[36]
登記代理の具体例は不動産登記商業登記法人登記船舶登記債権譲渡登記動産譲渡登記などの代理を指し、法務局等提出・提供書類の具体例は登記・供託手続きや確定日付付与等の法務局手続きに関する各申請書及びこれらに添付・提供が予定されて作成される書類(売買契約書、各種議事録、定款等[37])や不動産登記規則に基づく法定相続証明情報の申出手続代理及び書類作成[38]、自筆証書遺言書保管制度での各種申請書[39] 、帰化申請手続書類、人権救済手続の申出関係書類などを指し、裁判所若しくは検察庁に提出する書類の具体例は訴状、答弁書、各種審判申立書等の申立書類からこれらに添付を予定して作成される書類又はこれらの官庁に提出を予定して作成する各種書類等[40]を指す。

また、法務局裁判所以外の機関でもこれらに準じる機関(例えば検察審査会やADR機関など)への提出する書類もこれら含まれる[41]

通常の司法書士業務(附帯業務)

※備考[42]

  • 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、管財人管理人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し、若しくは補助する業務[43]
  • 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、後見人保佐人補助人監督委員その他これらに類する地位に就き、他人の法律行為について、代理、同意若しくは取消しを行う業務又はこれらの業務を行う者を監督する業務[44]
  • 司法書士又は 司法書士法人の業務に関連する講演会の開催、出版物の刊行その他の教育及び普及の業務[45]
  • 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律 (平成十八年法律第五十一号)第三十三条の二第一項 に規定する特定業務[46]
  • 通常の司法書士業務に附帯し、又は密接に関連する業務[47]

いわゆる成年後見人相続財産管理人不在者財産管理人遺言執行者等の財産管理業務[48]や公正証書遺言の証人立会、公正証書の嘱託代理などの業務の根拠規定である。

認定司法書士が通常の業務に加えて行える業務(簡裁訴訟代理等関係業務(認定業務))

法務大臣の認定をうけた司法書士(認定司法書士)は次の業務を行うことができる[49]。ただし目的の価額が140万円[50]を超えないものに限る[51]。(筆界特定手続について代理をする業務に関しては対象土地の評価額の合計が5600万円以内)

  • 簡易裁判所における民事訴訟手続の代理
  • 訴え提起前の和解(即決和解)手続の代理
  • 支払督促手続の代理
  • 証拠保全手続の代理
  • 民事保全手続の代理
  • 民事調停手続の代理
  • 少額訴訟債権執行手続の代理
  • 裁判外の和解について代理する業務
  • ADR(裁判外紛争解決手続)の代理
  • 仲裁手続の代理
  • 民事紛争の相談
  • 筆界特定手続について代理をする業務

付随業務

司法書士は上記本来業務、附帯業務、認定業務に付随する業務を行うことができる。[52]

他の法令等で示されている業務例

司法書士の業務は本来業務、附帯業務、認定業務及びこれらの付随業務と区別でき、これら司法書士の業務範囲に含まれものとしては多岐にわたる。このため上記本来業務、附帯業務、認定業務及びこれらの付随業務の記事中に記載のあるものの他、法令、通達、裁判例等で業務範囲であると示されている具体的な例は下記の通りである。

  • 不動産登記法に基づく本人確認情報提供業務[53]
  • 不動産売買等における立会い業務[54]
  • 登記申請の前提となる実体関係の存否を調査確認するために必要な業務[55]
  • 報告式登記原因証明情報への登記原因等の確認についての奥書証明[56]
  • 民事執行法第82条第2項による登記嘱託書交付手続[57]
  • 民間紛争解決手続(ADR手続き)の手続実施者[58]
  • 国又は地方公共団体から依頼を受けて行う相続人調査業務[59]
  • 仲裁法に基づく仲裁人業務[60]
  • 検察審査会に提出する書類(審査申立書、取下書、証人申出書等)の作成[61]
  • 警察署へ提出する告訴状・告発状の作成[62]
  • 登記・裁判所手続き等司法書士法に定める業務に付随する必要な範囲内での官公署提出書類(租税、公課等の証明願、戸籍及び住民票の謄抄本交付請求書等)作成[63]
  • 公証人に対して行う公正証書作成の嘱託代理業務[64]
  • 公証人に対して行う確定日付付与手続代理[65]
  • 公正証書遺言作成における証人立会業務[66]
  • 宗教法人が登録免許税の免除を受けるために行う基づく手続き(いわゆる境内地証明手続き)[67][68]
  • ADR機関への申立書作成[69]
  • 不動産登記法第70条第3項に定めるいわゆる休眠担保権の抹消手続きにおいて、債務者に送る受領催告書につき代理人となること[70]
  • 司法書士法に定める業務が予定されている場合における相続人調査・確定業務は司法書士法第3条第1項第5号業務とされている[72]
  • 法律相談に付随する本人名義の簡易法律文書作成(例えば時効援用通知など)[73]
  • 140万円以内での自賠責保険請求代理や後遺障害の被害者請求代理業務及びこれら法律事務を取り扱う過程で作成される書類作成[74]
  • 表示に関する登記のうち下記登記申請手続(ただし、3ないし6の登記については土地家屋調査士の作成する所要の図面を添付する場合に限る)[75]
    1. 所有者表示の変更又は更正の登記
    2. 共有持分の更正の登記
    3. 裁判の謄本を添付してする登記
    4. 債権者代位によってする登記
    5. 相続人がする土地又は家屋の分割又は合併の登記
    6. 旧不動産登記法第83条第3項(同法第93条の2第2項において準用する場合も含む)の書面を添付してする土地・建物の分割の登記
    7. 農業委員会の現況証明書を添付してする農地法第5条の許可に係る地目変更の登記
  • 土地家屋調査士とともにする場合であれば、当事者の嘱託を受けて、不動産登記法第49条第1項後段の規定による登記(合体後の建物についての建物の表題登記及び合体前の建物についての建物の表題部の登記の抹消)に係る部分をすることができる[76]
  • 農業委員会に対する現況証明(非農地証明)願の申請[77]

非司法書士の取り締まり

  • 司法書士会に入会している司法書士または司法書士法人でない者(公共嘱託登記司法書士協会を除く)が、司法書士の業務を行ったり、司法書士または司法書士法人の名称またはこれと紛らわしい名称を用いたりした場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる[78][79]
  • 司法書士法に定められている業務は弁護士法の一般の法律事務にも当てはまる[80]ことから、司法書士法違反事実をもって弁護士法違反にも問われることもある[81]
  • 司法書士法第73条は他の法律に別段の定めがある場合を例外としているが、その「他の法律」とは弁護士法、土地家屋調査士法に限られ、行政書士法は含まない[82]
  • 司法書士法の解釈上正当な業務に付随する場合には司法書士法第73条違反にならない場合があるとされている[83]。ただ司法書士法第73条違反にならない付随行為については司法書士に登記業務が集中されている歴史的経緯から例外的かつ限定的に解釈されるとされており[84]、現在では公認会計士又は会計士補が受任している業務に付随する場合に会社設立登記の登記申請書類の作成及び登記申請代理ができるとする通達が認められている唯一の例外である。[85]
  • 司法書士法の解釈上正当な業務に付随する場合には司法書士法第73条違反にならない場合があるとされているが、行政書士は本来業務としてはもとより正当な業務に付随しても司法書士業務を行うことができないと最高裁判例により解釈が確定してる。[86]
  • 海事代理士に関しては制度制定以前の前身職能であった海事代願人が上記付随行為として船舶登記について行うことが認められていた[87]。事後海事代理士法制定により法律上付随行為として行い得ることを追認された経緯から、司法書士法第73条の「他の法律」に海事代理士法含まないとの解釈となっている[88]。このため船舶登記に関しては司法書士と海事代理士の共管業務となっている。
  • 認定業務は司法書士法上罰則規定はないが、この業務は弁護士法の法令の別段の定めにあたるため無資格者が行った場合には弁護士法違反となる[89]
  • 非司法書士による書類作成業務(法務局又は地方法務局に提出し提供する書類の作成、裁判所若しくは検察庁に提出する書類作成)も取締の対象になっている[90]が、司法書士法第3条8項以外に制限を付されていないことから法令上の要請により一定の要件が満たされている書類に限らず提出・提供される書類であればすべて含まれる。また作成時期に関する時間的な制約も付されていないことから、将来法務局、地方法務局、裁判所、検察庁に提出されることが予定されて作成される場合も取締の対象となる[91]
  • 書類の作成業務(法務局又は地方法務局に提出し提供する書類の作成、裁判所若しくは検察庁に提出する書類作成)には申請書、申立書等のほか添付書類の作成も含まれているが、申請書等の法律文書の添付書類も法律文書と一体をなすものであるから添付書類だけを独立した書類として分離して判断はされない[92]

業務制限

  • 司法書士は、通常の司法書士業務とされている業務であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、これを行うことができない[93]
  • 法第3条8項は法3条1項の業務を縮減する性質を有しているため司法書士法の定める業務自体弁護士法の定める法律事務である以上、弁護士法との関係において司法書士法第3条8項により制約される関係ではない。しかし業務範囲を超える場合は弁護士法第72条違反の問題となるとされている[94][95]

司法書士に関する組織

日本司法書士会連合会

日本司法書士会連合会は法務局又は地方法務局の管轄区域ごとに設立された司法書士会の上部組織である。詳しくは日本司法書士会連合会を参照。

司法書士会(単位会)

司法書士は、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域ごとに、会則を定めて、一箇の司法書士会を設立しなければならない。司法書士会は、会員の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。

  • 司法書士会の会則を定め、又はこれを変更するには、法務大臣の認可を受けなければならない。(司法書士法第54条)
  • 司法書士会は、所属の会員が、この法律又はこの法律に基づく命令に違反すると思料するときは、その旨を、その司法書士会の事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長に報告しなければならない。(司法書士法第60条)。
  • 法務局又は地方法務局の長は、必要があると認めるときは、法又は法に基づく命令の規定に違反する事実の有無について、法務局又は地方法務局の保有する登記申請書その他の関係資料の調査(司法書士法等違反に関する調査)を、その管轄区域内に設立された司法書士会に委嘱することができる。(司法書士法施行規則第41条の2)

公共嘱託登記司法書士協会

公共嘱託登記司法書士協会は司法書士権能を法人に付与し、公共事業実施に伴い大量に発生する官公署の嘱託登記を適正・迅速に処理するため司法書士法68条に規定された社団法人である。嘱託登記の大きな特徴は、一般の登記申請手続は当事者の共同申請によるのが原則であるが、嘱託登記の手続は、官公署が権利者又は義務者であっても官公署からの一方的な嘱託によってなされる点にある。社員は司法書士・司法書士法人である。詳しくは公共嘱託登記司法書士協会を参照。

その他司法書士関連団体

上記組織の他、全国的に下記の司法書士関連団体(任意)が活動している。

司法書士試験

司法書士になるための第一のルートは、法務省が実施する司法書士試験に合格することである。司法書士試験は、年齢・性別・国籍を一切問わない、有能な法律家を選抜する試験となっている。司法書士試験は、まず「筆記試験」が実施され、次に筆記試験に合格した者を対象にした「口述試験」が実施される。

筆記試験は、毎年、7月の第1週(又は第2週)の日曜日に各法務局管轄の受験地で行われている。

午前の部は、多肢択一式35問を2時間で解答する。科目は、憲法民法刑法商法会社法その他の商法分野の法令を含む)の4科目から出題される。

午後の部は、多肢択一式35問と記述式2問を3時間で解答する。科目は、択一では民事訴訟法民事保全法民事執行法司法書士法供託法不動産登記法商業登記法の7科目から出題され、記述式では不動産登記法商業登記法から出題される。

これら11科目が試験科目であり、民法、不動産登記法、商法、商業登記法はまとめて主要四科目と呼ばれ、出題数の大半を占めている。 なお、筆記試験において午前の部多肢択一式、午後の部多肢択一式、記述式それぞれにおいて一定の点数に達しない場合にそれだけで不合格となる仕組みとなっている。

口述試験は、毎年、10月中旬頃に実施される。試験科目は、筆記試験と同一の範囲からの出題となっている。(ただし、通年受験者のほぼ10割が合格する試験であり、形式的なものである。)万が一落ちた場合であっても、筆記試験に合格した者に対しては、その申請により、次回の司法書士試験の筆記試験を免除する(司法書士法第6条第3項)規定となっている。

筆記試験の合格発表は、例年10月上旬に、受験地を管轄する法務局又は地方法務局において、その受験地で受験して合格した者の受験番号を掲示する。また法務省ホームページにも同様に掲載される。 最終合格の発表は、例年11月上旬に、受験地を管轄する法務局又は地方法務局において、その受験地で受験して合格した者の受験番号及び氏名を掲示する。また法務省ホームページにも掲示されるが、こちらは受験番号のみである。最終合格者は、前記の発表後、若干期間をおいて受験番号及び氏名が官報に掲載される。

年度 出願者(人) 受験者(人) 合格者(人) 合格率
平成元年度 18,234 406 2.2%
平成2年度 18,533 408 2.2%
平成3年度 18,599 408 2.2%
平成4年度 18,339 403 2.2%
平成5年度 18,044 405 2.2%
平成6年度 18,266 440 2.2%
平成7年度 17,682 479 2.7%
平成8年度 19,090 504 2.6%
平成9年度 21,158 539 2.5%
平成10年度 21,475 567 2.6%
平成11年度 21,839 577 2.6%
平成12年度 22,715 615 2.7%
平成13年度 23,190 623 2.7%
平成14年度 25,416 701 2.8%
平成15年度 28,454 790 2.8%
平成16年度 29,958 865 2.9%
平成17年度 31,061 883 2.8%
平成18年度 31,878 26,278 914 2.9%
平成19年度 32,469 26,860 919 2.8%
平成20年度 33,007 27,102 931 2.8%
平成21年度 32,558 26,774 921 2.8%
平成22年度 33,166 26,958 948 2.8%
平成23年度 31,228 25,696 879 2.8%
平成24年度 29,379 24,048 838 2.8%
平成25年度 27,400 22,494 796 2.9%
平成26年度 24,538 20,130 759 3.0%
平成27年度 21,754 17,920 707 3.2%
平成28年度 20,360 16,725 660 3.2%
平成29年度 18,831 15,440 629 3.3%
平成30年度 17,668 14,387 621 3.5%
令和元年度 16,811 13,683 601 3.5%
令和2年度 14,431

職務従事経験者

司法書士になるための第二のルートとして、一定の職にあった者の中から法務大臣による考査を経て司法書士資格を得ることである。法務大臣の「司法書士の資格認定に関する訓令」第1条に、次に掲げる者は、法務大臣に対し、資格認定を求める事ができるとあり、 (1) 裁判所事務官裁判所書記官法務事務官又は検察事務官として登記、供託若しくは訴訟の事務又はこれらの事務に準ずる法律的事務に従事した者であって、これらの事務に関し自己の責任において判断する地位に通算して10年以上あった者、 (2) 簡易裁判所判事又は副検事としてその職務に従事した期間が通算して5年以上の者が規定されている。その者が資格認定を求めた場合の判定は、口述及び必要に応じ筆記の方法によって行うと規定されている。

資格取得後

筆記及び口述試験合格後、または法務大臣の認可を受けた後、事務所所在地を管轄する都府県司法書士会又は札幌、旭川、釧路、函館各司法書士会(北海道には4つの司法書士会があり、全部で50の単位会がある)へ入会して、日本司法書士会連合会が行う司法書士名簿への登録を受けなければ司法書士としての業務を行うことができない。また、司法書士法人を設立することもできる。

なお、法律上資格取得後直ちに入会・登録ができる制度にはなっているが、多くの試験合格者は業界団体の主催する研修を受け、先輩の事務所に入所し数年間の訓練を受けた上で登録・開業するのが一般的である。

司法書士は、年齢・性別・国籍を問わない優秀者選抜制度により、年齢制限もなければ転職も比較的自由という世界標準の雇用制度を実現している。そして、その好循環を国民の信頼並びに業務拡大へとつなげている。

簡裁訴訟代理等能力認定考査

法務大臣が簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定するために能力認定考査が実施される。例年6月の第1日曜日に実施され、合格発表は9月1日前後に行われる[96]

年度 受験者(人) 合格者(人) 合格率
平成15年度 3,788 2,989 78.9%
平成16年度(1回目) 4,403 3,413 77.5%
平成16年度(2回目) 3,439 2,342 68.1%
平成17年度 1,640 966 58.9%
平成18年度 1,565 969 65.9%
平成19年度 1,609 1,148 71.3%
平成20年度 1,445 935 64.7%
平成21年度 1,493 895 59.9%
平成22年度 1,531 1,053 68.8%
平成23年度 1,391 917 65.9%
平成24年度 1,259 829 65.8%
平成25年度 1,196 830 69.4%
平成26年度 1,062 741 69.8%
平成27年度 987 649 65.8%
平成28年度 940 556 59.1%
平成29年度 915 526 57.5%
平成30年度 874 377 43.1%
平成31年度 936 746 79.7%

その他

  • 司法書士(認定・非認定問わず、法人も)から受任通知(債務の処理の委託を受けた旨の通知)を受け取った債権者は正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求することが禁止される[97]
  • 公証人法第13条ノ2に規定する公証人(特任公証人)の公募選考資格の一つに司法書士としての実務の経験年数が通算して15年以上の者が規定されている[98]
  • 執行官採用選考試験の受験資格の一つとして司法書士が挙げられている[99]
  • 予備自衛官(法務職)の任用資格になっている[100]
  • 司法書士は裁判員に就職することができない[101]
  • 司法書士は検察審査会検察審査員に就職することができない[102]
  • 司法書士は弁理士試験において一部科目の免除がされる[103][104]
  • 司法書士試験合格者には社会保険労務士試験の受験資格が付与される[105][106]
  • 司法書士で10年以上の実務経験がある者は国会議員政策担当秘書の選考採用審査認定(一般試験ではなく特別の採用審査)を受けることができる者とされている[107]

司法書士の徽章

司法書士の徽章バッジ)は、「五三桐花」。直径13 mm、厚さ約3 mmで、裏に通しのナンバリングが施されている。司法書士徽章は、司法書士会に入会後交付され(実際には、貸与される。貸与料は、返還まで6500円)、退会届提出時、あるいは業務停止の処分を受けたときは速やかに司法書士会に返還しなければならない。

脚注

  1. ^ 戸籍法、戸籍法施行規則、不動産登記法の記述より”. 日本法令外国語訳データベースシステム. 法務省. 2016年8月13日閲覧。
  2. ^ Shiho-shoshi (Solicitor)”. 日本司法書士会連合会. 2016年8月2日閲覧。
  3. ^ 司法書士パンフレット 英語版 Shiho-shoshi(Solicitor)Profile” (PDF). 日本司法書士会連合会. 2016年8月4日閲覧。
  4. ^ 司法書士法”. 2020年8月30日閲覧。
  5. ^ 司法書士の業務”. 法務省 (2011年6月). 2016年8月20日閲覧。
  6. ^ 不動産登記、会社・法人等商業登記、動産・債権譲渡登記、船舶登記など
  7. ^ 成年後見人相続財産管理人不在者財産管理人遺言執行者など
  8. ^ 司法書士 B175-01” (PDF). 厚生労働省職業安定局 (2011年6月). 2015年5月19日閲覧。
  9. ^ 司法書士の簡裁訴訟代理等関係業務の認定”. 法務省. 2015年5月19日閲覧。
  10. ^ 加藤真美、小田敬美「専門職型ADRの発展可能性―司法書士会ADRの現状調査とその分析を中心に―」(PDF)『地域創成研究年報』第11号、愛媛大学地域創成研究センター、2016年、12-40頁“全国438か所の簡易裁判所のうち、434箇所の簡易裁判所管轄区域内において司法書士事務所が設置されており約99.0%の簡裁区域をカバーしている。認定司法書士がいる簡易裁判所数は432となっており約98.6%のカバー率となっている(中略)司法書士は、登記事務を中核的業務の一つとしている。そのため、大都市や県庁所在都市中心部だけでなく登記所(法務局)のある中小都市にも広範に分布している” 
  11. ^ 日本司法書士会連合会 (2012年3月19日). “「法曹の養成に関する制度のあり方」等について” (PDF). 法曹の養成に関するフォーラム・ヒアリングレジュメ. 法務省. 2018年6月26日閲覧。
  12. ^ B 専門的・技術的職業”. 厚生労働省職業安定局 (2011年6月). 2015年5月18日閲覧。
  13. ^ 日本標準職業分類(平成21年12月統計基準設定)-分類項目名”. 総務省 (2009年12月21日). 2015年5月18日閲覧。
  14. ^ 日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-分類項目名”. 総務省 (2013年10月). 2015年5月18日閲覧。
  15. ^ 司法書士の歴史”. LEC東京リーガルマインド. 2018年6月26日閲覧。 “大日本帝国憲法の制定(明治22年)、民法典の制定(明治23年)より先んじて、明治19年8月13日、司法書士に関係の深い法律が制定されました。それは、法律第1号「登記法」(明治20年2月1日施行)です。明治政府にとって収税目的からも重要な法律であり、いち早く公布されました。これにより、不動産登記制度が創設され、現在の司法書士のメイン業務である登記業務に至ります。”
  16. ^ 司法職務定制にいう代書人から司法書士、行政書士が分離したのではなく、それぞれ別々に成立発展してきたものと考える方が説得的であるとされている。(月報司法書士533号76頁、司法書士の社会的役割と未来5頁)。
  17. ^ 官報2020年6月10日付号外「司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」https://kanpou.npb.go.jp/20200610/20200610g00114/20200610g001140025f.html
  18. ^ 司法書士法第4条第1号
  19. ^ 司法書士法第4条第2号
  20. ^ 司法書士法第5条
  21. ^ 司法書士法第8条第1項
  22. ^ https://www.shiho-shoshi.or.jp/association/release/rengokai-data/
  23. ^ https://www.shiho-shoshi.or.jp/association/shiho_shoshi_listh/
  24. ^ 司法書士法第3条2項第1号
  25. ^ 司法書士法第三条第二項第一号の法人を定める省令
  26. ^ 法務大臣が簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定するために能力認定考査が実施され、そこで一程度の習得があると判断されれば認定される。(司法書士法施行規則第11条)
  27. ^ 司法書士法第3条2項第2号
  28. ^ 司法書士法第47条
  29. ^ 司法書士法第3条、第29条及び司法書士法施行規則第31条
  30. ^ 司法書士法第3条第1項第1号。なおこの業務には登記代理の他に登記原因の調査、本人確認も含まれる(平成13年5月10日東京地方裁判所判決、平成19年7月18日さいたま地方裁判所判決、注釈司法書士法p.37など)。
  31. ^ 司法書士法第3条第1項第2号
  32. ^ 司法書士法第3条第1項第3号
  33. ^ 司法書士法第3条第1項第4号
  34. ^ 司法書士法第3条第1項第5号
  35. ^ 法律上の明文規定はないが行政先例において「作成」業務に付随して当然に含まれるものとされている。昭和29年1月13日民事甲第2553号法務事務次官回答、昭和28年3月28日民事甲第491号民事局長電報回答
  36. ^ 司法書士法第73条
  37. ^ 昭和39年9月15日民事甲第3131号民事局長回答
  38. ^ 司法書士法第3条業務のみに使用が認められている職務上請求が平成29年7月5日法務省民事一課事務連絡により使用が可能となったことから同法業務として確認された。
  39. ^ 令和2年8月5日民二663号民事局長回答
  40. ^ 昭和39年9月15日民事甲第3131号民事局長回答。なお「権利義務に関する諸般の契約書類」が含まれるとする古い先例等(明治36年11月5日代書人組合規約、大正11年3月2日民事局長回答)があり、広く法律関係文書作成ができる根拠となっている。
  41. ^ 昭和36年10月14日民事甲第2600号民事局長回答
  42. ^ この附帯業務は法令等に基づきすべての司法書士が行うことができるものとして定められている。この「法令等」は形式的な意味の法律、行政機関によって制定される命令、最高裁判所規則、条例・規則その他地方公共団体の制定する法規、行政庁の訓令、慣習法、事実たる慣習、司法書士会の会則・会規・規則を広く含む趣旨で用いられている。また特段法令によって司法書士が行うことが禁止されていないものも含むものとされていることから、特定の業務を定めいない司法書士法施行規則第31条第1項第5号業務は自然人である司法書士が通常行っている業務全般を含むものとされている。(注釈司法書士法)
  43. ^ 司法書士法施行規則第31条第1項第1号
  44. ^ 司法書士法施行規則第31条第1項第2号
  45. ^ 司法書士法施行規則第31条第1項第3号
  46. ^ 司法書士法施行規則第31条第1項第4号
  47. ^ 司法書士法施行規則第31条第1項第5号
  48. ^ 司法書士法施行規則第31条第1項第1号、第2号
  49. ^ 司法書士法第3条第1項第6号から第8号
  50. ^ 裁判所法第33条第1項第1号
  51. ^ 司法書士法第3条第1項第6号から第8号及び司法書士法第29条第1項第2号
  52. ^ 昭和39年9月15日民事甲第3131号民事局長回答など
  53. ^ 不動産登記法第23条
  54. ^ 裁判例では「公知の事実」とされ、業務性を認め委任事務に関し損害賠償義務を認めている。昭和63年5月25日大阪地裁判決 判時1316号107頁。その他平成25年12月25横浜地裁判決など。
  55. ^ 注釈司法書士法(第三版)p37。裁判例では登記申請の前提となる実体関係の存否を調査確認する義務がある(昭和61年1月27日大阪地裁判決 判例タイムズ612号59頁、判例時報1208号96頁)とされ、また司法書士が登記申請手続を受任した場合、委任者でなければできない行為を除くその余の代替的事務の処理は特段の事情のない限り受任者である司法書士においてこれをなすことを要する(昭和62年1月30日京都地判判決 判例時報1246号122 頁)とされているため、例えば農地非農地の有無の調査や財産処分における宗教法人法に定めた手続きの履践の確認等は登記申請代理人として司法書士法上義務を負わされることになる。このためこれらの義務を履行するために必要な事実の確認、書類の作成、相談等は司法書士の業務となる。
  56. ^ 登記研究730号「実務の視点」、司法書士法施行規則28条。当事者の依頼により業務(委任状に登記原因証明情報の作成について授権を受けた旨の記載が必要である。)として登記原因証明情報を作成する場合には、登記原因証明情報の作成名義人である登記権利者及び登記義務者の押印を要する(ただし、登記権利者の押印は必ずしも必要ではない。)とともに、資格者代理人が登記原因を確認した事実として、(1)確認の日時・場所・同席者等、(2)確認した事実(登記権利者及び登記義務者双方の本人確認・売買契約書・代金の授受・領収書の交付等)、(3)その他後日のために有益な情報の記載(領収書の写し等)をし、最後に確認したことを奥書した上、司法書士法施行規則28条等の規定に基づく記名及び職印の押印をすることとしている。なお同書では「登記申請に関する一切の件」とする委任事項は、法務局に提出する書類の作成に関する委任も含むため、この委任事項でも可能としている。
  57. ^ 民事執行法第82条第2項
  58. ^ 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律第6条第5号、司法書士法第3条第1項第7号、同第3条第2項
  59. ^ 平成29年9月13日法務省民制第70号法務省民事局長依頼文には相続人探索業務を司法書士に外部委託する場合に司法書士による職務上請求によって戸籍謄本等の調査ができる旨が記載されている国交省ガイドラインが援用されている。また平成29年7月20日日司連発第473号日司連会長回答において相続人調査業務ができることを前提に法務省民事局が職務上請求による戸籍取得の整理を行ったとある。
  60. ^ 仲裁法第17条、司法書士法第22条
  61. ^ 昭和36年10月14日民事甲第2600号民事局長回答
  62. ^ 昭和14年2月17日警察部長回答
  63. ^ 昭和39年9月15日民事甲第3131号民事局長回答、昭和39年7月7日自治省事務次官通知、昭和62年6月19日行政課長回答、平成16年6月18日内閣衆質159第158号内閣総理大臣答弁、平成20年12月8日規制改革会議への要望に対する法務省回答、平成21年1月20日規制改革会議への要望に対する法務省再回答、詳解行政書士法p.218、行政書士関係法令先例総覧文書番号34及び209
  64. ^ 司法書士法施行規則第31条第1項第5号、最高裁平成15年12月18日決定、最高裁判所判例解説(刑事編)平成15年、平成6年5月31日札幌高等裁判所判決、平成7年5月10日札幌高等裁判所判決。なお平成15年1月1日に廃止された「司法書士報酬額基準」には公正証書嘱託代理の項目があり、この報酬基準は法務大臣の認可を受けるものであったため法務省はその業務性を従前から認めていた。
  65. ^ 平成15年1月1日に廃止された「司法書士報酬額基準」には確定日付付与手続代理の項目があり、この報酬基準は法務大臣の認可を受けるものであったため法務省はその業務性を従前から認めていた。
  66. ^ 司法書士法施行規則第31条第1項第5号。近時の裁判例において証人を行った司法書士の業務性を前提とした判断がされている(大阪高裁平成19年3月16日判決や東京高裁平成22年7月15日判決など)ほか、平成16年4月12日付日本司法書士会連合会会長回答においても認められている。
  67. ^ 登録免許税法施行規則第4条
  68. ^ 昭和35年11月10日自治省行発第44号岩手県総務部長宛行政課長回答
  69. ^ 法務省と日本司法書士会連合会の協議により「裁判所に提出する書類の作成業務」に準じるものとして扱うことができる取扱いとなった。また同協議の結果により平成24年10月1日付日本司法支援センター本部から各地方事務所長、支部長宛文書により司法書士の原発ADR書類作成について震災書類作成援助の適用対象となる旨が決定されている。
  70. ^ 登記研究560号質疑応答、昭和63年7月1日民三第3456号民事局長通達第3の4
  71. ^ 名古屋地方裁判所民事第6部判決 平成17年12月21日 、平成17(ワ)255、『保険金請求事件』。
  72. ^ 税理士から依頼された相続税算定のための相続人調査・確定業務につき平成17年12月21日名古屋地方裁判所判決[71]
  73. ^ 総合法律支援法第30条第1項第2項ホ、日本司法支援センター業務方法書第17条に援助対象の業務として規定されている。
  74. ^ 平成26年6月12日大阪高等裁判所判決、平成28年7月30日東京地方裁判所判決。なおこれらは弁護士法に関する裁判例であるが、弁護士法72条の特別法である認定司法書士制度についても、その範囲内において業務を行うことが可能である
  75. ^ 昭和44年5月12日民事甲第1093号民事局長通達
  76. ^ 平成5年9月29日民三第6361号民事局長通達
  77. ^ 昭和44年5月12日民事甲第1093号民事局長通達、昭和39年9月15日民事甲第3131号民事局長回答、登研419号。 なお農地法関係事務処理要領(昭和45年12月1日農調第2785号)において現況証明の願出人は権利の登記等に際し必要な者と定義づけられており、司法書士が可能な地目変更登記だけではなく権利の登記に必要な場面で行うことができるとされている。
  78. ^ 司法書士法第73条、第78条
  79. ^ 第3条第1項第1号から第5号までに規定する「業務」の定義は反復継続する意思で第3条第1項第1号から第5号の事務を行なうことであり、反復継続する意志があれば、報酬を得る目的は必要ではないとされている。(注釈司法書士法、最高裁昭和39年12月11日第2小法廷判決、大審院昭和9年3月16日判決(司法代書人法時代))
  80. ^ 裁判例では従来よりこの見解をとっていた(平成7年11月29日東京高裁判決)が令和元年6月6日司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律(令和元年法律第29号)の成立(同月12日公布、令和2年8月1日施行)により、司法書士法に明文で規定されるに至っている。
  81. ^ 昭和33年9月12日最高裁判決
  82. ^ 平成19年10月2日福岡高等裁判所宮崎支部判決、平成20年1月16日最高裁判所第二小法廷決定、注釈司法書士法p.473、登記研究214号73頁質疑応答(司法書士の業務について)
  83. ^ 昭和26年6月26日民事甲第1321号民事局長通達「司法書士法の一部を改正する法律等の施行に伴う取扱について」
  84. ^ 平成9年5月23日仙台高等裁判所判決では「登記業務が原則として司法書士に集中された理由に鑑みると、右のような通達(昭和25年7月6日民事甲第1867号民事局長通達。昭和35年7月29日民事甲第1899号民事局長通達)による取扱いは、あくまでも例外的かつ限定的なものと解される」としている。
  85. ^ 昭和25年7月6日民事甲第1867号民事局長通達。昭和35年7月29日民事甲第1899号民事局長通達においても昭和25年通達で示した登記申請行為を行い得る場合があるとしている。
  86. ^ 平成12年2月8日最高裁判所第三小法廷判決、平成19年10月2日福岡高等裁判所宮崎支部判決、平成20年1月16日最高裁判所第二小法廷決定
  87. ^ 旧運輸省回答、登記研究210号質疑応答、昭和25年9月9日民事甲第2449号民事局長通達、第10回国会運輸委員会運輸事務次官立法趣旨説明
  88. ^ 注釈司法書士法p.473では海事代理士法を司法書士法第73条「他の法律」に該当する法律ではないとしている。第10回国会運輸委員会運輸事務次官立法趣旨説明、論説 最近の法律の動き(その八)第十回国会通過の法務関係の法律から(鮫島眞男:衆議院法制局第三部長 収録登記研究41号)において「海事代理士法第17条第1項但し書きの「他の法令に別段の定がある場合」に司法書士法が該当するのは明らかであり、司法書士が海事代理士法施行により船舶登記ができなくなるのではないかとの懸念は全くなく、立案当局の運輸省も同様に考えている」との法改正の趣旨について説明がされている。
  89. ^ 弁護士法第72条
  90. ^ 司法書士法第73条、登記研究145号46頁質疑応答(非司法書士の書類の作成について)、昭和37年9月29日自治丁行第67号行政課長回答(同回答では行政書士が法務局に提出することを予定して書類作成することは業務範囲外である旨、回答されている)
  91. ^ 司法書士法第3条、注釈司法書士法。なお類似の制度である行政書士に関しても同様に説明されている(詳解行政書士法p.30)
  92. ^ 平成19年3月9日佐賀地裁判決(判例タイムズ1270号48頁。なお一審の平成18年3月6日佐賀簡易裁判所判決において平成12年2月8日最高裁判所第三小法廷判決を援用し同旨の判断を出している。)
  93. ^ 司法書士法第3条8項
  94. ^ 衆議院法務委員会 (PDF). 第154回国会. Vol. 6. 5 April 2002.
  95. ^ 注釈司法書士法p.136
  96. ^ 簡裁訴訟代理等能力認定考査”. 資格・採用情報. 法務省. 2015年7月6日閲覧。
  97. ^ 貸金業法第21条第1項第9号
  98. ^ 平成30年度における公証人法第13条ノ2に規定する公証人の公募について”. 資格・採用情報. 法務省. 2015年7月6日閲覧。
  99. ^ 執行官採用選考試験案内”. 採用案内. 裁判所. 2015年7月6日閲覧。
  100. ^ 平成25年度 予備自衛官補募集要項 (技能公募)” (PDF). 防衛省. 2013年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年7月6日閲覧。
  101. ^ 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第15条
  102. ^ 検察審査会法第6条
  103. ^ 弁理士法第11条第6号
  104. ^ 弁理士法施行規則第6条第10号
  105. ^ 社会保険労務士試験の受験資格”. 社会保険労務士試験オフィシャルサイト. 全国社会保険労務士会連合会. 2016年1月6日閲覧。
  106. ^ 厚生労働大臣が認めた国家試験 (受験資格コード06関係)” (PDF). 社会保険労務士試験オフィシャルサイト. 全国社会保険労務士会連合会. 2017年1月16日閲覧。
  107. ^ 国会議員の政策担当秘書資格試験等実施規程第19条

関連項目

外部リンク