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==特徴==
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幹は直立し高さ4-5m、径約15cmになる。<br>
幹は直立し高さ4-5m、径約15cmになる。[[樹皮]]は灰褐色で滑らかだが皮目が目立つ。若枝は灰緑色。花期は3-4月頃で葉の展開に先立って花が開き、[[雌雄同株]]、雌雄異花。[[雄花]]はカバノキ科の他の仲間と同様に尾状[[花序]]を開花時に下垂する。雄花序の冬芽はハシバミのように枝先につかずに枝の途中につく。[[雌花]]は数個の花が頭状に集まり、芽鱗に包まれたまま開花して赤い柱頭が目立つ。
[[樹皮]]は灰褐色で滑らかだが皮目が目立つ。若枝は灰緑色。<br>

花期は3-4月頃で葉の展開に先立って花が開き、[[雌雄同株]]、雌雄異花。[[雄花]]はカバノキ科の他の仲間と同様に尾状[[花序]]を開花時に下垂する。雄花序の冬芽はハシバミのように枝先につかずに枝の途中につく。[[雌花]]は雄花の上に数個の花が頭状に集まり、芽鱗に包まれたまま開花して赤い柱頭が目立つ。<br>
[[葉]]は互生し、[[葉柄]]は0.5-1cm、[[葉身]]は卵型または倒卵型で長さ5-11cm・幅3-7cm、基部は円形で先端は尖り、縁は欠刻のある細かい二重鋸歯がある。葉面は表が淡緑色で裏が緑色、時として赤紫色の斑ができる。葉脈が葉の裏面に盛り上がる。葉柄や葉脈上に斜上毛が生える。[[果実]]は9月から10月に熟し、1-4個が集まって付く。果実は[[堅果]]で長さ1-1.5cmの円錐形。果実を包む筒状の[[総苞]]は緑色で外面に刺毛を密生し、くちばし状に長く伸びた独特の形であることからツノハシバミの和名がついた。
[[葉]]は互生し、[[葉柄]]は0.5-1cm、[[葉身]]は卵型または倒卵型で長さ5-11cm・幅3-7cm、基部は円形で先端は尖り、縁は欠刻のある細かい二重鋸歯がある。葉面は表が淡緑色で裏が緑色、時として赤紫色の斑ができる。葉脈が葉の裏面に盛り上がる。葉柄や葉脈上に斜上毛が生える。<br>
[[果実]]は9月から10月に熟し、1-4個が集まって付く。果実は[[堅果]]で長さ1-1.5cmの円錐形。果実を包む筒状の[[総苞]]は緑色で外面に刺毛を密生し、くちばし状に長く伸びた独特の形であることからツノハシバミの和名がついた。


==分布と生育環境==
==分布と生育環境==

2018年1月22日 (月) 22:03時点における版

ツノハシバミ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : マンサク亜綱 Hamamelidae
: ブナ目 Fagales
: カバノキ科 Betulaceae
: ハシバミ属 Corylus
: ツノハシバミ C. sieboldiana
学名
Corylus sieboldiana Blume
和名
ツノハシバミ
英名
Asian Beaked Hazel

ツノハシバミ(角榛、学名:Corylus sieboldiana)はカバノキ科落葉低木。別名、ナガハシバミ

近縁種のハシバミ (Corylus heterophylla var. thunbergii) とともに日本に自生するハシバミ属の仲間のひとつである。食用ナッツヘーゼルナッツが実るセイヨウハシバミ (Corylus avellana) はヨーロッパ原産の本種の近縁種である。

特徴

幹は直立し高さ4-5m、径約15cmになる。
樹皮は灰褐色で滑らかだが皮目が目立つ。若枝は灰緑色。
花期は3-4月頃で葉の展開に先立って花が開き、雌雄同株、雌雄異花。雄花はカバノキ科の他の仲間と同様に尾状花序を開花時に下垂する。雄花序の冬芽はハシバミのように枝先につかずに枝の途中につく。雌花は雄花の上に数個の花が頭状に集まり、芽鱗に包まれたまま開花して赤い柱頭が目立つ。
は互生し、葉柄は0.5-1cm、葉身は卵型または倒卵型で長さ5-11cm・幅3-7cm、基部は円形で先端は尖り、縁は欠刻のある細かい二重鋸歯がある。葉面は表が淡緑色で裏が緑色、時として赤紫色の斑ができる。葉脈が葉の裏面に盛り上がる。葉柄や葉脈上に斜上毛が生える。
果実は9月から10月に熟し、1-4個が集まって付く。果実は堅果で長さ1-1.5cmの円錐形。果実を包む筒状の総苞は緑色で外面に刺毛を密生し、くちばし状に長く伸びた独特の形であることからツノハシバミの和名がついた。

分布と生育環境

日本の北海道本州四国九州朝鮮半島に分布する。四国と九州は少なく、伊豆半島には分布しない。温帯山地の日当りのよい林縁に生育する。

用途

堅果は黄褐色に熟したら食用になる。果実を採取し、刺毛に気をつけながら総苞を剥いて堅果を取り出し、堅果の殻から取り出したナッツを食用にする。脂肪に富み美味で、渋みがなく生でも食べられるが炒ると香ばしくなる。そのままでも食べられるが、茶碗蒸し煮物、すり潰して和え物菓子などの原料にも用いられる。

ギャラリー

参考文献

  • 佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本Ⅰ』、1989年、平凡社
  • 茂木透、勝山輝男、太田和夫、崎尾均、高橋秀男、石井英美、城川四郎、中川重年『樹に咲く花 離弁花① 山渓ハンディ図鑑3』山と渓谷社、2003年
  • 「ツノハシバミ」 岡山理科大学 総合情報学部 生物地球システム学科 植物生態研究室

関連項目