「メタクリル酸メチル」の版間の差分

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== 製造 ==
== 製造 ==
メタクリル酸メチルの世界での年間生産量は約 210 万トンに達する。
メタクリル酸メチルの世界での年間生産量は約 210 万トンに達する。


工業的に用いられる主な製造法では[[アセトン]]と[[シアン化水素]](青酸)を原料とし、[[アセトンシアンヒドリン]]を中間体とする。この手法ではメタクリル酸メチルのほかに[[硫酸アンモニウム]]が副産する(ACH法)。
工業的に用いられる主な製造法では[[アセトン]]と[[シアン化水素]](青酸)を原料とし、[[アセトンシアンヒドリン]]を中間体とする。この手法ではメタクリル酸メチルのほかに[[硫酸アンモニウム]]が副産する(ACH法)。

:<ce>(CH3)2C={O} + {HCN} -> (CH3)2C(OH)CN</ce>
:<ce>(CH3)2C(OH){CN} + {H2SO4} -> CH3C(=CH2)C(=O){NH2} \dot {}H2SO4</ce>
:<ce>2CH3C(=CH2)C(=O){NH2} \dot {}{H2SO4} + 2{CH3OH} -> 2{CH3C(=CH2)COOCH3} + {(NH4)2SO4} + {H2SO4}</ce>


新しい手法では、[[エチレン]]に[[メタノール]]、[[一酸化炭素]]を付加させて[[プロピオン酸メチル]]とし、[[ホルムアルデヒド]]と脱水縮合させてメタクリル酸メチルを得る。
新しい手法では、[[エチレン]]に[[メタノール]]、[[一酸化炭素]]を付加させて[[プロピオン酸メチル]]とし、[[ホルムアルデヒド]]と脱水縮合させてメタクリル酸メチルを得る。

:<ce>CH2={CH2} + {CH3OH} + {CO} -> CH3CH2COOCH3</ce>
:<ce>{CH3CH2COOCH3} + {HCHO} -> {CH3C(=CH2)COOCH3} + {H2O}</ce>


== 製造者 ==
== 製造者 ==

2017年9月16日 (土) 15:55時点における版

メタクリル酸メチル
メタクリル酸メチル
IUPAC名メタクリル酸メチル(許容慣用名より誘導)
2-メチル-2-プロペン酸メチル(系統名)
別名MMA
分子式C5H8O2
分子量100.12
CAS登録番号80-62-6
形状無色液体
密度0.94 g/cm3, 液体
融点−48 °C
沸点101 °C
SMILESCC(=C)C(=O)OC

メタクリル酸メチル(—さん—、methyl methacrylate、略称 MMA)は、有機化合物の一種で、メタクリル酸メチルエステルにあたる。主にメタクリル酸メチル樹脂(PMMA、アクリル樹脂の代表例)を製造するための原料モノマーとして用いられる。消防法による第4類危険物 第1石油類に該当する[1]

製造

メタクリル酸メチルの世界での年間生産量は約 210 万トンに達する。

工業的に用いられる主な製造法ではアセトンシアン化水素(青酸)を原料とし、アセトンシアンヒドリンを中間体とする。この手法ではメタクリル酸メチルのほかに硫酸アンモニウムが副産する(ACH法)。

新しい手法では、エチレンメタノール一酸化炭素を付加させてプロピオン酸メチルとし、ホルムアルデヒドと脱水縮合させてメタクリル酸メチルを得る。

製造者

用途

メタクリル酸メチルは各種ポリマー合成の原料として用いられる。

  • メタクリル酸メチル樹脂(PMMA)

メタクリル酸メチルだけを重合させたポリマーがアクリル樹脂の代表例であるメタクリル酸メチル樹脂で、ガラスの代替に用いられるほど透明性の高いプラスチックの代表例である。

  • メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(MBS)

メタクリル酸メチル、ブタジエンスチレン共重合で得られるMBS樹脂は、ポリ塩化ビニル (PVC) の改質剤として用いられる。

  • スチレン-メタクリル酸メチル-無水マレイン酸共重合樹脂(SMM)

SMM樹脂は、PMMAに添加し相溶させると、特性を損なわずに耐熱性を向上させる改質剤となり、自動車のメーターパネル、光学フィルム、発光ダイオード用レンズなどに利用される[2]

脚注

  1. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  2. ^ 「電気化学 SMM樹脂海外開拓」『化学工業日報』、2014年2月20日、P1、化学工業日報社