「手食文化」の版間の差分
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2017年3月30日 (木) 17:38時点における版
手食文化(てしょくぶんか)は、人が食事を摂る際に、手を使用して食べ物を口に運ぶ食文化を指す。現代ではアフリカ、中近東、インド、東南アジア、オセアニアなどを中心に、世界の約44%の人が主に手で直接ものを掴んで食事を行っている[1]。また、手食文化圏以外でも料理の種類によって選択的に手食を行う場合がある。手食文化圏外の人々からは文化的思考差異から不潔、野蛮といったネガティブなイメージを持たれがちであるが、手食文化圏においては食べ物を口に入れる前に手(指先)で味わうことから、道具を使用した食事方法よりも優れているとされ[1]、また、道具(食器、食具)よりも良く洗った手の方が清浄であると考えられている[2]。
概要
イスラムでは銅製の大きな盆が食卓として使用され、絨毯を敷いた床上や低い台の上に置かれる。人々は盆を囲んで座り、右手の親指、人差し指、中指を使用して食事を行う[1]。個人用の取り皿などは無いため、大盆から料理を一口分に丸めて口に運ぶのが一般的である[1]。左手で食べ物を掴むことや、右手三本指以外を使用することは不作法とされる[3]。インド圏でもイスラム同様三本指を用いて食事を行うが、大盆ではなく各個人用の皿に盛り付けられたのを食すのが一般的である[3]。
ヨーロッパにおいても近世までは手食による食事が主流であったが、17世紀末のパスタの流行によって四本歯のフォークが発明されるとこれを使用した食事作法が上流階級に浸透して一般化していくとともに手食による食事風景は消えていった[4]。現代ではパンやサンドイッチなどを食す際に手食の名残が残っている。
日本においては『魏志倭人伝』において「倭人は手食する」との記述があることなどから奈良時代以前に中国より箸が伝来するまでは手食文化を持っていたと考えられているが、平安時代に入る頃には市街地の遺跡などからも箸が出土し、庶民にまで浸透していたことが伺える[5]。現代においても、寿司、おにぎりなどにおいて選択的に手食が用いられる場合があり、こうした風習が古来の手食の名残とされる[6]。
寿司
日本の江戸時代に大流行となった握り寿司は屋台で販売されており、手でつまんで食べる「おやつ」の位置づけであった。現在でも、手でつまんで食べるように「おしぼり」を用意した寿司店専門店が多い。日本の寿司職人も、手で寿司を握る(伝統的な寿司店の場合)。日本国外においては、手で食べない場合が多く、料理人は手袋をして調理する場合がある。
脚注
参考文献
- 荒野泰典、村井章介、石井正敏編『文化と技術』東京大学出版会、1993年。ISBN 978-4130241267。
- 北岡正三郎『物語 食の文化』中公新書、2011年。ISBN 978-4-12-102117-5。