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'''ICE TD'''は、[[ドイツ鉄道]]の高速列車[[ICE]]に使用される[[車体傾斜式車両|車体傾斜式]][[気動車]]である。ICEによる高速化の効果を非電化路線へも拡大するため、[[ICE T]]の気動車版として[[2001年]]に4両編成20本が製造された。形式は'''605形''' (''Baureihe 605:BR605'') となった。
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車体傾斜機構は610形気動車やICE-Tで実績のあるフィアット社製ではなく、[[ドイツ]]・[[シーメンス]]製を採用している。ドイツでは[[1992年]]より[[快速列車|快速]] (RE) 用の車体傾斜式気動車である[[ドイツ鉄道610型気動車|610形]]を投入しており、その後[[ドイツ鉄道611型気動車|611形]]・[[ドイツ鉄道612型気動車|612形]]が投入されているが、[[優等列車]]用の車体傾斜式気動車としてはこのICE TDが初めてのものとなった。


動力伝達方式は610形気動車同様の電気式で、[[ディーゼルエンジン]]で交流発電機を駆動し、交流電動機を駆動するものである。1両あたりの発電機出力は560kW、電動機出力は425kWで、各車両に2台ある台車のうち1台が動力台車である。最高速度は200km/hである。
動力伝達方式は610形気動車同様の電気式で、[[ディーゼルエンジン]]で交流発電機を駆動し、交流電動機を駆動するものである。1両あたりの機出力は560kW、電動機出力は425kWで、各車両に2台ある台車のうち1台が動力台車である。最高速度は200km/hである。


== 編成 ==
== 編成 ==

2017年2月6日 (月) 17:14時点における版

ICE TD
ICE TD
基本情報
運用者 ドイツ鉄道デンマーク国鉄
製造所 シーメンスボンバルディア
製造年 2001年
製造数 20編成
運用開始 2001年7月
主要諸元
編成 4両編成 (Mc-M-M-Mc)
1両につき1台車が動力台車
軌間 1,435 mm
最高速度 200 km/h
編成長 106.7 m
動力伝達方式 電気式
機関 カミンズ製 QSK19-R
機関出力 560 kW
編成出力 1,700 kW
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ICE TDは、ドイツ鉄道の高速列車ICEに使用される車体傾斜式気動車である。ICEによる高速化の効果を非電化路線へも拡大するため、ICE Tの気動車版として2001年に4両編成20本が製造された。形式は605形 (Baureihe 605:BR605) となった。

設計

車体形状はICE Tとほぼ同じで、アルミニウム合金を採用して軽量化を図り、さらに、車体傾斜時に建築限界からはみ出さないよう、車体の上下を絞った形状としている。2編成以上の併結も可能である。

車体傾斜機構は610形気動車やICE-Tで実績のあるフィアット社製ではなく、ドイツシーメンス製を採用している。ドイツでは1992年より快速 (RE) 用の車体傾斜式気動車である610形を投入しており、その後611形612形が投入されているが、優等列車用の車体傾斜式気動車としてはこのICE TDが初めてのものとなった。

動力伝達方式は610形気動車同様の電気式で、ディーゼルエンジンで交流発電機を駆動し、交流電動機を駆動するものである。1両あたりの機関出力は560kW、電動機出力は425kWで、各車両に2台ある台車のうち1台が動力台車である。最高速度は200km/hである。

編成

2等車
1等車

編成内容は以下のとおりである。

  • 605.0形:1号車・制御車・動力車・2等車
  • 605.1形:2号車・動力車・2等車
  • 605.2形:7号車・動力車・2等車・簡易供食スペース
  • 605.5形:8号車・制御車・動力車・1等車

運用

登場時

2001年7月より営業運転を開始し、おもにニュルンベルクドレスデンを結ぶ系統に投入された。しかし、シーメンス社製車体傾斜装置を中心に重篤なトラブルが頻発したため、度々運休を余儀なくされた。その結果、ニュルンベルク - ドレスデン間の運用は2003年12月限りで中止となった。なお、同区間のICEは、快速用の車体傾斜式気動車612形を特急仕様に改装して、インターシティとして運用を続けたが、短期間で客車に置き換えられ、さらに快速列車 (Franken-Sachsen-Express) に格下げられている。

定期運用がなくなったICE TDは休車となった。これらは波動運用に使用されるも、動くことは少なくなった。そんな中で2006年には、ドイツで開催されたサッカーワールドカップの観客輸送や選手輸送に使用されている。

デンマークへの直通

DB・DSB共同のロゴ

長らく定期運用を離れていたICE TDであるが、2007年12月9日より、ハンブルクコペンハーゲンデンマーク)を結ぶ系統(プットガルデンPuttgarden(ドイツ)とロービュRødby(デンマーク)の間は鉄道連絡船による航送、通称渡り鳥コース (Vogelfluglinie) )に投入されることが、ドイツ鉄道とデンマーク国鉄の間で合意に達しており、久しぶりに営業運転に復帰した。この系統は従来よりデンマーク国鉄IC3型気動車(ドイツ乗り入れ対応編成)がユーロシティとして運用されているが、これが一部置き換えられた。

デンマーク国鉄とドイツ鉄道両方のロゴが付加されたデンマーク乗り入れ対応の2編成が、2007年12月9日の冬ダイヤよりベルリンとハンブルク間でも運転を開始している。ベルリンから来た列車はハンブルク中央駅を経由後、リューベック経由でコペンハーゲンへ向かっている。ドイツ鉄道とデンマーク国鉄共同で2008年1月よりハンブルク・コペンハーゲン間の毎日の運行が開始され、2008年3月にはデンマーク第二の都市オーフスへの運行も開始される。所要時間はベルリン・オーフス間が7時間以下に抑えられ、デンマーク国内での最高速度は140km/hから180km/hに向上する。このため、デンマーク乗り入れ対応編成は保安装置が改造される。

2007年4月29日に渡り鳥コースで最初の試乗運転が実施され、ICE-TDは航送され45分かけてフェマルンベルトを越えている。この共同運行開始でIC3とICE-TD両方が活躍することになる。2008年3月からはハンブルク・コペンハーゲン間は2往復ずつICE TDとユーロシティ (IC3) が計4往復運行され、ハンブルク・オーフス間はICE TDによって毎日運転される。ベルリン・コペンハーゲン間は6時間51分、ベルリン・オーフス間は6時間30分となり45分短縮される。ドイツ鉄道によれば、ハンブルク・コペンハーゲン間の年間旅客数は30%増加し年間330,000人になると予想している。

5編成がデンマーク乗り入れに対応するため改造されている。デンマーク乗り入れのための保安装置やGPSをベースにした測位システムの追加、荷物収納設備の拡張など旅客設備の改修が行われた。また、列車保安装置の診断結果を表示するデータ入力の設備も追加されている。改造された、ICE TDの編成は少なくとも13年間は使われることになっている。ドイツ鉄道とデンマーク国鉄の契約で13年間、デンマーク国鉄は使用料を支払うことになっている。編成の改良には1編成あたり100万ユーロが投資された。ベルリン・ハンブルク間の最高速度は200km/h、ハンブルク・ドイツ/デンマーク国境のフレンスブルクまでが140km/h、デンマーク国内の最高速度は180km/hとなる。

参考文献

  • 地球の歩き方 編『世界の高速列車II』ダイヤモンド社、2012年、200頁-205頁頁。ISBN 978-4-478-04279-3