「中国海軍レーダー照射事件」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
MomijiRoBot (会話 | 投稿記録)
m Bot: [​[中国人民解放軍海軍|中国人民解放軍海軍]​] → [​[中国人民解放軍海軍]​] ,Removed linktext ∵Check Wikipedia #64
Hiraki r (会話 | 投稿記録)
m →‎報道: わかりやすく
22行目: 22行目:
さらに、軍事[[アナリスト]]の[[小川和久]]は、レーダー照射は共産党による徹底的なコントロールの下で行われたもので、海上自衛隊は安易に火力で反撃してこないと"信頼"して実施されたとの見方を示している<ref>[http://www.nippon.com/ja/column/g00170/ 中越衝突はこう読め・中国は東シナ海と南シナ海を差別化している] - nippon.com(一般財団法人ニッポンドットコム)2014年5月26日</ref>。
さらに、軍事[[アナリスト]]の[[小川和久]]は、レーダー照射は共産党による徹底的なコントロールの下で行われたもので、海上自衛隊は安易に火力で反撃してこないと"信頼"して実施されたとの見方を示している<ref>[http://www.nippon.com/ja/column/g00170/ 中越衝突はこう読め・中国は東シナ海と南シナ海を差別化している] - nippon.com(一般財団法人ニッポンドットコム)2014年5月26日</ref>。


また、ジャーナリストで軍事評論家の[[田岡俊次]]は冷戦期に[[アメリカ]]と[[ソ連]]の間でエスカレートの一途を辿った公海上での挑発行為と、その反省を基に両国間で締結された海上事故防止協定(INCSEA協定)において火器管制レーダーの照射が禁じられている危険行為に含まれていない事を指摘し、日本側の[[マスコミ]]の反応を疑問視している<ref>[http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?tag=%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC%E7%85%A7%E5%B0%84 中国軍艦のレーダー照射への日本政府の対応は整合性を欠く――海上事故防止協定では禁止せず] - 週刊金曜日 2013年2月28日</ref>。
また、ジャーナリストで軍事評論家の[[田岡俊次]]は冷戦期に[[アメリカ]]と[[ソ連]]の間でエスカレートの一途を辿った公海上での挑発行為と、その反省を基に両国間で締結された海上事故防止協定(INCSEA協定)において禁じられている危険行為に火器管制レーダーの照射が含まれていない事を指摘し、日本側の[[マスコミ]]の反応を疑問視している<ref>[http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?tag=%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC%E7%85%A7%E5%B0%84 中国軍艦のレーダー照射への日本政府の対応は整合性を欠く――海上事故防止協定では禁止せず] - 週刊金曜日 2013年2月28日</ref>。


<!--- 出典提示なし
<!--- 出典提示なし

2016年11月26日 (土) 13:26時点における版

護衛艦ゆうだち
江衛II型フリゲート
(写真は同型艦の521 嘉興)

中国海軍レーダー照射事件(ちゅうごくかいぐんレーダーしょうしゃじけん)とは、2013年1月30日午前10時頃、東シナ海において中国人民解放軍海軍江衛II型フリゲート「連雲港」(522)が、海上自衛隊むらさめ型護衛艦ゆうだち」に対して火器管制レーダー(射撃管制用レーダー)を照射した事件。

事件の経緯

  • 2013年1月30日 - 午前10時頃、東シナ海において中国人民解放軍海軍所属の江衛II型フリゲート「連雲港」(522)[1]が、海上自衛隊第7護衛隊所属の護衛艦「ゆうだち」に向けて火器管制レーダー(射撃管制用レーダー)を照射(小野寺五典防衛大臣が2月5日夜に発表)[2]。中国側が「ぬれぎぬ」と言いがかりをつけてくることを念頭に、公表にあたり詳細なデータ分析・検証で事実関係を固める[3]
  • 2013年2月5日 - 小野寺防衛大臣が緊急に記者会見を行い事件について発表[4]。同時に、2013年1月19日午後5時頃にも東シナ海において中国海軍所属のジャンカイI級フリゲート「温州」(526)[1]が、海上自衛隊第6護衛隊隊所属のたかなみ型護衛艦おおなみ」搭載の哨戒ヘリコプター「SH-60」に向けて火器管制レーダーを照射した疑いがあることも発表された[5]

防衛省がレーダー波を解析したところ、火器管制レーダー(射撃管制用レーダー)のものであった[4]。中国側はこれに対してレーダーの使用は認めたが、射撃管制用レーダーではなく監視(捜索)用レーダーであったと主張している[6]。その後、複数の中国軍幹部は攻撃用の射撃管制レーダーを艦長の判断で照射したことを認めた[7]が、中国国防部(国防省)側は引き続き否定している[8]

安倍晋三首相はこれに対して「国際社会のルール違反だ」と批判した一方で「対話の窓口は閉ざさないことが大事だ」「中国こそ戦略的互恵関係の原点に立ち戻ってほしい」と日中関係改善に努める意向。防衛相はこの事件を発生から6日後の2月5日に報告を受け、首相と協議し同日中に公表した[9]

報道

レーダー照射については、中国共産党が指示をしたものという見方と 現場の海軍の独自判断によるものという見方の2つが報じられた[10][11][12]。前節にも記載しているとおり、中国側からは軍幹部の「艦長の判断」というコメント[7]も出ており、「現場の軍人が勝手にやったのではないか」という軍事筋の推測[13]もある一方で、前防衛大臣の森本敏は「(レーダー照射の判断は)艦長より上でしょうから、軍の暴走とは思わない」と述べており[14]、自衛隊関係者も「現場の暴走と判断するのは難しい」と考えていることが伝えられている[10]

同年4月24日に産経新聞は、中国共産党の意向で日本に対する威嚇手段を検討した中央軍事委員会が、レーダー照射などを提案し、党の許可を得て実施していたと報じた[15]

さらに、軍事アナリスト小川和久は、レーダー照射は共産党による徹底的なコントロールの下で行われたもので、海上自衛隊は安易に火力で反撃してこないと"信頼"して実施されたとの見方を示している[16]

また、ジャーナリストで軍事評論家の田岡俊次は冷戦期にアメリカソ連の間でエスカレートの一途を辿った公海上での挑発行為と、その反省を基に両国間で締結された海上事故防止協定(INCSEA協定)において禁じられている危険行為に火器管制レーダーの照射が含まれていない事を指摘し、日本側のマスコミの反応を疑問視している[17]


脚注

  1. ^ a b 中国海軍艦艇の動向について 防衛省・自衛隊 2013年2月5日
  2. ^ 中国艦船、海自艦船にレーダー照射 1月30日に 日本経済新聞 2013年2月5日
  3. ^ 【レーダー照射】首相が中国への抗議指示 現場では粛々と回避措置 MSN産経ニュース 2013年2月6日(2013年2月5日時点でのアーカイブ)
  4. ^ a b 大臣臨時会見概要 平成25年2月5日(19時02分~19時13分) 防衛省・自衛隊
  5. ^ 中国艦が海自護衛艦に火器管制レーダー照射 東シナ海 朝雲新聞 2013年2月7日[リンク切れ]
  6. ^ 中国、射撃用レーダーは否定 「監視用」を使ったと主張 共同通信 2013年2月8日
  7. ^ a b 中国軍幹部、射撃レーダー認める 「艦長判断」「領空侵犯は作戦」 共同通信 2013年3月18日
  8. ^ 射撃レーダー照射、改めて否定=日本の一部報道で中国国防省 時事通信 2013年3月18日[リンク切れ]
  9. ^ 首相、報告遅れ「事務方が慎重に」 レーダー照射 日本経済新聞 2013年2月7日
  10. ^ a b 中国海軍レーダー照射、党の指示か 現場の独走か - 日本経済新聞 2013年2月5日
  11. ^ 日本、危険な軍事行動と非難−中国海軍がレーダー照射 - ウォールストリートジャーナル日本語版 2013年2月6日
  12. ^ 中国艦レーダー照射は深刻で異常な挑発 「戦争にエスカレートする可能性」「交戦状態の一歩手前」の見方 J-CASTニュース 2013年2月6日
  13. ^ 射撃レーダー照射 中国の思惑と尖閣対立 - Wedge infinity(ウェッジ)2013年2月12日
  14. ^ ワイドショー通信簿「レーダー照射は艦長より上の判断だろう。軍の暴走ではない」 - J-CASTテレビウォッチ 2013年2月7日
  15. ^ 海自護衛艦へのレーダー照射、中国共産党が指示 「砲身向け威嚇」も許可 - MSN産経ニュース 2013年4月27日
  16. ^ 中越衝突はこう読め・中国は東シナ海と南シナ海を差別化している - nippon.com(一般財団法人ニッポンドットコム)2014年5月26日
  17. ^ 中国軍艦のレーダー照射への日本政府の対応は整合性を欠く――海上事故防止協定では禁止せず - 週刊金曜日 2013年2月28日

関連項目