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== 制作経緯 ==
== 制作経緯 ==
脚本の[[野島伸司]]は、今まで誰も自分を認めてくれなかった、今まで誰も愛してくれなかった、そんな淋しい男女が出会って、初めてお互いを信じ合える相手と支え合いながら、東京という砂漠のような大都会で生きていく、都会の中の孤独を描いたドラマを描いた<ref name="別冊尾崎">{{Cite book|和書|author = 大多亮|date = 2001-04-20|chapter = <small>異ジャンルクリエイターからの提言</small> 尾崎よ、生きていまを歌え|title = 文藝別冊 尾崎豊|publisher = [[河出書房新社]]|pages = 10-14|isbn = 9784309976068}}</ref>。野島とフジテレビのヒットメーカー・[[大多亮]][[プロデューサー]]は、企画を詰めていく段階で、[[1960年代|60年代]]の[[スキータ・デイヴィス]]の名曲「[[この世の果てまで|The End of the World]]」のイメージを根底として置いていた<ref name="別冊尾崎"/>。ドラマタイトルも同曲からとり<ref name="別冊尾崎"/>、作品の求めるものも同楽曲のイメージに近かったが<ref name="別冊尾崎"/>、[[洋楽]]で古い曲でもあり、ドラマの主題歌として使うにはリスクが大きいと大多が迷っていたら<ref name="別冊尾崎"/>、野島が日本の歌だと[[尾崎豊]]の「[[OH MY LITTLE GIRL]]」が世界観に近いと大多に聴かせ採用を即決した<ref name="別冊尾崎"/>。尾崎は[[浜田省吾]]と同じ[[須藤晃]]がプロデュースしていたため、本作の2年前[[1992年]]の『[[愛という名のもとに]]』で、「[[悲しみは雪のように]]」など浜田の楽曲起用を須藤に頼んでいた経緯もあって、すんなり「OH MY LITTLE GIRL」の主題歌採用が決まった<ref name="別冊尾崎"/>。[[1997年]][[1月3日]]に放送された[[SMAP]]主演の単発ドラマ『[[僕が僕であるために]]』の主題歌も「[[僕が僕であるために (曲)|尾崎の同名楽曲]]」をモチーフの企画されたもの<ref name="別冊尾崎"/>。
脚本の[[野島伸司]]は、今まで誰も自分を認めてくれなかった、今まで誰も愛してくれなかった、そんな淋しい男女が出会って、初めてお互いを信じ合える相手と支え合いながら、東京という砂漠のような大都会で生きていく、都会の中の孤独を描いたドラマとして作製した<ref name="別冊尾崎">{{Cite book|和書|author = 大多亮|date = 2001-04-20|chapter = <small>異ジャンルクリエイターからの提言</small> 尾崎よ、生きていまを歌え|title = 文藝別冊 尾崎豊|publisher = [[河出書房新社]]|pages = 10-14|isbn = 9784309976068}}</ref>。野島とフジテレビのヒットメーカー・[[大多亮]][[プロデューサー]]は、企画を詰めていく段階で、[[1960年代|60年代]]の[[スキータ・デイヴィス]]の名曲「[[この世の果てまで|The End of the World]]」のイメージを根底として置いていた<ref name="別冊尾崎"/>。ドラマタイトルも同曲からとり<ref name="別冊尾崎"/>、作品の求めるものも同楽曲のイメージに近かったが<ref name="別冊尾崎"/>、[[洋楽]]で古い曲でもあり、ドラマの主題歌として使うにはリスクが大きいと大多が迷っていたら<ref name="別冊尾崎"/>、野島が日本の歌だと[[尾崎豊]]の「[[OH MY LITTLE GIRL]]」が世界観に近いと大多に聴かせ採用を即決した<ref name="別冊尾崎"/>。尾崎は[[浜田省吾]]と同じ[[須藤晃]]がプロデュースしていたため、本作の2年前[[1992年]]の『[[愛という名のもとに]]』で、「[[悲しみは雪のように]]」など浜田の楽曲起用を須藤に頼んでいた経緯もあって、すんなり「OH MY LITTLE GIRL」の主題歌採用が決まった<ref name="別冊尾崎"/>。[[1997年]][[1月3日]]に放送された[[SMAP]]主演の単発ドラマ『[[僕が僕であるために]]』の主題歌も「[[僕が僕であるために (曲)|尾崎の同名楽曲]]」をモチーフの企画されたもの<ref name="別冊尾崎"/>。


大多亮が単独プロデュースで手掛けた最後の作品でもある。
大多亮が単独プロデュースで手掛けた最後の作品でもある。

2016年11月2日 (水) 23:19時点における版

この世の果て
ジャンル テレビドラマ
脚本 野島伸司
演出 中江功林徹
出演者 鈴木保奈美
三上博史
桜井幸子
豊川悦司
横山めぐみ
大浦龍宇一
吉行和子
製作
プロデューサー 大多亮
制作 フジテレビ
放送
音声形式ステレオ放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1994年平成6年)1月10日 - 3月28日
放送時間毎週月曜日21:00 - 21:54
放送枠フジテレビ月曜9時枠の連続ドラマ
放送分54分
回数12
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この世の果て』は、1994年平成6年)1月10日から3月28日までフジテレビ系列月9枠で放送されたテレビドラマ。全12回。平均視聴率22.9%、最高視聴率25.3%。全ての回で20%以上の視聴率を記録している。

概要

都会の絶望の果てで出会った、孤独なホステス・砂田まりあ(鈴木保奈美)と孤独な天才ピアニスト・高村士郎(三上博史)の究極の愛を描いた悲劇。オープニングとエンディングは士郎がまりあに語りかける形でナレーションが入る。メインキャスト全員が孤独であり、悲しい過去、心の傷をかかえており、この枠としては珍しい重厚な人間ドラマが描かれている。

鈴木保奈美と横山めぐみの初の汚れ役であり、その暗い演技が放送当時話題になった。野島作品の中でも特に暗い作品と言われている。同年10月21日に、ビデオ全4巻が発売されたが、DVD化は実現していない。

最終回はフジテレビオンエア版が20分延長であったが、ルミと井野が殺害した佐々木を埋めるシーンなど、いくつかの場面がカットされて1時間枠に収められている。地方で再放送される場合は、このカットされたバージョンの最終回が放送されることが多い。

制作経緯

脚本の野島伸司は、今まで誰も自分を認めてくれなかった、今まで誰も愛してくれなかった、そんな淋しい男女が出会って、初めてお互いを信じ合える相手と支え合いながら、東京という砂漠のような大都会で生きていく、都会の中の孤独を描いたドラマとして作製した[1]。野島とフジテレビのヒットメーカー・大多亮プロデューサーは、企画を詰めていく段階で、60年代スキータ・デイヴィスの名曲「The End of the World」のイメージを根底として置いていた[1]。ドラマタイトルも同曲からとり[1]、作品の求めるものも同楽曲のイメージに近かったが[1]洋楽で古い曲でもあり、ドラマの主題歌として使うにはリスクが大きいと大多が迷っていたら[1]、野島が日本の歌だと尾崎豊の「OH MY LITTLE GIRL」が世界観に近いと大多に聴かせ採用を即決した[1]。尾崎は浜田省吾と同じ須藤晃がプロデュースしていたため、本作の2年前1992年の『愛という名のもとに』で、「悲しみは雪のように」など浜田の楽曲起用を須藤に頼んでいた経緯もあって、すんなり「OH MY LITTLE GIRL」の主題歌採用が決まった[1]1997年1月3日に放送されたSMAP主演の単発ドラマ『僕が僕であるために』の主題歌も「尾崎の同名楽曲」をモチーフの企画されたもの[1]

大多亮が単独プロデュースで手掛けた最後の作品でもある。

キャスト

砂田 まりあ - 鈴木保奈美
幼い頃、父に愛されていないと感じ、父を殺そうと家を放火した。父は死んだが、在宅中だった妹のななが逃げ遅れて盲目に。そのため常に暗い表情をしている。ななの目から光を失った自分を責め続け、目を治すと心に誓い、手術費用を貯めるため、昼は郵便局員、夜はホステスとして働く。ヘビースモーカー。
言葉遣いが荒く、時々激昂するが、妹のななと士郎には自己犠牲的な愛をささげる。やがて士郎の子を妊娠するが、言い出せないまま二人の仲はすれ違い、士郎はルミの元で覚せい剤なしではいられない体に。そんな士郎に暴力を振るわれ、流産してしまう。士郎を助け出し、覚せい剤がぬけたことを機会に士郎に別れを告げ、征司と結婚する決意をする。
高村 士郎 - 三上博史
ひき逃げに遭い、警察に通報してくれたまりあと恋に落ちる。始めは記憶喪失のふりをし素性を隠していたが、実は世界的に有名なピアニストだった。幼い頃から妻・百合子の父に預けられピアニストとしての教育を受け、ピアノを弾く機械のような生活を送っていた。しかし、自ら左手を傷つけ、ピアニスト生命を絶つ。妻と離婚し、資産も名誉も捨ててまりあと暮らし始めてからは、過去のプライドと栄光が捨てられず自暴自棄になり、覚せい剤に溺れる。
砂田 なな - 桜井幸子
まりあの異父妹。自宅の火事が原因で盲目に。少々幼さが残るが障害を感じさせない健気な性格。一人暮らしをしながら村井夫妻の経営する花屋で働いていた(夫妻からは養子縁組の話をたびたび持ちかけられる)。ある日、コンビニ強盗が逃走するところに遭遇。口封じに暴行されかけていたところを助けてくれた純と恋に落ち、交際。しかしコンビニ強盗犯が純だと知ると破綻。村井の息子・道夫に心引かれていく。家に訪ねてきた祖父から姉とは父が異なること、警察官だった祖父たちの力で、放火事件は事故ということにされたのを知る。しかし姉への愛情は変わらなかった。手術成功後は出版社へ就職する。
神矢 征司 - 豊川悦司
経済界のプリンス、KAMIYAグループ御曹司。中学生の頃、本妻との間に子供ができなかった神矢の跡取りとして神矢家に。地位も名声も金も好きなように動かせるが、母を捨てた父を恨む気持ちも手伝い、愛を信じることができない。常に孤独を感じており、女を口説いて落ちるかどうかの賭けを部下としていた。
三島 純 - 大浦龍宇一
自動車整備工場に勤めている。赤ん坊の頃コインロッカーに捨てられていた天涯孤独の青年。顔の左側はやけど跡で覆われている。京子の弟とコンビニ強盗をした時に衝突したななに顔を見られたと勘違いする。ななが盲目であることを知り、安堵するが、仲間がななを暴行しようとしていたところを助ける。勤務先に刑事がやってきたことで解雇され、セメント工場で働くようになる。
加賀美 ルミ - 横山めぐみ
まりあが働く「花葡萄」に大勢の客を従えて店がえしてきたホステス。趣味は陶芸。ある男を誘惑し、貢がせた自慢話を控え室でホステスたちに聞かせていたが、その男は店のNo.1・京子が暮らしていた男だった。中学生の頃、ボーイフレンドとデート中に見知らぬ男たちに襲われ、暴行された時にボーイフレンドが逃げ出してしまった。それからは愛や永遠という言葉を聞くと頭痛がするようになり、セックスをしても感じなくなった。
砂田 夕子 - 吉行和子
まりあとななの母、現在は居酒屋経営。元シナリオライター・葛木和也との間にまりあをみごもっていたが、廃人状態だった葛木との結婚は望めない状態にあった。それを承知の上で受け入れると言った砂田と結婚するが、まりあがおこした火事で死別。砂田には感謝はしているが、心から愛せなかった事と悔やんでいる。5年前に偶然再会した葛木をこっそりと匿い、最期を看取ると後追い自殺する。遺言により角膜はななに移植される。第1 - 11話の出演。
吉田 潔 - 清水紘治
ななの主治医。人の情を信じることをしない。まりあには高額の金を出せば角膜移植を優先的に受けさせると何度も言っている。偽善や人の善意を嫌う人物であり、自分の目の前で車に飛び込んだまりあを見て驚愕する。
ななの角膜移植手術後、結婚式の前日に交通事故に遭い、20年間植物状態になっている妻をまりあに対面させた。
佐々木 実 - 小木茂光
娘を探して京都から上京し、夕子の店で働き始める料理人。実は探しているのは自分を破綻させ、妻を殺害する原因を作ったルミであった。服役を終えてすぐにルミを探すために上京した。ルミと士郎が暮らし始めたことを知り、士郎と別れるようにまりあに忠告する。ルミに毒を盛られ絶命する間際に、ルミの顔に硫酸をかける。第4 - 11話の出演。
高村 百合子 - 高樹澪
士郎の妻。以前から父のもとで、ピアニストとしての英才教育を受けていた士郎と政略結婚をした。士郎の愛よりもピアニストとしての地位や手に興味がある。行方不明になった士郎を探し出すが、目の前で左手を傷つけた事から役に立たなくなったとして離婚を切り出す。第1 - 4話の出演。
二村 浩一 - 加藤善博
百合子から雇われた元刑事の探偵。まりあと士郎の恋愛に興味を持ち、士郎を見つけてもしばらくは百合子に居所を知らせず、士郎に失踪やまりあとの暮らしを聞いていた。後にまりあから依頼を受け、覚せい剤漬けになりヤクザから追われる士郎を救い出す。怪しげな雰囲気だが、性格は悪い方ではない。第1 - 5話、第11話の出演。
田辺 京子 - 秋本奈緒美
クラブ「花葡萄」No.1ホステス。入店間もないまりあと客の前で大喧嘩をするが、後に友人に。店では上品に振る舞っているが、プライベートではがさつな面がみられる。バイセクシャルの男と暮らし、一緒に店を開くために金を貯めていたが、金を持ち逃げされる形で破局。ルミが店に雇われて来た時に、皆の前でルミがその男に貢がせていたこと、京子との記念に買ったブランドの時計を偽物呼ばわりしたことなどを暴露し嘲笑したことから激怒。ルミに憎悪の念を抱く。弟が強盗で逮捕され服役することが決まると、故郷へ帰った。第1 -6話の出演。
大前喬 - 塩見三省
征司の部下、孤独な征司の心の支えになっている。
村井 良雄 - 鶴田忍
ななが勤める花屋の店主。ななを気に入り、資産も名義変更し相続させる約束で養子縁組する。一人息子・道夫がおり、勘当していた。
村井 早苗 - 茅島成美
良雄の妻。心優しい性格で、ややお人好し。のちにななが道夫に殺されかかったとして、実母の夕子に激しく罵られる。
村井 道夫 - 沢向要士
良雄と早苗の一人息子。勘当されていたが、借金を抱えていた事もあり、両親の財産相続をすることになったななに近づく。婚姻届にボランティア参加のサインだと偽りサインさせ、ななを殺そうとするが、後を追ってきた純により捕まえられる。第5 - 10話の出演。
井野 仁 - 松田勝
ルミとは長い付き合いのあるバーのマスター。怪力の大男。裏社会にも通じており、ルミに覚せい剤を分ける。ルミがまりあを殺そうとすると、わざと弾の入っていない銃を渡し、自分の目をつぶし、ルミに告白。第6話から登場。
三浦 博実 - 土屋久美子
道夫に借金をさせている派手な女。調布市のボランティアだと嘘をつき、道夫と共にななを殺そうとする。道夫と共に純に捕まえられる。第6 - 10話の出演。

スタッフ

主題歌

サブタイトル

各話 放送日 サブタイトル 視聴率
第1話 1994年1月10日 雨のシンデレラ 24.1%
第2話 1994年1月17日 目の見えぬ純愛 25.1%
第3話 1994年1月24日 愛と死の十字架 24.4%
第4話 1994年1月31日 流血の運命 21.9%
第5話 1994年2月7日 愛だけを信じて 23.1%
第6話 1994年2月14日 すれ違う心 22.0%
第7話 1994年2月21日 引き裂かれた姉妹 25.3%
第8話 1994年2月28日 その愛を失う時 22.6%
第9話 1994年3月7日 小さな命が消える 21.2%
第10話 1994年3月14日 盲目の妹に光を 21.6%
第11話 1994年3月21日 愛する者の死 20.1%
最終話 1994年3月28日 未来を君に捧げる 23.7%
平均視聴率 22.9%(視聴率は関東地区ビデオリサーチ社調べ)
  • 本放送ではサブタイトルは表示されなかったが、ビデオ版ではタイトルロゴと話数表記の後にサブタイトルが表示される。

脚注

  1. ^ a b c d e f g h 大多亮「異ジャンルクリエイターからの提言 尾崎よ、生きていまを歌え」『文藝別冊 尾崎豊』河出書房新社、2001年4月20日、10-14頁。ISBN 9784309976068 

関連商品

  • この世の果て Vol.1~Vol.4 (フジテレビ、1994年10月21日発売)
  • 野島伸司「この世の果て」(幻冬舎文庫)ISBN 4877284931
フジテレビ系 月曜9時枠の連続ドラマ
前番組 番組名 次番組
この世の果て