「真継伸彦」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
KasparBot (会話 | 投稿記録)
Normdaten moved to Wikidata
編集の要約なし
2行目: 2行目:


==人と作品==
==人と作品==
大学卒業後の1954年に上京し、[[創元社]]の校正アルバイトに就き、1955年に[[専修大学]]図書館に就職。同人誌「半世界」に「杉本克己の死」の一部を発表。[[一向一揆]]を題材にした小説を構想しながら、1961年から[[青山学院大学]]ドイツ語非常勤講師となる
大学の独文科卒業後の1954年に上京し、[[創元社]]の校正アルバイトに就き、1955年に[[専修大学]]図書館に就職。同人誌「半世界」に「杉本克己の死」の一部を発表。


1963年、盗賊から[[浄土真宗]]に帰依する男を描いた小説『鮫』で[[文藝賞]]を受賞。これに第二篇を加えて翌年刊行、また[[萬屋錦之介|中村錦之助]]主演で[[東映]]で映画化された。同じく一向一揆を扱った続編『無明』『華厳』や、『親鸞』など、信仰の問題を追求した作品が多い。
[[一向一揆]]を題材にした小説を構想し、執筆に専念するために退職、1961年から[[青山学院大学]]ドイツ語非常勤講師となる。1963年、盗賊から[[浄土真宗]]に帰依する男を描いた[[歴史小説]]『鮫』で[[文藝賞]]を受賞。これに第二篇を加えて翌年刊行、また[[萬屋錦之介|中村錦之助]]主演で[[東映]]で映画化された。その後[[芝浦工業大学]]に勤め、1967年に腹膜炎の手術で休職していた間に、同じく一向一揆を扱った続編『無明』執筆を開始。1968年に[[桃山学院大学]]に移り、当時の[[大学闘争]]の対応に追われながら、翌年発表。この続編『華厳』や、『親鸞』など、信仰の問題を追求した作品が多い。


宗教小説以外の代表作としては、[[スターリン批判]]と[[ハンガリー動乱]]に揺れるある大学の[[日本共産党|共産党]][[細胞 (政党)|細胞]]の苦悩を描いた『光る聲』。実際にあった事件をモデルに、党の上部組織を批判できない立場の悲喜劇を「受難としての生命現象」として捉えている。他には『青空』、エッセー集『破局の予兆の前で』などがある。
宗教小説以外の代表作としては、[[スターリン批判]]と[[ハンガリー動乱]]に揺れるある大学の[[日本共産党|共産党]][[細胞 (政党)|細胞]]の苦悩を描いた『光る聲』。実際にあった事件をモデルに、党の上部組織を批判できない立場の悲喜劇を「受難としての生命現象」として捉えている。他には『青空』、エッセー集『破局の予兆の前で』などがある。
61行目: 61行目:
[[Category:京都府出身の人物]]
[[Category:京都府出身の人物]]
[[Category:日本の小説家]]
[[Category:日本の小説家]]
[[Category:囲碁の著述家]]
[[Category:存命人物]]
[[Category:存命人物]]

2016年5月17日 (火) 14:14時点における版

真継伸彦(まつぎ のぶひこ、1932年3月18日- )は日本作家。元・姫路獨協大学教授京都市生れ。京都大学文学部卒。

人と作品

大学の独文科卒業後の1954年に上京し、創元社の校正アルバイトに就き、1955年に専修大学図書館に就職。同人誌「半世界」に「杉本克己の死」の一部を発表。

一向一揆を題材にした小説を構想し、執筆に専念するために退職、1961年から青山学院大学ドイツ語非常勤講師となる。1963年、盗賊から浄土真宗に帰依する男を描いた歴史小説『鮫』で文藝賞を受賞。これに第二篇を加えて翌年刊行、また中村錦之助主演で東映で映画化された。その後芝浦工業大学に勤め、1967年に腹膜炎の手術で休職していた間に、同じく一向一揆を扱った続編『無明』執筆を開始。1968年に桃山学院大学に移り、当時の大学闘争の対応に追われながら、翌年発表。この続編『華厳』や、『親鸞』など、信仰の問題を追求した作品が多い。

宗教小説以外の代表作としては、スターリン批判ハンガリー動乱に揺れるある大学の共産党細胞の苦悩を描いた『光る聲』。実際にあった事件をモデルに、党の上部組織を批判できない立場の悲喜劇を「受難としての生命現象」として捉えている。他には『青空』、エッセー集『破局の予兆の前で』などがある。

高橋和巳小田実柴田翔らと同人誌「人間として」、及び「使者」で活動。

1970年代に真継豊子と離婚、若い女性と再婚した(真継豊子『女運あれど男運なし』)

姫路獨協大学教授を務めたが、定年前に解雇通告され、無効を求めて他の二人の教授とともに提訴、2005年9月勝訴した。

囲碁を趣味とし、かつて行われていた文壇名人戦・文壇本因坊戦などで強豪として知られ、プロ棋戦観戦記の執筆も行い、囲碁に関する著作もある。

著作一覧

  • 『鮫』1964 河出書房新社 のち文庫 
  • 『光る聲』(長編小説)1966 河出書房新社 のち新潮文庫
  • 『未来喪失者の行動』(評論集) 1967 河出書房新社
  • 『無明』(長編小説)1970 河出書房新社 のち文庫 
  • 『破局の予兆の前で』(評論集)1971 河出書房新社
  • 『真継伸彦集』新鋭作家叢書4 1971 河出書房新社
  • 『内面の自由』(評論集)1972 筑摩書房
  • 『青春の遺書』(評論)1973 筑摩書房
  • 『わが薄明の時』(『杉本克己の死』改題)(長編小説)1973 新潮社
  • 『林檎の下の顔』(長編小説)1974 筑摩書房
  • 『深淵への帰行』(評論集) 1975 筑摩書房
  • 『親鸞』朝日評伝選 1975 朝日新聞社 のち選書 
  • 『新しい宗教を求めて~私とは何か』(評論集) 1975 筑摩書房
  • 『闇に向う精神』(評論集)1977 構想社
  • 『仏教のこころ』(評論集)1979 筑摩書房
  • 『囲碁のある人生』(随筆・観戦記)1980 筑摩書房
  • 『無明の世界』(評論集)1981 文和書房
  • 『私の蓮如』(伝記)1981 筑摩書房
  • 『樹下の仏陀』(長編小説)筑摩書房 1982
  • 『青空』(長編小説)毎日新聞社 1983
  • 『男あり』(長編小説)筑摩書房 1983
  • 『現代人と救い』(評論)筑摩書房 1983
  • 『死の彼方からの光』編集工房ノア 1984
  • 『青春とはなにか 友だち・スポーツ・読書』岩波ジュニア新書 1985
  • 『〈宗派別〉日本の仏教・人と教え4』(評論)小学館 1985
  • 『君よ、青春の当事者たれ 京大フットボール部全国制覇の記録』講談社、1985
  • 『はばたけ、生命(イノチ)よ お父さんの育児日記』(随筆)河出書房新社 1988
  • 『心の三つの泉 シャーマニズム・禅仏教・親鸞浄土教』(評論)河出書房新社 1989
  • 『「救い」の構造 日本人の魂のありかを求めて』 NHKブックス(評論)日本放送出版協会 1991

共著・翻訳など

  • 『日本の古典 第12巻 親鸞・道元・日蓮』共訳 河出書房新社 1973
  • 『夏目漱石・森鴎外』日本の名著第2巻 編著 1974 中央公論社
  • 『日本仏教・この人と思想』(講演集)梅原猛上山春平武内義範共著 1974 朝日新聞社
  • 『親鸞書簡集』(翻訳)1978 徳間書店
  • 『たった一人の道標』編著 1978 サンリオ出版社
  • 『個人全訳・親鸞全集』全5巻(翻訳)1982-84 法藏館