「アカメガシワ」の版間の差分
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'''アカメガシワ'''(赤芽槲、赤芽柏、{{Snamei|Mallotus japonicus}})は、[[トウダイグサ科]][[アカメガシワ属]]の[[落葉高木]]。[[新芽]]が[[鮮紅色]]であること、そして[[葉]]が[[カシワ|柏]]のように大きくなることから命名された。本来は[[熱帯]]系統の[[植物]]であり、落葉性を身につけることで[[温帯]]への進出を果たしたものと見られる。 |
'''アカメガシワ'''(赤芽槲、赤芽柏、{{Snamei|Mallotus japonicus}})は、[[トウダイグサ科]][[アカメガシワ属]]の[[落葉高木]]。[[新芽]]が[[鮮紅色]]であること、そして[[葉]]が[[カシワ|柏]]のように大きくなることから命名された。本来は[[熱帯]]系統の[[植物]]であり、落葉性を身につけることで[[温帯]]への進出を果たしたものと見られる。 |
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[[日本]]の[[本州]]の[[岩手県|岩手]]・[[秋田県]]以南、[[四国]]、[[九州]]のほか、[[アジア]]では[[台湾]]、[[中国]]の南部の[[山野]]に[[自生]]する。日本では[[二次林]]に多く、山野、平地、川の土手のほか、[[空き地]]などによく生えてくる、典型的な[[パイオニア植物]]である。[[雌雄異株]]の落葉高木で、樹高は5〜10mに達する。春に出る若葉は、鮮やかな紅色をしており美しく{{sfn|貝津好孝|1995}}、星状毛が密生する{{sfn|馬場篤|1996}}。 |
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材は軟らかく、床柱・下駄・薪炭に用いる。[[日本薬局方]]に記載の[[生薬]]で、樹皮は「野梧桐(やごどう)」、葉は「野梧桐葉(やごどうよう)」という{{sfn|貝津好孝|1995}}。樹皮を煎じたものは初期の[[胃潰瘍]]、[[十二指腸潰瘍]]、[[胃酸過多症]]に効果があるとされるほか、葉の乾燥品を風呂に入れて入浴すると、[[あせも]]に効能があるとされる{{sfn|貝津好孝|1995}}{{sfn|馬場篤|1996}}。また、果実の軟針は[[駆虫薬|駆虫剤]]に用いる。若葉は食用となり、和え物やおひたしとする<ref>「飲食事典」本山荻舟 平凡社 p4 昭和33年12月25日発行</ref>。 |
材は軟らかく、床柱・下駄・薪炭に用いる。[[日本薬局方]]に記載の[[生薬]]で、樹皮は「野梧桐(やごどう)」、葉は「野梧桐葉(やごどうよう)」という{{sfn|貝津好孝|1995}}。樹皮を煎じたものは初期の[[胃潰瘍]]、[[十二指腸潰瘍]]、[[胃酸過多症]]に効果があるとされるほか、葉の乾燥品を風呂に入れて入浴すると、[[あせも]]に効能があるとされる{{sfn|貝津好孝|1995}}{{sfn|馬場篤|1996}}。また、果実の軟針は[[駆虫薬|駆虫剤]]に用いる。若葉は食用となり、和え物やおひたしとする<ref>「飲食事典」本山荻舟 平凡社 p4 昭和33年12月25日発行</ref>。 |
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== 参考画像 == |
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|ファイル:Mallotus japonicus.jpg|アカメガシワの新芽 |
|ファイル:Mallotus japonicus.jpg|アカメガシワの新芽 |
2016年5月8日 (日) 02:48時点における版
アカメガシワ | |||||||||||||||||||||||||||
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アカメガシワ
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Mallotus japonicus (Thunb.) Müll.Arg. | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
アカメガシワ(赤芽槲、赤芽柏) | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Japanese Mallotus |
アカメガシワ(赤芽槲、赤芽柏、Mallotus japonicus)は、トウダイグサ科アカメガシワ属の落葉高木。新芽が鮮紅色であること、そして葉が柏のように大きくなることから命名された。本来は熱帯系統の植物であり、落葉性を身につけることで温帯への進出を果たしたものと見られる。
特徴・特性
日本の本州の岩手・秋田県以南、四国、九州のほか、アジアでは台湾、中国の南部の山野に自生する。日本では二次林に多く、山野、平地、川の土手のほか、空き地などによく生えてくる、典型的なパイオニア植物である。雌雄異株の落葉高木で、樹高は5〜10mに達する。春に出る若葉は、鮮やかな紅色をしており美しく[1]、星状毛が密生する[2]。
葉は赤く長い葉柄をつけて互生し、形は菱型状卵円形、先端は尖り浅く2〜3裂する[2]。3大葉脈があり、分岐点に腺体がある[2]。裏に黄色の腺点があってアリが集まることもある。幹は黄褐色から暗灰色でやや赤みを帯びる[2]。初夏、枝先に穂になって白色の小さな花を多数つけ、雄花には黄色の葯(やく)が目立つ。雌花序は雄花序よりも小さく、花数が少ない[2]。果実は秋になって10月頃に熟し、蒴果で軟針があり、3列して3個の黒紫色の種子を出す[2]。
暖帯から亜熱帯産の植物であるため寒さに弱く、日当たりを好み生長が早い[2]。木の根は生命力が強く、シュートを生じて繁殖する。また、種子は高温にさらされると発芽しやすくなり、伐採や森林火災により森林が破壊されると一気に繁殖する。
利用
材は軟らかく、床柱・下駄・薪炭に用いる。日本薬局方に記載の生薬で、樹皮は「野梧桐(やごどう)」、葉は「野梧桐葉(やごどうよう)」という[1]。樹皮を煎じたものは初期の胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃酸過多症に効果があるとされるほか、葉の乾燥品を風呂に入れて入浴すると、あせもに効能があるとされる[1][2]。また、果実の軟針は駆虫剤に用いる。若葉は食用となり、和え物やおひたしとする[3]。
参考画像
類似種
同属のものとしては八重山諸島以南に分布するウラジロアカメガシワ M. paniculatus があり、外見は似ているが、葉の裏が真っ白である。この種は東南アジアからオーストラリアに渡る分布を持つ。またより北(トカラ列島以南)まで見られるクスノハガシワ M. philippensis は、葉が硬くて細長く、毛も少ないため見た目はかなり違う印象である。また、沖縄にはヤンバルアカメガシワ Melanolepis multiglandulosa がある。一見はアカメガシワに似るが、より大きく膜質の葉を持つ。果実の穂をぶら下げる姿は独特。
別属だが一見似た樹種にオオバベニガシワ Alchornea davidii がある。中国原産の落葉低木で、若葉が鮮紅色で美しく、庭木にされる。葉は網状の葉脈が目立つ。またこれと同属のアミガサギリ A. liukiuensis が南西諸島に自生する。
脚注
参考文献
- 貝津好孝『日本の薬草』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、1995年7月20日、9頁。ISBN 4-09-208016-6。
- 馬場篤『薬草500種-栽培から効用まで』誠文堂新光舎、1996年9月27日、13頁。ISBN 4-416-49618-4。
- 林将之『葉で見わける樹木 増補改訂版』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、2010年、210-211頁頁。ISBN 978-4-09-208023-2。
関連項目
外部リンク
- 青木繁伸 (2003年3月4日). “アカメガシワ(赤芽槲)”. 2010年11月22日閲覧。
- 波田善夫. “アカメガシワ”. 2010年11月22日閲覧。