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2016年4月20日 (水) 12:41時点における版

公益財団法人日本医療機能評価機構(にほんいりょうきのうひょうかきこう、JCQHC, Japan Council for Quality Health Care)は、日本の財団法人である。「医療機関の機能を学術的観点から中立的な立場で評価し、その結果明らかとなった問題点の改善を支援する第三者機関」[1]として、1995年平成7年)に設立された。

概要

それまで日本においてはほとんど実績がなかった第三者機関による医療機関の評価を行い、それらの機関が質の高い医療サービスを提供していくための支援を行うことを目的としている[2]。財団は東京都千代田区三崎町に所在し、理事長を井原哲夫(慶應義塾大学経済学部名誉教授)、副理事長を横倉義武(日本医師会副会長、福岡県医師会会長)、専務理事を河北博文河北総合病院理事長)がそれぞれ務める[3]。財団設立を主導したのは河北で[4]、その設立までには15年を要したとしている[5]

しかしながら財団の事業開始から13年を経た2008年平成20年)の時点で審査・認定を受けているのは2,530病院であり[6]、全国の病院の約28%に留まる。その後も日本医療機能評価機構の認定を受ける病院の数は伸び悩み、新たに審査を受ける病院が減少する一方で、認定の更新を見合わせる病院も増加している[7]。この背景として、財団の審査・認定を受けることが直接病院の増収にはつながらないこと、また、受審のための作業負担が過大であることなどが指摘されている[7]。これらについては財団自身、「検討を要する課題・問題がいまだ山積しており、本事業の定着には容易ならぬものがある」[2]と率直に認めている。

事業内容

事業内容としては、以下の事業を財団法人として運営しており、基本財産は3億4,700万円である。

  1. 病院機能評価事業
  2. 病院機能改善支援事業
  3. 評価調査者(サーベイヤー)の養成事業
  4. 医療機能評価に関する調査・研究開発事業
  5. 認定病院患者安全推進事業
  6. 産科医療補償制度運営事業
  7. EBM医療情報事業
  8. 医療事故情報収集等事業
  9. 医療機能評価に関する普及・啓発事業

運営維持のため、厚生労働省医師会健康保険組合連合会をはじめとする保健・医療・福祉に関する団体・企業、被保険者を代表する団体、一般企業、個人等から広く出資を募っている。

設立の経緯

アメリカ合衆国を中心に、イギリス(KFOA)、オーストラリア(ACHSA)などでは、医療の質の向上を目的とする病院の活動評価が古くから行われていた。日本医療機能評価機構は、アメリカの民間組織医療施設認定合同機構(JCAHO[8])の日本版として誕生した[要出典]

  • 1976年昭和51年) - 日本医師会内に病院委員会を設置し病院機能評価の手法について検討を開始
  • 1985年昭和60年) - 日本医師会と厚生省(当時)が合同で病院機能評価研究会を設置
  • 1987年昭和62年) - 同研究会が「病院機能評価マニュアル」を作成公表
  • 1991年平成3年) - 日本病院会が「病院機能標準化マニュアル」を発刊
  • 1993年平成5年) - 日本医師会病院機能評価委員会が具体的な第三者評価基準を盛り込んだ報告書を発表
  • 1995年平成7年) - 「財団法人日本医療機能評価機構」が発足。2年間の運用調査開始
  • 1997年平成9年) - 本審査開始

病院機能評価

Ver.5までの病院機能評価は、主に1の構造(ストラクチャー)についての評価を行うことであった。そのため審査対象病院を以下のように区分けして審査していた。

病院種別

一般病院A
地域に密着し、住民に身近な医療機関として、おおむね二次機能までの医療に対応している比較的に規模の小さな病院
一般病院B
地域が必要とする各領域の医療において基幹的・中心的な役割を担い、高次の医療にも対応しうる一定の規模を有する病院
精神病院A
精神医療を担うことを主たる役割としている病院のうち、施設・組織の規模が中規模または小規模の病院
精神病院B
精神医療を担うことを主たる役割としている病院のうち、施設・組織が一定規模以上で、多様な機能を有する病院
病院複合A
一般病院Aおよび精神病院Aの機能を併せ持つ病院で、病院総体を評価の対象とする場合
病院複合B
一般病院Bおよび精神病院Bのいずれか、または双方の機能を併せ持つ病院で、病院総体を評価の対象とする場合

その後長期療養が加わり、現在では病床数とその病床数に一般・療養・精神の占める割合で4つに分類している。

評価の方法としては、「書面審査」と「訪問審査」の二つを実施する。審査内容については、2の過程(プロセス)を含めた評価方法であるVer.6に変更となり来年度の更新・認定から実施となる。

問題点

今までは、機能評価を取るためには病院の一部の人が取り組めば認定を受けることができた。今回の改定により認定機関の削減と中間年の審査、審査項目の簡略化が行われISO9001のシステムに追従したように見える。 実際、機能評価取得を支援するコンサルタント会社も多く存在し、金を払えば取得できるといった弊害を減らそうという考えと受け取れる。

但し一番問題となるのは、欧米で見られる医療のアウトカムについて踏み込めていないという現実がある。機能評価取得している病院だから本当に信頼できる医療を提供できているのかはよくわからない。たとえば

  • 利用者が最も知りたい診療内容(コモンディシーズに対する対応など)の評価がない。
  • 認定された病院名だけが公表され、認定基準に満たなかった病院名は公表されない。
  • 認定病院が評価結果の公表に同意しなければ、評価内容が公表されない。
  • 得意な主要疾患に対するアウトカムが表示されていない。
  • 一部の項目を除いて主に急性期病院中心の審査項目である。

このような点が今後の改善事項であろう。

関連項目

脚注

  1. ^ 日本医療機能評価機構の紹介 医療機能評価機構ウェブサイト、平成23年3月20日閲覧
  2. ^ a b 理事長挨拶 医療機能評価機構ウェブサイト、平成23年3月20日閲覧
  3. ^ 日本医療機能評価機構 役員名簿(平成22年7月現在)
  4. ^ 教員紹介(2010年4月1日現在) 河北博文 慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科
  5. ^ 杉並人(第23回)河北博文さん 『リボン館通信』 2005年4月号
  6. ^ 2008年平成20年)8月25日現在
  7. ^ a b 「曲がり角の病院機能評価 手間、費用の割にメリット少なく非更新の病院も」 『日経メディカル』(日経BP社) 2010年9月号
  8. ^ JCAHO (The Joint Commission on Accreditation of Healthcare Organization))は、1910年に設立された組織。

外部リンク