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添付文書に記載されている重大な副作用は[[脱水_(医療)|脱水]]である。又、利尿効果が急激に現れる事が有るので電解質平衡失調や脱水に注意して少量から始め、徐々に増量するよう注意書されている<ref name=pi_t/><ref name=pi_i/>。
添付文書に記載されている重大な副作用は[[脱水_(医療)|脱水]]である。又、利尿効果が急激に現れる事が有るので電解質平衡失調や脱水に注意して少量から始め、徐々に増量するよう注意書されている<ref name=pi_t/><ref name=pi_i/>。


1%以上の患者に電解質失調(低ナトリウム血症、低カリウム血症、低クロル性アルカローシス等)、高尿酸血症(注射剤では1%未満)、脱力、倦怠感が発生する。
1%以上の患者に電解質失調(低ナトリウム血症、低カリウム血症、低クロル性アルカローシス等)、高尿酸血症(注射剤では1%未満)、脱力、倦怠感が発生する。


==濫用==
==濫用==

2016年3月3日 (木) 00:52時点における版

ブメタニド
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
販売名 Bumex
Drugs.com monograph
MedlinePlus a684051
胎児危険度分類
法的規制
投与経路 oral, intravenous, intramuscular
薬物動態データ
生物学的利用能almost complete (~80%)
血漿タンパク結合97%
代謝hepatic
半減期~0.8 hours
排泄renal
識別
CAS番号
28395-03-1 チェック
ATCコード C03CA02 (WHO)
PubChem CID: 2471
DrugBank DB00887en:Template:drugbankcite
ChemSpider 2377 チェック
UNII 0Y2S3XUQ5H チェック
KEGG D00247 en:Template:keggcite
ChEBI CHEBI:3213en:Template:ebicite
ChEMBL CHEMBL1072en:Template:ebicite
化学的データ
化学式C17H20N2O5S
分子量364.417 g/mol
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ブメタニド(Bumetanide、商品名:ルネトロン)は三共が開発したループ利尿薬の一つである。同系統のフロセミドとの違いは、主に生物学的利用能薬物動態学的な挙動に因る。フロセミドの消化管からの吸収率は約6割で、患者により1割〜9割とばらつきが大きいが、ブメタニドは約8割が吸収され、食事の影響を受けない。この為ブメタニドは作用を予測し易い利尿薬と言われる[1]クレアチニンクリアランスが正常な患者ではフロセミドの40倍の効果を持ち[1][2]:1、腎障害を有する患者にも使用出来る。錠剤と注射剤が有る。

脳細胞では、ブメタニドはNKCC1英語版(ナトリウム-カリウム-塩素イオン共輸送体)を阻害し、神経細胞内の塩素イオン濃度を低下させる。その結果GABAの働きが増強されて、バルビツール酸系薬剤等の従来薬が無効な場合でも新生児痙攣発作を抑制する。ブメタニドは抗てんかん薬として開発中である[3]。又、同様の機序で、軽症の自閉症症状を緩和するとの研究も有る[4]

効能・効果

心性浮腫、腎性浮腫、肝性浮腫、癌性腹水

禁忌

下記の患者には禁忌である[5][6]

  • 肝性昏睡の患者
  • 体液中のNaKが明らかに減少している患者
  • 無尿の患者

副作用

添付文書に記載されている重大な副作用は脱水である。又、利尿効果が急激に現れる事が有るので電解質平衡失調や脱水に注意して少量から始め、徐々に増量するよう注意書されている[5][6]

1%以上の患者に電解質失調(低ナトリウム血症、低カリウム血症、低クロル性アルカローシス等)、高尿酸血症(注射剤では1%未満)、脱力、倦怠感が発生する。

濫用

2008年10月ESPNは、多くのNFL選手がブメタニドを服用しており、違法に摂取したアナボリックステロイドを排泄させようとしていたのではないかと疑われていると報道した。ブメタニドはしばしば体重減少剤として用いられる他、尿を希釈して尿中に排泄された薬物をマスクする為に使用される。

ブメタニドは体重減少を謳うサプリメントの中に混入されていた事が有る。FDAに摘発された後、そのサプリメント(StarCaps)は市場から回収された。

合成経路

ブメタニド、3-ブチルアミノ-4-フェノキシ-5-スルファモイル安息香酸は、4-クロロ安息香酸を出発物質として合成される。最初の段階は4-クロロ安息香酸のスルホニルクロロ化である。その生成物4-クロロ-3-クロロスルホニル安息香酸を硝酸でニトロ化して5-ニトロ-4-クロロ-3-クロロスルホニル安息香酸を得る。そこにアンモニアを作用させて5

-ニトロ-4-クロロ-3-アミノスルホニル安息香酸とし、ナトリウム フェノラートで3-ニトロ-5-アミノスルホニル-4-フェノキシ安息香酸にしたものをパラジウム炭素触媒下水素で還元して3-アミノ-5-アミノスルホニル-4-フェノキシ安息香酸とする。最後に硫酸存在下n-ブチルアルコールと反応させてブメタニドを得る。

合成経路
  • F.P. Werner, Ger. Pat. DE 1964503  (1970).
  • F.P. Werner, Ger. Pat. DE 1964504  (1970).
  • P. Feit, U.S. Pat. アメリカ合衆国特許第 33,806,534号 (1974).
  • P.W. Feit, U.S. Pat. アメリカ合衆国特許第 3,634,583号 (1972).
  • Feit, P. W. (1971). “Aminobenzoic acid diuretics. 2. 4-Substituted-3-amino-5-sulfamoylbenzoic acid derivatives”. Journal of Medicinal Chemistry 14 (5): 432–9. doi:10.1021/jm00287a014. PMID 5117690. 

参考資料

  1. ^ a b Brunton, Laurence; Lazo, John S.; Parker, Keith L., eds (2006). Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (11th ed.). New York: McGraw-Hill. pp. 749–753. ISBN 0-07-142280-3 
  2. ^ ルネトロン錠1mg インタビューフォーム”. 第一三共 (2011年10月). 2015年6月5日閲覧。
  3. ^ Löscher W, Puskarjov M, Kaila K (June 2013). “Cation-chloride cotransporters NKCC1 and KCC2 as potential targets for novel antiepileptic and antiepileptogenic treatments”. Neuropharmacology 69: 62–74. doi:10.1016/j.neuropharm.2012.05.045. PMID 22705273. 
  4. ^ Common heart drug might dampen some autism symptoms”. Medical Express (2012年12月11日). 2015年6月5日閲覧。
  5. ^ a b ルネトロン錠1mg 添付文書” (2010年6月). 2015年6月5日閲覧。
  6. ^ a b ルネトロン注射液0.5mg 添付文書” (2010年6月). 2015年6月5日閲覧。

外部リンク