「グレゴリー式望遠鏡」の版間の差分

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== 量産化 ==
== 量産化 ==
実機の製作は[[ニュートン式望遠鏡]]に遅れたものの、直接に正立像が得られるため金属鏡が使われた時代には[[フィールドスコープ|地上望遠鏡]]としてイギリスで多用された<ref name="allteresco1981-50"/>{{Sfn|吉田正太郎|1988|pp=53-70}}。例えばJ・ショートは[[1732年]]から[[1768年]]の36年間に1,400台、すなわち1ヶ月に3台以上のペースで製造しており、その何台かは現存する<ref name="allteresco1981-50"/>。J・ショートが製造した中で最大の製品は主鏡直径55cm、焦点距離3.65mであった<ref name="allteresco1981-50"/>。1742年製の一例を示すと、主鏡口径φ58mm、焦点距離244mm、副鏡直径φ38mm、鏡間距離286mm、合成焦点距離2,400mm、[[接眼レンズ]]は[[クリスティアーン・ホイヘンス|ハイゲンス]]式の42mm、倍率57倍、見かけ視界直径18[[度 (角度)|度]]であった。
実機の製作は[[ニュートン式望遠鏡]]に遅れたものの、直接に正立像が得られるため金属鏡が使われた時代には[[フィールドスコープ|地上望遠鏡]]としてイギリスで多用された<ref name="allteresco1981-50"/>{{Sfn|吉田正太郎|1988|pp=53-70}}。例えばJ・ショートは[[1732年]]から[[1768年]]の36年間に1,400台、すなわち1ヶ月に3台以上のペースで製造しており、その何台かは現存する<ref name="allteresco1981-50"/>。J・ショートが製造した中で最大の製品は主鏡直径55cm、焦点距離3.65mであった<ref name="allteresco1981-50"/>。1742年製の一例を示すと、主鏡口径φ58mm、焦点距離244mm、副鏡直径φ38mm、鏡間距離286mm、合成焦点距離2,400mm、これに焦点距離42mmの[[ハイゲンス式接眼鏡]]を併用して倍率57倍、見かけ視界φ18[[度 (角度)|度]]であった。


== 特徴 ==
== 特徴 ==

2016年1月14日 (木) 13:46時点における版

グレゴリー式望遠鏡

グレゴリー式望遠鏡(グレゴリーしきぼうえんきょう、Gregorian telescope )は、ジェームス・グレゴリーにより考案された反射望遠鏡の一形式である[1]

発明

スコットランドの数学者ジェームス・グレゴリーは放物凹面の主鏡と楕円凹面の副鏡を使い正立像を得られる望遠鏡を発明し、1663年に原理を発表した[1][2]。しかし当時の技術水準では正確な研磨も光軸調整もできなかったため実物を製作できず[2]、試作は不成功に終わった[1]

量産化

実機の製作はニュートン式望遠鏡に遅れたものの、直接に正立像が得られるため金属鏡が使われた時代には地上望遠鏡としてイギリスで多用された[2][3]。例えばJ・ショートは1732年から1768年の36年間に1,400台、すなわち1ヶ月に3台以上のペースで製造しており、その何台かは現存する[2]。J・ショートが製造した中で最大の製品は主鏡直径55cm、焦点距離3.65mであった[2]。1742年製の一例を示すと、主鏡口径φ58mm、焦点距離244mm、副鏡直径φ38mm、鏡間距離286mm、合成焦点距離2,400mm、これに焦点距離42mmのハイゲンス式接眼鏡を併用して倍率57倍、見かけ視界φ18であった。

特徴

方式を切り替えできる望遠鏡を製作する場合、光路中に平面鏡を入れるだけでニュートン式望遠鏡になるため、光軸が狂う心配がない[注釈 1][3]。また主鏡副鏡ともに凹面鏡であるため、独立して実像を正確に検査ができる[注釈 2][3]

注釈

  1. ^ カセグレン式望遠鏡とニュートン式望遠鏡の方式を切り替えるには双曲面鏡を着脱する必要があるため光軸が狂う危険がある。
  2. ^ カセグレン式望遠鏡の副鏡は凸面であり、検査には補助の鏡が必要である。

出典

  1. ^ a b c 吉田正太郎 1988, pp. 1–34.
  2. ^ a b c d e 「歴史的な望遠鏡の光学精度を推理する」『天体望遠鏡のすべて'81年版』、50-57頁。 
  3. ^ a b c 吉田正太郎 1988, pp. 53–70.

参考文献

  • 吉田正太郎『天文アマチュアのための望遠鏡光学・反射編』誠文堂新光社、1988年11月。ISBN 978-4416288139