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無人攻撃機という機種が故、詳しい運用方法は公開されないが、[[2015年]]現在もウクライナ東部や中東各地で要人暗殺などの実戦任務に投入されているとみられている。
無人攻撃機という機種が故、詳しい運用方法は公開される事はないが、[[2015年]]現在もウクライナ東部や中東各地の戦場で要人暗殺などの実戦任務に投入されているとみられている。


== その他 ==
== その他 ==

2015年6月5日 (金) 14:20時点における版

MQ-9 リーパー

MQ-9

MQ-9

MQ-9 リーパー(Reaper:英語で刈り取るもの、死神[1]などの意)はジェネラル・アトミックス社製の軍用無人航空機

長い航続距離と高い監視能力および攻撃能力を持つハンターキラー無人機であり、原型となったMQ-1 プレデターよりも機体が大型化され、性能が大幅に向上している。

現在、アメリカ空軍アメリカ国土安全保障省NASA等で運用されている。

概要

MQ-1プレデターと同じく機体に人間は搭乗していないが、有人の地上誘導ステーション(MQ-1のシステムを使用可能)で遠隔操縦される。地上誘導ステーションの操縦員はパイロットとセンサー員が1人ずつ計2名で構成されている。

MQ-9には、MQ-1の115hp(86 kW)のレシプロエンジンよりはるかに強力な950SHP(712 kW)のターボプロップエンジンが搭載されており、MQ-1の3倍近い巡航速度を誇る。機体はMQ-1同様、分解してC-130輸送機で輸送可能。

アメリカ空軍はMQ-9を2011年から2018年の間に372機購入することを計画している。

試作機

アルタイル内部の衛星通信装置

MQ-9 リーパーはジェネラル・アトミックス社によって試作されたRQ-1 プレデターBが原型となっている。プレデターBはRQ-1を改良する形で3種類が製作された。

アメリカ空軍はPredator B-003をMQ-9として正式採用する事になるが、このときPredator B-003に付けられていた「アルタイル」の愛称は「リーパー」に変更された。(のちに「アルタイル」はNASAで使用されている非武装型MQ-9の愛称となった)

武装

翼下にヘルファイア4発とペイブウェイ II 2発を搭載したMQ-9

両翼に3つずつ計6つのハードポイントが存在し、増槽ヘルファイア対戦車ミサイルペイブウェイIIレーザー誘導爆弾スティンガー空対空ミサイルを搭載可能(将来的にはJDAMサイドワインダーの搭載も予定)である。

ハードポイントの各パイロンはそれぞれ搭載重量が異なっていて、一番内側の2つが1500ポンド(680kg) 、その1つ外側の2つが600ポンド(270kg)、一番外側の2つが200ポンド(90kg)となっている。

配備と実戦

実戦部隊に配備されたMQ-9 リーパー

2006年11月8日、最初のMQ-9飛行隊である第42攻撃飛行隊が編成され、翌年の2007年3月13日に最初の機体が配備された。

2007年にはイラクアフガニスタンへの実戦配備が開始され、同年アフガニスタンでヘルファイアによる攻撃を行い敵の殺傷に成功している。

2010年にはアメリカ空軍州兵航空隊の第174戦闘航空団第138戦闘飛行隊にF-16戦闘機と交代する形でMQ-9の配備が行われた。これは有人機からMQ-9に改編された最初の例となった。そして改編後の2012年9月9日付で第174攻撃航空団/第138攻撃飛行隊に名称が改められている。

近年、MQ-1とともにアフガニスタンとパキスタンでのターリバーンアルカーイダ攻撃に参加しており、2009年8月にパキスタン・ターリバーン運動バイトゥッラー・マフスード司令官の殺害に成功しているが、誤爆や巻き添えによる民間人の犠牲者が多いことが問題となっている[2]。これは無人機操縦員の誤認や地上部隊の誤報、ヘルファイアミサイルの威力が大きすぎることなどが原因となっている[3][4]。ヘルファイアミサイルの問題に関してはより小型で精密なスコーピオンミサイルを採用して対処することになっている[4]

アメリカ以外にもイギリスイタリアが採用して既に配備しており、オーストラリアドイツトルコフランスも配備する予定。 無人攻撃機という機種が故、詳しい運用方法は公開される事はないが、2015年現在もウクライナ東部や中東各地の戦場で要人暗殺などの実戦任務に投入されているとみられている。

その他

MQ-1の遠隔操縦装置、リーパーもこれと同じものを使用している。

機体そのものに人間が搭乗しないため撃墜されたり事故をおこしても操縦員に危険はなく、また衛星経由でアメリカから遠隔操作が可能であるため、操縦員は長い期間戦地に派遣されることもなく、任務を終えればそのまま自宅に帰ることも可能である。このような無人機の運用は操縦者が人間を殺傷したという実感を持ちにくいという意見がある[5][6]が、「いつミサイルを発射してもおかしくない状況から、次には子どものサッカーの試合に行く」という平和な日常と戦場を行き来する、従来の軍事作戦では有り得ない生活を送ることや、敵を殺傷する瞬間をカラーTVカメラや赤外線カメラで鮮明に見ることが無人機の操縦員に大きな精神的ストレスを与えているという意見もある[7]国際政治学者P・W・シンガーによると、無人機のパイロットは実際にイラクに展開している兵士よりも高い割合で心的外傷後ストレス障害を発症している[8]

無人機の操縦者のうち7人に1人は民間人(民間軍事会社)だが、アメリカ軍の交戦規定により攻撃は軍人が担当している[6]

仕様

  • 製作: ジェネラル・アトミックス
  • 操縦員(遠隔操作): 2名(パイロット1名、センサー員1名)
  • エンジン: ハネウェル TP331-10Tターボプロップエンジン、出力950 SHP(712 kW)
  • 最大燃料搭載量: 1,815 kg (4,000 lb)
  • 長さ: 11 m (36 ft)
  • 翼幅: 20 m (66 ft)
  • 空虚重量: 2,223 kg (4,900 lb)
  • 最大離陸重量: 4,760 kg (10,500 lb)
  • 最高高度: 15,200m (50,000 ft)
  • 運用高度: 7,600m (25,000 ft)
  • 滞空時間: 14~28時間
  • 航続距離: 5,926 km (3,200 nmi, 3,682 mi)
  • ペイロード: 3,750 lb (1,700 kg)
  • 最高速度: 482 km/h (300 mph, 260 knots)
  • 巡航速度: 276-313 km/h (172-195 mph, 150-170 knots)
  • レーダー: AN/APY-8 Lynx II
  • センサー: MTS-B


登場作品

国土安全保障省のMQ-9

映画

中盤のドイツで、ハンニバルことジョン・スミス率いる「Aチーム」がH・Mことマードックと合流後に逃走手段としてアメリカ空軍の基地からC-130輸送機を強奪して離陸するも、緊急出動した本機2機が機銃と空対空ミサイルで攻撃を行い撃墜する。しかし輸送機内に積まれていたM8空挺戦車で脱出していたAチームの反撃により、1機は車載機銃の対空射撃で、もう1機は主砲から放たれた砲弾の直撃によって撃墜された。

ゲーム

AIやプレイヤーが直接操作するほか、半自律操作が可能。

脚注

関連項目

外部リンク