「竜王と賢女ワシリーサ」の版間の差分

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'''竜王と賢女ワシリーサ'''(りゅうおうと けんじょワシリーサ、The Dragon King and Vasilisa the Wise)とはロシアの民話である。
'''竜王と賢女ワシリーサ'''(りゅうおうと けんじょワシリーサ、The Dragon King and Vasilisa the Wise)とはロシアの民話である。

==概説==
王が狩りをしているときに1羽の若鷲が樫の木に止まっていた。王様が狙いを定めて引き金を引こうとすると「王様、私を撃たないでください!それよりも私を一緒に連れて帰ってください」と鷲が撃たないでくれと3度も懇願した。王は鷲を憐み鷲を連れて帰った。。1年、2年と飼ううちに鷲はすっかり家畜を平らげてしまった。王様のもとには牝牛一頭もいなくなったという。すると鷲はさらに「どうかわたしを自由の身にしてください」と向かっていったという。王様は鷲を離した。私は自分の翼で試してみたが飛ぶことができなかった。そこでまた鷲はこう頼んだ「王様、あなたは2年間私を養ってくださいました。できますならさらにもう1年養って、無理をしてでも養ってください。決して損にはなりませんから!」こうして王様は言われた通りにした。3年間飼うと役に立つことをアピールしてようやく飼った。大きくなった鷲は3年目に王を背中に乗せた。このとき鷲は3度海に落として王を拾い、命が狙われる恐ろしさを教えた。3度目の親戚の家にたどりつきようやく船と2つあう魔法の箱を王に渡した。この時鷲は「御殿につくまでは箱を開けないこと、赤い箱は裏庭で、緑色は前庭で開けること」といい、王は了承した。ところが途中の島で赤い箱を開けてしまった。すると家畜が多数出てきた。これを見て突然海の中から出てきた男が「家の中で王の知らないものをほしい」という条件で家畜たちを箱にしまった。家に帰ると王子が誕生している事を知り、嘆いたが箱から次々飛び出すと王は大変喜んだ。裏庭に緑の箱を開けると立派な庭園が突如現れた。しかし、月日が流れると水の中から現れた男が城に来て、借りを返せといった。仕方なく王は大きくなった王子を旅にだした。

王子は途中で出会ったヤガーばあさんに事の一部始終を話すと「十二羽の鷺が飛んできて乙女に変わるから一番上の娘の下着を隠しなさい、また『食いしん坊』『大酒のみ』『寒の太郎』という3人の勇者を連れて行きなさい」と助言をした。その通りにすると十一羽は肌着を着て鷺に変えるがワシリーサだけは下着が無いために元に戻る事が出来ない。王子に父の竜王の元に連れ出したときには役に立つから返して欲しいといった。王子は肌着を返し、鷺に乗って竜王の宮殿に到着した。竜王は異界に来た人間である王子に一日で水晶の橋などを作らないと首をはねると脅すがワシリーサの魔力で難なくこなした。竜王は功績を称え晩餐会を開きこの時に無理難題を振り、殺そうとしたが「食いしん坊」「大酒のみ」「寒の太郎」が人間離れした食いっぷり、のみっぷりと沸騰した灼熱の湯を氷にしたことで切り抜けた。

竜王はどうみても王子を殺そうとしていたので2人で逃げることにした。竜王が追ってくるときに二頭の馬は蜜の川に、王子は雄の鴨に自分は灰色の雌鴨に化けた。食いしん坊だった竜王は蜜の川を全部のみほそうとしたので腹がやぶけて死んだ。現世に王子を戻したとき、この道で待っているから最後に妹以外の者以外であればキスをしてもよいが妹とキスをしたら私の事は忘れるからしないでくれと言った。しかし、王子はこのいいつけを忘れ、妹にも挨拶のキスをし、ワシリーサを忘れてしまった。待ち焦がれたワシリーサは4日目に「王子の婚礼式のために国民は国中でパイを作ること」という御触れ書きを見て自分もパイを作った。王子の婚礼式の最中にワシリーサが作ったパイの中から2匹の鴨が現れた。王子は不思議なパイをよこせと命令するが鴨は「嫌です。あげたら私の事を忘れるでしょう。ワシリーサの事を忘れたように」と言った。王子はこの言葉で思い出し、王女と共に仲良く暮らしたという。

==解説・補説==
この民話には「海の帝王とワシリーサ・プレームドラヤ」(The Sea King and Vasilisa the Wise)、「湖の帝王とワシリーサ・プレームドラヤ」(The Lake King and Vasilisa the Wise)といった類話が残されており、大体のストーリーは一緒である。ワシリーサは実は竜王の娘である。
この民話には「海の帝王とワシリーサ・プレームドラヤ」(The Sea King and Vasilisa the Wise)、「湖の帝王とワシリーサ・プレームドラヤ」(The Lake King and Vasilisa the Wise)といった類話が残されており、大体のストーリーは一緒である。ワシリーサは実は竜王の娘である。


「海の帝王とワシリーサ・プレームドラヤ」では老婆は「[[バーバ・ヤーガ]]」であり、怪婆である。3人の勇者の1人である「寒の太郎」はここではその名前ではなく、「極寒じいさん」となっている。物語の最後にワシリーサ姫が作るのはパイではなくピローグであり、ピローグの中にある凝乳から雄鴨と雌鴨が出てくる。その後、ワシリーサを思い出した王子は結婚相手と共にではなくワシリーサ姫と幸せに暮らす結末になっている。
「海の帝王とワシリーサ・プレームドラヤ」では老婆は「[[バーバ・ヤーガ]]」であり、怪婆である。3人の勇者の1人である「寒の太郎」はここではその名前ではなく、「極寒じいさん」となっている。物語の最後にワシリーサ姫が作るのはパイではなくピローグであり、ピローグの中にある凝乳から雄鴨と雌鴨が出てくる。その後、ワシリーサを思い出した王子は結婚相手と共にではなくワシリーサ姫と幸せに暮らす結末になっている。

==注==
<references />


==参考文献==
==参考文献==

2015年1月25日 (日) 08:18時点における版

竜王と賢女ワシリーサ(りゅうおうと けんじょワシリーサ、The Dragon King and Vasilisa the Wise)とはロシアの民話である。 この民話には「海の帝王とワシリーサ・プレームドラヤ」(The Sea King and Vasilisa the Wise)、「湖の帝王とワシリーサ・プレームドラヤ」(The Lake King and Vasilisa the Wise)といった類話が残されており、大体のストーリーは一緒である。ワシリーサは実は竜王の娘である。

「海の帝王とワシリーサ・プレームドラヤ」では老婆は「バーバ・ヤーガ」であり、怪婆である。3人の勇者の1人である「寒の太郎」はここではその名前ではなく、「極寒じいさん」となっている。物語の最後にワシリーサ姫が作るのはパイではなくピローグであり、ピローグの中にある凝乳から雄鴨と雌鴨が出てくる。その後、ワシリーサを思い出した王子は結婚相手と共にではなくワシリーサ姫と幸せに暮らす結末になっている。

参考文献

  • 中村善和編訳「アファナーシェフ ロシア民話集(下)」岩波書店(岩波文庫)1987.
  • アファナーシェフ著、金本源之助訳「ロシアの民話1」群像社2009.
  • アファナーシェフ著、金本源之助訳「ロシアの民話2」群像社2010.
  • アファナーシェフ著、金本源之助訳「ロシアの民話3」群像社2010.
  • 篠田知和基著 「世界動物神話」八坂書房 2008.

関連項目