「池宮彰一郎」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
54行目: 54行目:
* 大岡越前(TBS)
* 大岡越前(TBS)
* [[必殺仕掛人]](1972年、朝日放送)
* [[必殺仕掛人]](1972年、朝日放送)
* [[風雲 柳生武芸帳]](1985テレビ東京、東映)
* [[右門捕物帖 (1974テレビドラマ)|右門捕物帖]](1974年NET・東映)
** 第5話「通り魔」(1974年)
** 第26話「人質」(1974年)
** 第49話「秘密」(1975年) ※川口桂と共同執筆
* [[風雲 柳生武芸帳]](1985年、テレビ東京・東映)


=== 小説 ===
=== 小説 ===

2014年11月8日 (土) 08:22時点における版

池宮 彰一郎(いけみや しょういちろう、1923年5月16日 - 2007年5月6日)は、日本脚本家小説家。本名の池上 金男(いけがみ かねお)で脚本家として活動、『十三人の刺客』など数多くの映画・テレビドラマの制作に関わった。1992年に小説『四十七人の刺客』を発表して以降、池宮彰一郎のペンネームを用いて歴史小説を著したが、2002年に司馬遼太郎作品との類似問題により活動をほぼ停止した。 作家の池上司は息子。

経歴

東京府に生まれる。静岡県沼津市に育ち、静岡県立沼津商業学校(現・静岡県立沼津商業高等学校)を卒業する。

第二次世界大戦中は満州陸軍に徴兵される。兵舎に放火して南方送りとなり、ペリリュー島逆上陸作戦に参加、3000名いた部隊で生き残ったのは20~30名だったという。その後、台湾に引き上げる際も輸送船が撃沈され、またもや生還率1%以下の中で生き残った。

戦後、三村伸太郎への師事を経て、映画脚本家となる。本名の池上金男名義で脚本を書き、『十三人の刺客』『大殺陣』で京都市民映画脚本賞を受賞する。

1992年、69歳の時に池宮彰一郎として執筆した、小説家としては随分遅いデビュー作『四十七人の刺客』で新田次郎文学賞を受賞する。1999年、『島津奔る』で柴田錬三郎賞を受賞する。脚本作家である経歴を生かし、特に戦争や戦闘のシーンにおいて軽妙で迫力のある文章を得意として、人気を博した。

司馬遼太郎を深く尊敬しており、口演にて「日本の小説は私小説が主体であったが、司馬遼太郎の歴史小説は大河的であり、日本の小説の流れを変えた作家であった」との内容を述べている。また、「歴史小説はそれまでの歴史考証にとらわれ過ぎてもならないし、逆に歴史を全く無視してもならない」と述べ、独自の歴史考証を行うことで新感覚の歴史小説を生み出していた。

『四十七人の刺客』では大胆な考証を多数織り交ぜ、映画化を果たしたこともあり話題となった。例えば、江戸の町は治安のため、夜間は町ごとに門を設けて通行できないようにしてあった。当然赤穂浪士は移動のための工夫が必要であったはずで、池宮は大胆にも水路の移動が最も合理的であると判断し、作中でそのように描いた。

作品全体を見れば、独自の視点を沢山盛り込んでおり、クリエイティブな作家であったが、デビュー当初ですでに老齢でもあり、作品数には限界があった。 さらに、加えて晩年、著作中、一部の文章に、他の作家の作品との類似が指摘され、以下のような盗作疑惑が持ち上がることとなった。

盗作疑惑

『遁げろ家康』(朝日新聞社)は司馬遼太郎の『覇王の家』との類似点を指摘され、2002年12月25日に絶版・回収となる。同じく『島津奔る』(新潮社)も司馬の『関ヶ原』との類似の問題で、2003年4月3日に絶版・回収となった。池宮は、「家内の病気や引っ越し、連載が重なり混乱し、資料と先輩作家たちの作品が混ざってしまった。自戒の意味から絶版をお願いした」とのコメントを発表した。ネタ元があまりにも有名すぎるだけに、この弁明にはある程度の信憑性もあるが(司馬作品はいずれも現役のロングセラーであり、同ジャンルで読者層も共通している以上、常識で考えて露見しないはずがなく、その危険に考えが及ばなかったこと自体、混乱した精神状態であったことを伺わせる)、一方で話題性も大きく、作家生命を痛撃することになった。 結果として、司馬遼太郎財団から、著作権侵害の訴訟等は起こされなかった。

この2作以外にも「類似」を指摘する声があり、事件以後は連作の『平家』を除いて新作が出版されることはなかった。 ただし、その後も『密約―西郷と大久保』を雑誌『野性時代』に連載していたが、第一部で未完となった。

2007年5月6日午後8時26分、肺癌のため自宅で死去した。享年83。

受賞歴

脚本家・池上金男としての受賞

小説家・池宮彰一郎としての受賞

主要作品

映画脚本

池上金男名義。

テレビドラマ脚本

池上金男名義。

  • 北斗の人(1967年、NET)
  • 江戸川乱歩シリーズ(東京12チャンネル)
  • 大岡越前(TBS)
  • 必殺仕掛人(1972年、朝日放送)
  • 右門捕物帖(1974年、NET・東映)
    • 第5話「通り魔」(1974年)
    • 第26話「人質」(1974年)
    • 第49話「秘密」(1975年) ※川口桂と共同執筆
  • 風雲 柳生武芸帳(1985年、テレビ東京・東映)

小説

池上金男名義。

  • 限りなき一つの道 (1979年、祥伝社)
  • 幻の関東軍解体計画 (1989年、祥伝社)→池宮彰一郎名義で『事変 リットン報告書ヲ奪取セヨ』として加筆出版(新潮文庫、のち角川文庫

以下、池宮彰一郎名義。各文庫化され、数作品が角川文庫で再刊

その他の著書

池上金男名義。

  • 鉄血の島―沖縄に燃えるいのち(1985年、東洋堂企画出版社)

池宮彰一郎名義。

  • 義、我を美しく(新潮社、1997年、新潮文庫 2000年)
  • 忠臣蔵夜咄 (角川書店 2002年、角川文庫、2006年)

外部リンク