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1979年(昭和54年)に[[日本芸術院賞]]・[[恩賜賞 (日本芸術院) |恩賜賞]]を受賞し、1981年(昭和56年)に[[日本芸術院]]会員。
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妻とともに[[カトリック]]信徒で著名。新劇界の重鎮として、長く[[岸田国士戯曲賞]]の選考委員を務めたが、[[ジャン=ポール・サルトル|サルトル]]、[[アルベール・カミュ|カミュ]]などの名をギャグのタネにした[[鴻上尚史]]を忌み嫌い、その受賞を阻止し続け、田中が(没する直前に)辞任した事で、ようやく鴻上は(没年の)1995年に受賞した。
妻とともに[[カトリック教会|カトリック]]信徒で著名。新劇界の重鎮として、長く[[岸田国士戯曲賞]]の選考委員を務めたが、[[ジャン=ポール・サルトル|サルトル]]、[[アルベール・カミュ|カミュ]]などの名をギャグのタネにした[[鴻上尚史]]を忌み嫌い、その受賞を阻止し続け、田中が(没する直前に)辞任した事で、ようやく鴻上は(没年の)1995年に受賞した。


墓所はカトリック府中墓地。没後に、故郷長崎の[[浦上天主堂]]前に、澄江夫人筆の碑文が建立された。
墓所はカトリック府中墓地。没後に、故郷長崎の[[浦上天主堂]]前に、澄江夫人筆の碑文が建立された。

2014年8月14日 (木) 09:17時点における版

田中 千禾夫
(たなか ちかお)
誕生 1905年10月10日
長崎県長崎市
死没 (1995-11-25) 1995年11月25日(90歳没)
東京都
墓地 カトリック府中墓地36号
職業 劇作家
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
教育 学士文学
最終学歴 慶應義塾大学文学部仏文科
活動期間 1933年 - 1995年
ジャンル 実存主義戯曲
主題 戯曲・随筆・小説
代表作 『雲の涯』(1947年)
『教育』(1954年)
マリアの首』(1959年)
主な受賞歴 読売文学賞(1955年)
岸田演劇賞(1959年)
芸術選奨(1960年)
毎日出版文化賞(1978年)
日本芸術院賞恩賜賞(1979年)
勲三等瑞宝章(1982年)
デビュー作 『おふくろ』(1933年)
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田中 千禾夫(たなか ちかお、1905年明治38年)10月10日 - 1995年平成7年)11月25日)は、日本劇作家フランス文学者日本芸術院会員。

経歴

長崎県長崎市生れ。

長崎県立長崎中学校 (旧制)を経て、慶應義塾大学フランス文学科卒。在学中から獅子文六岸田国士の「新劇研究所」に入り、1932年、岸田主宰の第1次『劇作』創刊に参加、実質的な編集長の任を務めた。1933年、戯曲『おふくろ』で注目される。1934年、やはり劇作家の田中澄江と結婚、神奈川県藤沢町鵠沼に新居を構える。1937年、文学座創設に参加するが、1944年に広島県に疎開、戦時中は筆を絶つ。

戦後活動再開、代表作『雲の涯(はたて)』を書いた。1951年に俳優座に加わる、実存主義的作風の『教育』などで1954年度読売文学賞を受賞。劇作家でもある三島由紀夫は、1955年4月に『教育・笛』の書評で田中を、岸田国士の最も本当の意味での継承者と述べた。後に桐朋学園短期大学演劇科の教授を務めた。

長崎の原爆を扱った『マリアの首』(1959年)で岸田演劇賞および芸術選奨文部大臣賞受賞。演劇評論では、1978年、『劇的文体論序説』で毎日出版文化賞受賞。1960年より白水社で『田中千禾夫戯曲全集』が刊行された。

1979年(昭和54年)に日本芸術院賞恩賜賞を受賞し、1981年(昭和56年)に日本芸術院会員。

妻とともにカトリック信徒で著名。新劇界の重鎮として、長く岸田国士戯曲賞の選考委員を務めたが、サルトルカミュなどの名をギャグのタネにした鴻上尚史を忌み嫌い、その受賞を阻止し続け、田中が(没する直前に)辞任した事で、ようやく鴻上は(没年の)1995年に受賞した。

墓所はカトリック府中墓地。没後に、故郷長崎の浦上天主堂前に、澄江夫人筆の碑文が建立された。

受賞歴

著書

  • 『新撰劇作叢書 第3 おふくろ 他三篇』(白水社 1935) 
    • 『おふくろ 他一編』(角川文庫 1955)
  • 『雲の涯 他四篇 田中千禾夫戯曲集』(世界文學社〈劇作選書〉 1949)
  • 『物言う術 俳優術第一歩』(世界文學社 1949、未來社 1954)、新訂版(白水社 1969、新版1978ほか)
  • 『教育・笛』(河出書房〈河出新書〉 1955)
  • 『田中千禾夫一幕劇集』(未來社 1955)
  • 『海の星=ひとで』(宝文館ラジオ・ドラマ新書 1955)
  • 『新劇辞典』(弘文堂〈アテネ文庫〉 1955)
  • 田中千禾夫戯曲全集』(全7巻、白水社 1960-1967)
  • 『新劇鑑賞入門』(創元社・創元手帖文庫 1963)
  • 『藤堂作右衛門の冒険』(講談社 1971)
  • 『無駄と真実 随想集』(講談社 1972)
  • 『八百屋お七牢日記』(新潮社 1972) 書下ろし新潮劇場
  • 『鍵の下』(新潮社 1974) 書下ろし新潮劇場
  • 『劇的文体論序説』(上下、白水社 1977-78)
  • 『右往左往』(河出書房新社 1979)

共編著

  • 『新劇手帖』(内村直也共編 創元社 1952)
  • 『現代日本キリスト教文学全集10 母性と聖性』(教文館 1973)
  • 『現代日本キリスト教文学全集15 自然と生活』(教文館 1973)
  • 『現代キリスト教劇集』(聖文舎 1977)編著
  • 『旅は道連れ』(澄江との共著 朝日新聞社 1982)
  • 『貴族の階段』(原作武田泰淳 白水社 1984)
  • 『夫婦で六十二年』(澄江との共著 講談社 1997)

伝記など

  • 石澤秀二『祈りの懸け橋 評伝田中千禾夫』(白水社 2004)
  • 田中澄江『夫の始末』(講談社 1995/講談社文庫 1998)。自伝的連作集で女流文学賞紫式部文学賞を受賞した

外部リンク