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スケールファクタとは、尺度、乗数、または数量を表す数字である。

概要

方程式 y = Cx で表し、C を x のスケールファクタという。また C は係数であり、x に対する y の比例関係にある定数でもある。例として、距離を2倍にすることは、膨張因子 C = 2 であり、ケーキを半分に切り分けるのは C = 1/2 である。 The basic equation for it is image over preimage。測量の分野では、計測機器のスケールファクタは、しばしば感度(またはレンジ分解能)のことを指す。幾何学的に相似である図形での相関する任意の距離の比もスケールファクタと呼ぶ。

コンピュータ用語のスケールファクタについては、スケールファクタ英語版を参照のこと。

宇宙論におけるスケールファクタ

宇宙論では、しばしば宇宙膨張因子、あるいは単に膨張因子、さらにはフリードマン方程式におけるフリードマン・ルメートル・ロバートソン・ウォーカー計量パラメータ[1]とも呼ばれ、膨張する宇宙の計量における時間の関数である。これは2つの物体間、例えばハッブル則に従って離れていく2つの銀河団間などの固有の距離(時間とともに変化できるが、一定となる共動距離英語版とは異なる)と関係する。ある基準となる時間 での距離に対して任意の時間 での FLRW 計量の宇宙膨張をいう。これは次式で与えられる。

ここで、 はある時間 での固有距離、 は 基準とする時間 での距離で、 がスケールファクタである。[2]この定義により、 となる。

スケールファクタは無次元量であり、宇宙誕生からの時間 、宇宙の年齢を表す = 137.98±0.37 億年(2013年現在)[3]を用いて、現在の の値は または と与えられている。

ダイナミックな問いであるスケールファクタの進化は一般相対性理論の方程式で決定され、これは宇宙が局所的に等方的で均質な場合のフリードマン方程式により表される。

ハッブル定数は以下のように定義される。:

ここで、 の上付きの点は 時間微分である。

前出の式 から、 とみなすことができ、また でもあることから、これらを組み合わせて が与えられ、上記のハッブルパラメータの定義に代入すれば、 となり、これはハッブル則である。

現在の観測結果による証拠は、宇宙の膨張率が加速していることを示唆している。このことはスケールファクタの2階微分 が正であることを意味する。または、1階微分 が時間を追って増大していることと等価であることを示す。[4]あるいは、任意の銀河が時間を追って速さを増し我々から遠ざかっていること、すなわち銀河の が時間を掛けて増大していることを意味している。対照的に、ハッブル定数は時間とともに”減少”しているようにみえる。これは我々が”固定された”距離 d から別々の銀河の列がこの距離を通過するのを眺めた場合、先に進んでいた銀河よりも小さい速度で後からの銀河が進んでいくように見えることになる。[5]

膨張宇宙モデルとして使われるフリードマン・ルメートル・ロバートソン・ウォーカー計量によれば、現在の時刻に赤方偏移 z を示す遠く離れた物体からの光が届くと、もともとの光を放射している物体のその時刻でのスケールファクタは となる。[6][7]

関連項目

参照、注釈

  1. ^ Steven Weinberg (2008). Cosmology. Oxford University Press. p. 3. ISBN 978-0-19-852682-7. http://books.google.com/books?id=48C-ym2EmZkC&pg=PA3 
  2. ^ Schutz, Bernard (2003). Gravity from the Ground Up: An Introductory Guide to Gravity and General Relativity. Cambridge University Press. p. 363. ISBN 978-0-521-45506-0 
  3. ^ Planck collaboration (2013). “Planck 2013 results. I. Overview of products and scientific results”. Submitted to Astronomy & Astrophysics. arXiv:1303.5062. Bibcode2013arXiv1303.5062P. 
  4. ^ Jones, Mark H.; Robert J. Lambourne (2004). An Introduction to Galaxies and Cosmology. Cambridge University Press. p. 244. ISBN 978-0-521-83738-5 
  5. ^ Is the universe expanding faster than the speed of light? (最終節を参照)
  6. ^ Davies, Paul (1992), The New Physics, p. 187.
  7. ^ Mukhanov, V. F. (2005), Physical Foundations of Cosmology, p. 58.

外部リンク