「アインシュタインの十字架」の版間の差分

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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[重力レンズ|重力レンズ効果]]
* [[重力レンズ|重力レンズ効果]]
** [[四つ葉のクローバークエーサー]]
** [[四つ葉のクローバークエーサー]] (QSO J1415+1129)
** [[QSO B1359+154]]
** [[QSO B1359+154]]
* [[アルベルト・アインシュタイン]]
* [[アルベルト・アインシュタイン]]

2014年7月1日 (火) 01:22時点における版

QSO 2237+030
ハッブル宇宙望遠鏡の画像。
星座 ペガスス座
見かけの等級 (mv) 16.78[1]
分類 クエーサー[1]
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  22h 40m 30.3s[1]
赤緯 (Dec, δ) +03° 21′ 30″[1]
赤方偏移 1.695[1]
視線速度 (Rv) 227230 km/s[1]
距離 8億光年[2]
物理的性質
色指数 (B-V) -2.42[1]
他のカタログでの名称
QSO 2237+030、
QSO 2237+0305、
QSO B2237+030、
QSO B2237+0305、
QSO J2240+0321、
AGC 320302、
BWSH C、
LEDA 69457、
NPM1G +03.0590[1]
[Y88] A・B・C・D[3]
Template (ノート 解説) ■Project
[Y88] G
仮符号・別名 ハクラのレンズ
視直径 1.6 × 1.6
分類 Sab D型銀河
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  22h 40m 30.23s[3]
赤緯 (Dec, δ) +03° 21′ 31.3″[3]
赤方偏移 0.0394[3]
視線速度 (Rv) 11579 km/s[3]
距離 400万 光年[2]
他のカタログでの名称
Huchra's lens、
[Y88] G、
UZC J224030.2+032131[3]
Z 378-15、
Z 2237.9+0305、
ZW 2237+030[1]
QSO 2237+0305 G
Template (ノート 解説) ■Project

アインシュタインの十字架(Einstein Cross)[1]とは、銀河[Y88] G[3]と、[Y88] Gによってもたらされた重力レンズ効果で4個に分裂したクエーサーQSO 2237+030[1]の組み合わせである。アインシュタインクロスとも呼ばれる。

[Y88] G

[Y88] Gは、ハクラのレンズ(Huchra's lens)[3]とも呼ばれる、Sab D型の楕円銀河である。固有名は天文学者ジョン・ハクラに因む。地球から400万光年離れた位置にある[2]。銀河の視直径は1.6×1.6である。後述するクエーサーQSO 2237+030の重力レンズ効果の原因となっている重力源であり、この度合いから[Y88] Gの質量を求める試みがある[2]

QSO 2237+030

QSO 2237+030は、[Y88] Gの後ろに存在するクエーサーである。地球から8億光年離れた位置にあり、[Y88] Gとは20倍もの開きがある。QSO 2237+030は、[Y88] Gの重力によって4個の像に分裂し、0.87×0.34の領域に広がっている。像はそれぞれ[Y88] Gを基準に、北は[Y88] A、南は[Y88] B、東は[Y88] C、西は[Y88] Dと名づけられている。しかし、実際には[Y88] Gに重なる位置に微弱な5個目の像、すなわちQSO 2237+030の本体があると予想されており、観測可能かもしれない[2]

名称

アインシュタインの十字架という名称は、理論物理学者アルベルト・アインシュタインに因む。アインシュタインは、1915年から1916年に発表した一般相対性理論において、重い物体によって発生した重力によって時空歪み、その歪んだ時空に沿ってが曲がって進むことが提唱された。もし観測者と観測対象の間に別の天体があった場合、観測対象から放たれた別々の光を、天体の重力が凸レンズの役割を果たして一点に集める事になる。このとき、別々の光を見るため、あたかも観測対象が分裂して見える。これを重力レンズ効果と呼ぶ。重力レンズ効果は1936年にアインシュタイン自身が論文中に述べ、実例は1979年に発見された。アインシュタインの十字架は1985年に発見されたが、4個の像は、その1年前に発見された四つ葉のクローバークエーサーが最初である。ただし、四つ葉のクローバークエーサーは中心部が良く見えないため、十字架には見えない。

関連項目

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k QSO J2240+0321 - SIMBAD
  2. ^ a b c d e First ESA Faint Object Camera Science Images the Gravitational Lens G2237 + 0305 - HubbleSite
  3. ^ a b c d e f g h [Y88] G - SIMBAD

座標: 星図 22h 40m 30.3s, +03° 21′ 30″