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== 機体概要 ==
== 機体概要 ==
[[スペースシャトル]]の翼だけを独立させたような形状だが、素材自体の耐熱性だけではなく、[[衝撃波]]の上に乗る([[ウェイブライダー]])で大気圏突入時の熱から機体を保護し、かつ突入中にもかなり自由に動ける構造になっている。
[[スペースシャトル]]の翼だけを独立させたような形状だが、素材自体の耐熱性だけではなく、[[衝撃波]]の上に乗る([[ウェイブライダー]])ことで大気圏突入時の熱から機体を保護し、かつ突入中にもかなり自由に動ける構造になっている。


本機に搭乗するMSは大気圏突入時には機体上面に腹這いとなる。突入後は[[サブフライトシステム]]として使用するも、水面を滑走するも可能である。本来はガンダムMk-IIの規格に合わせて開発された装備のため、同機の専用ともいえるが[[グリプス戦役]]の戦局の拡大とともに少数が生産され、雑誌企画『[[ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに]]』では[[ネモ (ガンダムシリーズ)|ネモ]]が使用した。
本機に搭乗するMSは大気圏突入時には機体上面に腹這いとなる。突入後は[[サブフライトシステム]]として使用することも、水面を滑走することも可能である。本来はガンダムMk-IIの規格に合わせて開発された装備のため、同機の専用ともいえるが[[グリプス戦役]]の戦局の拡大とともに少数が生産され、雑誌企画『[[ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに]]』では[[ネモ (ガンダムシリーズ)|ネモ]]が使用した。


劇場版『[[機動戦士Ζガンダム#劇場版|機動戦士Ζガンダム A New Translation]]』では、フライングアーマーが2機存在する。また[[ティターンズ]]から奪取したことになっている。
劇場版『[[機動戦士Ζガンダム#劇場版|機動戦士Ζガンダム A New Translation]]』では、フライングアーマーが2機存在する。また[[ティターンズ]]から奪取したことになっている。


『[[機動戦士ガンダムΖΖ]]』では[[ネオ・ジオン#アクシズ(ネオ・ジオン)|ネオ・ジオン]]の地球降下作戦を阻止するため、[[エル・ビアンノ]]搭乗のガンダムMk-IIが装備し、戦闘後に大気圏突入を行っている。地球降下以降は使用されていない。
『[[機動戦士ガンダムΖΖ]]』では[[ネオ・ジオン#アクシズ(ネオ・ジオン)|ネオ・ジオン]]の地球降下作戦を阻止するため、[[エル・ビアンノ]]搭乗のガンダムMk-IIが装備し、戦闘後に大気圏突入を行っている。地球降下以降は使用されていない。


== 開発経緯 ==
== 開発経緯 ==
[[エゥーゴ]]の戦略の内、[[ジャブロー]]など地上の[[地球連邦軍]]拠点への電撃的な侵攻手段の開発は急務であった。既存のMSは単体で大気圏突入を行う際[[バリュート (ガンダムシリーズ)|バリュート]]と呼ばれる耐熱装備によって大気との摩擦熱から機体を防護し[[熱圏]]を突破するのが通例となっていたが、突入時は[[自由落下]]そのものであり、近傍の敵に対して完全に無防備となる。さらに、地表到達までに[[パラシュート]]などで機体を減速させる必要があり、その際に地上から狙撃される可能性が高かった。これは、大型[[HLV]]を使えないというエゥーゴの台所事情もあったようだが、仮にHLVが使用できたとしても地上からの迎撃は避けられず、敵勢力圏外に降下すれば移動に時間を割かれることになる。
[[エゥーゴ]]の戦略の内、[[ジャブロー]]など地上の[[地球連邦軍]]拠点への電撃的な侵攻手段の開発は急務であった。既存のMSは単体で大気圏突入を行う際[[バリュート (ガンダムシリーズ)|バリュート]]と呼ばれる耐熱装備によって大気との摩擦熱から機体を防護し[[熱圏]]を突破するのが通例となっていたが、突入時は[[自由落下]]そのものであり、近傍の敵に対して完全に無防備となる。さらに、地表到達までに[[パラシュート]]などで機体を減速させる必要があり、その際に地上から狙撃される可能性が高かった。これは、大型[[HLV]]を使えないというエゥーゴの台所事情もあったようだが、仮にHLVが使用できたとしても地上からの迎撃は避けられず、敵勢力圏外に降下すれば移動に時間を割かれることになる。


そこで、大気圏上層から地表に至るまで、高い機動性を確保したまま地上戦に投入できるMSの有効性が検討されることになった。そして、当時進行していた「[[Ζ計画]]」の一環として、[[Ζガンダム]]の最大の特徴である大気圏突入能力を検証すべくフライングアーマーが開発され、[[グリプス戦役#ジャブロー侵攻|ジャブロー侵攻作戦]]に実戦投入されたのである。
そこで、大気圏上層から地表に至るまで、高い機動性を確保したまま地上戦に投入できるMSの有効性が検討されることになった。そして、当時進行していた「[[Ζ計画]]」の一環として、[[Ζガンダム]]の最大の特徴である大気圏突入能力を検証すべくフライングアーマーが開発され、[[グリプス戦役#ジャブロー侵攻|ジャブロー侵攻作戦]]に実戦投入されたのである。


== 可変モビルスーツへの応用 ==
== 可変モビルスーツへの応用 ==
[[カミーユ・ビダン]]による試作機の運用実績は良好で、Ζガンダムにもフライングアーマーが正式に採用されるになった。ΖガンダムのフライングアーマーはMS形態の時は左右に分割された状態で背中に装備されており(装備しないで出撃するも可能)、ウェイブライダーへの変形時には回転しつつ前に回り込んで、機首部を覆うシールドと共に機体下面をカバーする。
[[カミーユ・ビダン]]による試作機の運用実績は良好で、Ζガンダムにもフライングアーマーが正式に採用されることになった。ΖガンダムのフライングアーマーはMS形態の時は左右に分割された状態で背中に装備されており(装備しないで出撃することも可能)、ウェイブライダーへの変形時には回転しつつ前に回り込んで、機首部を覆うシールドと共に機体下面をカバーする。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==

2014年5月17日 (土) 12:42時点における版

フライングアーマーとは、アニメ機動戦士Ζガンダム』などのガンダムシリーズに登場する架空の兵器。MS(モビルスーツ)用の大気圏突入装備であり、次の3種が存在する。

  1. ガンダムMk-IIの規格に合わせて開発された試作機
  2. Ζガンダム系列の可変モビルスーツに、機体の一部として組み込まれているモジュール
  3. F90のミッションパックのP(プランジ)タイプ

本項目では主として1.について述べる。

機体概要

スペースシャトルの翼だけを独立させたような形状だが、素材自体の耐熱性だけではなく、衝撃波の上に乗る(ウェイブライダー)ことで大気圏突入時の熱から機体を保護し、かつ突入中にもかなり自由に動ける構造になっている。

本機に搭乗するMSは大気圏突入時には機体上面に腹這いとなる。突入後はサブフライトシステムとして使用することも、水面を滑走することも可能である。本来はガンダムMk-IIの規格に合わせて開発された装備のため、同機の専用ともいえるがグリプス戦役の戦局の拡大とともに少数が生産され、雑誌企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』ではネモが使用した。

劇場版『機動戦士Ζガンダム A New Translation』では、フライングアーマーが2機存在する。また、ティターンズから奪取したことになっている。

機動戦士ガンダムΖΖ』ではネオ・ジオンの地球降下作戦を阻止するため、エル・ビアンノ搭乗のガンダムMk-IIが装備し、戦闘後に大気圏突入を行っている。地球降下以降は使用されていない。

開発経緯

エゥーゴの戦略の内、ジャブローなど地上の地球連邦軍拠点への電撃的な侵攻手段の開発は急務であった。既存のMSは単体で大気圏突入を行う際、バリュートと呼ばれる耐熱装備によって大気との摩擦熱から機体を防護し熱圏を突破するのが通例となっていたが、突入時は自由落下そのものであり、近傍の敵に対して完全に無防備となる。さらに、地表到達までにパラシュートなどで機体を減速させる必要があり、その際に地上から狙撃される可能性が高かった。これは、大型HLVを使えないというエゥーゴの台所事情もあったようだが、仮にHLVが使用できたとしても地上からの迎撃は避けられず、敵勢力圏外に降下すれば移動に時間を割かれることになる。

そこで、大気圏上層から地表に至るまで、高い機動性を確保したまま地上戦に投入できるMSの有効性が検討されることになった。そして、当時進行していた「Ζ計画」の一環として、Ζガンダムの最大の特徴である大気圏突入能力を検証すべくフライングアーマーが開発され、ジャブロー侵攻作戦に実戦投入されたのである。

可変モビルスーツへの応用

カミーユ・ビダンによる試作機の運用実績は良好で、Ζガンダムにもフライングアーマーが正式に採用されることになった。ΖガンダムのフライングアーマーはMS形態の時は左右に分割された状態で背中に装備されており(装備しないで出撃することも可能)、ウェイブライダーへの変形時には回転しつつ前に回り込んで、機首部を覆うシールドと共に機体下面をカバーする。

関連項目