「玉虫色」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
m編集の要約なし
編集の要約なし
13行目: 13行目:
=== 玉虫にちなむ「虫襖」色 ===
=== 玉虫にちなむ「虫襖」色 ===
玉虫色とは別に「ヤマトタマムシ」の翅色からちなんだ色として、「'''虫襖'''(虫青)」という色が存在する<ref>長崎盛輝著 『日本の傳統色 その色名と色調』 京都書院アーツコレクション5 pp.218 - 219</ref>。暗い青みの緑色を指すもので、「虫」はタマムシを指す<!-- 同著より -->(糸が重色に見えたことからとも)<!-- 同・長崎盛輝著より -->。従って、玉虫の色名という意味では、「虫襖」も玉虫色である。平安文学には、玉虫にちなむ色名は見られず<!-- 同著より -->、『[[貞丈雑記]]』、『[[吾妻鏡]]』等の書物に記述が見られることから、中世以降に登場した色と見られている(染・織の色に動物名が用いられた頃も中世からとされる)<!-- 同・長崎盛輝著の考察より -->。英名を「'''グリーン・ダック'''(家鴨の緑)」<ref>同・長崎盛輝著より</ref>。
玉虫色とは別に「ヤマトタマムシ」の翅色からちなんだ色として、「'''虫襖'''(虫青)」という色が存在する<ref>長崎盛輝著 『日本の傳統色 その色名と色調』 京都書院アーツコレクション5 pp.218 - 219</ref>。暗い青みの緑色を指すもので、「虫」はタマムシを指す<!-- 同著より -->(糸が重色に見えたことからとも)<!-- 同・長崎盛輝著より -->。従って、玉虫の色名という意味では、「虫襖」も玉虫色である。平安文学には、玉虫にちなむ色名は見られず<!-- 同著より -->、『[[貞丈雑記]]』、『[[吾妻鏡]]』等の書物に記述が見られることから、中世以降に登場した色と見られている(染・織の色に動物名が用いられた頃も中世からとされる)<!-- 同・長崎盛輝著の考察より -->。英名を「'''グリーン・ダック'''(家鴨の緑)」<ref>同・長崎盛輝著より</ref>。

* 玉虫色の記述例として、[[永禄]](1558年 - 70年)後半頃に成立した『[[猿の草子]]』に、「玉虫色に桃の花」という表現が見られる。


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2014年1月13日 (月) 21:35時点における版

玉虫色(たまむしいろ)とは、光の干渉によって起こる金緑から金紫の色調変化をする染色や織色をさす。

また特定の色彩名を当てられないことから、どちらつかずの状態のことを慣用句的に「玉虫色の〜」と呼ぶことがある。

ヤマトタマムシ

色ではない色

玉虫(ヤマトタマムシ)の翅は、一見したところ緑色に見えるが光を当てる角度によって色彩が変化する。これは、タマムシの翅がもつ本来の色素の色が変化しているのではなくて、特定の波長の光同士が互いに強まったり、弱まったりすることで目に見える色が変化したものである。したがって、玉虫色は赤や青のように特定の色彩をさすものではなくて、刻々と変化していく色調をすべて含んだ色でなくてはならない。

法隆寺所蔵の玉虫厨子のように、タマムシ科の甲虫の羽は堅牢で色彩(干渉色)が美しいので、古くから調度品の装飾に使われていたがその翅の色は先述したとおり簡単に再現できるものではなかった。それでも、緑と紫の絹糸をそれぞれ縦糸と横糸に使って見る角度によって違う色が浮かび上がるような工夫で再現に挑んだ記録もある(備考も参照)。

備考

玉虫にちなむ「虫襖」色

玉虫色とは別に「ヤマトタマムシ」の翅色からちなんだ色として、「虫襖(虫青)」という色が存在する[1]。暗い青みの緑色を指すもので、「虫」はタマムシを指す(糸が重色に見えたことからとも)。従って、玉虫の色名という意味では、「虫襖」も玉虫色である。平安文学には、玉虫にちなむ色名は見られず、『貞丈雑記』、『吾妻鏡』等の書物に記述が見られることから、中世以降に登場した色と見られている(染・織の色に動物名が用いられた頃も中世からとされる)。英名を「グリーン・ダック(家鴨の緑)」[2]

  • 玉虫色の記述例として、永禄(1558年 - 70年)後半頃に成立した『猿の草子』に、「玉虫色に桃の花」という表現が見られる。

脚注

  1. ^ 長崎盛輝著 『日本の傳統色 その色名と色調』 京都書院アーツコレクション5 pp.218 - 219
  2. ^ 同・長崎盛輝著より

関連項目