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この問題について多くの調査が実施されているが、例えばマーケティング調査機関であるM1・F1総研が[[首都圏 (日本)|首都圏]]を対象に18歳から49歳の男女から集計した調査によると、若者の自動車離れの主な要因は「経済的理由」や「趣味の多様化」にあるとの分析結果が得られている<ref name="ex_b">「若者のクルマ離れに関する検証」M1F1総研(2007.2.28){{PDFlink|[http://m1f1.jp/wp-content/uploads/2013/03/report_070228.pdf]}}</ref>。 |
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=== 経済的理由 === |
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[[1990年]]代後半から顕著になった若年層の雇用不安([[就職氷河期]]、[[非正規雇用]]化など)により、若年層の[[個人消費]]が大きく低迷し、数十万円単位の高額消費が厳しくなった<ref name="nikkei_bo090114"/><ref name="ex_b"/>。また、[[自動車税]]・[[自動車重量税|重量税]]・[[自動車取得税|取得税]]などの[[税金]]、[[自動車賠償責任保険]]を含めた[[自動車保険]]、燃料代、[[駐車場]]賃借料金、[[自動車検査登録制度|車検]]費用など、自動車を所有・利用するにあたり発生する、年数万円単位の各種維持費が容易には賄いきれなくなった<ref name="ex_a"/><ref name="ex_b"/>。 |
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=== 趣味の多様化 === |
=== 趣味の多様化 === |
2013年11月29日 (金) 13:47時点における版
若者の車離れ(わかもののくるまばなれ)とは、主に若年層が四輪自動車を所有・運転しなくなる社会的傾向を意味する言葉である。本項目においては主に四輪車について述べる。
概要
2000年代初頭から日本国内での新車・中古車販売が伸び悩む中で、その原因のひとつとして「若者層の自動車離れ」が叫ばれるようになった。また、このことは「現代若者論」の一環としても論じられている。ただし、統計上の日本国内での自動車販売台数の減少傾向は「平均使用年数」の長期化傾向[1]によるものであり、自動車保有台数そのものは頭打ちながらも増加傾向にある[2]。
若者層の車離れに対し、調査により以下の要因があげられている。
- 経済的理由。そもそも自動車を買えない。維持できない
- 自動車に魅力がなくなった。自動車を持つ理由・メリットがない。または自動車を持つことにより、別のデメリットが発生する。
- ライフスタイル自体の変化
- 魅力的なクルマがない。#購入対象車種の変化と自動車メーカーの責任を参照。
- 市場の縮小。
なお、若者と限定した現象に留まらず「このままでは若者の車離れだけではなく、熟年の車離れも進む」とリスク・ヘッジ代表の田中辰巳は述べている[9]。
原因
この問題について多くの調査が実施されているが、例えばマーケティング調査機関であるM1・F1総研が首都圏を対象に18歳から49歳の男女から集計した調査によると、若者の自動車離れの主な要因は「経済的理由」や「趣味の多様化」にあるとの分析結果が得られている[10]。
経済的理由
1990年代後半から顕著になった若年層の雇用不安(就職氷河期、非正規雇用化など)により、若年層の個人消費が大きく低迷し、数十万円単位の高額消費が厳しくなった[3][10]。また、自動車税・重量税・取得税などの税金、自動車賠償責任保険を含めた自動車保険、燃料代、駐車場賃借料金、車検費用など、自動車を所有・利用するにあたり発生する、年数万円単位の各種維持費が容易には賄いきれなくなった[4][10]。
趣味の多様化
携帯電話/スマートフォンやパソコン、ゲーム機など、自動車以外の趣味が多様化したことも要因の1つとして挙げられている[4][10]。
影響
こうした動向は自動車関連の産業や業界に多大な影響を及ぼしている。特に若年層をターゲットとした自動車および関連商品の売れ行きが急激に落ち込み、各社の経営にダメージを与えている。
バブル景気崩壊以降の日本国内における自動車販売台数が落ち込みつつある中、1990年代後半辺りから若年層の人気はスポーツカーやクーペから、SUVやミニバン、軽自動車へと変化し、各自動車メーカーは同調してこれらの車種に力を注ぎ、売り上げを確保していった。しかし、2000年代前半辺りから時代の流れで車を持たない若者が増加し、各自動車メーカーは経営戦略上、非常に難しい局面に立たされることになった[11]。
また、ガソリン価格の高騰も事態に拍車をかけている。2007年後半辺りから投機マネーの流入により原油高騰が顕著になり、ガソリン(レギュラー)は一時1L 200円に迫るほどまで高額化した(2008年8月頃)[12]。これにより維持費がさらに嵩み、若者だけならず幅広い世代で全国的な車離れを及ぼし、2008年前半は一部の軽自動車を除き自動車保有台数が減少し続けることになった[13]。
この流れは自動車用アフターパーツ(マフラーなど)業界においても深刻な影響を及ぼし、2008年9月10日には自動車用チューニングパーツ製造販売大手のトラストが経営不振に陥り、民事再生法適用申請をするにまで至った[14]。損害保険会社においても、この影響で自動車保険料収入が悪化。従来から若者やスポーツカーによる加入の場合、「危険率(事故率)が高い=事故を起こしやすい」という理由で保険料が高額に設定されており、維持費を高める要因の1つになっている[15]。
購入対象車種の変化と自動車メーカーの責任
2009年10月19日の毎日jpのコラムにて、トヨタ自動車幹部による、「リアルな自動車ゲームがあれば車は要らなくなる」という主旨のコメントが掲載された。
しかしその一方、悪いのは自動車メーカーおよびその製品ラインナップであると指摘する向きもある。ガリバー自動車研究所所長は「(確実に)売れるミニバンや軽自動車ばかり作り、スポーツカーなどの魅力的な車を作らなくなったメーカー側に問題がある」と述べている[16]ほか、自動車評論家の島下泰久も「行き過ぎたエコ偏重の商品作りが車本来の楽しさをドライバーから奪い、結果として車離れを加速させている」と指摘している[17]。また、前出のトヨタ幹部の意見に対しソニー・コンピュータエンタテインメント広報は「車のゲームをきっかけに、実車に興味を持つ人がいると聞いている」と、否定的な態度をとった。
日本以外の事例
日本以外でも先進国では若者の車離れ現象が見られる。これは、どの先進国でも日本同様に若者の経済力低下、趣味の多様化が起きている為であると推測される。
アメリカ合衆国
日本以上の市場規模を誇る自動車大国アメリカにおいても、新車購入者における18歳から34歳の年齢層の割合が過去5年間で30%落ち込むなど、若年層の車離れが報じられている。要因として日本同様、不況の影響のほかに、カーシェアリングなどの普及で高い保険料を払ってまでの自家用車保有の意義が薄れたことに加え、インターネット(SNS)の普及で車で外出しなくても他者との交流・コミュニケーションが可能となったことも若者の意識の変化に影響を与えていると言われる[18]。
欧州
欧州でも、若年層の車離れが報じられている。ドイツ、イタリア等欧州各国で若者の車離れが見られる[19][20]。
文献情報
脚注
- ^ 財団法人自動車検査登録情報協会[1] (PDF)
- ^ 財団法人自動車検査登録情報協会[2] (PDF)
- ^ a b 日経ビジネスオンライン「若者のクルマ離れ、その本質は「購買力」の欠如」 2009年1月14日
- ^ a b c d 高木啓 (2007年3月9日). “若者のクルマ離れ…都会で売れない”. Response.. 2008年10月5日閲覧。
- ^ a b 清水典之「若者はもはや「クルマ離れ」ではなく「クルマ嫌い」になった(4/5)」『SAPIO』第22巻第06号、小学館、2010年3月31日、pp.96-97、2011年5月11日閲覧。
- ^ 「若者のクルマ離れについて」トヨタ自動車廣田利幸[3] (PDF)
- ^ a b 清水典之「若者はもはや「クルマ離れ」ではなく「クルマ嫌い」になった(3/5)」『SAPIO』第22巻第06号、小学館、2010年3月31日、pp.96-97、2011年5月11日閲覧。
- ^ 「若者のクルマ離れについて」トヨタ自動車廣田利幸[4] (PDF)
- ^ NEWSポストセブン 2012年2月5日 85739
- ^ a b c d 「若者のクルマ離れに関する検証」M1F1総研(2007.2.28)[5] (PDF)
- ^ “深刻な若者の車離れ 国内新車販売25年ぶり低水準”. J-CASTニュース (2008年1月17日). 2008年10月5日閲覧。
- ^ “ガソリン8月に190円突入? 石油元売大手が値上げを検討”. J-CASTニュース (2008年7月23日). 2011年7月27日閲覧。
- ^ 「自動車保有台数、7か月連続の減少…若者のクルマ離れ影響」 読売新聞、2008年9月10日。
- ^ 椿山和雄 (2008年9月10日). “トラスト、民事再生法の適用を申請…負債65億円”. Response.. 2008年10月5日閲覧。
- ^ “「若者の車離れ」が響く 大手損保が自動車保険料引き上げへ”. J-CASTニュース (2008年6月23日). 2008年10月5日閲覧。
- ^ ニュース若者の車離れ「自動車ゲーム」が原因 「トヨタ自動車幹部」発言に異論続々 J-CASTニュース 2009年10月22日。
- ^ ホントのエコカーって何だ?「カー不在」のエコ carview、2010年7月21日閲覧
- ^ 若者のクルマ離れ、米国でも進む ネットや携帯が原因? cnn.co.jp、2012年9月18日
- ^ EU カーシェアリング、各社が参入:若者の車離れに対応 nna.jp、2010年5月13日
- ^ イタリアですら「若者のクルマ離れ」加速 IT化で変わる価値観 sankeibiz.jp、2012年10月14日