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ダランベールの収束判定法(―のしゅうそくはんていほう、ratio test) とは、実数複素数にもつ級数が、収束するか発散するかを判定する方法である。級数における、前後の項のを考える。もし、この比の極限が 1 未満であれば、級数は絶対収束する。

この判定法は、ジャン・ル・ロン・ダランベールによって発表された。

判定法

厳密には、ダランベールの収束判定法は、次のように述べられる。

であれば、級数

は絶対収束する。また、

であれば、級数は発散する。

もし、極限がちょうど 1 であれば、級数は収束する場合もあるし、発散する場合もある。従って、この場合は、ダランベールの収束判定法ではどちらとも言えない。

収束する場合

次の級数を考える。

これに、ダランベールの収束判定法を適用すると、

=
=
=
=
=
=

従って、 は 1 より小さいため、級数は収束する。

発散する場合

次の級数を考える。

これに、ダランベールの収束判定法を適用すると、

=
=
=
=
=
=

従って、e は 1 より大きいため、級数は発散する。

どちらとも言えない場合

もし、級数が

を満たす場合、ダランベールの判定条件から、収束するか発散するかを推定することは不可能である。

例えば、級数

は発散し、

である。一方で、

は絶対収束するが、

である。最後に、

条件収束するが、

である。

どちらとも言えない場合には

以上の例で見たとおり、比の極限が 1 である場合は、ダランベールの収束判定法ではどちらとも言えない。しかし、ラーベによるダランベールの判定条件の拡張(ラーベの収束判定法)では、このような場合を扱うことも考慮に入れることができる。ラーベのテストは、次のように述べられる。もし、

で、かつ正数 c が存在して

を満たす場合、級数は絶対収束する。

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参考文献

  • Knopp, Konrad, "Infinite Sequences and Series", Dover publications, Inc., New York, 1956. (§ 3.3, 5.4) ISBN 0486601536
  • Whittaker, E. T., and Watson, G. N., A Course in Modern Analysis, fourth edition, Cambridge University Press, 1963. (§ 2.36, 2.37) ISBN 0521588073