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'''保安庁'''(ほあんちょう)とは、[[1952年]](昭和27年)[[8月1日]]から[[1954年]](昭和29年)まで置かれていた[[中央官庁]]である。[[防衛庁]]の前身。
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[[日本]]の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、[[保安隊]]及び[[警備隊 (保安庁)|警備隊]]を管理し、運営し、及びこれに関する事務を行い、あわせて海上における警備救難の事務を行うことを任務とする。

==設立の趣旨==
[[警察予備隊]]及び[[海上警備隊]]並びに[[海上保安庁]]本体を統合する、[[総理府]]の[[外局]]として設置される。但し、警察予備隊の保安隊への改組のためには準備期間が必要だったことから、保安庁法の規定中の保安隊及び保安官に係る規定は昭和27年10月15日から施行されることとなり、警察予備隊は、昭和27年8月1日から昭和27年10月14日までの間、保安庁の機関として置かれていた。また、海上保安庁は[[海上公安局]]として置かれることになっていたが、海上保安庁側の抵抗が強く、結局分離されることとなる。

昭和27年7月31日に第13回常会で[[保安庁法]](昭和27年7月31日法律第265号)が成立した。保安庁法第4条によると、「保安庁は、[[日本|わが国]]の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、特別の必要がある場合において行動する部隊を管理し、運営し、及びこれに関する事務を行い、あわせて海上における警備救難の事務を行うことを任務とする。」とされ、より軍事色が強まった。

保安庁の職員(海上公安局に勤務する職員を除く。)の定員(2月以内の期間を定めて雇用される者、休職者及び非常勤の者を除く。)は、11万9947人とし、うち11万人を保安官、7590人を警備官とする。

==内部部局等==
長官官房及び各局は、保安隊及び警備隊に関する各般の方針及び基本的な実施計画の作成について長官の行う第一幕僚長又は第二幕僚長に対する指示、保安隊又は警備隊に関する事項に関して第一幕僚長又は第二幕僚長の作成した方針及び基本的な実施計画について長官の行う承認並びに保安隊又は警備隊の隊務に関して長官の行う一般的監督について、長官を補佐した。

[[防衛庁長官|保安庁長官]]は[[国務大臣]]とされ、次長及び長官官房、保安局、人事局、経理局、装備局並びに第一幕僚監部(保安隊の隊務に関する長官の幕僚機関。[[陸上幕僚監部]]の前身。)、第二幕僚監部(警備隊の隊務に関する長官の幕僚機関。[[海上幕僚監部]]の前身。)が置かれた。

*附属機関
**保安研修所(保安隊及び警備隊の管理及び運営に関する基本的な調査研究をするとともに、[[士官|幹部保安官]]、幹部警備官その他の幹部職員を訓練する目的。[[防衛研究所|防衛研修所]]の前身。)
**保安大学校(幹部保安官又は幹部警備官となるべき者を訓練する目的。[[防衛大学校]]の前身。)
**技術研究所(保安隊及び警備隊の装備品等について技術的研究を行う目的)
*海上公安局(海上公安局の組織、所掌事務及び権限等については、海上公安局法(昭和27年法律第267号)の定めるところによる。)

==行動及び権限==
;命令出動 :[[内閣総理大臣]]は、非常事態に際して、治安の維持のため特に必要があると認める場合には、保安隊又は警備隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。内閣総理大臣は、出動を命じた場合には、出動を命じた日から20日以内に[[国会]]に付議して、その承認を求めなければならない。長官は、警備隊の全部又は一部に対する出動命令があった場合において、特別の必要があると認めるときは、海上公安局の全部又は一部を警備隊の統制下に入れることができる。但し、国会が閉会中の場合又は[[衆議院]]が解散されている場合には、その後最初に召集される国会においてすみやかにその承認を求めなければならない。内閣総理大臣は、不承認の議決があったとき又は出動の必要がなくなった場合には、すみやかに保安隊又は警備隊の撤収を命じなければならない。

;出動待機命令 :長官は、事態が緊迫し、命令出動の出動命令が発せられることが予測される場合において、これに対処するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、保安隊又は警備隊の全部又は一部に対し出動待機命令を発することができる。

;要請出動 :[[都道府県知事]]は、治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合には、当該都道府県公安委員会と協議の上、内閣総理大臣に対し保安隊又は警備隊の部隊の出動を要請することができる。内閣総理大臣は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊の出動を命ずることができる。都道府県知事は、事態が収まり、部隊の出動の必要がなくなったと認める場合には、内閣総理大臣に対しすみやかに部隊の撤収を要請しなければならない。内閣総理大臣は、前項の要請があつた場合又は部隊の出動の必要がなくなつたと認める場合には、すみやかに部隊の撤収を命じなければならない。都道府県知事は、要請をした場合には、事態が収まった後、すみやかにその旨を当該都道府県の議会に報告しなければならない。

;[[海上警備行動|海上における警備行動]] :長官は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため緊急の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、警備隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。

;[[災害派遣]] :都道府県知事その他政令で定める者は、天災、地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊の派遣を長官又はその指定する者に要請することができる。長官又はその指定する者は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊を救援のため派遣することができる。但し、庁舎、営舎その他の保安庁の施設又はこれらの近傍に火災その他の災害が発生した場合には、同項の要請を待たないで部隊を派遣することができる。

==関連項目==
*[[警察予備隊]]・[[海上警備隊]]
*[[保安隊]]・[[警備隊 (保安庁)]]・[[海上公安局]]
*[[防衛庁]]・[[自衛隊]]

[[category:廃止された日本の国家機関|ほあんちよう]]
[[Category:日本の軍事|ほあんちよう]]

2006年1月29日 (日) 12:40時点における版

保安庁(ほあんちょう)とは、1952年(昭和27年)8月1日から1954年(昭和29年)まで置かれていた中央官庁である。防衛庁の前身。

日本の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、保安隊及び警備隊を管理し、運営し、及びこれに関する事務を行い、あわせて海上における警備救難の事務を行うことを任務とする。

設立の趣旨

警察予備隊及び海上警備隊並びに海上保安庁本体を統合する、総理府外局として設置される。但し、警察予備隊の保安隊への改組のためには準備期間が必要だったことから、保安庁法の規定中の保安隊及び保安官に係る規定は昭和27年10月15日から施行されることとなり、警察予備隊は、昭和27年8月1日から昭和27年10月14日までの間、保安庁の機関として置かれていた。また、海上保安庁は海上公安局として置かれることになっていたが、海上保安庁側の抵抗が強く、結局分離されることとなる。

昭和27年7月31日に第13回常会で保安庁法(昭和27年7月31日法律第265号)が成立した。保安庁法第4条によると、「保安庁は、わが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、特別の必要がある場合において行動する部隊を管理し、運営し、及びこれに関する事務を行い、あわせて海上における警備救難の事務を行うことを任務とする。」とされ、より軍事色が強まった。

保安庁の職員(海上公安局に勤務する職員を除く。)の定員(2月以内の期間を定めて雇用される者、休職者及び非常勤の者を除く。)は、11万9947人とし、うち11万人を保安官、7590人を警備官とする。

内部部局等

長官官房及び各局は、保安隊及び警備隊に関する各般の方針及び基本的な実施計画の作成について長官の行う第一幕僚長又は第二幕僚長に対する指示、保安隊又は警備隊に関する事項に関して第一幕僚長又は第二幕僚長の作成した方針及び基本的な実施計画について長官の行う承認並びに保安隊又は警備隊の隊務に関して長官の行う一般的監督について、長官を補佐した。

保安庁長官国務大臣とされ、次長及び長官官房、保安局、人事局、経理局、装備局並びに第一幕僚監部(保安隊の隊務に関する長官の幕僚機関。陸上幕僚監部の前身。)、第二幕僚監部(警備隊の隊務に関する長官の幕僚機関。海上幕僚監部の前身。)が置かれた。

  • 附属機関
    • 保安研修所(保安隊及び警備隊の管理及び運営に関する基本的な調査研究をするとともに、幹部保安官、幹部警備官その他の幹部職員を訓練する目的。防衛研修所の前身。)
    • 保安大学校(幹部保安官又は幹部警備官となるべき者を訓練する目的。防衛大学校の前身。)
    • 技術研究所(保安隊及び警備隊の装備品等について技術的研究を行う目的)
  • 海上公安局(海上公安局の組織、所掌事務及び権限等については、海上公安局法(昭和27年法律第267号)の定めるところによる。)

行動及び権限

命令出動
内閣総理大臣は、非常事態に際して、治安の維持のため特に必要があると認める場合には、保安隊又は警備隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。内閣総理大臣は、出動を命じた場合には、出動を命じた日から20日以内に国会に付議して、その承認を求めなければならない。長官は、警備隊の全部又は一部に対する出動命令があった場合において、特別の必要があると認めるときは、海上公安局の全部又は一部を警備隊の統制下に入れることができる。但し、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会においてすみやかにその承認を求めなければならない。内閣総理大臣は、不承認の議決があったとき又は出動の必要がなくなった場合には、すみやかに保安隊又は警備隊の撤収を命じなければならない。
出動待機命令
長官は、事態が緊迫し、命令出動の出動命令が発せられることが予測される場合において、これに対処するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、保安隊又は警備隊の全部又は一部に対し出動待機命令を発することができる。
要請出動
都道府県知事は、治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合には、当該都道府県公安委員会と協議の上、内閣総理大臣に対し保安隊又は警備隊の部隊の出動を要請することができる。内閣総理大臣は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊の出動を命ずることができる。都道府県知事は、事態が収まり、部隊の出動の必要がなくなったと認める場合には、内閣総理大臣に対しすみやかに部隊の撤収を要請しなければならない。内閣総理大臣は、前項の要請があつた場合又は部隊の出動の必要がなくなつたと認める場合には、すみやかに部隊の撤収を命じなければならない。都道府県知事は、要請をした場合には、事態が収まった後、すみやかにその旨を当該都道府県の議会に報告しなければならない。
海上における警備行動
長官は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため緊急の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、警備隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。
災害派遣
都道府県知事その他政令で定める者は、天災、地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊の派遣を長官又はその指定する者に要請することができる。長官又はその指定する者は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊を救援のため派遣することができる。但し、庁舎、営舎その他の保安庁の施設又はこれらの近傍に火災その他の災害が発生した場合には、同項の要請を待たないで部隊を派遣することができる。

関連項目