「フォック空間」の版間の差分
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'''フォック空間'''とは、くりこまれたパラメータを持つ[[自由粒子]]の集まりでできた[[ヒルベルト空間]]のことである。 |
'''フォック空間'''とは、くりこまれたパラメータを持つ[[自由粒子]]の集まりでできた[[ヒルベルト空間]]のことである。 |
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最初にフォック空間を導入した[[ウラジミール・フォック]]にちなんで命名された。 |
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[[場の量子論]]は自由度 |
[[場の量子論]]は、ヒルベルト空間の[[次元]]だけでなく[[自由度]]も[[無限大]]である。 |
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よってヒルベルト空間<math>\mathcal{H}</math>をどのように構成するのかという問題が生じる。 |
よってヒルベルト空間<math>\mathcal{H}</math>をどのように構成するのかという問題が生じる。 |
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そこで一般的に、扱いたい[[量子状態|状態]]を含んで、かつ、[[オブザーバブル|物理量]]が無駄なく[[既約]]に表現される空間に<math>\mathcal{H}</math>を選ぶのが普通だが、その場合によく用いられるのが'''フォック空間'''である。 |
そこで一般的に、扱いたい[[量子状態|状態]]を含んで、かつ、[[オブザーバブル|物理量]]が無駄なく[[既約]]に表現される空間に<math>\mathcal{H}</math>を選ぶのが普通だが、その場合によく用いられるのが'''フォック空間'''である。 |
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いつもフォック空間が適切なヒルベルト空間となる保証は無いのだが、便利なのでよく用いられる。 |
いつもフォック空間が適切なヒルベルト空間となる保証は無いのだが、便利なのでよく用いられる。 |
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フォック空間は1粒子ヒルベルト空間の[[テンソル積]]の[[直和]]で作られるヒルベルト空間として定義される。 |
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:<math>F_\nu(H)=\bigoplus_{n=0}^{\infty}S_\nu H^{\otimes n}</math> |
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ここで <math>S_\nu</math>は演算子で、ボゾンならば空間を対称的<math>(\nu = +)</math>にし、フェルミオンなら空間を反対称的<math>(\nu = -)</math>にする。<math>H</math>は1粒子ヒルベルト空間である。 |
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==参考文献== |
==参考文献== |
2012年1月14日 (土) 16:58時点における版
フォック空間とは、くりこまれたパラメータを持つ自由粒子の集まりでできたヒルベルト空間のことである。 最初にフォック空間を導入したウラジミール・フォックにちなんで命名された。
場の量子論は、ヒルベルト空間の次元だけでなく自由度も無限大である。 よってヒルベルト空間をどのように構成するのかという問題が生じる。 そこで一般的に、扱いたい状態を含んで、かつ、物理量が無駄なく既約に表現される空間にを選ぶのが普通だが、その場合によく用いられるのがフォック空間である。 いつもフォック空間が適切なヒルベルト空間となる保証は無いのだが、便利なのでよく用いられる。
フォック空間は1粒子ヒルベルト空間のテンソル積の直和で作られるヒルベルト空間として定義される。
ここで は演算子で、ボゾンならば空間を対称的にし、フェルミオンなら空間を反対称的にする。は1粒子ヒルベルト空間である。
参考文献
- 清水明『新版 量子論の基礎―その本質のやさしい理解のために―』サイエンス社、2004年。ISBN 4-7819-1062-9。