鵜飼教授

鵜飼 教授（うがいきょうじゅ）は、白い巨塔の登場人物で、架空の人物。（1978年版では鵜飼雅一（うがい まさいち））2003年版では｢鵜飼良一（うがい りょういち））という名前が付されている。国立浪速大学医学部長（2003年版では後に学長）、ならびに同大医学部第一内科教授。

韓国版の登場人物「ウ・ヨンギル」に当てはまる人物である。

人物

老年内科を専攻し、政財界に太いパイプを持ち政治力を駆使して医学会に君臨。駆け引き上手の狸。医学部付属病院建設などを目指して第一外科・東貞蔵教授と協力、中央官庁との折衝を行ってきたが、定年退官の迫った東に対して徐々に距離を置き、次期教授をいかに派閥に取り込むかをもくろむというドライな人物である。

教授選以来財前五郎を一見バックアップしているように見えるが、私欲のために巧みに利用している。学究肌の里見脩二助教授とはあまり肌が合わず、その融通のなさをもてあましている。

当初は自身が胃癌疑診として診断した患者を、里見が脾臓癌疑診と診断し、財前が脾臓癌疑診として執刀した経緯があり、財前に対してはどっちともつかぬ態度を取っていたが、同期生である大阪市北区医師会・岩田重吉会長を通じて財前の岳父・又一に会い、強烈なアプローチを受ける。財前を自分の派閥に取り込むことが自分にとっても有利であると判断し、財前支持に傾く。教授選では想定外の病理学・大河内教授の参加や整形外科・野坂教授の葛西候補擁立に当惑しつつもなんとか財前を候補に選定。配下ともいえる産婦人科・葉山教授を参謀に臨床科目を固めると共に基礎の一部へも切り崩しをかける。決選投票の際は佃、安西の金沢大学への乗り込みや岩田、又一による大河内教授への贈賄未遂に悩まされつつも、財前を次期教授に当選させる。

財前が誤診で民事訴訟を起こされた際は、一度は見限りかけたが、ここで財前を敗訴させたら自分にも傷がつくと、河野正徳弁護士に弁護を依頼。鑑定人の大河内教授や証人の里見への働きかけには失敗したが、鑑定人の洛北大学・唐木名誉教授に内々に依頼する。財前は勝訴し、原告側に有利な証言をした里見へは研究者としての命脈を断ち切る山陰大学教授という過酷な報復人事を課す。里見は辞表を提出したが、世論を気にして受理せず、中途半端な状態に置く（後に里見は大河内のはからいで近畿がんセンター（2003年版では千成病院）に就職）。

学術会議会員選では、従来は全国区は浪速大学系列、地方区は洛北大学系列という取り決めを無視、地方区で立候補する洛北大学・神納教授の内科学会における台頭を抑えるべく、地方区の候補者に財前を擁立。葉山に工作をさせて教授会を強引にまとめ、財前の尻を叩きながら医師会、同窓会、系列大学などと連携し、積極的に選挙運動を展開。野坂の背反行為に肝を冷やしつつも、医師会に働きかけて強引に私学連合の候補者を辞退に追い込んでその票を入手。財前は当選する。

財前が病に倒れた際は、金井達夫の報告を受けて第二外科の今津教授、放射線科の田沼教授と協議。前任教授の東に執刀を依頼する。危篤の報を受けて病室に駆けつけ、意識混濁の中にいる財前から「用はない、あっちへ行け!」と面罵されるも、その臨終に立ち会う。

原作では、財前から面罵された時、無理やり選挙に立たせてしまった結果財前が癌であることを気づかせる機会を逸してしまった、と良心の呵責に苛まれるが、78年版と2003年版では、東に対し財前の後任教授候補について打診したり、財前の苦しむ姿を尻目に笑ったりして冷酷な面が強調されている。

演じた俳優

• 1966年、映画版：小沢栄太郎
• 1967年版：河津清三郎　
• 1978年版：小沢栄太郎　
• 1990年版：丹波哲郎
• 2003年版：伊武雅刀