「カストリ雑誌」の版間の差分
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*[[君の名は#1991年版(NHK朝の連続テレビ小説)|君の名は]] - 主人公の一人後宮春樹がカストリ雑誌を売らされる羽目になる。 |
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*[[京極夏彦]] - 人気シリーズ[[百鬼夜行シリーズ]]の登場人物にカストリ雑誌の編集者がいる。 |
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2011年11月22日 (火) 11:58時点における版
カストリ雑誌(カストリざっし)は、太平洋戦争終結直後の日本で、出版自由化を機に発行された大衆向け娯楽雑誌をさす。
これらは粗悪な用紙に印刷された安価な雑誌で、内容は安直で興味本位なものが多く、エロ(性・性風俗)・グロ(猟奇・犯罪)で特徴付けられる。具体的には、赤線などの色街探訪記事、猟奇事件記事、性生活告白記事、ポルノ小説などのほか、性的興奮を煽る女性の写真や挿絵が掲載された。
語源
語源には複数の説がある。
- こうした娯楽雑誌の多くが粗悪で、たいてい3号で休廃刊(=3号雑誌)したことから、「3合飲むとつぶれる」といわれたカストリ酒(粗悪な酒)にかけた名称である。カストリ酒とは、本来、酒粕から取った焼酎のことであるが、当時は粗悪な密造酒のこともこう呼んだ。中には工業用アルコールを酒の中に混ぜたものが出回り、それを飲んだ人が失明する事件も多発したという。
- 仙花紙(屑紙を漉き返した質の悪い紙)で作られていたことから「紙のカスをとって作られた→カス・トリ」雑誌
用紙
当時は戦後統制により、物資不足であったため、印刷用紙は当局に申請し配給してもらわなければならなかった。しかし、この種の娯楽用出版物は用紙の確保ができず、統制外の仙花紙を用いることになった。仙花紙は古紙などを漉き直した再生紙で、紙質は良いものではなく劣化しやすいため、現存しているものは保存状態が劣悪であることが多い。
ちなみに同音の「泉貨紙」とは別のもの。泉貨紙は高級和紙である。
主な雑誌
今日よく知られる『りべらる』『別冊モダン日本』『夫婦生活』などは数年続いたため、語源からすればカストリ雑誌とは言えないが、これらも戦後まもなく創刊され、当時の世相をよく表しているため、カストリ雑誌と同様のものとして論じることが多い(吉行淳之介は『別冊モダン日本』の編集者であった)。特に『りべらる』(創刊号は1945年12月発売の1946年1月号)は20万部を売り上げ、これに触発されて雑誌創刊が相次いだといわれる。
他には『千一夜』『猟奇』『ロマンス』『犯罪読物』『だんらん』『裏窓』などが刊行された。「H大佐夫人」を掲載した『猟奇』第2号はわいせつ物頒布罪で1947年に摘発を受けた(戦後第一号といわれる)。
同様に、時代的には上記雑誌よりも後に発刊された『あまとりあ』も、その内容から代表的なカストリ雑誌のひとつと言われている。
参考文献
- 終戦直後の「カストリ雑誌」の総合的研究:平成17年度プロジェクト研究および平成18年度プロジェクト研究(大阪芸術大学・山縣煕他)
- 『カストリ雑誌研究』(山本明)