「ドニエプル (ロケット)」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
ZéroBot (会話 | 投稿記録)
m r2.7.1) (ロボットによる 追加: it:Dnepr (vettore)
Botaseru (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
51行目: 51行目:
|表の脚注 =
|表の脚注 =
}}
}}
'''ドニエプル'''('''ドニプロー''';{{lang-uk|'''Дніпро'''}}<small>ドニプロー</small>;''{{lang|uk-Latn|Dnipro}}'';{{lang-ru|'''Днепр'''}}<small>ドニェープル</small>)は、[[大陸間弾道ミサイル]](ICBM)を転用した[[人工衛星]]を打ち上げるための[[ロケット]]である。
'''ドニエプル'''('''ドニプロー''';{{lang-uk|'''Дніпро'''}}<small>ドニプロー</small>;''{{lang|uk-Latn|Dnipro}}''は、[[大陸間弾道ミサイル]](ICBM)を転用した[[人工衛星]]を打ち上げるための[[ロケット]]である。


== 概要 ==
== 概要 ==

2011年7月2日 (土) 01:20時点における版

ドニエプル
(Дніпро)
打ち上げられ離床するドニエプル・ロケット
基本データ
運用国  ウクライナ
開発者 製造合同O・M・マカーロウ記念南機械工場(ユジュマシュ)
運用機関 ISCコスモトラス
使用期間 1999年4月21日 - 現役
射場 ヤースヌイ、バイコヌール宇宙基地LC-109
打ち上げ数 12回(成功11回)
物理的特徴
段数 3 - 5段
総質量 211,000 kg
全長 34.3 m
直径 3 m
軌道投入能力
低軌道 4,500 kg
中軌道 3,600 kg
300 km / 50.6度
太陽同期軌道 2,300 kg
600 km / 98.0度
月軌道 550 kg
テンプレートを表示

ドニエプルドニプローウクライナ語: ДніпроドニプローDniproは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を転用した人工衛星を打ち上げるためのロケットである。

概要

ドニエプルという名称はドニエプル川に由来している。ISCコスモトラス (en) により運用されており、ウクライナドニプロペトロウシクにある国営企業M・K・ヤーンヘリ記念南設計局」により設計されたR-36M UTTKh(RS-20)ICBMを元にしている。

ドニエプルは3段式のロケットで、毒性・腐食性が強いが長期の保存に適したヒドラジン系の液体燃料を使用し、打ち上げに使われるロケットは、ロシア戦略ロケット軍での戦略任務から退役したミサイルが商用利用に転用されたものである。150機のロケットが2020年までの間に使用可能である。ドニエプルは、カザフスタンバイコヌールと、ロシアのオレンブルク地域にある、新設のヤースヌイ打ち上げ基地の射場(コスモドローム)から打ち上げができる。

性能

ドニエプルは、ソ連時代にICBMとして配備されていたR-36Mに、小規模の修正を加えたものである。主な違いは、弾頭部分(Space Head Module)にあるペイロードのアダプターと、修正を加えられた、飛行制御装置である。基準となるバージョンでは、300km上空の低軌道へ、3,600kgのペイロードを50.6軌道傾斜角で打ち上げることができ、300km上空の太陽同期軌道では、98.0の軌道傾斜角で2,300kgのペイロードを打ち上げることができる。典型的なミッションでは、これよりも大きな1次ペイロードと、超小型人工衛星やCubeSatよりなる2次ペイロードを同時に打ち上げる。現在、弾頭部分の内側に取り付けられる、スペース・タグを開発中であり、これを使うと、ペイロードのための容量は犠牲になるが、惑星間脱出軌道(Interplanetary Espace Orbit)などの、より大きなエネルギーが必要となる軌道へも打ち上げが可能になる。

打ち上げ履歴

ドニエプルが商用利用される以前は、これまでICBMの発射試験を160回以上、97%の成功率で打ち上げてきたロシア戦略ロケット軍により管理されていた。ドニエプルは、商用目的のために12回打ち上げられ、そのうち1回が失敗であった。(2008年10月現在)

打ち上げ失敗

2006年7月26日に行われた7度目の打ち上げは失敗に終わった。打ち上げ74秒後に第1段エンジンが停止したことが分かっている。墜落地点は打ち上げ台から150km離れたカザフスタンの無人地域である。有害性の液体燃料は墜落地周辺に汚染をもたらした。なお、この打ち上げに使われたロケットは20年以上前に作られたものである。多国籍のグループが打ち上げ失敗について調査を行い、調査終了までバイコヌールからのドニエプルとR-36Mの発射は中止された。この打ち上げ失敗により日本大学が開発したSEEDSをはじめとする搭載されていた18個の小型衛星が破壊された。

各段の詳細

第4段のST-1を使用せず、第5段用ST-3を第4段として使用する選択肢もある。

第1段 第2段 第3段 第4段 第5段
エンジン RD-264 RD-0255 RD-869 スペースタグ1 (ST-1) スペースタグ3 (ST-3)
推力 4,520 kN 755 kN 18.6 kN TBC
比推力 318 秒 340 秒 317 秒
燃焼時間 130 秒 317 秒 1,000 秒 TBC
燃料 四酸化二窒素 / 非対称ジメチルヒドラジン 固体燃料 四酸化二窒素 / 非対称ジメチルヒドラジン

脚注

外部リンク

英語

関連項目