「2011年問題 (日本のテレビジョン放送)」の版間の差分

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このため、低所得者世帯などに地上デジタルチューナーを無料配布することも政府内で検討されている<ref>米国では2009年[[6月13日]]に停波したが、それに先立ちデジタル対応テレビへの買い換えが困難な低所得者層に対しデジタルTV変換コンバータ購入用としてUS$40のクーポンを配布した。日本もこれに見習ったものである。しかしながら地上デジタル放送への移行に受像機の変更だけでなく新たなアンテナ設備(工事費を含めて数万円)も必要であるが、このことは「デジタルへの移行」自体よりさらに少数の理解しか得られていない。実際、「デジタルへの移行」は何となく理解して新しい受像機に買い換える時に「地上デジタル放送対応」製品を購入したもののアンテナその他までには理解が及ばず実際には従来のアナログ放送を新しい受像機で受信しているだけなのにもかかわらず[http://www.nozomu.net/journal/000228.php デジタル放送を視聴していると信じ込んでいる例]も報告されている。</ref>。
このため、低所得者世帯などに地上デジタルチューナーを無料配布することも政府内で検討されている<ref>米国では2009年[[6月13日]]に停波したが、それに先立ちデジタル対応テレビへの買い換えが困難な低所得者層に対しデジタルTV変換コンバータ購入用としてUS$40のクーポンを配布した。日本もこれに見習ったものである。しかしながら地上デジタル放送への移行に受像機の変更だけでなく新たなアンテナ設備(工事費を含めて数万円)も必要であるが、このことは「デジタルへの移行」自体よりさらに少数の理解しか得られていない。実際、「デジタルへの移行」は何となく理解して新しい受像機に買い換える時に「地上デジタル放送対応」製品を購入したもののアンテナその他までには理解が及ばず実際には従来のアナログ放送を新しい受像機で受信しているだけなのにもかかわらず[http://www.nozomu.net/journal/000228.php デジタル放送を視聴していると信じ込んでいる例]も報告されている。</ref>。


デジタル放送はその伝送誤りの処理能力内なら障害のない(又は少ない)受信が可能だが、[[誤り訂正]]能力を超えた伝送誤りが発生するとベリノイズが現れたり全く受信できなくなる。アナログ放送ならば災害などで地元の放送局に障害が生じても他県の放送をゴーストが生じたり色がつかなかったりする状態で何とか受信して災害情報を得られる可能性があるが、デジタル放送ではその可能性は低くなる。これは、[[地上デジタル音声放送|地上デジタルラジオ]]普及もアナログラジオ放送を継続する政策の理由の1つである。なお通常時においても現在は辛うじて受信できていて、デジタル波になったら受信できなくなる地域も存在する。特に2010年2月現在、地方局などではまだまだ受信耐久率がアナログ放送以下のテレビ局が多く、そういった局は強い雪が降っただけで映らなくなることがある。
デジタル放送はその伝送誤りの処理能力内なら障害のない(又は少ない)受信が可能だが、[[誤り訂正]]能力を超えた伝送誤りが発生するとベリノイズが現れたり全く受信できなくなる。アナログ放送ならば災害などで地元の放送局に障害が生じても他県の放送をゴーストが生じたり色がつかなかったりする状態で何とか受信して災害情報を得られる可能性があるが、デジタル放送ではその可能性は低くなる。これは、[[地上デジタル音声放送]]普及してもアナログラジオ放送を廃止しないとしていた政策の理由の1つである<ref>地上デジタル音声放送は2011年3月に試験放送を終了し、本放送は開始されない。</ref>。なお通常時においても現在は辛うじて受信できていて、デジタル波になったら受信できなくなる地域も存在する。特に2010年2月現在、地方局などではまだまだ受信耐久率がアナログ放送以下のテレビ局が多く、そういった局は強い雪が降っただけで映らなくなることがある。


またデジタル放送のチャンネル番号が長年親しまれたアナログ放送の番号とは異なる局が増えたことから、チャンネル番号の混乱を招くケースも多い(例えば[[関東地方]]では[[NHK教育テレビジョン]]は'''3ch'''→'''2ch'''に、[[テレビ朝日]]は'''10ch'''→'''5ch'''に、[[テレビ東京]]が'''12ch'''→'''7ch'''にそれぞれ変更されている)。
またデジタル放送のチャンネル番号が長年親しまれたアナログ放送の番号とは異なる局が増えたことから、チャンネル番号の混乱を招くケースも多い(例えば[[関東地方]]では[[NHK教育テレビジョン]]は'''3ch'''→'''2ch'''に、[[テレビ朝日]]は'''10ch'''→'''5ch'''に、[[テレビ東京]]が'''12ch'''→'''7ch'''にそれぞれ変更されている)。

2011年2月1日 (火) 16:05時点における版

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日本のテレビジョン放送において2011年問題(2011ねんもんだい)とは地上アナログテレビジョン放送2011年7月24日までに終了し地上デジタルテレビジョン放送に切り替わる事で発生する、機器のデジタル化及びアナログ波停波に関する諸問題のことである。

地上波に限らず、衛星放送(BS放送)についても同時期にアナログ放送が完全に終了することになっている。

当初、デジタル化の主な目的はテレビジョン放送の占有する広い周波数帯域を空けることにより将来、逼迫することが予想される携帯電話をはじめとする移動体通信などの周波数需要に応えることだった。しかし、これらはいずれも技術的進歩により短期間で割り当てられている範囲のもので需要に応えられるようになったこと、またこれは当時、既に技術的客観性をもって想定することが可能な範囲にあったこと、さらには結果、空いた周波数の利用計画に特に明確な至急性も見られない。直接国民に負担を強いてまで性急に放送波のデジタル化を遂行する必要性があったのかどうかについて疑問の声も聞かれる。

アナアナ変換

地上デジタルテレビジョン放送は、地上アナログテレビジョン放送に使われているUHF帯の一部(原則13 - 52ch)をそのまま用いて放送される。このためデジタル放送に使用する送信周波数帯(送信チャンネル)を確保するため、一部の地域ではデジタル放送と同一チャンネルとなるアナログ中継放送局のチャンネル(周波数)を変更することが必要になった。この様なアナログ放送チャンネルの変更・移動を一般に「アナアナ変換」(アナログ-アナログ変換を短縮したもの。別名「アナ変」)と呼んでいる。

これに掛かる費用のうち、

  • 各家庭用の受信設備の対策に係るもの
  • 地方局の送信設備の対策に係るもの

については主に電波利用料を財源として実施された。テレビ放送波の変更にテレビ放送業界の金ではなく携帯電話利用者などからの金を流用する事への反発があったが、総務省は電波利用料によってすべての変更工事を行い2007年3月に完了した。

このアナアナ変換の実施は地上デジタル放送開始時点には終了していることが望ましかったが、先行して放送開始した三大都市圏を含め放送開始時点で対象の全戸の変更が未完了な地域があった。影響を受ける地域の視聴者を個々に回る必要から作業そのものに時間がかかったり変更したチャンネルが別の地域に影響を及ぼすため相互に地域のアナアナ変換を進めなくてはならないことなどが原因である。そのため暫定的に既存のUHFアナログ放送の視聴に混信妨害を与えない様に放送アンテナの指向性・送信出力を制限していたため、局によってはアナアナ変換完了までの一時期にデジタル放送の受信可能範囲が著しく制限されていた。中には県庁所在地ですら2006年12月を過ぎてもアナアナ変換が未完了の地域もあった(長崎市等)。

沿革

  • 2003年1月頃 - 関東・近畿・東海地方とその周辺の一部地域で実施を開始。
  • 2005年1月頃 - ほとんどの地方局の中継局で実施を開始。
  • 2007年3月20日 - 愛媛県の長浜出海中継局(NHK松山総合のみ)を最後に予定されていたすべてのアナアナ変換が終了した。

地上デジタルチューナー非内蔵機器の継続使用

地上デジタルチューナーを持たないテレビ・録画機など[1]は地上デジタルチューナー内蔵機器(単体チューナー、DVDレコーダー、テレビ、CATVセットトップボックスなど)のビデオ信号出力などを利用し追加機器からテレビ側へ映像、音声、制御信号などを入力する事で廃棄する事なく継続して使用できる[2]。デジタル放送の利点である画像品質やアスペクト比に拘らず、また各種の機能などを必要とせずコンポジット映像信号などのビデオ信号出力を利用すれば画質と音声の劣化はあるが多くは継続使用できる。ただしテレビとチューナーの双方を操作する必要があることから、従来のアナログテレビ単独使用と比べて利便性が低下する。

地上デジタルチューナー非内蔵機器の多くは標準画質だが初期に流通していた地上デジタル対応の単体チューナー、DVDレコーダー、CATVセットトップボックスはこの継続使用に特化したものはなく過剰性能でありその分高価なものばかりだった。総務省の情報通信審議会は、電機メーカーに対し5,000円前後の特化した単体チューナーの発売を求める答申を出す方向で動いた[3]。その後、2009年9月に5000円を下回る価格の単体チューナーが発売されるようになった[4][5]

地上デジタルチューナー非内蔵テレビ

地上デジタルチューナー内蔵機器をビデオ端子などで接続する事で継続使用が可能である。現存するほとんどのテレビはビデオ信号入力端子を備えているが、ビデオ信号入力端子が搭載されていないテレビではビデオ信号をアンテナ端子から入力可能なRF信号に変換するモジュレータ(例:マスプロ電工のAV変調器「VMD3M」)の追加が必要である。なおNTSC規格の仕様上、旧型の白黒テレビでも利用可能である。また、集合住宅や大量にテレビ設置されている施設などでは、デジタル放送をアナログ放送に変換するコンバータを使用して利用する方法もある。一部のCATV事業者では、アナログ放送終了後も一定期間、デジタル放送をアナログ放送のチャンネルにダウンコンバートして有線放送することを予定している。この場合はそのCATVを利用できる環境(集合住宅などでは利用者に無料で地上波を配信していることもある)であれば、アナログ放送終了後も一定期間、アナログテレビで地上波放送を視聴できる。

地上デジタルチューナー非内蔵録画機

地上デジタルチューナー非内蔵録画機(ビデオデッキ、CPRM対応DVDレコーダーなど)については、地上デジタルチューナー内蔵機器(地上デジタルチューナー内蔵テレビにも録画出力があるものがあり、それも使用可能)の映像・音声出力端子から映像・音声コードを介して録画が行える。ただし、CPRM非対応のレコーダーでは録画できないものがある。また、ここからさらに録画側をデジタル録画機にしての複製はコピーワンスのコピー制御により原則行えない(日本の地上デジタルテレビ放送#コピー制御を参照)。

移行の際の混乱

このため、低所得者世帯などに地上デジタルチューナーを無料配布することも政府内で検討されている[6]

デジタル放送はその伝送誤りの処理能力内なら障害のない(又は少ない)受信が可能だが、誤り訂正能力を超えた伝送誤りが発生するとベリノイズが現れたり全く受信できなくなる。アナログ放送ならば災害などで地元の放送局に障害が生じても他県の放送をゴーストが生じたり色がつかなかったりする状態で何とか受信して災害情報を得られる可能性があるが、デジタル放送ではその可能性は低くなる。これは、地上デジタル音声放送が普及してもアナログラジオ放送を廃止しないとしていた政策の理由の1つである[7]。なお通常時においても現在は辛うじて受信できていて、デジタル波になったら受信できなくなる地域も存在する。特に2010年2月現在、地方局などではまだまだ受信耐久率がアナログ放送以下のテレビ局が多く、そういった局は強い雪が降っただけで映らなくなることがある。

またデジタル放送のチャンネル番号が長年親しまれたアナログ放送の番号とは異なる局が増えたことから、チャンネル番号の混乱を招くケースも多い(例えば関東地方ではNHK教育テレビジョン3ch2chに、テレビ朝日10ch5chに、テレビ東京12ch7chにそれぞれ変更されている)。

ごく一部のケーブルテレビ局では地上波以外のアナログ放送もパススルー方式で送信しており、地上デジタルアナログ契約では受像機1台分の契約しかしなくてもアンテナ分配器で実際の受像機の数を増やせた。だがデジタル契約では「契約受像機数=セットトップボックス数=受像できる受像機数」となるので、複数の受像機を持っている場合は結果的に受像機数分の契約をする可能性もある。しかし他の多チャンネル放送に乗り換えられる可能性もあるので、ケーブル局の増収となるとは限らない。ケーブルテレビでのデジタル放送受信方式にはセットトップボックスを必要としないパススルー方式があるが、パススルーによる送信は技術的に容易で設備も簡易で済む地上デジタル放送のみ実施している局が多い。

松下電器産業(現:パナソニック)は「アナログチューナーのみの従来型テレビの生産を2006年で終了する」と発表し、2007年8月に生産終了した。大手では他に東芝三菱電機ソニーが既に生産を終了している。録画機器もパナソニックなどが、アナログチューナーのみの従来型ビデオデッキやDVDレコーダーの生産を終了した。

なお、上記の告知CMには「(地上デジタル放送開始に伴うアナログ放送停止は)国の法令で定められている」というテロップが入っている。

また、家電リサイクルの面でもアナログテレビの大量廃棄が問題となる。電子情報技術産業協会の予測では、2007 - 2013年の排出量の総数は約6,428万台である。特に停波直後の2011年には約1,800万台に達し、2006年度排出量の約2倍となる見込み。

以上の様な状況ではあるが既にアナログ停波を宣言してしまっている以上、停波そのものの撤回は容易ではない。これは逆に買い替えをしてしまった視聴者からの反発も予想されるからである。また停波時期の延長も電波法の再改正を必要とするため容易ではない。なお一部の国会議員の中には格差問題などを考え、停波時期の延長や停波そのものの撤回も選択肢の1つではないかと考えている者もいる様である。

なお2009年8月現在において世界におけるアナログ放送を完全に終了させたオランダアンドラフィンランドイギリスアメリカなどであり韓国は当初の終了予定を過ぎた現在でもアナログ放送を継続させている事から「日本でも同様の措置を取るべきだ」との声もある。詳細は地上デジタルテレビ放送#世界各国における地デジへの移行を参照。

アナログ放送終了に備えた措置

2008年7月24日から実施されている地上波アナログ放送終了告知マーク(イメージ。NHKで使用されているものとは異なる)
2009年7月から始まり、2010年7月5日から完全実施されている地上波アナログ放送レターボックス放送(イメージ。この写真のような字幕は当初は番組開始当初のみだったが、2010年9月6日[8]から段階を追って常時表示に変更された。本文の説明参照)

現在、アナログ放送を受信している視聴者でもデジタル放送だと勘違いをしている視聴者や、デジタル放送を受信している視聴者でもアナログ放送だと勘違いをしている視聴者がいるため停波になった時に多少の混乱が起こることも懸念されている。そのため、2008年7月24日からアナログ放送終了に備えた措置を実施している。この措置は大きく4段階に分かれている[9][10]

なお、以下の措置においては視覚障害者に対する配慮を行うとされている。

地上波アナログ放送終了に備えた措置

2008年
  • 7月24日 - 【第1段階】アナログ放送終了の告知画面・告知スーパーの放送を開始。アナログ放送の画面に「アナログ」ロゴマークの表示を開始。アナログ放送終了告知を強化。
    • NHKでは一部の地域放送などを除きウォーターマークで常時表示。
    • 民放では当初、19時〜23時台の番組(一部を除く)で放送開始直後(番組の流れにより多少後になる場合もある)に数秒間白文字のみ(局により細い黒縁や長方形枠が付く場合あり。開始時刻が19時前に跨る番組では18時台にも表示される事があった)で「アナログ」と表示されていた[11][12]。ほとんどの局は大きさがNHKの約3倍である。
2009年
  • 1月12日 - 【第1段階】全民放で画面右上の「アナログ」表示が基本的にCM中を除き常時表示される様になった(一部を除く)。
  • 4月6日 - 総務省は「アナログ放送終了リハーサル」と呼ぶアナログ波停止を行った場合、その地域のアナログ放送視聴者にどの様な問題が発生するかを観察・抽出するため公募の結果、石川県珠洲市を選んだ。これにより国として全国的に必要な対策・措置を検討・実施。なお、他の地方自治体からリハーサルへの参加も引き続き募っていた[13][14]
  • 7月 - 【第2段階】各局でアナログ放送の一部の番組をレターボックス放送に変更(その後、段階的に拡大)。番組部分のサイズを16:9とした上で上下の余った部分(比率にして各1.5ずつ)には黒帯を入れた。告知テロップの表示回数も増加[15][16]
  • 9月3日 - 総務省テレビ受信者支援センターは珠洲市での「アナログ放送終了リハーサル」で使用する5,000台から8,000台の簡易チューナを珠洲市役所納入先とする購入に公募し、同年11月30日を最終納入日とした[17]
  • 9月15日 - 「総務省地デジチューナー支援実施センター」がNHK受信料全額免除の生活保護受給世帯へ無償支給する簡易チューナーの申し込みを郵送で受け付け開始[18]
2010年
  • 1月22日正午 - 珠洲市と能登町の一部(計約7,000世帯)に対してリハーサルとしてアナログ停波が24日正午まで48時間行われた。
  • 2月22日 - 衛星放送によるNHK及び民放キー局による地上波番組の試験放送開始。
  • 3月11日 - 衛星放送によるNHK及び民放キー局による地上波番組の「地デジ難視対策衛星放送」開始(BS291〜298)。受信には申し込みが必要。
  • 3月29日 - 【第3段階】NHK全局が新年度編成開始に合わせて、アナログ放送における大半の番組をレターボックス放送に変更[19]。また、これまで行ってこなかった黒帯部分でのアナログ放送終了告知も開始。
  • 4月5日 - 【第3段階】日本テレビ系列局がアナログ放送における全編生放送以外の番組をレターボックス放送に変更。
  • 7月4日 - 『全国一斉地デジ化テスト』を放送大学学園を除く全ての地上波放送局で同時放送。
  • 7月5日
    • 【第3段階】放送大学学園を除く全局がアナログ放送の全番組(NHKの4:3製作番組と14:9サイズの放送を継続する大河ドラマ、民放におけるCMやテレビショッピング、4:3製作された放送局に著作権のない外部制作番組、独立UHF局における再放送番組を除く)をレターボックス放送に変更(ただし、一部地域の時刻表示はレターボックス画面の上にはみ出している。また、情報番組ではサイドスーパーやワイプが4:3のアップコンバートで両端にタイトルロゴなどがついたサイドパネルの上に表示されるようになった)[20]。アナログ放送終了告知を番組冒頭およびCM明けに1分程度表示(場合によってはCM中も表示されていることもある)。また、一部地域の民放各局のアナログ画面では随時右上に「地デジカ」イラストともに「ご覧の・画面は・アナログ放送です・お早目のご準備を」という表示が出るようになった。
    • (アナログ画面強制レターボックス化に伴い)TBS(JNN)系列と日本テレビ(NNN)系列のニュース番組テロップが16:9画面対応に[21]
  • 7月24日
    • この日限りで番組冒頭部など、上下に表示される文面が一部放送局で「今日は地デジに完全移行するちょうど1年前です。お早めに地デジの準備を! 地デジコールセンター0570-07-0101」となった。
    • 【第3段階】放送大学学園がアナログ放送の全番組をレターボックス放送に変更[22]
    • 全国で「地デジ化大作戦」と名乗るパレードが開催。
    • 正午 - 珠洲市能登町の一部(計約8,800世帯)に対してリハーサルとしてアナログ放送を全国に先駆けて1年早く終了[23]
  • 9月6日 - 【第4段階】関東広域圏山梨県愛知県中京広域圏)、近畿広域圏において終了告知テロップの常時表示を先行開始[24]
  • 9月13日 - 【第4段階】大分県沖縄県において、終了告知テロップの常時表示を先行開始。
  • 9月27日 
  • 10月4日 - 【第4段階】北海道青森県岩手県[25]長野県岡山県&香川県高知県福岡県長崎県の全民放局とフジテレビ系列局においてアナログ終了告知テロップの常時表示を先行開始(青森県は青森放送が9月6日より開始、青森テレビ青森朝日放送が10月4日より開始。高知県は高知放送テレビ高知が9月6日より開始、高知さんさんテレビが10月4日より開始)。また、フジテレビはこの日より告知テロップの表示形式がテレビ朝日と似たようなものに変更された。
  • 10月11日 - 【第4段階】宮城県鳥取県&島根県の全民放局で終了告知テロップ常時表示開始(山陰両県は日本海テレビが9月6日より、山陰中央テレビが10月4日より各々先行開始し1週間後の10月11日に山陰放送が開始)。
  • 10月25日 - 【第4段階】NHK総合・教育で終了告知テロップ(総務省地デジコールセンターの受付電話番号のみ)の常時表示開始(コールセンターの受付時間の間のみ表示)。ロールスーパーによる終了告知テロップもこれまでどおり流されるが、総合・教育ではこれまでの開始冒頭に加え、放送時間が10分以上のすべての番組についても10分毎に流される(後述のNHKアナログBS2でも同日から同じ形式で表示)。加えて新潟県の全民放局でも終了告知テロップ常時表示開始。
  • 11月1日 - 【第4段階】三重テレビを除く全都道府県の民放局(128局中116局)で終了告知テロップ常時表示開始。アナログ放送終了告知をさらに強化。
  • 12月1日 - 【第4段階】三重テレビで終了告知テロップ常時表示開始。
  • 年末年始も「デジサポ」が営業しているため局によっては2行表示(1段目「総務省地デジコールセンター(電話番号略)」、2段目「平日9時 - 21時、土曜・日曜・祝日と年末年始の12月29日 - 1月3日9時 - 18時」と表示)されている。
2011年
  • 1月24日
    • 長崎県対馬市において厳原中継局を除く市内全中継局の在長崎局地上アナログテレビ放送を他地区より半年早く完全終了(当該地区は全世帯がCATVに加入しており、視聴不可となる世帯は無い)。
    • 地デジ完全移行半年を機にNHKのアナログ放送終了告知の字幕表示をこれまでのデジサポ営業時間(平日9 - 21時、休日9 - 18時)のみだったのを、営業時間外も含め終日表示に変更(NHKのアナログBS1・BS2も同日より同様の措置となる)。
  • 7月21日 - 【第5段階】放送大学学園が平成23年度の第1学期授業期間が終了するこの日を以ってアナログ放送における通常番組を終了。
  • 7月24日 - アナログ放送の停波(期限)日。同時に(放送大学学園を除く)全局でアナログ放送における通常番組を終了。停波の時間については混乱を避けコールセンターへの問い合わせに対応できるようにするため、同日正午とすることが2009年4月23日に総務省内での会議で決められた[26][27]。ただし技術的に困難な場合は放送事業者個々の判断で同日24時00分まで停波を延長出来る[28]ので、予定通り停波されてもその時刻は多少バラ付きが発生する可能性がある。

備考

  • 全国に先駆け、鹿児島県鹿児島市の一部地域でサービスを行っているかごしま光テレビは2008年7月で地上アナログ放送の再送信を終了しテレビの完全デジタル化を完了した[29]
  • 福岡放送では措置の本格実施に先駆け、2008年7月12日の「博多祇園山笠追い山ならし」中継において第2段階の措置を実行した。全編をアナログ放送ではレターボックスで放送し、CM明けに完全実施モードのアナログ終了告知を数秒表示。番組中でもアナログ終了アナウンスを行った。
  • NHK総合テレビでは、第1段階開始日の2008年7月24日に特別番組として『備えあれば映りよし 〜完全デジタル化まであと3年〜』を放送した。番組中の中継の中でアナログ放送の終了体験が行われた。地上デジタル放送推進メインキャラクターの草彅剛SMAP)とNHKアナウンサーの島津有理子らによるカウントダウンの後に、アナログ放送のみブルーバックでNHKの地上アナログ放送の2011年7月での終了とデジタル放送受信の準備を早期に行う事を要請する旨のテロップが表示された(デジタル放送では中継先の映像のまま。音声はデジタル・アナログとも中継先の音声を流した)。2009年の同日にも特別番組が放送された。
  • テレビ東京は、2009年2月にすべての番組(15分以下の番組を除く)内で告知テロップを表示した。本編中、4:3番組では映像中に挿入し4:3レターボックス番組では下側の黒帯部分に表示した。生放送番組でも告知テロップは4:3レターボックス放送と同じものを表示していた[30]。同年7月にも15分以上のすべての番組で告知テロップを表示した[31]。7月5日からは、CM明けの度に告知テロップが表示されるようになった(番組終盤は表示されない場合がある)。
  • フジテレビでは2009年4月以降、すべての深夜番組や午後のドラマ再放送(2003年以前作品を除く)を4:3レターボックスにした。TBSでも同時期に午後のドラマ再放送を4:3レターボックスにしている。
  • これ以外でも、各局がそれぞれの方法によりアナログ終了の告知を強化している。
  • 2008年11月27日、「日本再建のため行革を推進する700人委員」[32]の研究会で地デジへの移行に際して「アンテナの改修が必要な場合がある事の説明が足りないのではないか」など説明不足を指摘する意見が出た[33]
  • アナログ放送終了1年前の2010年7月24日には「地デジ化大作戦」というイベントが東京都千代田区をはじめとする全国で開催された(またこのイベントは2010年7月9日に発表された)。
  • 朝日放送では2010年9月から字幕・データ放送対応番組の冒頭数秒間、アナログ画面の右上に「地デジ化」の告知表示とともに字幕・データ放送のマークを表示している。
  • 当初、NHKと民放は総務省の方針により2011年6月30日を以てアナログ放送における通常番組を停止し7月1日以降は通常番組は全てデジタル放送となる予定であった。しかし日本民間放送連盟(民放連)がこの方針に反発したため、民放各局はアナログ放送は移行期間を設けずに7月24日の停波まで通常番組を放送する方針を固めた。ただしデジタル放送完全移行後はアナログ放送対応テレビではスノーノイズ(砂嵐)しか映らなくなるため、このイメージを2011年1月中にも地上アナログ放送終了告知番組で繰り返し流し始め混乱を防ぐとしている。また告知番組の枠を徐々に拡大し周知を図っていく。民放連はアナログテレビ放送本編の終了時期を明確にしていないNHKにも同調を求めていった結果、2011年1月19日にはNHKも停波まで通常番組を放送する方針を固めた。ただし、通常の放送画面に停波を知らせる字幕をかぶせた形で放送を行うといっている(画面の上下の余白に表示されている停波のお知らせも継続して表示される模様)[34][35][36]
  • また2011年1月以降は、地デジ完全移行に向けての予行演習として「アナログTV放送の一時停波を都道府県単位で行う」方針が総務省より発表された。1月末は地デジ受信機の世帯普及率が全国最下位の沖縄県において、在覇民放TV3局(RBC琉球放送・OTV沖縄テレビ放送・QAB琉球朝日放送)が在宅高齢者の視聴割合が高い昼間の1時間程度、アナログ放送における通常番組を一定時間停波。デジタル画面では通常番組を放送し、アナログ画面では「砂嵐」映像や居住都道府県のデジサポ電話番号を表示した画面を流して地デジへの早期移行を促す。この実験は当初は全国一斉に行われる予定だったが、番組編成が局及び系列毎に異なり実施時間の調整が難しい事から、都道府県単位や中継局単位による実施に改める形で全国のNHK及び民放TV各局に対し「地デジ完全移行に向けた予行演習(リハーサル)の実施」を求めていく方針[37]
  • なお、当初は通常番組の放送は2011年6月30日付けの放送終了を持って終わりとし7月1日から7月24日までについては「アナログ放送終了の告知」のブルーバック字幕だけを放送する方針としてたが日本民間放送連盟(民放連)から7月24日までは通常放送を続けてほしいという要望があり、NHK・民放連はそれぞれ7月1日付けの放送開始から7月24日正午までは通常放送の画面の上にじゅうたん(透かし)を入れる形でアナログ放送の終了告知の字幕を入れ7月24日正午〜24時(7月25日0時)の完全停波までは完全に放送電波の送出を止めてブルーバックの画像だけを表示するとしている[38]

アナログ放送停波後のケーブルテレビの暫定処置

ケーブルテレビにおけるデジアナ変換での注意事項

BSアナログ放送終了に備えた措置

BSアナログ放送については受信機の普及が地上波よりもかなり進んでいることや全国一律放送であることもあり、地上波と同時期に終了させる事となっている。ハイビジョン実用化試験放送として長らく放送されたが、普及が芳しくなかったMUSE方式のアナログハイビジョンは地上デジタル化に先行して終了した。

  • 2000年
    • 11月30日 - アナログハイビジョンの実用化試験放送に参加していた民放各局が離脱。この日以降、アナログハイビジョンはNHK単独となる
    • 12月1日 - BSデジタル放送を開始
  • 2007年
  • 2008年
    • 5月1日 - NHK アナログBS1NHK アナログBS2でチャンネルロゴの下に「アナログ」の文字を表示(フォントは地上アナログ放送とは異なる)
    • 5月9日 - WOWOWのBSアナログ放送用デコーダの新規申し込み受付を終了(BSデコーダー所持者のBSアナログ放送のWOWOWへの再加入は可能)
  • 2010年
    • 3月下旬 - NHK アナログBS1・NHK アナログBS2でBSアナログ放送終了告知の1分間のスポットを一部時間帯で通常の番組案内を差し替える形で告知を開始
    • 7月13日 - NHK アナログBS2で画面下の黒帯の部分にロールスーパーでBSアナログ放送終了告知のテロップの表示を開始(日中の時間帯で16:9レターボックス放送時のみ。形式は地上波のアナログ総合テレビと同じだが、表示内容は異なる)
    • 10月1日 - WOWOWのアナログ放送で画面右上に「アナログ」の表示を開始(フォントは地上アナログ放送と似ているが、垂れ字(スランプフォント)にはなっていない)
    • 10月25日 - NHK アナログBS2で終了告知テロップ(NHKアナログ終了コールセンターの受付電話番号のみ)の常時表示開始(コールセンターの受付時間中のみ表示)。なお、NHK アナログBS1でも同年12月から同様の常時表示を開始。表示形式は地上波のアナログ総合・教育テレビと同じパターン。
  • 2011年
    • 3月31日 - NHKデジタル衛星ハイビジョンの放送を終了予定
    • 4月1日 - NHK BS2がNHK BSプレミアムに改称予定、同時にハイビジョン化した、NHK デジタルBS1・NHK デジタルBSプレミアムの放送開始予定。
    • 7月24日 - 地上波とともに正午を以ってアナログ3波完全停波予定。WOWOWは正式には具体的日時を発表していないが、アナログ放送の免許自体は他局同様この日までである

地上アナログ放送での受信障害

視聴者が使用しているブースターが多くのチャンネルを増幅する性能が十分でない場合、地上デジタル放送開始と共にUHF帯域のチャンネル数が増えるためにUHF帯域の地上アナログ放送にスノーノイズが現れる。これが現れた場合は社団法人電波産業会受信対策センターに相談するように呼び掛けられている。地上デジタル放送へのフィルターを取り付け、地上アナログ放送に障害が出ないようにするという。地上デジタル放送への対応はしない。この障害が現れると地上デジタル放送への対応には、多くの場合ブースターの調整又は交換が必要である。地上アナログ放送が停波すれば交換しなくても地上デジタル放送が支障なく受信できる可能性は増えるが、確実ではない。

視聴できない地域

地上デジタルテレビジョン放送の開始は段階的に進められ東京都23区)や大阪府などの都市部を優先して試験的に開始した。2006年12月1日までに北海道京都府・43県の各道府県庁所在地および近接する一部の市町村で受信できるようになったが、道府県庁所在地から離れた市町村・離島での受信が不可能な状態で開始されることになった(他にも、高層ビルなどの地形による障壁で電波が受信できない場合もある。後述)。

中継局の増設が本格化した2007年以降、段階的に視聴できる地域が拡大され、2010年12月末には、道府県庁所在地から離れた主要な市町村と離島も含めて大半の地域で受信可能となった。

それでもごく一部の各県ではすべての中継局が整備されていない(富山県のみ2009年までにNHK・民放の全中継局(置局不要の中継局などを除く)でデジタル化整備を完了。その他の都道府県の大半も2010年までに置局不要の中継局や一部アナログ未開局地域が残されている後発民放局を除いてデジタル化整備を完了)。特に人口の少ない過疎地ほど整備が後回しにされる傾向がある(国内全域で一斉に受信できるようにしなかったことも、地方間の格差や難視聴地域の発生を助長する原因になっている[要出典])。

また難視聴区域の中で京都府和束町のように高圧送電線の電波障害を解消するために関西電力が建設した電波受信施設で現在はアナログ波を各家庭に配信しているが、この施設をデジタル波用に改修するに際しての費用負担の問題から地上デジタルに完全移行への不安が残る地域も存在する[43]

加えて、新潟県上越市大島区(旧:大島村)など一部の市町村ではその地理的な環境より全面的に難視聴地域となることが予想されている。これはデジタル波の直進性と閾値以下では映像が見られない特性による。これらは全国に点在する、過疎化高齢化により若年層の人口が少ないことに悩む地域である。総務省ではこれらの解消も考慮しているが予算と需要などの事情から完全実施は不可能で、地域住民の負担が発生する。1世帯あたりの負担は重くそれらの施設工事の国庫負担率1/3から1/2へと引き上げが望まれている。

人口が十万人以上の都市部であっても、山や高層ビルなどによる地形の影響で放送波を受信できない場合もあり、例として神奈川県鎌倉市ではデジタル放送そのものを視聴できない恐れが出ている。現在、鎌倉市の大半の世帯は放送波を東京タワーから直接または湘南平平塚市)から中継局経由で受信している。放送局側の試算によると、想定される神奈川県内の難視地域のうち、75%超が鎌倉市内に集中している。鎌倉は海と山に囲まれた特有の地形を有しており、放送波が行き届きにくい地形である。総務省は鎌倉の山中に中継局の設置を市側に提示しているが世界遺産登録のために制定された条例[44]があり、調整が難航している。この状況でデジタル放送に移行すれば、約5100世帯が難視地域になる可能性が出てきた。ケーブルテレビ(CATV)や光ファイバーを活用する方策もあるが、折りしも経済情勢の悪化でこれ以上の負担を強いることは市民の反発を招く。総務省は中継局建設工事や手続き、受信者側の準備などを勘案すると2009年4月末までにはある程度のめどをつける必要があるが現在まで総務省や鎌倉市から新たな発表はなされていない。また相模原市の旧津久井郡地区では2009年3月31日に2ヶ所の中継局津久井相模湖)が開局したものの、なおも約15%に当たる2400世帯が視聴できない。このため市内に住む住民が組合を組織し、共聴アンテナを利用して現在アナログ放送を視聴している。各世帯の自己負担が10万円前後、現在も月500円を徴収しており施設のデジタル化には多額の費用がかかるのが現状である。

2010年7月18日の読売新聞によると共同受信施設の52%にあたる32,700施設、およそ推計390万世帯がデジタル未対応でビル陰による共同受信世帯を合わせるとおよそ900万世帯が未対応であるという。

奈良県の山間部では奈良テレビ放送がデジタル中継局を設置することに難色を示したため、NHK準キー局の中継局も設置を断念してこまどりケーブルへ強制的に加入させることが決定した。北部に人口の9割が偏在する奈良県においては全世帯の96%で大阪本局・奈良本局の電波が受信可能であり、わずか4%の世帯のために山間部に40ヶ所(NHKもほぼ同数。広域民放は10ヶ所未満程度)もアナログ中継局があることが非効率とされたためである。

地上系による放送の放送対象地域は県域又は広域が原則である(短波放送を除く)が、送信される電波は県域又は広域に留まらず県外または圏外にも漏れる場合が多い[45]。これは圏外の視聴者には喜ばれる一方、地元の放送局やそのスポンサーにとって隣接する都道府県又は広域圏を放送対象地域とする放送局に視聴者を奪われることや番組著作権や出演者の肖像権の侵害にもつながる重要な問題であった。

今回の地上デジタルテレビジョン放送への移行実施に当たり、総務省は「現在、アナログ放送で見られるエリアのほとんどをデジタルで視聴可能にする」としている[46]。実際に独立局を中心にアナログ放送と同等のスピルオーバーのエリアを確保している局も多くあるがデジタル放送に新たに割り当てられたチャンネルで混信が起こり、視聴が不可能又は困難な地域もある。また現在中継局の整備が不完全であるため、スピルオーバーのエリアは完全ではない。地域によってはスピルオーバーと中継局の未整備とが相まって、受信できる放送局が他の都道府県を放送対象地域としている放送局のみというケースも生じている[47]

前記は施策の遅れ・困難さに伴う副次的な影響であるが、地上デジタルテレビジョン放送では送信所から発信される電波の方角・強度を細かく設定できることや出力もアナログUHF局の10分の1に抑えることで地上アナログテレビジョン放送に比べ本来の放送対象地域に沿った放送が実施可能となるとみられる。また社団法人日本民間放送連盟ケーブルテレビに対して区域外再送信を認めない[48]ことから、[49]地元の放送局は視聴者を奪い返す絶好の機会、自局が属する系列以外の事業者への番組販売の増加による収益確保、新規系列局の開局にもつながる可能性が期待できる(ただし、難視聴地域の増加や広告出稿への影響などを考慮すれば区域外再送信やスピルオーバーの可否もケースバイケースとなりえる。下記CATV局の事例も参照されたい)。しかし民放のチャンネル数が少ない地域(秋田県福井県宮崎県など)で他の県の放送を頼りにしている地域への配慮がないことについて改善の兆しもなく、また経済格差や既存テレビ局の圧力などで新規のテレビ局によるチャンネル数の増加が困難な例がある。この点は当時の宮崎県知事東国原英夫が公約として「宮崎県にテレビ局を作る」が盛り込まれたことがいえる。また県の単位と実際の地域経済単位や文化の単位も異なる例がある[50]ことに対し、有力な反論は表されていない。

なおNHKは受信料を徴収する代償として“全国どこでも視聴が可能”にする義務を負っているが(放送法第2章)地上デジタルテレビジョン放送が受信できず、アナログ放送しか受信できない地域でも受信料が変わらない[51](デジタル放送でも受信料が改定されない)ために不公平感が否めず、この状態を解消しなければ同法違反となる疑いがある。

ケーブルテレビの区域外送信問題

一方、区域外再送信を売りに加入者数を増やしてきたケーブルテレビ局は「区域外再送信を禁止されるとこれに伴う解約者が増えかねない」と異論を唱える局がある。実質視聴可能な放送局数の減少や地域間格差の拡大[52]など区域外視聴者からの反発も予想される。

一部のケーブルテレビ局では、加入者の減少対策として放送対象地域外の放送局の電波が提供地域の全世帯までに届いていればその放送局の区域外再送信を行う局も出始めている[53]。また、長野県大分県で起こったこの問題に対して「区域外送信を認める」との大臣裁定が降りたことによりデジタル波でも再送信を行うケーブルテレビ局が出ている。

ケーブルテレビの廃止

老朽化した送信設備を地上デジタル対応に改修する費用が高額になることから、最終的に廃止されるケーブルテレビ局がある。

既存の建造物などによる受信障害への対応

現在、建造物によって周辺にテレビ受信障害(電波障害)が発生した場合、建造物の設置者が費用を負担してケーブルテレビへの加入や共聴設備を設置することで対応することが多い。しかし、そうして設置された共聴設備の大半は地上デジタルを想定しておらず視聴するには改修工事が必要である。

ところが地上デジタル放送の開始が建築前には告知されていなかった場合は、その分の改修費まで補償する法的義務はないと建築者や建物の管理者が主張することが多い。したがって電波障害によりデジタル放送が受信できない場合、そのテレビの所有者が実費で対処を検討する必要がある。なお地上デジタルを所管する総務省はこの様な場合、協議を推奨している[57]

このように既存の建造物や山間部で受信困難な場合にはケーブルテレビの加入によって視聴できる場合もある(既存のアナログ放送の共同受信組合を解散しケーブルテレビ化する地域もある)ものの、携帯電話などのワンセグでは視聴できない場合があることや、ケーブルテレビの契約料や工事費が(業者によっては)6~10万円ほどかかり、引込線や屋内工事費などを含めると15万円近くかかる場合もあるため、低所得者などにとっては大きな障害となっている。

新規地上アナログ放送局開局が困難

2011年7月24日までに地上デジタルテレビ放送に完全移行し、現在の地上アナログテレビ放送の終了を予定している。そのため開局を断念した放送局一覧の項でも触れた茨城福井徳島佐賀宮崎沖縄の6県に割り当てられた新規アナログテレビ放送用の周波数割り当ても取り消されている他、既存の民放テレビ局(特に平成時代に開局した局)のアナログ放送中継局及び送信所の新規開設の凍結・打ち切りなど地上アナログ放送の新規の開局は不可能となった。

但し、アナログ放送終了後にこれらの地域でも地上デジタルでのテレビ局の新規開局の可能性はある。そのため、テレビ東京は2007年5月の定例社長会見において、宮城静岡広島の各県に新局を設ける構想(テレビ愛知の静岡県への放送対象地域拡大、テレビ大阪の兵庫県・京都府への放送対象地域拡大、テレビせとうちの広島県への放送地域拡大も含めて)を発表しているが、翌年6月20日の第40回定時株主総会の概要で、会社側は視聴エリアの拡大について「現在の経営環境では厳しい」と回答しており、事実上この構想は凍結されている。

関東広域圏における2012年問題

2012年に東京スカイツリーが完成し、東京タワーを使用していた放送局(放送大学を除く)は東京タワーから東京スカイツリーに送信所を移転する予定である。東京タワーと東京スカイツリーは位置が異なる為に(スカイツリーは墨田区なのでやや北寄り)、受信場所と両タワーの位置関係によってはアンテナの指向を変更する必要がある可能性がある。また指向を変更した場合、東京タワーを今後も送信所とする、放送大学の受信には支障を生じる可能性がある。

その他

2011~2012年時点で問題なく機能する現行のテレビ受像機が大量に廃棄された場合、環境に悪い影響を及ぼす。

「地上アナログテレビジョン放送終了=テレビが(全く)見られなくなる」と曲解し、誤解させる詐欺事件も起こっている[58]

総務省はUHF帯に移行した後、空いたVHF帯を移動体向け放送(携帯電話通信そのものではなく映像放送などの新規サービス)など新規サービスに開放するとしている(日本の地上デジタルテレビ放送の項も参照[59]。VHF帯は電波の波長が長いために直進性が低く、例えば携帯電話向けの1.5GHz帯を用いたサービスなどで大きな問題となるビル影・山影による不感問題が生じにくいといった利点はあるものの一方で効率の良い送受信には長いアンテナが必要である。

遅延問題」は、日本で行われる今後の災害情報通知への問題を含む。具体的には「緊急地震速報」の通知において現行のアナログ放送では同時の通報が可能であるが、一方で地上デジタル放送では3~5秒程度伝達遅延が発生する。そのため、仮に5秒前に速報を発信しても実際に届くのは事後(被災後)となる。また津波情報に対しても緊急性が要求されるので、人命に絡む問題である。これもアナログラジオ放送が継続される大きな理由である。ブラジルで採用されたSBTVD-T方式では遅延が改善されているが、日本が既に採用したISDB-T方式ではこれ以上の遅延の改善は不可能に近い。

ポケットラジオでは「FMワイドバンド対応。テレビの1~3チャンネル音声が受信可能」とある製品が多いが、これらの機種は88~108MHzでラジオ放送が行われている国でしか意味を成さなくなる(日本以外のアジアやアメリカなど。ラジオ#超短波放送(FM放送・BSデジタルラジオ)参照)。1~12chテレビサウンド対応のラジオもある(ラジカセの中にはさらにUHFにも対応しているものがある)が、アナログテレビ停波後は全く無意味となる。そのため、ラジオのカタログには「アナログテレビ放送終了後はテレビの音声を聞く事ができません」の注意書きが付記されている。同様の注意書きはFMラジオを搭載したデジタルオーディオプレーヤーや携帯電話にも見られる。

脚注

  1. ^ 20002003年に発売されたBS・110度CSデジタルチューナーは内蔵している(最初期は110度CSなし)が、地上デジタルチューナーは内蔵していない機器を含む。
  2. ^ ただし、携帯用の小型テレビなどで外部AV入力や外部アンテナ入力を備えないものは継続使用はできない。
  3. ^ 総務省審議会『アナログTV用安価チューナーを』 - YOMIURI ONLINE 2007年8月2日
  4. ^ イオン、4980円地デジチューナー 需要に応え“国内差安値”投入 - フジサンケイビジネスアイ 2009年9月5日
  5. ^ 西友が4750円の地デジチューナー発売 イオンより安価に - ITmedia 2009年9月17日
  6. ^ 米国では2009年6月13日に停波したが、それに先立ちデジタル対応テレビへの買い換えが困難な低所得者層に対しデジタルTV変換コンバータ購入用としてUS$40のクーポンを配布した。日本もこれに見習ったものである。しかしながら地上デジタル放送への移行に受像機の変更だけでなく新たなアンテナ設備(工事費を含めて数万円)も必要であるが、このことは「デジタルへの移行」自体よりさらに少数の理解しか得られていない。実際、「デジタルへの移行」は何となく理解して新しい受像機に買い換える時に「地上デジタル放送対応」製品を購入したもののアンテナその他までには理解が及ばず実際には従来のアナログ放送を新しい受像機で受信しているだけなのにもかかわらずデジタル放送を視聴していると信じ込んでいる例も報告されている。
  7. ^ 地上デジタル音声放送は2011年3月に試験放送を終了し、本放送は開始されない。
  8. ^ 山梨県を含む関東と関西地区。その他の地域でも日本テレビ系列各局で実施
  9. ^ 「アナログ放送終わります」テレビ画面に常時字幕へ asahi.com、2008年4月18日
  10. ^ 形態としては2006年4月から2007年10月末まで表示していたNHKアナログ衛星ハイビジョン(2007年9月末で番組送出終了)と同じ形式となる見込み。
  11. ^ TBSフジテレビテレビ朝日系列では字幕テロップとの同時表示もあった。
  12. ^ アナログのテロップ表示はNHKとTBS・テレビ東京系列はサイズが小さく、日本テレビ・フジテレビ・テレビ朝日系列は前者の3局より3倍程大きくなっていた。
  13. ^ 「アナログ放送終了リハーサル」実施地域の決定”. 総務省、リハーサル推進委員会 (2009年4月6日). 2009年4月13日閲覧。
  14. ^ 石川県珠洲市で停波リハーサルを実施”. Impress Watch (2009年4月6日). 2009年4月13日閲覧。
  15. ^ 日本テレビ系列の場合、番組冒頭(ミニ番組を除く)で長編が流れる。
  16. ^ 告知テロップの表示は概ね3つのパターンがあり下黒帯にロールスーパーで告知テロップを流し、電話番号が書かれたテロップでロールスーパーが止まって表示する局。下黒帯に告知テロップを固定表示で流し、クロスカット切り替わりで電話番号が書かれたテロップが表示される局。上黒帯に告知テロップ、下黒帯に電話番号が書かれたテロップを同時に表示する局に分かれている。
  17. ^ 地上デジタル放送用「簡易なチューナー」購入に係わる公募” (PDF). 総務省テレビ受信者支援センター (2009年9月3日). 2009年9月10日閲覧。
  18. ^ 読売新聞東京本社版 2009年9月14日 13S版2面
  19. ^ 4:3SD放送を行っている在外邦人向けテレビ国際放送のNHKワールド・プレミアムもこれに合わせる形で16:9レターボックス放送に変更。
  20. ^ 地デジ:アナログ放送の画面上下が黒い帯に 7月5日から 2010年4月22日
  21. ^ CSの「TBSニュースバード」と「TBSチャンネル」は(「スカパー!HD」開始に伴い)地上波より1年早く2009年10月1日よりテロップを16:9画面対応にした。なお「日テレNEWS24」は(2010年10月時点でも)SD画面のままである。
  22. ^ スカパー!での放送、i-HITS・JC-HITS経由による配信はこれまで通り地上デジタルの送出映像を4:3サイドカットにして放送。
  23. ^ “地上デジタル放送:石川・珠洲で一足先にアナログ停止”. 毎日jp. (2010年7月24日). http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100724k0000e040037000c.html 7月24日閲覧。accessdateの記入に不備があります。 
  24. ^ その他の地域でも日本テレビ系列の同時ネット番組において常時表示が見られるようになった。表示方式は字幕を常時固定表示したもの、カットイン・アウト方式、またはクロスカット方式で入れ替えながら表示するもの、ロールテロップ方式などである。民放は提供クレジット中も表示するがコマーシャル中は表示をカットする。
  25. ^ IAT岩手朝日テレビは生放送番組ではアナログ終了告知テロップを常時表示しているが、ドラマ・アニメ等の再放送やテレビショッピング番組は(画面こそ強制レターボックスだが)終了告知テロップ非表示となっている(IAT以外の在盛局はCM中を除き全ての番組で終了告知テロップを常時表示)。
  26. ^ “アナログ停波は2011年7月24日の正午 12時間前倒し”. asahi.com. (2009年4月24日). http://www.asahi.com/culture/update/0423/TKY200904230240.html 4月24日閲覧。accessdateの記入に不備があります。 
  27. ^ アナログ放送終了計画(改定版)地上デジタル放送推進に関する検討委員会(第46回)資料(2009年4月23日開催。PDF)
  28. ^ 総務省 情報通信審議会 「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」第六次中間答申(2009年5月度開催)の資料70ページ目に記載(2009年6月2日web公開。PDF)
  29. ^ アナログ放送サービスおよびケーブルインターネットサービス終了のお知らせ 鹿児島光テレビ、2008年8月4日
  30. ^ テレビ東京・2月は全番組で地デジを推進!!地デジ7チャン強化月間
  31. ^ テレビ東京・7月は全番組&データ放送で地デジ推進 子供たちにも地デジ推進
  32. ^ 日本再建のため行革を推進する700人委員
  33. ^ 読売新聞 2008年11月28日 13S版 2面記事
  34. ^ アナログ放送、来年6月停止 読売新聞2010年6月14日
  35. ^ 2011年1月3日付 読売新聞 朝刊2面
  36. ^ “7月1日から画面にアナログ停波告知 NHK、人物や文字にかぶせ”. 産経新聞. (2011年1月20日). http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/110120/ent11012001370012-n1.htm 2011年1月21日閲覧。 
  37. ^ “アナログ放送、沖縄全県で停波実験 1月末に民放3局”. 朝日新聞. (2011年1月24日). http://www.asahi.com/national/update/0123/TKY201101230325.html 2011年1月24日閲覧。 
  38. ^ NHKリリース
  39. ^ 地デジ計画:CATVデジアナ変換15年3月末まで日本経済新聞、2009年12月2日、13版4面
  40. ^ 読売新聞 2010年4月10日 13S版 8面
  41. ^ AVウォッチ(2010年5月14日付)ケイオプティコムリリース
  42. ^ AVウォッチ2010年9月7日付オプティキャストリリース
  43. ^ 朝日新聞 2007年8月3日付け朝刊 京都欄記事より。
  44. ^ 古都保存法歴史的風土特別保存地区に指定。20m以上の工作物は原則建設禁止、20m以下は市が意見を付けた上で県の許可が必要になる。
  45. ^ この現象をスピルオーバーと呼ぶ(例としては、本来対象外である山梨県の一部で在京キー局の地上波を受信できる場合がある)。
  46. ^ しかし、北海道にあってはいまだに大半の中継局が未整備で、アナログ放送すら十分受信できない地域が残されている。
  47. ^ 例として、長崎県島原市では2008年1月時点ではデジタル放送で受信可能な放送局は有明海を介して熊本県を放送対象とする放送局のみとなっている。
  48. ^ 放送局個別の判断で方針は運用されており、一部例外あり
  49. ^ ITmedia『関西で火の手が上がったCATVの「区域外再送信」問題』
  50. ^ 例:静岡県伊豆半島東部は首都圏の、三重県伊賀地方京阪神の、山口県西部は福岡県北九州地区の影響がそれぞれある。
  51. ^ デジタル放送を見るための受信料は別に必要か
  52. ^ 関東広域圏は地上波民放が6局以上、近畿広域圏・中京広域圏・北海道(一部地域を除く)・岡山県・香川県福岡県は地上波民放が5局視聴できるのに対し、 青森県富山県山陰地方山口県等は地上波民放が3局、山梨県福井県宮崎県では地上波民放が2局、 徳島県佐賀県は地上波民放が1局しか視聴できなくなる地域も出てくる。 しかし、徳島県についてはサンテレビジョン毎日放送テレビ和歌山朝日放送テレビ大阪関西テレビ放送が、佐賀県については在福局全5局(九州朝日放送RKB毎日放送福岡放送TVQ九州放送テレビ西日本)が地上デジタル放送の区域外再送信に同意しており、両県の大半のケーブルテレビ局では放送対象地域外の民放局の地上デジタル放送での区域外再送信が行われている。
  53. ^ ITmedia『区域外再送信問題、いよいよ決着へ』
  54. ^ 北海道池田町・いけだ議会だよりかけはし(平成23年1月15日発行分)
  55. ^ 岩手県盛岡市・ウェブもりおか『テレビ都南廃止のお知らせ』(2007年4月2日掲載)
  56. ^ 岩手県盛岡市・ウェブもりおか『テレビ都南の廃止に関するQ&A』(2007年4月2日掲載)
  57. ^ 総務省『都市受信障害共同受信施設で受信する場合』
  58. ^ シニア層は要注意!これからが本番「地デジ詐欺」にだまされるな! 日経トレンディネット 2006年6月20日
  59. ^ 以前、テレビ放送の周波数帯をすべてUHFとする政策が示されたが空いたVHF帯の用途が提示されなかった事と既存VHF局の抵抗により実施が見送られた。

関連項目

外部リンク