「MOX燃料」の版間の差分

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== 搭載実施状況 ==
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* [[高速増殖炉]](MOX燃料を使用する)
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== 参考文献 ==
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2010年11月17日 (水) 18:53時点における版

MOX燃料モックスねんりょう)とは混合酸化物燃料の略称であり、使用済み燃料中に含まれるプルトニウム再処理により取り出し、二酸化プルトニウム(PuO2)と二酸化ウラン(UO2)とを混ぜたものである。 主として高速増殖炉の燃料に用いられるが、既存の軽水炉用燃料ペレットと同一の形状に加工し、核設計を行ったうえで適正な位置に配置することにより、軽水炉のウラン燃料の代替として用いることができる。これをプルサーマル利用と呼ぶ。

MOXとは(Mixed OXide)の頭文字を採ったものである。


特徴

  • プルサーマル用に加工することにより、既存の原子力発電所にそのまま搭載できる
  • 普通の燃料と比べ、高出力である
  • クリープ速度が速いため、PCMI(核燃料と被覆管の間の相互作用)の影響が緩和される。

問題点

  • ウラン新燃料に比べ放射能が高い(特に中性子が著しく高い)ため、燃料の製造については遠隔操作化を行い、作業員の不要な被爆に十分配慮して行う必要がある。
  • ウラン中にプルトニウムを混ぜることにより、燃料の融点が下がる。これにより燃料が溶けやすくなる。また熱伝導度等が、通常のウラン燃料よりも低下する。これにより燃料温度が高くなりやすくなる。
  • 核分裂生成物が貴金属側により、またプルトニウム自体もウランよりも硝酸に溶解しにくいため、再処理が難しい。
  • FPガスとアルファ線(ヘリウム、ガス状)の放出が多いため、燃料棒内の圧力が高くなる。
  • 性質の違うウランとプルトニウムをできる限り均一に混ぜるべきであるが、どうしてもプルトニウムの塊(プルトニウムスポット)が生じてしまう(国は基準を設けて制限しているが、使用するペレット事体を検査して確認することはできない)。

搭載実施状況

新型転換炉への搭載

  • ふげん(実験を終了し、現在は廃炉)

高速増殖炉への搭載

少量で試験運転を実施した軽水炉

少数体のMOX燃料の健全性を確認する試験運転を、昭和61年1986年~平成7年1995年に行っている。

今後、本格的に搭載される軽水炉

搭載が計画されている軽水炉

プルサーマル計画の遍歴

 軽水炉濃縮ウランの代わりにMOX燃料を使用するプルサーマル計画は、当初予定よりも十年以上遅れている。

関連用語

参考文献

  • 小林圭二・西尾漠『プルトニウム発電の恐怖』創史社


外部リンク