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'''特別指定選手'''(とくべつしていせんしゅ)は、[[日本プロサッカーリーグ|Jリーグ]]と[[日本サッカー協会]]が高校・大学生年における優秀な人材の[[サッカー]]技術向上を目指して実施されている制度である。
'''特別指定選手制度'''(とくべつしていせんしゅせいど)は[[日本サッカー協会]]がユース世代の[[サッカー]]選手に対して、所属クラブ・連盟の枠を超えレベルでのプレーができ機会を与えるための制度である。男子選手のための制度と女子選手のための制度とがある。


== 特別指定選手制度 (男子) ==
== 概要 ==
特別指定対象となるの[[全日本大学サッカー連盟]]、[[全国高等学校体育連盟]]、または第2種[[日本クラブユースサッカー連盟]]のいずれかに加盟しているチームの登録選手である。ただしJリーグの下部組織であるユースチームの所属選手については別に[[2種登録選手|2種登録]]という制度があるため、本制度の指定対象には含まれない。これらの選手のうち、現所属チームと受け入れ先Jリーグクラブとで合意が得られたものについて、Jリーグクラブが活動計画書を添えて申請を行う。日本サッカー協会は申請内容を審査し、妥当と認めた場合に特別指定を行う。以上の手続きにより、現所属チームに登録された状態のままで、受け入れ先Jリーグチームの選手としてJリーグ、[[Jリーグカップ|ナビスコカップ]]、[[Jサテイトリーグ]]の公式戦に出場が可能になる。
「'''JFA・Jリーグ特別指定選手制度'''」が正式な名称であり、対象は[[全日本大学サッカー連盟]]、[[全国高等学校体育連盟]]、または第2種[[日本クラブユースサッカー連盟]]のいずれかに加盟しているチームの登録選手、受け入れ先は[[日本プロサッカーリーグ|Jリーグ]]所属クブである。


[[日本サッカー協会|JFA]]技術委員会が、上記3連盟の意向に基づき推薦選手を発表して各Jリーグクラブへ通達し、クラブ側は推薦選手、または指定選手としての加入を希望する選手を選び、当該選手の所属先のクラブと交渉し、合意が得られた場合、申請書・覚書・活動計画書・メディカルチェック結果を技術委員会に提出する。技術委員会で承認された場合、その旨がクラブ側に連絡され、またJリーグ選手証が発行される。
== 特長 ==
高校・大学生年代の中でも特に抜きん出て優秀な選手にとっては、同世代との試合が必ずしも能力を伸ばす経験とならない危惧がある。一方で、彼らがプロチームの練習や公式戦などに参加することは、将来の成長に大きく寄与するものと期待される。


受け入れ先クラブには毎月活動報告書・翌月の活動計画書をJFAに提出し、承認を得る義務が生じる。もし報告書・計画書上における実績が制度上そぐわないと判断された場合、認定が解除される場合もある。
しかしJリーグクラブに登録した場合、多くの高校生年代にとっての夢である[[全国高等学校サッカー選手権大会]]には出場できない。また、大学生年代にとっても本格的にプロ契約を結びつつ学業を続けることは、多大な労苦を伴うことになる。こうした問題を回避し、現所属に留まりながら高いレベルの試合や練習を経験できるという点が、本制度の最大の特長とされている。


当初このシステムは[[1998年]]に'''強化指定選手'''という名称で始められ、当初は高校生のみが対象だった。[[矢野隼人]]([[1999年]]指定、当時の所属は[[帝京高等学校]])がヴェルディ川崎(現・[[東京ヴェルディ1969|東京ヴェルディ]])で出場したのが、この制度によって実際にJリーグの公式戦に出場した最初の例である。この前後にも毎年10人前後が強化指定を受けていたが、公式戦に出場できたのはごくわずかであった。
== 沿革 ==
このシステムは[[1998年]]に'''強化指定選手'''という名称で始められ、当初は高校生のみが対象だった。[[矢野隼人]]([[1999年]]指定、当時の所属は[[帝京高等学校]])がヴェルディ川崎(現・[[東京ヴェルディ1969|東京ヴェルディ]])で出場したのが、この制度によって実際にJリーグの公式戦に出場した最初の例である。この前後にも毎年10人前後が強化指定を受けていたが、公式戦に出場できたのはごくわずかであった。


この反省に立ち、[[2003年]]から制度が変更され、現在の「特別指定選手」という名称に改められた。主な変更点は、大学生に対する門戸開放、指定期間の短縮(1年→4ヶ月)、Jリーグクラブからの能動的な申請(従来は協会側の推薦する選手に限られていた)などである。
この反省に立ち、[[2003年]]から制度が変更され、現在の「特別指定選手」という名称に改められた。主な変更点は、大学生に対する門戸開放、指定期間の短縮(1年→4ヶ月)、Jリーグクラブからの能動的な申請(従来は協会側の推薦する選手に限られていた)などである。指定期間については、[[2004年]]からはさらに1ヶ月単位と短くなった


歴代の強化指定選手・特別指定選手については、[[特別指定選手としてJリーグクラブに登録された選手一覧]]を参照のこと。
指定期間については、[[2004年]]からはさらに1ヶ月単位と短くなった。

== 特別指定選手制度 (女子) ==
2008年に設立された。対象者は日本サッカー協会に登録されている選手のうち、[[日本女子サッカーリーグ]]および同リーグ所属クラブの下部組織チームに所属していない選手である。男子側の制度と大きく違う点は、審査担当が技術委員会ではなく女子委員会であること、男子側の制度に比べて受け入れ先となる日本女子サッカーリーグ所属クラブ側に自由が認められていない (推薦選手以外を特別指定選手とすることができず、また受け入れ先クラブを女子委員会側が調整するため、全てのクラブが受け入れ先となれる訳ではない)、また1月ごとに活動報告書・活動計画書の承認を得る必要がない点である。

選手が決定されるプロセスは以下の通りである、まず女子委員会委員・女子ナショナルチームのコーチングスタッフ・ナショナルトレセンコーチらにより推薦選手が決定される。委員会にて選手および所属先クラブの合意が得られた場合、特別指定制度候補選手のリストが日本女子サッカーリーグに通知される。受け入れ先クラブを女子委員会で調整した後、協会・選手および保護者・選手所属先クラブ・受け入れ先クラブ・選手の通学先の5者間で活動期間やその内容、計画などを協議し、関係各所 (リーグや[[全日本大学女子サッカー連盟]]など) へ確認した上で女子委員会にて特別指定選手として認定し、受け入れ先クラブに通知し、また選手証が発行される。その後5者間で覚書が作成され、技術委員会および理事会へと報告される。

活動期間は日本女子サッカーリーグのシーズン期間いっぱいまで設定されているが、中途で指定を解除することも可能である。

== 脚注 ==
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[日本サッカー協会]]
* [[日本サッカー協会]]
* [[日本プロサッカーリーグ]](Jリーグ)
* [[日本プロサッカーリーグ]]
* [[日本女子サッカーリーグ]]
* [[特別指定選手としてJリーグクラブに登録された選手一覧]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
*[http://www.jfa.or.jp/training/honor_players/index.html 特別指定選手制度(男子)|日本サッカー協会]
*[http://www.jfa.or.jp/training/honor_players/index.html 特別指定選手制度(男子)|日本サッカー協会]
*[http://www.jfa.or.jp/training/honor_players/woman.html 特別指定選手制度(女子)]


[[Category:日本サッカー協会|とくへつしていせんしゅ]]
[[Category:日本サッカー協会|とくへつしていせんしゅ]]

2010年8月12日 (木) 10:29時点における版

特別指定選手制度(とくべつしていせんしゅせいど)は日本サッカー協会がユース世代のサッカー選手に対して、所属クラブ・連盟の枠を超えて高いレベルでのプレーができる機会を与えるための制度である。男子選手のための制度と女子選手のための制度とがある。

特別指定選手制度 (男子)

JFA・Jリーグ特別指定選手制度」が正式な名称であり、対象者は全日本大学サッカー連盟全国高等学校体育連盟、または第2種日本クラブユースサッカー連盟のいずれかに加盟しているチームの登録選手、受け入れ先はJリーグ所属クラブである。

JFA技術委員会が、上記3連盟の意向に基づき推薦選手を発表して各Jリーグクラブへ通達し、クラブ側は推薦選手、または指定選手としての加入を希望する選手を選び、当該選手の所属先のクラブと交渉し、合意が得られた場合、申請書・覚書・活動計画書・メディカルチェック結果を技術委員会に提出する。技術委員会で承認された場合、その旨がクラブ側に連絡され、またJリーグ選手証が発行される。

受け入れ先クラブには毎月活動報告書・翌月の活動計画書をJFAに提出し、承認を得る義務が生じる。もし報告書・計画書上における実績が制度上そぐわないと判断された場合、認定が解除される場合もある。

当初このシステムは1998年強化指定選手という名称で始められ、当初は高校生のみが対象だった。矢野隼人1999年指定、当時の所属は帝京高等学校)がヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)で出場したのが、この制度によって実際にJリーグの公式戦に出場した最初の例である。この前後にも毎年10人前後が強化指定を受けていたが、公式戦に出場できたのはごくわずかであった。

この反省に立ち、2003年から制度が変更され、現在の「特別指定選手」という名称に改められた。主な変更点は、大学生に対する門戸開放、指定期間の短縮(1年→4ヶ月)、Jリーグクラブからの能動的な申請(従来は協会側の推薦する選手に限られていた)などである。指定期間については、2004年からはさらに1ヶ月単位と短くなった。

歴代の強化指定選手・特別指定選手については、特別指定選手としてJリーグクラブに登録された選手一覧を参照のこと。

特別指定選手制度 (女子)

2008年に設立された。対象者は日本サッカー協会に登録されている選手のうち、日本女子サッカーリーグおよび同リーグ所属クラブの下部組織チームに所属していない選手である。男子側の制度と大きく違う点は、審査担当が技術委員会ではなく女子委員会であること、男子側の制度に比べて受け入れ先となる日本女子サッカーリーグ所属クラブ側に自由が認められていない (推薦選手以外を特別指定選手とすることができず、また受け入れ先クラブを女子委員会側が調整するため、全てのクラブが受け入れ先となれる訳ではない)、また1月ごとに活動報告書・活動計画書の承認を得る必要がない点である。

選手が決定されるプロセスは以下の通りである、まず女子委員会委員・女子ナショナルチームのコーチングスタッフ・ナショナルトレセンコーチらにより推薦選手が決定される。委員会にて選手および所属先クラブの合意が得られた場合、特別指定制度候補選手のリストが日本女子サッカーリーグに通知される。受け入れ先クラブを女子委員会で調整した後、協会・選手および保護者・選手所属先クラブ・受け入れ先クラブ・選手の通学先の5者間で活動期間やその内容、計画などを協議し、関係各所 (リーグや全日本大学女子サッカー連盟など) へ確認した上で女子委員会にて特別指定選手として認定し、受け入れ先クラブに通知し、また選手証が発行される。その後5者間で覚書が作成され、技術委員会および理事会へと報告される。

活動期間は日本女子サッカーリーグのシーズン期間いっぱいまで設定されているが、中途で指定を解除することも可能である。

脚注

関連項目

外部リンク