「神扇スプレー倉庫爆発火災」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
m編集の要約なし
2行目: 2行目:


== 火災概要 ==
== 火災概要 ==
1999年6月5日午後7時30分頃、倉庫内にて火災が発生し、保管されていたスプレー缶約236万本の他、[[ポリエチレン]]製管材やペット樹脂など計2900トンと言われる多量の樹脂類に次々と引火し炎上、特にスプレー缶は成分噴射用の可燃ガスが封入されていたため爆発が発生し、倉庫・事務所約5000平方メートルを全焼した。
1999年6月5日午後7時30分頃、倉庫内にて火災が発生し、保管されていたスプレー缶約236万本の他、[[ポリエチレン]]製管材や[[ポリエチレンテレフタレー|PET樹脂]]など計2900トンと言われる多量の樹脂類に次々と引火し炎上、特にスプレー缶は成分噴射用の可燃ガスが封入されていたため爆発が発生し、倉庫・事務所約5000平方メートルを全焼した。


この火災では倉庫内のスプレー缶に火災が次々と引火し爆発・炎上したほか、封入されたエアゾールガスに引火したスプレー缶がロケット状に火炎を噴射しながら倉庫から半径1kmを超える範囲にまで飛翔し、周囲の水田等に落下・散乱した。
この火災では倉庫内のスプレー缶に火災が次々と引火し爆発・炎上したほか、封入されたエアゾールガスに引火したスプレー缶がロケット状に火炎を噴射しながら倉庫から半径1kmを超える範囲にまで飛翔し、周囲の水田等に落下・散乱した。

2010年7月7日 (水) 07:37時点における版

神扇スプレー倉庫爆発火災(かみおうぎスプレーそうこばくはつかさい)は、1999年6月5日ダイセーロジスティクス株式会社が当時、埼玉県幸手市大字神扇に保有していた倉庫で発生した、爆発を伴った大規模火災である。

火災概要

1999年6月5日午後7時30分頃、倉庫内にて火災が発生し、保管されていたスプレー缶約236万本の他、ポリエチレン製管材やPET樹脂など計2900トンと言われる多量の樹脂類に次々と引火し炎上、特にスプレー缶は成分噴射用の可燃ガスが封入されていたため爆発が発生し、倉庫・事務所約5000平方メートルを全焼した。

この火災では倉庫内のスプレー缶に火災が次々と引火し爆発・炎上したほか、封入されたエアゾールガスに引火したスプレー缶がロケット状に火炎を噴射しながら倉庫から半径1kmを超える範囲にまで飛翔し、周囲の水田等に落下・散乱した。

比較的民家が少ない地域であったため類焼等は発生しなかったものの、樹脂類の燃焼煙やスプレー封入薬剤等による臭気が広範囲に流れた事から、後日には健康被害が懸念された。このエアゾールは隣接する五霞町に製造工場を持つ大阪造船所エアゾール事業部が委託され製造したアース製薬殺虫剤『アースジェット』で、盛夏の需要期に備えて大量生産したものを納入前に一時保管していたものであった。

また、当該火災制圧には地元である幸手市消防本部の保有する消防車両のほか、周辺市町の各消防本部からの応援の他、さらには化学消防車も投入され、30台を超える消防車両が集結し懸命の消火が行われたが、鎮火までには約36時間もの時間を要した。しかし幸いにも死傷者は発生しなかった。一方、東に隣接する埼玉みずほ農業協同組合の倉庫が熱で煽られて外壁が破損、建物への類焼こそ免れたが、伝わった熱により内部に置かれていた穀類が痛み、廃棄処分を余儀なくされるなどの被害が出た。

本件の余波

この火災では倉庫に規定量を超えるエアゾール類が保管されていたにもかかわらず消防法に基づく許可を得ておらず、また地元消防本部への届出もされていなかったことが後日判明し、倉庫管理者が消防法違反に問われただけでなく総務省消防庁より全国各消防本部や業界団体に対して「エアゾール製品等の適正な保管について」(消防危第61号)と題する通達が発令されるに至った。 倉庫管理者は不起訴となっている。 なお、2007年5月現在に至るも発生現場である倉庫跡は更地のままで、跡地利用はされていない。

余波という意味では、幸手市内にある本件とは無関係のエアゾール製造会社が本件に関連していると勘違いされ、火災後週明けの月曜日にマスコミも含めて各方面から電話が殺到、終日業務に支障が出るという事態も発生した。

その他、地元では、エアゾールの薬剤の影響か、消防団員たちが履いていた靴が軒並み駄目になってしまったという話が当時はよく聞かれた。

外部リンク(参考文献)

関連項目