「ギヤードターボファンエンジン」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
m + link, - stub
m ロボットによる 追加: es:Pratt & Whitney PW1000G
61行目: 61行目:
[[de:Pratt & Whitney PW1000G]]
[[de:Pratt & Whitney PW1000G]]
[[en:Pratt & Whitney PW1000G]]
[[en:Pratt & Whitney PW1000G]]
[[es:Pratt & Whitney PW1000G]]

2009年11月22日 (日) 14:15時点における版

ギヤードターボファンエンジン
1.ファン
2.減速機構(遊星ギヤ)

ギヤードターボファンエンジン(Geard Turbo Fan Engine, GTF)は、ジェットエンジンの一種。従来のターボファンエンジンの発展形で、ファンの駆動に遊星歯車機構を介して減速させる点が従来と異なる。

概要

(比較)ターボファンエンジンの構造
ファンの軸に減速機構が無い

一般にターボファンエンジンはファンの直径を大きくし、バイパス比をあげると燃費が改善される。

しかし、回転数を下げないまま極端にファンを大径化するとファンブレードの先端が音速に達し、造波抗力による大幅な損失が発生する。一方、同軸でつながっている低圧コンプレッサはある程度より回転数を下げると著しく効率が低下するため、回転速度を下げるにも限界があった。

そこで、低圧タービン軸とファン軸の間に減速歯車を介することによって低圧コンプレッサの高回転駆動とファンの低速回転を両立することを目指したのがギヤードターボファンエンジンである。

構造上、ターボプロップエンジンプロペラをタービンと同軸のダクテッドファンとしたものに近い。

ハネウェル TFE731

ハネウェル TFE731はビジネスジェット機用のギヤードターボファンエンジンである。 このエンジンは1972年からガレット・エアリサーチ (Garrett AiResearch) が設計・製造していた。現在はハネウェルが製造している。累計で11,000台以上が製造されている。

プラット・アンド・ホイットニーPW1000G

プラット・アンド・ホイットニーは1998年からPW8000として知られるギヤードターボファン (GTF) の開発に着手した[1]。これは本質的にはプラット・アンド・ホイットニーPW6000の改良型でファンを取り除いてギアと新しい2段式のファンを取り付けたものである。数年後PW8000は中止された[2]。 その後まもなくATFI計画がありPW6000のターボ機械と新しいギアボックスと単段式のファンが加えられた。ドイツのMTUがGTFの一連の新計画に参加している。

2008年7月、このGTFはPW1000Gに改名した[3]

プラット・アンド・ホイットニーでは、PW1000Gは単通路リージョナルジェット機において従来のエンジンに比べて10%から15%の燃費改善があり、より静粛であるとしている。

特徴

低燃費
バイパス比向上によって燃費が改善する。具体的には、PW1000が従来比12%の改善を謳っている。
低騒音
ファンを従来よりも低速で回転させているため、風きり音が低減される。
遊星歯車機構の採用
同軸で減速を行うために遊星歯車機構が用いられているが、ジェットエンジンの高出力に耐えるために遊星歯車の数を他用途の物より多くしており(PW1000では他用途で一般的な3個→5個)、複雑な機構となっている。
低出力型ではこの複雑化は問題にならないが、大型機用の大出力型には更なる複雑化が要求されるため、ギヤによる騒音、振動、メンテナンス性の低下などの問題が顕在化する。このように大出力化が困難であるため、大型機へのギヤードターボファンエンジンの搭載例は未だない。しかし、ターボプロップエンジンでも同様な遊星歯車機構を用いるのが一般的であり、またターボプロップの場合はさらに構造を複雑化させる事になる可変ピッチ機構が組み込まれている。PW1000Gのコア出力に相当する1万馬力級のターボプロップエンジンが実用化されている事を考えれば、技術的なハードルは必ずしも高いものであるとは言えない面もある。
構造の単純化
高回転域での運転によって圧縮機の効率が向上するため、段数を減らすことができる。これによって重量の低減・メンテナンス性の向上・製造コスト削減を実現している。また高熱高圧のジェット排気にさらされるタービンの内、低圧タービンの段数とブレード数を大幅に減らすことが出来るメリットは大きいとされている。

搭載機

脚注

関連項目

外部リンク