「フィリピンの医学教育」の版間の差分

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'''フィリピンの医学教育'''では、[[フィリピン共和国]]の'''[[医師]]''' (Physician) 免許を取得する教育程を紹介する。
'''フィリピンの医学教育'''では、[[フィリピン共和国]]の'''[[医師]]''' (Physician) 免許を取得する教育程を紹介する。


フィリピン共和国の医師免許の取得は、数段階が存在している。
フィリピン共和国の医師免許の取得は、数段階が存在している。
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2.2 インターンシップ
2.2 インターンシップ
3 国家試験
3 国家試験
4 臨床研修
4 マッチング制度
4.1 PGI
5 臨床研修
4.2 レジデンシー
5.1 PGI
4.3 フェローシップ
5.2 レジデンシー
5 医学博士号(M.D.)
5.3 フェローシップ
6 関連
6 医学博士号(M.D.)
7 外部リンク
7 関連
8 外部リンク


== 課程 ==
== 課程 ==

2009年8月4日 (火) 03:22時点における版

フィリピンの医学教育では、フィリピン共和国医師 (Physician) 免許を取得する教育課程を紹介する。

フィリピン共和国の医師免許の取得は、数段階が存在している。

目次 [非表示] 1 課程 1.1 4年制大学 1.2 NMAT(フィリピン医学校入学試験) 2 メディカルスクール 2.2 インターンシップ 3 国家試験 4 臨床研修 4.1 PGI 4.2 レジデンシー 4.3 フェローシップ 5 医学博士号(M.D.) 6 関連 7 外部リンク

課程

4年制大学

まず一般の4年制大学で主専攻の他に、大学レベルで設定される物理学・化学(理論・分析・有機化学)・生物学・数学・英語を履修するか、医学進学課程 (Pre-Med Course) に進んで物理学・化学・生物学を強化したプログラムを履修する。前者では専攻は問われない。例えば文学・歴史学・英語学などを主専攻にしながらでも、上記の基礎科学5教科と英語を履修すれば医学校入学要件を満たされる。この制度は、フィリピンの高等教育における学士課程がアメリカ教育制度を取り入れたリベラルアーツ・カレッジを主としていることに起因する。

NMAT(エヌマット)

一般の4年制大学学士号取得と同時に、アメリカのMCATにならい、フィリピンではNMAT(エヌマット/National Medical Admission Test :フィリピン医学校入学試験)と言う医学校入学の為の統一試験を受験することが入学条件となる。これは大学レベルの一般科学と英語を含んだ一般能力考査である。ふつう得点は問題と成らないが、国立フィリピン大学医学部では90パーセンタイル取得が足切り点、私立の名門サントトマス大学では80パーセンタイルが足切り点となっている。一部と二部とに分かれ、一部は英単語語彙と長文読解・数理問題・誤字探し・図形問題等の一般能力考査で、二部は物理学・化学・生物学・社会科学(心理学・社会学・人類学)からなる。各科目ごとに標準偏差を500点、最高値を800、最低値を300とした偏差値で得点が算出される。満点近く取れば800点近いスコアを出す事も難しくは無い。問題は丸暗記の通用するシングルステップのごく易しい問題であり、MCATの難易度と比べれば極めて易しい出題となっている。

メディカルスクール

フィリピン共和国では、上記の条件をクリアしNMAT()を受験した者が「メディカルスクール」(4年制の専門職大学院)にて医学教育をうけることが出来る。基礎医学と言えども教育は病院やクリニックの医師を中心に行われる。これは基礎医学研究そのものがフィリピン共和国には一部を除いて存在しない為である。例えば解剖学と組織学の講座を有する解剖学教室の多くは外科医や病理学専門医が占める。社会医学については公衆衛生学関連科目を1年次から3年次まで履修する。4年度は次に解説するようにインターンシップと呼ばれる。

1年~3年

日本の3年~5年次に相当する。一般教養科目の講義は無く、最初から解剖学・組織学・生理学・生化学・寄生虫学・微生物学・薬理学・病理学等を学ぶ。医学校によって独立した神経解剖学のある学校と無い学校がある。丸暗記を基調とした教育で、説明よりも暗記する力を求められる。正常値はもとより身体構造と機能、及び臨床的所見について徹底した暗記を求められる。理学的診断と言う病歴聴取のための独立した講義も特徴で、病歴聴取を1年かけて徹底的に学ばされる。公衆衛生学系科目では生物統計学・疫学・公衆衛生学・地域保健等を3年間に渡り教育される。学校によって名称は異なるが教育内容は類似している。

インターンシップ

4年生はインターンシップと言って各病院をローテートして臨床研修を行う。採血・処方・分娩・患者モニタリングまで一通りの医行為をレジデントの監督下で任される。書類書きやレポート作成に始まり、ありとあらゆる雑用を任される。医師であるレジデントと看護婦の厳しい指導を受けながら36時間の当直を1日置きに行う。ふつうは1カ月毎に次のローテーションへと移るが、ミスを犯した場合にはエクステンションと言って次の研修先へと進む事が許されない。エクステンションの最大日数は30日間用意されており、これを超えると卒業式に参加することが許可されない。皮膚科・精神科・産科・婦人科・外科・内科・小児科などの主要診療科に加えて「地域医学」では農村地域に泊まり込みで公衆衛生学・地域保健のフィールドワークを行う。 修了者は大学-大学院合わせて8年修業する事になり、日本の卒後研修後と同じ年数になる。修了者は医学博士en:Doctor of Medicine, M.D.)となる。

国家試験

フィリピン人医学校卒業生は、原則として国家試験を受験していくことが要求される。

臨床研修

ポストグラデュエート・インターンシップ(PGI)

メディカルスクールを卒業した者は、ポストグラデュエート・インターンシップを行わなければならない。研修病院での臨床研修最初の1年を「PGI/Post-Graduate Internship(ポストグラデュエート・インターンシップ)」と呼び、インターン時代同様に主要診療科を一通り回るのが一般的となっている。

レジデンシー

その後各科ごとに研修期間の異なる「Residency(レジデンシー)」と呼ばれる段階に進み、各科それぞれ数年の研修が行われる。この後に「Board Certification Examination(認定試験)」という試験を受験。これに合格して初めて「一般内科医」「一般外科医」等の称号となり医師としての一般的な活動が可能となる。

フェローシップ

さらにこの後は「Fellowship(フェローシップ)」と呼ばれる専門医研修があり、各科3~10年の研修の後「Subspeciality Board Certification Examination(専門科認定試験)」を受験し、これに合格して「循環器内科専門医」等という称号が与えられ高度な医療行為を行うことができる。

医学博士号

医学博士はM.D.の称号のみが存在する。M.D.は日本やアメリカと同様に西洋医学を学んだ医師である。

関連

外部リンク