「ダクテッドファン」の版間の差分

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== 利用例 ==
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[[画像:USN hovercraft.jpg|thumb|250px|アメリカ海軍の[[LCAC-1級エア・クッション型揚陸艇]](ホバークラフト)。後部に2基のダクテッドファンが設置されている。]]
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[[画像:Heli.fenestron.750pix.jpg|thumb|250px|ヘリコプターでのダクテッドファン実機例-ユーロコプタEC120B]]
[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[X-22 (航空機)|ベル X-22]]のような[[垂直離着陸機|VTOL機]]向けに研究されてきたものの実験の域を出ることはあまりなく、有名な実用例としては[[ホバークラフト]]用の推進器がある。ただしラジコン飛行機用の小型推進器としては比較的ポピュラーな存在である。その場合、電動モーター駆動のファンの後に燃料噴射装置とバーナーを備えた燃焼室を設け、ジェット排気による推力を付与することが多い<ref>これは[[モータージェット]]と同様の仕組である。</ref>。{{Fact}}
*[[ホバークラフト]]の推進装置としては主要な位置を占めている。
*ヘリコプターの[[ヘリコプター#.E3.83.86.E3.83.BC.E3.83.AB.E3.83.AD.E3.83.BC.E3.82.BF.E3.83.BC|テールローター]]としての使用が見られる。ブレード先端が覆われていることで通常のテールローターより安全性が増し、またローターの発する可聴周波数を打ち消し合うよう設計できることでテールローターからの騒音発生の低減が見込める。
*ジェットエンジンに似せた外見のラジコン飛行機を制作したい場合には比較的ポピュラーに採られる手法である。模型用ジェットエンジンの場合よりも遥かにコストを低減でき、安全性と操作性が高く、騒音が低い。電動モーター駆動のファンの後に燃料噴射装置とバーナーを備えた燃焼室を設け、ジェット排気による推力を付与する手法が採られる場合もある<ref>これは[[モータージェット]]と同様の仕組である。</ref>。{{Fact}}
*[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[X-22 (航空機)|ベル X-22]]のような[[垂直離着陸機|VTOL機]]の推進装置と主翼としての役割を担うものとして研究されてきた例もあったが、現段階では実験機の域に留まっている。





2009年5月23日 (土) 00:01時点における版

ダクテッドファンとは、円筒形のダクトやナセルの中にプロペラ状のファンを据え、それを回転させることによって推力を生み出す推進器の一種である。もともと航空機用に研究されてきたが、ホバークラフトラジコン飛行機の推進器としてよく採用される。

仕組

ダクテッドファンを装備した実験機であるベル X-22

プロペラ状のファンに円筒状の覆い(ダクトまたはナセル)を被せたような構造が特徴であり、推進力を得る基本的な仕組みは通常のプロペラと大差ない。しかし、この円筒によっていくつかのメリットが発生する。

まず、通常のプロペラ推進では進行方向だけでなくそれと直交する平面内にもプロペラ端から気流が発生しており、これは推力とならないためエネルギー的に損をするばかりか衝撃波(音波)となって騒音の原因にもなっている。しかし、プロペラの外側を筒で覆ってやればプロペラ端から発生する気流を全て進行方向側に整流してやることができ、エネルギー的に効率的である。同時に、衝撃波の発生を抑えて騒音を減らすこともできる。

円筒状のナセルをうまく使うことでさらなる効果を得られる。このナセルは空気取入れ口が排出口に比べて広いハの字型の断面をしていることが多いが、このようにしてさらに円筒壁面の断面形状(翼形)を工夫するとナセル自体が進行方向側に揚力を生み出すようになる[1]。また、ナセルを偏向させることで気流の向きを変え、ある程度の推力偏向能力を持たせることも可能である。

デメリットとしては、ナセルによる抗力が大きく高速化に適さないことが挙げられる。また、多くの場合エンジンから離れた場所にファンがあり、ギアシャフトを介した駆動系が必要になるため機構が複雑になりがちである。

なお、共振を防ぐためにファンのブレード数は奇数であることが多い。

利用例

アメリカ海軍のLCAC-1級エア・クッション型揚陸艇(ホバークラフト)。後部に2基のダクテッドファンが設置されている。
ヘリコプターでのダクテッドファン実機例-ユーロコプタEC120B
  • ホバークラフトの推進装置としては主要な位置を占めている。
  • ヘリコプターのテールローターとしての使用が見られる。ブレード先端が覆われていることで通常のテールローターより安全性が増し、またローターの発する可聴周波数を打ち消し合うよう設計できることでテールローターからの騒音発生の低減が見込める。
  • ジェットエンジンに似せた外見のラジコン飛行機を制作したい場合には比較的ポピュラーに採られる手法である。模型用ジェットエンジンの場合よりも遥かにコストを低減でき、安全性と操作性が高く、騒音が低い。電動モーター駆動のファンの後に燃料噴射装置とバーナーを備えた燃焼室を設け、ジェット排気による推力を付与する手法が採られる場合もある[2][要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。
  • アメリカベル X-22のようなVTOL機の推進装置と主翼としての役割を担うものとして研究されてきた例もあったが、現段階では実験機の域に留まっている。


ヘリコプターに代わるダクテッドファン方式のリモコン輸送機なども登場している。ツインダクテッドファン方式の超小型の乗り物が幾つか登場している。Springtail Exoskeleton Flying Vehicle (EFV-4A)やDragonfly Unmanned/Manned/Remote Vehicle (UMR-1)などが有名である。空飛ぶ乗用車として注目されているスカイカーも、ダクテッドファン方式の乗り物の一種である。

脚注

  1. ^ 似たような円筒構造を持つ航空機に円筒翼機があり、その場合は円筒で発生する揚力が機体を持ち上げる方向に働くのだが、一般的なダクテッドファンにそのような効果があるかどうかは一概には言えない。
  2. ^ これはモータージェットと同様の仕組である。

関連項目

参考文献

外部リンク